「大手/外資系法律事務所の事務所研究 、書類・面接、内定オファ ー受諾

「大手/外資系法律事務所の事務所研究 、書類・面接、内定オファ
ー受諾の際の留意点 一問一答」特別インタビュー編!
先輩インタビュー vol.1
本日は貴重なお時間をいただき、本当にありがとうございます。後輩たち
が 2016 年の就職活動で夢を叶えるため、是非ともお話をうかがわせてくだ
さい。
(自己紹介をお願いできますでしょうか)
私は、森・濱田松本法律事務所に勤務している弁護士です(20 代、男性)
。
(先生が当時の就職活動を思い出されたとき、仮に「①スペック/成績」、
「②その事務所でないといけないという確かな志望理由」、「③面接者のキ
ャラクター」の 3 つに順位をつけるとしたら、どのように重要度の順位づ
けしますか。同順位があっても結構ですので教えてください。)
私は、①が最も重要で,②と③が次に重要と考えています。
(なるほど。先生の上記の順位付けの理由を、もし可能であればエピソー
ドやそう思った背景を踏まえて、少し詳しく教えていただけないでしょう
か。
)
1
まず,サマークラークでも個別訪問でも,学歴や成績が優れない人は呼
ばれていません。多数の応募者から選ぶ以上,学歴や成績で応募者が絞り
込まれます。その点で,①は最重要です。しかし,学歴と成績だけで内定
オファーが出されているわけではありません。私の法科大学院時代の同期
の中では,森・濱田松本法律事務所が第一志望で,かつ,成績が良かった
にもかかわらず,内定オファーをもらえなかった人もいました。他の大手
法律事務所では,学歴と成績が良ければそれだけで内定オファーを出すと
ころもありますが,森・濱田松本法律事務所では,それ以外の要素も総合
的に考慮して「この人と一緒に働きたいか」を見極めているといえます。
そのため,②や③もやはり重要だったと思います。
なお,特筆すべき語学力がある人は,それも考慮されていたようです。
(ところで、先生は今、新司法試験が終わったばかりの後輩 20 名と朝食会
を企画しているとします。この朝食会で、卒業したての法律事務所就活生
がよくもちがちな「誤解」
「誤った考え方」を 1 点指摘できるとすれば、ど
のような示唆を与えますか。)
スペックが良い人にありがちですが,スペックが良ければ就活は楽勝だ
という発想は捨てた方が無難です。かつてなら6月半ばには内定オファー
をいくつももらっていたはずのスペックの人が,最近ではなかなか内定オ
ファーをもらえないという例もあります。スペックが良くない人はもちろ
ん,スペックが良い人も,エントリーシートや個別訪問で手を抜かないで
ください。
(先生は内定オファーを獲得されたわけですが、先生の同期、見知らぬラ
イバル、勿論先生自身についてでも構いませんが、法律事務所側からみて
「物見遊山」
「お客様気分できている就活生」といえるありがちな行動は何
でしょうか。私が 2015 年の就活生として、1 つか 2 つほど戒めをいただけ
るとありがたいです。)
将来その法律事務所から何が得られるのかだけを考えていて,将来その
法律事務所にどうやって貢献するかという視点が全くない人がいます。対
価を払って教えてもらっていた学生時代とは違い,対価をもらって事務所
で働くわけですから,仕事の成果でもって事務所にお返しするのは当然で
す。新人弁護士のうちは思うように成果が出せないにしても,将来的には
2
仕事で成果を出して事務所に貢献できる弁護士まで成長しなければいけ
ません。当然ですが,高い報酬がもらえるということは,それだけ大きな
成果を出すことが期待されているということです。
これは四大や外資などに限らず,一般民事中心の法律事務所やインハウ
スでも同じですし,裁判所や検察庁でも同じことが当てはまるはずです。
(ありがとうございます。ところで、就職活動中、苦しかったエピソード
や心が折れそうになった(今だから言える)エピソードはございますか。
)
同期が自分より先に個別訪問に呼ばれていたり,先に内定オファーをも
らっていたりすると,焦りました。しかし,結局は6月半ばには就活を終
えましたし,今から思えば杞憂だったと思います。
(面接ではどのような点をこころがけていたのですか。私が明日面接とい
う先生の携帯電話へ電話をかけてきた後輩とします。アドバイスをいただ
けないでしょうか。
)
自分が何を考えてきたかを,自分の言葉で具体的に話すようにしてくだ
さい。他人の言葉の受け売りであったり,抽象的な言葉を並べたりするだ
けでは,あなたがどういう人間かが面接者にはわかりませんし,本音ベー
スで話してくれていないという疑いすら生じ得ます。その場合,仮に本当
はあなたが魅力的な就活生だったとしても,面接者としては不採用にする
のが無難です。自分の将来について真剣に考えてきた人なら,自分の言葉
だけで自分のことを話せるはずです。(それができない人は,あと1日だ
