食品微生物学 (Food Microbiology) 担当教員名 科目区分 中山 昭彦 専門 選択 対象学年 3 開講期 前期 単位数 2 オフィスアワー メールアドレス 授業概要 木曜日5時限 海洋生物資源学部棟 206 号室 前日までにメールで連絡して下さい。 [email protected] 加圧加熱食品の開発を例に食品微生物制御の概要を把握する。新食品開発の背景、微 生物学的問題解決の戦略、細菌胞子の耐熱性と耐UV性、食品添加物による制御、生 菌数測定の問題点、変敗原因菌の同定(遺伝子系統解析) 、などについて学習する。 授業目標 食品工業で最もよく使われる加圧加熱殺菌の基礎、細菌胞子の加熱による対数的減少 と殺菌条件設定との関連を理解することにより、食品中の微生物制御の基本的考え方 を習得する。授業は実際の研究報文のデータ(実験方法含む)に基づき論述し、より 具体的にこの分野の基礎から応用までの知識と技術的考え方を習得させる。 JABEE 学習・教育目標との対応:B-3(◎) ,B-2(○) 授業計画・内容 第1回 容器包装詰加圧加熱食品の加温販売の背景と経緯、好熱細菌による変敗例と缶詰の歴史ついて学 習する。 第2回 市販嗜好飲料缶詰の恒温貯蔵試験報告書を通じて、通性嫌気性好熱細菌と偏性嫌気性好熱細菌の 相違、変敗原因細菌の確定方法について学習する。 第3回 嫌気培養法の原理、細菌胞子の耐熱性(D値)の測定方法とその意味、変敗原因菌の同定につい て学習する。D値については実際に各自グラフ用紙にプロットし算出する。 第4回 変敗原因菌の特徴である硫化水素産生の試験の方法とその意味について理解する。 第5回 変敗クレーム品に関する報告書を通じて、変敗原因菌の由来源の推定を試みる。 第6回 変敗原因菌胞子の耐UV性の測定方法とその意味を理解する。 第7回 変敗原因菌胞子の耐熱性と耐UV性の比較を行い、当該胞子のUV殺菌の可能性を検討する。 第8回 具体的実験データから、各自生残菌数(対数値)をグラフ用紙にプロットして変敗原因菌胞子の もう一つの耐熱性の指標(z値)の意味とD値との関係を理解する。 第9回 殺菌値(F0 値)意味とD値との関係について学習する。また、容器包装詰加圧加熱殺菌食品の規 格基準(食品衛生関係法規集)と殺菌値との関係を理解する。 第 10 回 偏性嫌気性細菌の生菌数測定方法である最確数法(MPN)の具体的実験方法と算出方法を学習 する。 第 11 回 変敗原因菌のUV照射が耐熱性におよぼす影響の実験方法とその意味を学習する。 第 12 回 当該変敗(AOフラットサワー変敗)の具体的対策、砂糖液のUV殺菌の実際について学習する。 第 13 回 もう一つの具体的変敗対策、ショ糖脂肪酸エステルの添加について学習する。 第 14 回 当該変敗原因菌の分類同定、従来方法と 16S rRNA 遺伝子の塩基配列に基づく系統樹、について 学習する。 第 15 回 試験 キーワード 微生物制御、容器包装詰加圧加熱食品、嗜好飲料缶詰、殺菌値(F0 値)、D値、z値 教科書 特に指定しない。講義には、サブノート(プリント冊子)を配付する。 参考書 改訂新版新・食品殺菌工学(芝崎勲著、光琳、1998 年)、缶詰食品-その微生物学入 門-(Herson & Hulland 著、高野彰一監修、田中光幸訳、建帛社、1974 年) 授業中のグラフ作成、小テスト、および課題細菌性食中毒等に関するレポートを 100 点満点で、期末試験を 100 点満点で採点する。前者を5割、後者を5割で成績を算出 する。食品の微生物制御の主要な概念、細菌胞子生残曲線、D値、z値、食品の殺菌 値(F0値)、商業的無菌性、および食品衛生関係法規集の 120℃4 分の加熱殺菌条件の 意味等の理解度をD値・F値のグラフ作成、殺菌値算出、期末試験等により評価する。 食品保全学、食品化学、食品工学、食品栄養学 食品保全学、食品化学、食品工学、食品栄養学をすでに履修しているか、並行して履 修することが望ましい。 ・サブノート(プリント冊子)にそって、主にパワーポイントを使って講義を進める。 ・隔週、木曜日、3時限と4時限に、2コマずつ講義を行う。 評価方法 ・評価基準 関連科目 履修要件 その他
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