出場レポート

第23回全国障がい者ボウリング大会が開催されました
~
三重県選手躍進の手応え ~
2月14日と15日の2日間、
『第23回全国障がい者ボウリング大会』が博多スターレーンで開催さ
れました。東海地区からは三重4名・静岡2名・岐阜1名が出場し、個人戦や団体戦で奮闘を見せてくれ
ました。三重の選手2名は、メダルを窺うポジションにつきました。
開会式における三重・東海の選手たち(中央付近2~3列目)
おなじみの選手の皆さん(向かって左側:香川県、右側:山口県、お揃いのユニフォームが鮮やかですね!)
私たちも大会用ユニフォームを作らねば!!
クラス分け制度の変更
今回から制度が変わり、競技クラス数が削減されました。個人戦では2クラスが、これに連動して団体
戦でも2クラスが削減されました。
個人戦のクラス分け制度変更では、旧A・Bクラスを統合して新Aクラスとし、旧D・Eクラスを統合
して新Cクラスに移行させ、以て2クラスが削減されました。
これに合わせて、旧Cクラスは新Bクラスへ、
また旧Gクラスと旧Kクラスは、それぞれ新Eク
ラスと新Gクラスへ呼び方が変わりました。
(F・H・Iクラスは変更なし)
旧A・Bクラスは、障害の種別が異なっていた
(旧A:聴覚・内部、旧B:肢体)のですが、競
技レベルが似通っている事から統合されたと思わ
れます。旧D・Eクラスは、いずれも肢体に障害
がある方々で構成され、障害等級により区分され
ていましたが、これも競技レベルが近接している
事から統合されたのでしょう。
新Aクラスでは、異なった障害を持つ選手たち
(肢体・聴覚・内部)が同じ土俵で腕を競い合う
事ができる場となった点が画期的です。
開催者側は、障害の種別・区分・等級など
・区分・等級などに拠るよりは、参加選手たちの競技レベルに応じてクラス分
拠るよりは、参加選手たちの競技レベルに応じてクラス分
けをする方向へ、徐々に舵を切って
っていかれるものとみています。
今回は、知的障害のある選手たち
のある選手たちのためのH・Iクラスと、シューター使用のFクラス
と、シューター使用のFクラスが、名称も変わ
ることなく従来通り残りました。今後は
ました。今後は、他の障害がある選手たちと同じ土俵で競
競い合う時が来るのかも
しれません。また、その是非について
ついて検討や議論が生じることでしょう。
しかしながら、異なった障害種別の選手たちが同じ舞台で競い合い、チームワークを組むのは
異なった障害種別の選手たちが同じ舞台で競い合い、チームワークを組むのはオープン
異なった障害種別の選手たちが同じ舞台で競い合い、チームワークを組むのは
クラスや団体戦において既に実現し
実現しているのです。今後の進展に注目しましょう。
。
『東海2015』チームと『横浜ラポール・
ラポール・BLINK・La』チーム
『チーム東海』チームと『横浜ラポール・
ラポール・BLINK・A』チーム
団体戦で、『東海』2チーム
チームは『横浜ラポール・BLINK』チームと同ボックスになりました
チームと同ボックスになりました
皆さん、いろいろな大会
、いろいろな大会や行事で、顔なじみに
なっていますよね。
3チームとも、団体戦Bクラスにエントリーして
いました。
『はまかぜ』チームと『香川県 手をつなぐ育成会
手をつなぐ育成会』チーム
『はまかぜ』チームは、三重県と山口県の
、三重県と山口県の選手たちによる異例の
ジョイントで構成されました。瀬戸内
瀬戸内と伊勢湾の違いがありますが
住まいの近くに浜があることから名付けられました。
名付けられました。
三重県・東海チーム参加選手の競技結果
の競技結果
<
個人戦
Iクラス男子
中谷 優太
近藤 竣介
釜森 啓彰
加藤 桂蔵
原 健一郎
<
個人戦
松村
選手(三重県)
三重県)
選手(静岡県)
選手(三重県)
三重県)
選手(岐阜
岐阜県)
選手(三重県)
三重県)
Iクラス女子
明純
>
(予選:17位/52人
(予選:11位/52人
(予選:21位/52人
(予選:23位/52人
(予選:29位/52人
、決勝
決勝 5 位/20人)
、決勝17位/20人)
、決勝17位/20人
、予選落ち
予選落ち)
、予選落ち)
、予選落ち
、予選落ち
予選落ち)
>
選手(三重県)
三重県)
(予選: 3 位/24人 、決勝
決勝 6 位/12人)
<
個人戦
小澤
<
<
直記
個人戦
藤井
Hクラス男子
団体戦
選手 (静岡県)
Bクラス
悟朗
>
>
選手(岡山県)
Bクラス
(予選: 8 位/24人 、決勝 5 位/15人)
(予選: 7 位/14人 、決勝 6 位/ 8 人)
>
『 東海2015 』チーム ( 8 位/25団体)
『 チーム東海 』チーム
(10位/25団体)
『 はまかぜ 』チーム
(13位/25団体)
グッジョブ!!