けでも,自分の将来について真剣に考えてください。)
3
(先生は、時計の針を戻して、もう一度内定先の事務所の面接を受けられ
るとしても、再度内定を得る自信があると思います。そのときその自信を
支える、何か事務所の「ツボ」があれば後輩に教えていただけないでしょ
うか。
)
「ツボ」というのはありませんが,少なくとも,何事にも一生懸命ひた
むきに取り組む姿勢は,当事務所の弁護士に共通することかと思います。
何事にも積極的に取り組む姿勢,高い志や仕事に向けた熱意などが伝われ
ば,良い印象を持ってもらえるのではないでしょうか。
(先生は内定オファーが出た後、
「迷い」を持たれましたか。最終的にその
事務所と決断した理由を教えてください。例えば任官・任検・そのほか他
の法律事務所でもそれ以外の私的な事項でも構いません。)
内定オファーを頂いた後は,迷いはありませんでした。むしろ迷いが生
じないように,サマークラークや個別訪問で積極的に質問していました。
(先生長いインタビューを本当にありがとうございます。最後に、先生の
この記事は 2015 年の就職活動先生で夢を燃やす若い後輩の皆様へ届けら
れます。何か自由にコメントやメッセージをいただけますと幸いです。)
就職活動に不安でいっぱいかもしれません。しかし,どの分野でも,成
功する人は常にポジティブな人です。しっかりとした対策をして,前向き
な気持ちで就職活動に臨んでください。
【本当に、貴重なお時間をありがとうございました!】
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先輩インタビュー vol.2
本日は貴重なお時間をいただき、本当にありがとうございます。後輩たち
が 2016 年の就職活動で夢を叶えるため、是非ともお話をうかがわせてくだ
さい。
(自己紹介をお願いできますでしょうか)
私は、いわゆる四大法律事務所に勤務している 4~6 年目の弁護士です(30
代、男性)
。早稲田大学ロースクールを修了し、修了した年の司法試験に
合格しました。1 年間の司法修習を終えた後、現在勤務している法律事務
所に入所し、主に M&A、コーポレートガバナンス、クロースボーダー取引
等の業務を行っています。
(先生が当時の就職活動を思い出されたとき、仮に「①スペック/成績」、
「②その事務所でないといけないという確かな志望理由」、「③面接者のキ
ャラクター」の 3 つに順位をつけるとしたら、どのように重要度の順位づ
けしますか。同順位があっても結構ですので教えてください。)
順位づけをするのはかなり難しいですが、「四大法律事務所に入所する」
、
という観点に絞っていえば、私は、①スペック/成績、②面接者のキャラ
クター、③その事務所でないといけないという確かな志望理由と考えてい
ます。
(なるほど。先生の上記の順位付けの理由を、もし可能であればエピソー
ドやそう思った背景を踏まえて、少し詳しく教えていただけないでしょう
か。
)
1 番を「スペック/成績」とした理由は、これが採用方法として正しいか
否かは別として、
「スペック/成績」が採用活動(サマークラークの採用選
考を含みます。
)において極めて重視されている現実があるからです。私
が当時所属していたロースクールでは、サマークラークの採用について、
特殊な経歴等がなければおおむね学年 20 位前後で採否が分かれていたよ
5
うな実感があります(統計を取ったわけではなく、あくまで友人同士の雑
談の中で出てきた情報を基にした感覚的なものです。)。
「サマークラーク
に採用されない=内定をもらえない」ということでは必ずしもありません
が、サマークラーク選考時の書面審査を通過しなかった学生が、修了後の
採用活動において書面審査を通過する可能性は高くないように思います。
また、これは私が採用する側となってから感じたことではありますが、や
はり「スペック/成績」は採用活動において重要な評価基準となっていま
す。
「スペック/成績」のみで即オファーが出るというわけではありません
が、面接まで進むためには書面審査を通過する必要があり、そのためには
一定の成績が必要となる、というのが現実です。書面審査を通過するため
に必要となる成績の水準というのは、ロースクールごとに異なりますし、
また、個人のスペックによっても異なりますが(例えば、英語が特にでき
るという場合には、相対的に多少成績が劣っていたとしても書面審査を通
過することが可能かと思います。)
、少しでも良い成績を取得しておくに越
したことはありません。
2 番目を「面接者のキャラクター」とした理由は、
「スペック/成績」によ
る書面審査を通過したのちは、成績がどれくらい良いかということより
も、
「面接者のキャラクター」によって採否が決まるケースが多いからで
す。もちろん、ロースクールを極めて優秀な成績で修了されたような場合
