第3章 主要課題の抽出整理(PDF:619.1KB)

第3章
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主要課題の抽出整理
第1節
課題抽出の視点
本町では、平成 11 年3月に「熊取町住宅マスタープラン」を策定し、「ゆとりとうるお
いのある、低層戸建て住宅地が広がる田園都市形成」を基本目標とし、共生をキーワード
とした施策の推進を図ってきました。
その後、平成 18 年に住宅政策の新たな法律として、住生活基本法が施行され、これまで
の「住宅の量の確保」から「住生活の質の向上」へ施策転換が図られました。このような
社会的変化や住民意向を踏まえ、第3次総合計画の将来像“みんなが主役「やすらぎと健
康文化のまち」
”の実現に向け、以下の視点を重視しつつ、住宅・住環境及び住生活におけ
る課題を抽出します。
視点1・・・本町の住宅政策の基本方針の認識
本町は、これまで大都市への近接性や交通利便の高さから、大都市近郊住宅として発
展を続け、人口も増加してきました。しかしながら、近年、人口増加率は鈍化傾向にあ
り、さらには本町における少子高齢化は着実に進行しており、今後この傾向が加速する
ことが予測されることから、住宅需要の増加が見込めない状況です。
また、都市計画における用途地域は市街化区域の8割以上を住宅系の用途に、その内
約4割を第一種低層住居専用地域に指定し、
「低層戸建て住宅」による住まい・まちづく
りを基本としてきました。
住民アンケート調査からも「これからも住み続けたい」が全体の約7割を占め、これ
まで行ってきた住まい・まちづくり施策の方向性が正しいことが示されており、今後も、
「良好な低層戸建て住宅」による住まい・まちづくりを推進する視点を重視します。
視点2・・・定住促進への対応
少子高齢化が一層進行することが予測される状況のなか、まちの活力を維持し、周辺
他都市との都市間競争において優位性を保つためには、よりよい住環境整備を行い、豊
かな自然環境と一定の都市機能を併せ持つ住宅都市として、良好な居住空間を創出し、
若者を中心とした更なる定住を促進する視点を重視します。
視点3・・・協働への対応
住まい・まちづくりについて、これまでの行政主導による取り組みだけでは、住民ニ
ーズの多様化により適切に対応しがたい状況になりつつあります。住民の地域社会への
貢献意識や住宅・まちづくりへの参画意識が高まり、地域における住民活動が活発化す
る中で、住民と行政が良好なパートナーシップのもと、より緊密に連携した住まい・ま
ちづくりを推進する視点を重視します。
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視点4・・・環境共生への対応
社会経済活動の進展により、地球温暖化をはじめ地球規模での環境問題が深刻化して
きています。そのため、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会から脱却し、持
続可能な循環型社会の構築に向け、資源やエネルギーの有効活用やリサイクル活動、環
境負荷の少ない住まい・まちづくりを推進する視点を重視します。
視点5・・・都市計画マスタープランとの連携
本町の住宅政策を推進するに際しては、住宅・住環境を支える都市基盤施設(道路・
公園・下水道など)の整備が必要不可欠であります。これらについては、都市基盤づく
りの方向を定めることを目的とする都市計画マスタープランとの連携を重視します。
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第2節
課題1
課題の抽出
心地よい住まい・まちづくりに対する課題
(1)『やすらぎと健康文化のまち』にふさわしい住宅供給
本町の住宅戸数は世帯総数に対して 1.02 戸と住宅の「量」は充足していますが、近年の
ライフスタイルの変化や住宅ニーズの多様化など、住宅の「質」への対応が求められてい
ます。豊かな自然環境と一定の都市機能を併せ持つ住宅など、良好な居住空間を創出する
本町の個性に対応した住宅供給が必要です。
一方、本格的な人口減少社会の到来に伴い、今後、空き家や空き地の増加による土地利
用効率の低下や地域コミュニティ力の低下等の問題に対応することが必要です。
(2)良好な戸建て住宅地の環境保全
本町の第一種低層住居専用地域に代表される大規模な宅地開発による戸建て住宅地では、
道路や公園・緑地が一定の水準で整備され、一戸あたりの敷地規模も大きく、良好な住宅・
住環境が形成されています。
このような地区では、今後とも良好な住環境を維持するため、敷地の細分化や用途混在
