06P094_吉田 央子

平成 23 年度新潟薬科大学薬学部卒業研究Ⅱ
論文題目
合成硫酸化ペプチドを用いた抗硫酸化モノクローナル
抗体の作成
Preparation of anti-sulfotyrosine monoclonal antibody using
synthetic tyrosin-sulfated peptide as an antigen
薬品製造研究室 6 年
06P094 吉田 央子
(指導教員:北川 幸己)
要 旨
炎症時における白血球のローリングや、HIV の宿主細胞への侵入には、タンパ
ク質中の硫酸化チロシン [Tyr(SO₃H)]が関与していることが知られており、チロ
シン残基の硫酸化は、タンパク質-タンパク質相互作用に関わる重要な翻訳後修飾
であることが認識されている。ヒトゲノム解析の結果、分泌タンパク質の約 30%
がチロシン硫酸化を受けていると予測されている。しかしながら、硫酸化が確認さ
れているタンパク質は、植物や細菌由来のものを含めても約 70 種に過ぎないと Niu
S らにより報告させている。また硫酸化の生理機能への関与について、詳細に解明さ
れているタンパク質は極めて少ない。硫酸化チロシンは、Edman 分解法や
MALDI-TOF-MS によるアミノ酸配列決定の過程で、硫酸基が脱離してしまうた
めに、直接的な硫酸化アミノ酸残基を同定することができないこと、また硫酸化タ
ンパク質を特異的に検出するモノクローナル抗体などの免疫化学的な検出法が未
確立なことが原因と考えられる。
本研究では Fmoc-固相法により抗原となる硫酸化チロシンを含む種々のペプチ
ドを合成した。この硫酸化ペプチドを抗原としてマウス免疫法により抗体を作成し、
ハイブリドーマ細胞培養上清からの回収抗体により抗硫酸化ペプチドモノクロー
ナル抗体として硫酸化プロテオーム解析に利用することを最終的な目的とした。
キーワード
1.硫酸化
2.Fmoc-Tyr(SO₃Na)-OH
3.硫酸化チロシン
4. 合成硫酸化ペプチド
5.翻訳後修飾
6.モノクローナル抗体
7.マウス免疫法
8.ハイブリドーマ細胞培養
9.硫酸化プロテオミクス
10.Fmoc-固相法
11.CCR5
12.Heparin cofactorⅡ
13.ガストリン
14.コレシストキニン
15.抗硫酸化チロシンモノ
クローナル抗体
16. 逆相 HPLC
17.MALDI-TOF-MS
18.ペプチド合成
19. 負イオン測定モード
20.HIV
目 次
1.はじめに
1
2.実験
2
2-1.試薬
2
2-2.Fmoc-固相合成法
3
2-2-1.ペプチド鎖の構築
3
2-2-2.樹脂からのペプチドの遊離と脱保護
3
3.結果
3
3-1.ストラテジー
3
3-2.Fmoc-Tyr-SO3Na の合成・精製
4
3-3.ペプチドの設計
5
3-4.ペプチド固相合成
6
3-4-1.CCR5(1-9) sulfate の合成・精製
6
3-4-2.CCR5(1-9) non-sulfate の合成・精製
7
3-4-3 Heparin cofactor Ⅱ sulfate の合成・精製
8
3-4-4 Heparin cofactor Ⅱ non-sulfate の合成・精製
9
4. 考 察
10
謝 辞
11
引用文献
12
論 文
1.はじめに
炎症時における白血球のローリングや、HIV の宿主細胞への侵入には、タンパ
ク質中の硫酸化チロシン [Tyr(SO₃H)]が関与していることが知られており [1]、チ
ロシン残基の硫酸化は、タンパク質-タンパク質相互作用に関わる重要な翻訳後修
飾であると認識されている。タンパク質の硫酸化は、ゴルジ体内で tyrosyl protein
sulfotransferase (TPSTs)により行われているが、タンパク質中の酸性アミノ酸ク
ラスター近傍に存在するチロシン残基に硫酸基が付加されるメカニズムが知られ
ている[2]。セリン、スレオニンのようなアルコール性また、水酸基をもつアミノ
酸残基での硫酸化は知られておらず、チロシンに固有の翻訳後修飾とされている。