には、成績だけでほぼオファーが出るということもありえますが、そうで
はない場合には、面接での評価によって結果は大きく異なります。私が就
活生であったときにも、成績にある程度開きがある 2 名の就活生につい
て、成績が低い方の就活生の方がオファーを早期に取得している(しかも
複数)という例がありました。なぜそうなったのか、という明確な理由は
もちろんわかりませんが、私が見た限りでは、成績が低い就活生の方が企
業法務を取り扱う法律事務所に入所したいという気持ちが強く(つまり、
志望動機が明確)
、また、コミュニケーション能力も高かったように思い
ます。また、私が採用する側となってからの実感としても、面接での振る
舞いや、こちらからの質問に対する回答内容についてはかなり厳しく見ら
れており、成績が良い場合であっても、面接での評価が悪い場合にはオフ
ァーをしないという判断をするケースも少なからずあるように思います。
3 番目を「その事務所でないといけないという確かな志望理由」とした理
由は、四大法律事務所に限っていうのであれば、その事務所でないといけ
ないという確かな志望理由を説明することは難しく、採用する側もそこま
で強くそこを意識していないと思うからです。もちろん、事務所ごとにカ
ラーがあり(報酬体系や執務環境等、比較していくとかなり違いはあると
6
思います。
)
、強みとする分野にも多少違いはありますが、総じていえば業
務範囲に大きな違いはありません。なぜ我々の事務所がいいのか、という
理由を説明していただいて、我々が「なるほど」と思えば好印象ではあり
ますが、これを学生側に求めるのは少し酷かな、というのが正直な印象で
す。採用する側としても、就活生の方の受け答えの適切さや、興味のある
分野等については質問をし、掘り下げた議論をしていきますが、他の事務
所と比較してなぜ我々の事務所がいいのか、ということはあまり積極的に
は聞いていないように思います(実際には、面接での受け答えの中で、
「○
○さんはうちの事務所にいそうな雰囲気だな」といった感想を持つことは
ありますし、こういった感想が採用にも多少は影響を与えているとは思い
ます。もっとも、これは相性の問題であり、何か対策をするといった感じ
ではないと思います。むしろ、入所後のミスマッチを避けるという意味で
は、雰囲気の合わない事務所からは内定をもらわない方がよいのかもしれ
ません。
)
。
なお、念のため繰り返しておきますが、年間の採用人数が数名程度の中小
規模の法律事務所については、
「その事務所でないといけないという確か
な志望理由」が極めて重要であると思いますので、上記の話は 4 大事務所
に限った話として理解していただければと思います。
(ところで、先生は今、新司法試験が終わったばかりの後輩 20 名と朝食会
を企画しているとします。この朝食会で、卒業したての法律事務所就活生
がよくもちがちな「誤解」
「誤った考え方」を 1 点指摘できるとすれば、ど
のような示唆を与えますか。
)
少なくない就活生の方が、
「企業法務に関する知識を多く持っていること
(又はそのような印象を与えること)が良い」と思っているかもしれませ
んが、そのようなことはないと思います。もちろん、企業法務に興味・関
心を持つことは重要で、新聞を読む、企業法務に関する講義を履修すると
いったことは必要不可欠かと思いますが、弁護士に対して、
「企業法務の
知識を持っている学生だ」と思わせる必要はありません。私が過去 2 年間
就職活動に関与している中でも、その方が現時点で有している知識量が評
価されてオファーを出した、というケースはなかったように思います。
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(先生は内定オファーを獲得されたわけですが、先生の同期、見知らぬラ
イバル、勿論先生自身についてでも構いませんが、法律事務所側からみて
「物見遊山」
「お客様気分できている就活生」といえるありがちな行動は何
でしょうか。私が 2015 年の就活生として、1 つか 2 つほど戒めをいただけ
るとありがたいです。)
最近は少なくなったかもしれませんが、事務所のウェブサイトを見ればわ
かるような情報を質問してくるような就活生の方にお会いすると、ガクッ
となってしまいます。所属人数、業務範囲、国内・海外拠点の概要といっ
た基本的な点については当然ですが、ご自身の興味がある分野について
は、どのような弁護士が所属しており、その弁護士がどのような執筆活
動・講演活動を行っているか、
(公表情報でわかる範囲で構いませんが)
どのようは案件に関与しているのか、といったことについて調べておく
と、面接等の際の話のネタになり良いのではないかと思います。
あとは、こちらが「何か質問はありますか」と聞いたときに、「特にあり
