江 99月 今⽉月の江戸しぐさ「お天道さま」 ⽇日本⼈人は、お天道(てんと)様、お⽉月様と呼ぶように、⾃自然物を畏怖 と敬愛の念をもって受け⽌止める感性をもつ民族でした。 「お天道さま」は古来からあった神道の天照⼤大神太陽信仰と、仏教の⼤大 ⽇日如来が習合したもので、すべてを⾒見通す超⾃自然の存在と認識されました。 これと、江戸時代さかんであった陽明学(儒教の⼀一派)の⾃自分を律する考え ⽅方が加わり、「お天道さまがお⾒見通しだよ」の観念が強化されました。 現代より、はるかに⾼高い道徳観念に⽀支配されていた江戸時代では、世間 に顔向けできないことをすることを「お天道さまが⾒見ている」として⾃自分 を律する観念が強くありました。 その中で、現代⼈人にほぼ忘れ去られていることに「卑怯」を忌み嫌う観 念があります。 現代は、”⽴立場の強いものが弱いものを””集団が個 ⼈人を些細なことでいじめる””それを⾒見て⾒見ぬふりをする”という卑怯があ たりまえの世の中になってしまいました。 病院はモラルが⼤大切な職場です。モラルが低いと患者さんの⽣生命がおび やかされるからです。 いじめはモラルが低下する⼤大きな誘因となります。 当院はいじめのない、それを忌み嫌う職場でなければなりません。 (⼈人をいじめる⼈人”意地悪をする⼈人”はお天道さまが⾒見ていて、それなりの⼈人⽣生し か与えていないことをその⼈人は知りません。) ※江戸思草は、江戸時代の町民が良いとされるこ と、悪いとされることなどの生活の規範としてい たものです。 判断の基準は粋かどうかだったようです。 粋の概念は武士の武士道に対抗するものだったとい う説があります。 他の国にない、一般庶民の高度 な精神性が、当時日本に来た外国人に驚きをあた えていたことが多数記録されています。 ヘレン・ハイド Helen Hyde(1868∼1919) 日本を愛したアメリカ人版画家。 江戸の風情が強く残っていた明治期に10年 以上滞在し、女性の視点から愛らしい子供 大根と幼児 の作品をたくさん残してくれました。 当時の外国の観察者の多くが、西洋諸国 と子供の様子や子育ての考え方が根本的に 異なっていることに驚いていました。
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