第14-1号診療記録不開示苦情調査報告書

第14-1号診療記録不開示苦情調査報告書(公表用) 2015年4月12日採択
特定非営利活動法人
患者の権利オンブズマン
理事長 久保井 摂
1.申立事項
申立者 患者本人 女性 年齢74歳
医療機関の名称・代表者・住所 公表しない 開示請求年月日 2014年12月18日 開示されなかった診療記録 診療記録 2.調査経過
調査日 2015年3月31日
医療機関側当事者 担当医(副院長)および事務員
3. 医療機関側の主張する不開示理由
長崎県歯科医師会から、カルテ等の開示は開示請求の内容を患者本人と医師が面談して確
認した後になすべきと指導されているところ、面談未了であるため開示できない。
4.不開示理由に関する判断
相手方医院は、カルテ開示につき、患者本人との面談未了であるため応じられないとして
いる。しかし、法令上も厚生労働省の定める「診療情報の提供等に関する指針」上も、患者
からの請求があれば医療機関は保有個人情報の開示に応じなければならないとされており、
例外的に開示を拒むことができる場合を規定しているが、相手方医院が主張する上記事情は、
カルテ開示を拒むことができる場合にあたらない。よって違法、不当に不開示を行ったと認
められる。
5.勧告 特定非営利活動法人患者の権利オンブズマンは、診療記録不開示に関する申立人の調査申立
に基づき、専門的かつ客観的立場から調査を実施した結果、相手方医院における本件診療記
録不開示には、特段の正当事由がなく、不当な不開示に相当すると判断した。 相手方医院におかれては、申立人に対し、速やかに請求された診療記録を開示するよう勧
告する。 もし2週間経過しても開示がなされない場合は、
「違法・不当に診療記録不開示を行なっ
ている医療機関」として、相手方医院の名称、代表者氏名、所在地を記者発表等により公表
するものとする。
また、この開示勧告を行ったことについては、同時に下記機関に連絡するので、念のため
付記する。
<通報先>
厚生労働省、長崎県知事、日本歯科医師会、長崎県歯科医師会
以上
〈その後の経過〉
2015年4月24日、申立人より相手方医院から診療記録が開示されたとの連絡があった。