ません」と答えられてしまうのも困ってしまいます。真剣に就職活動をと
らえている就活生の方であれば、むしろ、
「限られた面接時間の中でどの
質問を聞くべきか」という思考になるのが普通ではないかと思います。
(ありがとうございます。ところで、就職活動中、苦しかったエピソード
や心が折れそうになった(今だから言える)エピソードはございますか。
)
あれこれかんがえてみたのですが、特にすぐにおもいうかびません。
(面接ではどのような点をこころがけていたのですか。私が明日面接とい
う先生の携帯電話へ電話をかけてきた後輩とします。アドバイスをいただ
けないでしょうか。
)
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面接では、大きく分けて、①自分の頭でしっかりとものを考える能力、②
コミュニケーション能力が審査されていると考えてください。この二つの
能力は、実際に弁護士として働く際に必要となる重要な能力ですから、面
接する側はこの二つを本当に厳しく見ています。
具体的にどのようにすればよいのかということですが、相手の話をしっか
りと聞くこと(質問を正確に理解することがコミュニケーションの基本で
す。
)
、質問に答えるときに、まず聞かれたことに答えること(だらだらと
前置きするような話し方は印象が良くないです。
)
、話しているときに体を
揺らしたり手を頻繁に動かしたりしないこと(このような行動は幼稚な印
象を与えるものであり、とても頼りなく見えます。こちらからすると、ク
ライアントコントロールを任せることが不安になります。)
、早口になりす
ぎないこと(コミュニケーションの基本です。)等の点に気を付ければ、
かなり印象は良くなるはずです。
(先生は、時計の針を戻して、もう一度内定先の事務所の面接を受けられ
るとしても、再度内定を得る自信があると思います。そのときその自信を
支える、何か事務所の「ツボ」があれば後輩に教えていただけないでしょ
うか。
)
私は、自分の思ったことは、先輩弁護士に対してであったとしても、面接
という場であったとしてもはっきりと伝える、ということを就職活動の際
の方針としていました(面接を受ける前には「臆せず前へ」という言葉を
心の中で繰り返していました。)
。もちろん、礼を失しないように最大限の
配慮をしましたが、普通の就活生であれば言わないようなことも色々とい
ったように思います(さほど若くはなかったですが、若気の至りですね。)
。
結果として、いくつかの事務所からは、このような姿勢を評価していただ
いたのかなと思っています。
(先生は内定オファーが出た後、
「迷い」を持たれましたか。最終的にその
事務所と決断した理由を教えてください。例えば任官・任検・そのほか他
の法律事務所でもそれ以外の私的な事項でも構いません。)
9
私は、結果として 5 つの法律事務所からオファーをいただいたのですが、
その中の 3 つで本当に迷いました。オファーをいただいてから、1 か月半
くらいは悩んでしまったと思います。最終的には、その中の一つに決めた
のですが、その理由は、
「面接で会った弁護士が一番魅力的であり、特に
若手弁護士に活気があったこと」です。そして、その判断は、入所してか
ら数年経った今でも間違っていなかったなと確信しています。
(すごい内定の数ですね!ひとえに先生の優秀さとお人柄のためと思いま
す。先生長いインタビューを本当にありがとうございます。最後に、先生
のこの記事は 2015 年の就職活動先生で夢を燃やす若い後輩の皆様へ届け
られます。何か自由にコメントやメッセージをいただけますと幸いです。
)
就職活動は決して容易ではなく、面接等でつらい思いをすることもあるか
もしれませんが、ぜひ前を向いて頑張ってください。
少し具体的なアドバイスをすると、就職活動を始めるにあたっては、「今
から変えられること」と「もう変えられないこと」を意識するようにして
ください。例えば、成績や英語等の語学能力等のご自身のスペックについ
ては、
「もう変えられないこと」に該当すると思います。このようなこと
については、今さら後悔をしても始まらないので、
「良い意味で」あきら
めてください。他方で、面接での受け答え等のコミュニケーションについ
ては、少し意識をするだけでも変えられるものです。また、自分の頭で考
える能力についても、その能力自体を大きく向上させることは難しいです
が、面接において、自分の頭で考えているなという「印象を与える」ため
の準備はできるはずです。例えば、面接において必ず聞かれるであろう「企
業法務に携わる弁護士となりたい理由」や「事務所の志望理由」について、
自分に対して徹底的に「なぜ?」と問い、少しでも説得的な説明ができる
よう準備をしておけば、自分の頭で物事を考えているな、という印象を与
えることができるはずです。
皆さんの就職活動の成功を心からお祈りしています!