の防止につとめることや地区計画を利用した計画的なまちづくりを行うことが必要です。
(3)旧市街地及び一般市街地の住環境の改善・整備
本町の旧市街地においては、住宅の敷地は広いにも関わらず、狭あいな生活道路も見ら
れ、災害発生時の緊急活動や建築物の適切な更新を阻害する要因となっています。このた
め、生活道路における各々の沿道条件を勘案し、幹線道路と連携を図りながら、地域の特
性を活かせるよう地域の意向を踏まえ、既存道路の整備を計画的に進めることが必要です。
また、旧市街地の家屋は伝統様式の家屋が多く、こうした特性を活かした街並みの保全
についても留意し、また地場産業施設などが点在する旧市街地及びその周辺の住工混在地
区については、産業構造の変化などに伴う無秩序な開発の進行を抑制し、住宅と地場産業
などの工業系施設が調和したまちづくりが必要です。
さらに、一般市街地においても、建物用途・建物形態の混在がみられるため、地区の特
性を踏まえたきめ細かな住宅地整備のあり方を検討していくことが必要です。
(4)市街化区域内農地の計画的な整備誘導
本町の市街化区域内農地には、0.5ha を越える一団の農地が 65.8ha 残っており、一部で
は虫食い状に小規模な宅地開発が進行するなど、スプロール的な市街地の拡大が進行して
います。このため、面的整備事業の活用などにより計画的に市街地整備を誘導することが
必要です。
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(5)地球環境問題への取り組み
近年、地球温暖化の一因といわれている二酸化炭素排出量を減らしていくことが求めら
れており、住宅や一般家庭においても、その取り組みが必要となっています。地球温暖化
への対応としては、建物の省エネルギー性能の向上、クリーンエネルギーの活用及び建物
の長寿命化等があり、地球環境に負荷をかけない住まい・まちづくりを心がけていくこと
が必要です。
課題2
安全・安心な住まい・まちづくりに対する課題
(1)安全な住宅の推進
住生活の基本の一つとして、住民が安全に暮らすことのできる住宅・住環境を確保する
ことが重要です。また、東南海・南海地震の発生が指摘される中、耐震診断や耐震改修な
どのリフォームによる住まいの安全性の向上も必要です。
このため、建物の耐震診断・耐震改修、建物の不燃化、災害発生時の救助活動が円滑に
出来るような空間の確保などについて、住宅政策として総合的に取り組むことが必要です。
(2)安心して住むことのできる環境整備
住み慣れた住宅でライフスタイルやライフステージに合わせた住宅に住み続けるために
は、建物の適切な維持管理とともに、リフォームによる住まいの機能・性能の向上が必要
です。
また、様々な居住ニーズに応じた適切なリフォームについて、相談や依頼を安心して行
うことができる環境整備も必要です。
(3)子どものいる世帯への対応
本町の 15 歳未満の人口比率は平成2年で 21.2%でしたが、平成 25 年には 14.6%と少子
化が進行しています。また、本町の人口は微増傾向にあるものの、本格的な人口減少社会
が到来している今、活力ある地域を維持するためには、子どものいる世帯の来往、定住を
促す必要があり、安心して子どもを生み育てられる住まい・まちづくりが必要です。
(4)高齢者世帯への対応
本町の高齢化率は、平成2年で 7.9%でしたが、平成 25 年には 23.6%と上昇しており、
高齢者の単身世帯や夫婦世帯といった高齢者のみの世帯が増加しています。また、団塊の
世代が多いことから、今後はさらに高齢化が加速していくと見込まれる中、高齢者が住み
慣れた地域で安心して住み続けられるための住まい・まちづくりが必要です。
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課題3
協働のまちづくりに対する課題
(1)コミュニティづくりの推進
地域特性を生かした独自の住まい・まちづくりを
住民とともに進めていくためには、自治会やボラン
ティア団体等の住民のコミュニティ組織の中から多
様なサービスの担い手を育成し、それぞれが役割を
担うことによって、その地域の活性化を図っていく
必要があります。このため、すべての住民が互いの
人権を尊重しあい、互いに助けあいながら生活でき
るコミュニティづくりを推進することが必要です。
(2)情報提供への取り組み
国、大阪府及び本町で実施している住宅施策について、施策や支援を必要としている住
民に対して的確に情報が伝わるように情報提供をすることが必要です。
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