原・藤井・小澤
近藤・加藤・釜森
松村・中村・岡田
中谷選手
決勝で12人抜きは見事です
前回は予選落ちしてしまった中谷 優太 選手と松村 明純 選手。今大会では大いに雪辱を果たすことが
できました。惜しくもメダルは逃しましたが、ハイレベルなこの大会で5位と6位につけた事は本当に素
晴らしいです。おめでとうございます。
中谷 優太 選手は、大会直前の練習会の様子からも、決勝戦に進めば三重選手の中で最も表彰台に近い
と目されていました。遅くなってきたレーンが得意で、中外ラインで繰り出す絶妙なフックによりボール
が吸い込まれるようにポケットに入っていきます。連続ストライクが出せる事が強みです。
松村 明純 選手は、普段からコントロールの良さが強みですが、ここぞという時に緊張しすぎてペース
を崩すメンタル的な弱さがありました。お父さんの指導により、集中する練習に励んできました。
それが実を結んだのか、1月18日の静岡での交歓練習会の頃よりスコアが高いレベルで安定を見せ始め
ていました。今回これを全開にする事ができました。
前回は決勝進出できましたが、一転して今大会では予選落ちとなった原 健一郎 選手と釜森 啓彰 選手。
残念な結果となりました。
釜森 啓彰 選手も安定したコントロールの良さが強みですが、前回に続きレーンを読むのが遅い傾向が
あるのが弱点です。でも、予選の第2ゲームで読んだ後は良好なスコアを出せていました。最下位で決勝
進出できた他県選手と同ピンであったのに、LoHi 差で順位がひとつ下がり予選落ちとなってしまったのは
本当に残念でした。球威が増してきましたので、今後も磨きをかけて下さい。
普段より安定した強さがある原 健一郎 選手。今大会では全く生彩を欠いていました。前日練習や予選
の第1ゲームまでは盤石のコントロールを発揮できていました。第2ゲームの途中から突然コントロール
が乱れました。後でわかったのですが親指に傷を負っていました。変なボールの握り方を覚えてしまって
いたようです。原点に立ち返り、あらためて正しい握り方を身につけて下さい。
団体戦では、三重の男子選手はふるわず、県外のチームメイトに助けられました。
『東海2015』では藤井 悟朗選手(岡山県)が200アップを2回出して火消しをしてくれました。
『チーム東海』では加藤 桂蔵選手(岐阜県)が手堅いスコアを揃え、カバーをしてくれました。
三重選手の中で、唯一チームをリードできたのは松村 明純 選手でした。『はまかぜ』で、アベレージ
170を出してチームの順位アップに貢献できました。
藤井悟朗選手(左)と加藤桂蔵選手
松村明純選手
ずっと集中が保てましたね
クラス分け制度変更と当事者の思い
今回の制度変更によって、団体戦『東海2015』チームに加勢してくれた藤井悟朗選手(岡山県)が
少なからず影響を受けました。これまで毎回、個人戦Bクラスに参加してきましたが、制度変更に従えば
新Aクラスに参加する事になっていました。しかし、障害の実態が新Bクラス(旧Cクラス)に相当する
ものであったので、開催者側に詳しく説明申告したうえで、新Bクラスへのエントリーを認められました。
大会当日になって、新Bクラスの参加人数が旧Bクラスよりも大幅に少なく、男女混合にもなっている
事を知り、驚いてしまったのです。
旧Bクラスに参加し、競い合っていた仲間たちのほとんどが新Aクラスやオープンクラスに移ってしま
っていたのです。一方、新Aクラス男子の参加者数は、旧Aクラス男子と比べて3倍ほどに増え、非常に