【本当に、貴重なお時間をありがとうございます!】
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先輩インタビュー vol.3
本日は貴重なお時間をいただき、本当にありがとうございます。後輩たち
が 2016 年の就職活動で夢を叶えるため、是非ともお話をうかがわせてくだ
さい。
(自己紹介をお願いできますでしょうか)
渉外事務所に勤務している 20 代の弁護士です。
(先生が当時の就職活動を思い出されたとき、仮に「①スペック/成績」、
「②その事務所でないといけないという確かな志望理由」、「③面接者のキ
ャラクター」の 3 つに順位をつけるとしたら、どのように重要度の順位づ
けしますか。同順位があっても結構ですので教えてください。)
私は、①スペック成績、③キャラクター、②志望理由の順だと思います。
(なるほど。先生の上記の順位付けの理由を、もし可能であればエピソー
ドやそう思った背景を踏まえて、少し詳しく教えていただけないでしょう
か。
)
周囲を見ても、上位ロースクールを卒業し、ロースクールでの成績が上位
であった者から順番に就職先が決まっていった印象があるからです。キャ
ラクターと志望理由については順位付けが難しいですが、いくら強い志望
理由があったとしても、その事務所の雰囲気とは全く異なるキャラクター
を持っている人は採用されにくいのではないかと思います。
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(ところで、先生は今、新司法試験が終わったばかりの後輩 20 名と朝食会
を企画しているとします。この朝食会で、卒業したての法律事務所就活生
がよくもちがちな「誤解」
「誤った考え方」を 1 点指摘できるとすれば、ど
のような示唆を与えますか。)
各事務所毎に業務分野に関する特色はあると思いますが、いわゆる大規模
な事務所ならば、どこに行っても自分のやりたい仕事はあると思います。
自分のやりたい業務分野を軸に就活をするのももちろん重要ですが、自分
はそれ以上に、自分の性格やキャラクターと事務所との相性をよく考える
ことが重要なように就活を通じて思いました。
(先生は内定オファーを獲得されたわけですが、先生の同期、見知らぬラ
イバル、勿論先生自身についてでも構いませんが、法律事務所側からみて
「物見遊山」
「お客様気分できている就活生」といえるありがちな行動は何
でしょうか。私が 2015 年の就活生として、1 つか 2 つほど戒めをいただけ
るとありがたいです。)
自ら積極的に入所後のことを考えた質問ができないという就活生は一番
印象が悪いと思います。
(ありがとうございます。ところで、就職活動中、苦しかったエピソード
や心が折れそうになった(今だから言える)エピソードはございますか。
)
申し訳ないのですが、特にはございません。
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(面接ではどのような点をこころがけていたのですか。私が明日面接とい
う先生の携帯電話へ電話をかけてきた後輩とします。アドバイスをいただ
けないでしょうか。
)
まずは、明るく元気よくということが第一だと思います。あとは、サマー
インターンや事務所 HP、ビジネス弁護士大全などからできる限り情報を
収集し、そのうえで自分なりの個性的な質問事項を考え書き出しておくこ
とです。
(先生は、時計の針を戻して、もう一度内定先の事務所の面接を受けられ
るとしても、再度内定を得る自信があると思います。そのときその自信を
支える、何か事務所の「ツボ」があれば後輩に教えていただけないでしょ
うか。
)
やはり、ロースクールにおいてある程度の成績をとることができていれ
ば、他の志望者の方との関係ではかなり優位に立つことができているので
はないかと思います。あとは、サマーインターンなどを通じて、就職活動
が始まる前に、入所を希望している事務所に自分を印象付けておくことも
重要だと思います。
(先生は内定オファーが出た後、
「迷い」を持たれましたか。最終的にその
事務所と決断した理由を教えてください。例えば任官・任検・そのほか他
の法律事務所でもそれ以外の私的な事項でも構いません。)
他の事務所からもオファーをいただいていたので、どの事務所に入所させ
ていただくかということを非常に悩みました。最終的には、入所した後に
一緒にお仕事をしてみたいと一番強く感じた先生がいらっしゃった事務
所に入所することにいたしました。また、友人や先輩から、客観的に見て
自分の性格的にどの事務所が一番マッチしているように思うかというこ
とについていただいた意見も参考にいたしました。
13
(先生長いインタビューを本当にありがとうございます。最後に、先生の
この記事は 2015 年の就職活動先生で夢を燃やす若い後輩の皆様へ届けら
