沖縄周辺域のサンゴとサンゴ礁の最近の変動と気候要因

気候変動に関する政府間パネル(IPCC) 公開シンポジウム 「地球温暖化問
題について考えよう!最新の科学と温室効果ガス排出量監視の取りくみ」
日時: 平成 27 年 3 月 16 日(月) 13:00-17:00
会場: ANA クラウンプラザホテル沖縄ハーバービュー
沖縄周辺域のサンゴとサンゴ礁の最近の変動と気候要因
井口 亮
沖縄工業高等専門学校 生物資源工学科
Photo by M. Jinza
日本の造礁サンゴ類
Photo by M. Jinza
サンゴと褐虫藻の共生
褐虫藻→ホスト
光合成産物を提供
石灰化の促進
ホスト→褐虫藻
栄養塩の提供
安全圏の提供
北限の日本のサンゴ群集
日本周辺は北限
赤色がサンゴ礁
環境の変化に伴うサンゴの減少
グローバルな環境変化
地球温暖化
海洋酸性化
洪水の増加に伴う低塩分暴露
ローカルな環境変化
富栄養化
堆積物
河川や地下水による低塩分暴露
海洋酸性化
Hoegh-Guldberg et al. 2007
酸性化海水の影響:サンゴを対象とした飼育実験
pH 8.0 (Control)
pH 7.4
Fine & Tchernov 2007
AICALプロジェクトの特色
・充実した臨海実験施設と栽培漁業技術の活用
・精密pCO2制御装置(AICAL装置)
精密pCO2制御装置(AICAL装置)
・変動の少ないpCO2制御能力(±数十ppm以下)
・日周変動の再現も可能
300ppm 400ppm 600ppm〜1000ppm
過去
現在
未来(100年後〜)
AICAL装置によるサンゴ飼育実験の結果
石灰化率(%)
20
5
ハマサンゴ
石灰化率(%)
10
ニオウミドリイシ
過去
0
現在
未来
過去
現在
未来
Iguchi et al. 2014 MPB
> サンゴの石灰化の低下は既に始まっている
サンゴの一斉産卵
サンゴの一斉産卵期を活用した環境影響評価実験
プラヌラ幼生
受精
サンゴの生活史
放精・放卵
褐虫藻
変態・
着底
ポリプ骨格
褐虫藻無感
染ポリプ
褐虫藻感染
ポリプ
共生藻
獲得
成体サンゴ
褐虫藻を分離した実験系
の確立
短期間で石灰化が引き起こ
される
pH8.0
pH7.6
Morita et al. in press
Morita et al. (2010) Zygote
> サンゴの静止鞭毛運動は酸性化海水中で低下する
現在
aical‐sesoko.jp
未来
aical‐sesoko.jp
海水中のpCO2の増加は幼サンゴの成
長を抑制する(A. digitifera)
海水中のpCO2の増加はサンゴ幼生の
生残率に影響しない
(A. digitifera & A. tenuis)
海水中のpCO2の増加は幼サンゴの褐
虫藻の取り込みを抑制する
(A. digitifera)
Suwa et al. 2010 Fish. Sci.
> サンゴの稚ポリプの石灰化も酸性化海水で低下する
高温ストレスと酸性化海水を用いた複合影響評価
受精率(%)
通常海水
通常pCO2
通常海水
高pCO2
高温海水
通常pCO2
高温海水
高pCO2
NC
> サンゴの受精は高温海水に対してより鋭敏
Iguchi et al. 2014 Zygote
栄養塩負荷がサンゴ稚ポリプに及ぼす影響
300m
Tanaka et al. 2014 MPB
>サンゴの稚ポリプは栄養塩負荷によって
藻類の侵食を受けやすくなる
環境変化応答に見られる種内での変異
死亡
生存
コユビミドリイシ2群体(枝片3本ずつ)を1年間共通環境で飼育した結果
Iguchi et al. in prep
ハマサンゴ5群体を6年間共通
環境したで飼育した結果(開
始時は2cm x 2cmのサンゴ
片)
Hayashi et al. 2013 EPSL