厳しい競い合いとなっていました。また、従来は旧Cクラスに参加していた選手の皆さんが新Bクラスへ
移ってこられているのですが、この方々の競技レベルも相当に高いのです。競技を見ていて、旧Bクラス
の水準と変わらないように思えました。実際、藤井選手の予選や決勝における順位も、例年に比べて大し
た違いはありませんでした。
あくまでも結果論ですが、旧Bクラスの統廃合については、クラス分け基準をさらに慎重に検討して、
新Aクラスや新Bクラスへ分散して移行できるようにした方が良かったのではないかと思います。
別の表現をすれば、旧Bクラスの選手の中には、新Aクラスよりも新Bクラスの方が相応しい方々が何人
もおられたのではないかということです。この方々へのさらなる配慮があれば、新Bクラスの参加人数は
もっと多かったのかもしれません。
もともと難しいとされるクラス分け制度の変更ですから、しばらくは試行錯誤があることでしょう。
開催者のご苦労を考えますと、本当に頭の下がる思いがします。参加選手や関係者たちにも、発想の転換
が求められているのかもしれません。
クラス数が減った事による恩恵
個人戦のクラスが2つ削減された恩恵として、個人戦決勝に進める選手枠が拡大された事があります。
前大会の個人戦決勝進出者は、全クラス合計で132人でした。今大会では13人増えて145人となり
ました。知的障害者のためのクラス(I・H)では、実に11人分の枠が拡大されました。これは私ども
のように知的障害のある選手たちを対象として活動している団体にとって、ありがたいことです。
同様に、団体戦のクラスも2つ削減された恩恵として、団体戦参加チーム数が拡大された事があります。
前大会の団体戦参加団体は、全クラス合計で55チームでした。今大会では3団体増えて、58チームと
なりました。これによって、これまでチーム数の絞り込みを余儀なくされてきた、県市のいくつかが救わ
れていました。
クラス数削減や男女統一により、個人戦での2人打ちや3人打ちのボックスを減らすように調整が
なされ、同時使用レーンをいくつか詰めようと腐心された結果であると見ています。ただレーン数を
詰めるだけでなく、ゆとりを持たせようとする動きもありました。オープンクラスでは、昨年に比べ
5人打ちボックスが少なくなる工夫がなされていました。
その分のゆとりを持たせる事ができるようになったのは、個人戦全体のエントリー数が9人減って
いる事も起因しているのかもしれません。だとすれば、出場申込みをしたのに許可を得られなかった
方々が普段より増えていたかもしれず、何か申し訳ない思いもします。
でも開催者の皆さんが、参加選手により適切な競技環境を提供するために、スタッフのマンパワー
やレーンなどの物理的資源を無理無駄なく効率的に使っていく配慮をされていたものと察しており
ます。
開会式でアプローチに上がる選手は、全参加者の一部に過ぎません。実際はもっと大勢いらっしゃいます。
今大会では、わが三重県選手たちが躍進する勢いに手応えを感じました。同時に、勝負の世界の厳しさ
もあらためて見せつけられました。前大会でのIクラス男子のメダリスト3名全員が、今大会で予選落ち
という憂き目に遭ってしまったのです。
またクラス分け制度の変更からは、障害種別や投球の枠にとらわれず、プレーヤーの競技能力に応じた
クラス分けの仕方もあるのだという提案がなされたと解釈しています。
学ぶことの多い、有意義な大会でした。
平成27年2月20日
三重県知的障がい者ボウリング協会