れます。何か自由にコメントやメッセージをいただけますと幸いです。)
就職活動を終えた身からすると、就職活動中というのは自分が実務家にな
ってからではなかなかお会いすることができないような各事務所の第一
線でご活躍する先生方からお話を伺うことができる数少ないチャンスだ
ったと思います。なかなか、そのような余裕はないかもしれませんが、自
分が勉強してきた中で抱えている実務に対する疑問を超一流の先生方に
ぶつけてみてください。自分の将来のためになるのはもちろん、それが事
務所への大きなアピールにもなると思います。
【本当に、貴重なお時間をありがとうございます!】
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先輩インタビュー vol.4
本日は貴重なお時間をいただき、本当にありがとうございます。後輩たち
が 2016 年の就職活動で夢を叶えるため、是非ともお話をうかがわせてくだ
さい。
(自己紹介をお願いできますでしょうか)
私は、東京の法律事務所に勤務している弁護士です(20 代、男性)
。私
が所属している事務所は、東京と大阪の人数を合わせると中~大規模事務
所に当たるかと思います。
私は、学部とロースクールはともに東京大学出身ですが、成績はあまり
芳しくなく、いわゆる四大法律事務所からは一切声がかかりませんでし
た。私は、東大出身の中では就職活動に苦労をした部類に入ると思います
ので、近い境遇の方やそれ以外の方にも参考になるお話ができればと思い
ます。
(先生が当時の就職活動を思い出されたとき、仮に「①スペック/成績」、
「②その事務所でないといけないという確かな志望理由」、「③面接者のキ
ャラクター」の 3 つに順位をつけるとしたら、どのように重要度の順位づ
けしますか。同順位があっても結構ですので教えてください。)
なかなか難しい質問ですが、私は、②、③、①の順位づけになると考え
ています。
(なるほど。先生の上記の順位付けの理由を、もし可能であればエピソー
ドやそう思った背景を踏まえて、少し詳しく教えていただけないでしょう
か。
)
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まず、
「スペック/成績」についてです。成績が良ければそれが強みにな
ることは間違いありませんが、成績が特に強みを発揮するのは、面接に呼
ばれるところまでです。成績が良ければ面接に呼ばれるのは容易ですが、
それがオファーを出す決め手にはならない場合が多いと思います。そうは
いっても、就活を始めればわかることですが、面接に呼ばれるのはとても
大変なことなので、成績が良いに越したことはありません。
次に、
「面接者のキャラクター」についてです。これは就活生の性格や
人柄という意味で理解をしたのですが、面接官も人ですから、面接者のキ
ャラクターで面接官に良い印象を与えられれば、次の面接に進める確率は
一気に上がります。私は、一次面接ではとにかく第一印象を良くすること
を心掛けていたのですが、その甲斐もあってか、一次面接から二次面接へ
進めた率は高かったように記憶しています。ただ、これもオファーを出す
決め手にはなりにくいという点で成績と同様です。
最後に、
「その事務所でないといけないという確かな志望理由」ですが、
これが最も重要です。最終的にオファーをもらうには、確かな志望理由が
必要不可欠です。そうはいっても、ES を書く段階で得られる情報には限
りがあるので、最初から志望理由が固まっている必要はありません。ES
においては、
「面接を希望する理由」が明確に書ければ十分です。そして、
面接の機会に積極的に情報収集をして、「入所を希望する理由」を固めて
いくことが重要になると思います。
ここで私の経験談をお話します。私は、説明会に参加したある事務所に
非常に魅力を感じ、面接をぜひ受けたいと思ったのですが、既に提出済み
の ES には「面接を希望する理由」がほとんど書かれておらず、一向に面
接に呼ばれる気配もありませんでした。そこで私は、改めて「面接を希望
する理由」となんとか面接の機会が欲しい旨を手紙に書いて送りました。
すると、しばらくしてメールが届き、面接の機会をもらうことができまし
た。そこで面接官の方に次のようなことを言われました。今まで 100 人以
上の就活生の面接をしてきたけれども、手紙を書いてきたのは私が初めて
で熱意を感じたし、私が志望理由として書いた事務所の魅力に共感をした
からこそ、面接をして話を聞いてみようと思ったとのことでした。このよ
うに、確かな志望理由+熱意でチャンスが広がります。ちなみに私は、も
う 1 通だけ手紙を書いたことがあるのですが、それは今の就職先の事務所
です。
このような経験談もありますが、勘違いをしないように注意をしてほし
いのは、手紙はあくまで手段であって、その内容に「確かな志望理由」を
書かなければ意味がないということです。
16
(ところで、先生は今、新司法試験が終わったばかりの後輩 20 名と朝食会
を企画しているとします。この朝食会で、卒業したての法律事務所就活生
がよくもちがちな「誤解」
「誤った考え方」を 1 点指摘できるとすれば、ど
のような示唆を与えますか。)
法律事務所の就活が一般企業の就活と異なると考えているとすれば、そ
れは誤解です。
法律事務所の就活においても、一般の就活生が業界研究や企業研究をし
ているように、法律事務所の研究をしなければなりませんし、ES を書く
にあたって自己分析もしっかりすべきです。面接で守るべきマナーも当然
ありますし、他にも名刺の渡し方やお礼メールの書き方など、一般の就活
生が当然のようにやっていることは全て常識としてやるべきことです。
卒業したての法律事務所就活生は特に、このあたりの意識が低いように
感じました。逆に言えば、この程度のことをしっかりするだけでも、他の
就活生より優位に立てると思います。
(先生は内定オファーを獲得されたわけですが、先生の同期、見知らぬラ
イバル、勿論先生自身についてでも構いませんが、法律事務所側からみて
「物見遊山」
「お客様気分できている就活生」といえるありがちな行動は何
でしょうか。私が 2015 年の就活生として、1 つか 2 つほど戒めをいただけ
るとありがたいです。)
先ほどの質問とも関連するのですが、就活生が面接官に対して、事務所
のホームページを見ればわかるような表面的な質問をするのは失礼に当
たります。また、どれくらい忙しいですかなどと言った興味本位の質問も
あまり好ましくありません。
面接官に対する質問の時間は、その事務所の志望理由を考えるために必
要な情報を収集する絶好の機会です。このような視点からの質問は、事務
所側に就活生の真剣度が伝わるという意味でも有効です。逆に、調べれば
わかる質問や興味本位の質問をしているようでは、事務所側にお客様気分
の就活生であると認定されてしまうのではないでしょうか。
17
(ありがとうございます。ところで、就職活動中、苦しかったエピソード
や心が折れそうになった(今だから言える)エピソードはございますか。
)
苦しかったエピソードで思い出すのは、一度内定オファーをもらったに
もかかわらず、その内定オファーを逃してしまったということがありまし
た。その結果、次に別の事務所の内定オファーをもらうまで、さらに 5
か月間就活を続けることになりました。就職活動を続けたことで得たもの
も多かったので、今となってはいい思い出ですが、当時は天国から地獄に
突き落とされた気分でした。
私が内定を逃してしまった原因は、内定オファーの受諾期限を守らなか
ったことにあります。私が A 事務所から内定オファーをもらったとき、1
週間で返事をしてほしいということと、もし返事が難しそうであればその
旨教えてほしいということを言われました。当時、私には他の事務所の面
接の予定もなかったので、A 事務所に決めてしまうつもりだったのです
が、ひとまず 1 週間考えることにしました。そうしている間に、先ほども
お話をした手紙を書いた B 事務所から面接の日程の連絡が来ました。私
は、どうしても B 事務所の面接を受けたかったので、B 事務所に内定オフ
ァーの受諾期限が迫っている旨を伝えて、オファーの受諾期限後に指定さ
れていた面接の日程を早めてもらいました。それでも、面接は A 事務所の
オファーの受諾期限の日と同じ日の金曜日で、仮に次の面接に進んだとし
ても受諾期限は過ぎてしまうので、面接は記念に受けるだけにして、面接
が終わってから A 事務所のオファーを受諾するつもりでいました。しか
し、B 事務所の面接の後 30 分も経たないうちに、月曜日にまた面接に来
るようにと電話が来たことで、私に欲が生じました。その時、私は、A 事
務所にオファーの受諾期限を延ばしてもらえるようにお願いをした上で、
B 事務所の次の面接も受けようと思いました。既に 18 時も過ぎていたの
で、私は、直ちに A 事務所に電話をし、事情を説明してもう少し待っても
らえないかとお願いしたところ、電話口でのやり取りでは、待ってもらえ
ることになったと私は感じました。後から思えば、その時に明確な約束を
しなかったことが私の失敗でした。
冷静に考えれば、オファーをもらえるかもわからない B 事務所に執着す
るよりは、既にもらっている A 事務所のオファーを受諾すべきだとわかっ
ていました。ただ、急にいろいろなことが起きたために、落ち着いて判断
することができなくなっていたので、私はすぐに友人に相談をすることに
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しました。電話で友人に相談をした結果、私は、A 事務所のオファーを受
諾することを決意し、21 時を過ぎていましたが再び A 事務所に電話をし
ました。しかし、時すでに遅しで、私が期限になっても結論を出せないよ
うだということで、別の就活生にオファーを出してしまったとのことでし
た。私は、事態の深刻さをあまり理解しておらず、なんとなく大丈夫だろ
うと思っていました。月曜の B 事務所の面接のときにも、A 事務所に心が
傾いていたことが面接官にも伝わり、その後、B 事務所の面接に呼ばれる
ことはありませんでした。そして、A 事務所がオファーを出した別の就活
生がオファーを受諾したため、私のオファーはなかったことになり、完全
に振り出しに戻ってしまいました。
とてもレアなケースなのであまり参考にはならないかもしれませんが、
私の苦しかったエピソードは断トツでこれです。
(面接ではどのような点をこころがけていたのですか。私が明日面接とい
う先生の携帯電話へ電話をかけてきた後輩とします。アドバイスをいただ
けないでしょうか。
)
事務所のホームページを熟読すること、自分の ES を確認すること、面
接官に対する質問を用意することなどの事前の準備は当然のこととして、
私が特にアドバイスをしたいことは、自分の一挙手一投足に気を配ること
です。
面接で何を話すかは言うまでもなく重要ですが、それをどのような話し
方や態度で話すかで、面接官への伝わり方は大きく左右されると思いま
す。気を付けるべきことを挙げるときりがありませんが、たとえば、目を
見て話す、はきはき話す、姿勢を正す、集団面接であれば他の就活生が話
しているときに気を抜かないなど、ちょっとした工夫が重要です。うまく
言うのは難しいのですが、表情からもやる気を伝えることが可能だと思う
ので、面接の前にトイレの鏡で自分の顔を良く見て、やる気のある表情を
作ってから面接に臨むのもよいと思います。そして、これらは働き始めて
依頼者と接するようになってからも重要になることなので、今のうちから
気を付けておくに越したことはないでしょう。
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(先生は、時計の針を戻して、もう一度内定先の事務所の面接を受けられ
るとしても、再度内定を得る自信があると思います。そのときその自信を
支える、何か事務所の「ツボ」があれば後輩に教えていただけないでしょ
うか。
)
内定先の事務所に限った「ツボ」ではありませんが、その事務所に入り
たいという熱意を粘り強く伝え続けたことがよかったのではないかと思
います。内定先の事務所では、人数がかなり絞られてからも何度も面接が
あり、これが最終面接なのではないかと思うような面接が何度もありまし
た。私は、その度ごとに、どうしてもその事務所に入りたいということを
面接の場でもお礼メールでも伝え続けました。これが最終面接かと思って
もまた次の面接がというのを繰り返していたので、途中で心が折れそうに
なりましたが、諦めずに熱意を続けたのが届いたのではないかと思いま
す。
(先生は内定オファーが出た後、
「迷い」を持たれましたか。最終的にその
事務所と決断した理由を教えてください。例えば任官・任検・そのほか他
の法律事務所でもそれ以外の私的な事項でも構いません。)
私は、今の内定先については、全く迷うことなくオファーを受諾しまし
た。サマークラークを経験していて事務所内の雰囲気をある程度わかって
いたことや、何度も面接を重ねて多くの先生方ともお話をしていたことか
ら、この事務所の先生方の下なら安心して働くことができるだろうと思っ
たからです。また、何度もこの事務所に入りたいという思いを伝え続けた
結果、内定オファーをもらった時には、自分の中でもこの事務所以外には
考えられなくなっており、決断するのに迷いはなくなっていました。
(先生長いインタビューを本当にありがとうございます。最後に、先生の
この記事は 2015 年の就職活動先生で夢を燃やす若い後輩の皆様へ届けら
れます。何か自由にコメントやメッセージをいただけますと幸いです。)
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就職活動は、自分を見つめ直すいい機会です。私が A 事務所の内定を逃
したお話をしましたが、私は、そこで就職活動が終わらなくて本当に良か
ったと思っています。自分がなぜ法曹を目指したのか、自分は将来どうい
う法曹になりたいのか、面接で自分の思いを言葉にしたり、他の就活生や
多くの先輩弁護士の先生のお話を聞いたりしていく中で、自分の考えがど
んどん磨かれていきました。私は、ES に書く内容がほとんど同じであっ
ても全て一から書くようにしていたのですが、これを繰り返したことも、
自分の考えをまとめていくのに役に立ったと思います。
内定が出るまでは、就職活動はとても辛いものと思いますが、その経験
は将来に必ず生きるので、ぜひ頑張ってください!
【本当に、貴重なお時間をありがとうございます!】
(以上)
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