ヒトゲノム解析の結果、分泌タンパク質の約 30%がチロシン硫酸化を受けている
ことが予測されているが、実験的に硫酸化が確認されているタンパク質は植物や細
菌由来のものを含めても約 70 種に過ぎない[3]。また、ガストリンやコレシストキ
ニンといったペプチドホルモンの例を除き、硫酸化の関与について詳細に解明され
ているタンパク質の例は極めて少ない。こうした状況は、Edman 分解法や
matrix-assisted laser desorption / ionization-time of flight-mass spectrometry
(MALDI-TOF-MS)によるアミノ酸配列決定の過程で硫酸基が脱離してしまうため
に、直接的に硫酸化チロシン残基を同定することができないこと、また硫酸化タン
パク質を特異的に検出するモノクローナル抗体などの免疫化学的な検出法が未確
立なことが原因と考えられる。そこで本研究では、生体内硫酸化タンパク質を網羅
的に解析することを最終目標とした。抗硫酸化チロシンモノクローナル抗体は、こ
うした硫酸化プロテオーム解析を進める上で重要なツールとなり得る。そこで抗原
として Fmoc-固相法により合成した硫酸化ペプチドを用い、マウス腸骨リンパ節法
による免疫法を用いてモノクローナル抗体を作成することを試みた。
1
2.実験
2-1 . 試薬
ペプチド固相合成用試薬類は、Nova biochem (アメリカ)または渡辺化学 (広島)よ
り購入した。また、その他の試薬は、特に記載のない限りNakalai Tesque (京都)
またはWako Chemical (大阪)より購入した。
2-2 Fmoc-固相合成法
2-2-1
ペプチド鎖の構築
各ペプチドは 9-fluorenylmethyloxycarbonyl (Fmoc) 固相法により合成した。樹
脂は、Rink Amide AM Resin 0.71 mmol/g (200-400 mesh:Novabiochem(アメリ
カ))を用いた。樹脂 0.18 mmol を PD-10 Empty Column (GE Healthcare (アメ
リカ))に秤量し、DMF 中で 2hr 膨潤させた。続いて、樹脂を DMF で 4 回洗浄し
た。
Table 1 使用したアミノ酸
Fmoc-Asp (OtBu)-OH
Fmoc-Cys (Trt)-OH
Fmoc-Gln (Trt)-OH
Fmoc-Glu (OtBu)-OH
Fmoc-Ile-OH
Fmoc-Met-OH
Fmoc-Pro-OH
Fmoc-Ser (tBu)-OH
Fmoc-Tyr(SO₃Na)-OH
OtBu:t-Butoxy
tBu:t-Butyl
Fmoc-Val-OH
Trt:Trityl
Fmoc 基を 20% piperidine/DMF を用いて室温で 20 min 攪拌することにより除去し
た。続いて DMF で 8 回洗浄した。縮合反応は、Fmoc-アミノ酸を樹脂に対して 3 当量、
N-Methylmorpholine
(NMM)
を
3
Benzotriazole-l-yl-oxy-tris-pyrrolidino-phosphonium
当
量
、
hexafluorophosphate
(PyBOP) 9 当量を用いて、DMF 中 37℃にて 90~120min 攪拌した。続いて樹脂を
DMF で 4 回洗浄した。Kaiser テストまたはクロラニルテストを行い、縮合反応の完了を
確認した。反応が不十分だった場合は、再度縮合を行った。Fmoc 基の脱保護反応と
Fmoc-アミノ酸の縮合反応を繰り返し、ペプチド鎖を伸長した。ペプチド鎖の構築が完了
2
した樹脂は、Methanol で 3 回、Diethyl ether (ether)で 3 回洗浄後、減圧下で乾燥し
た。
2-2-2. 樹脂からのペプチドの遊離と脱保護
乾 燥 し た ペ プ チ ド 樹 脂 に Trifluoroacetic acid (TFA): Triisopropylsilane
(TIPS)=95:5 (v/v) 4 ml 加え、氷冷下で 3hr 攪拌し、ペプチド側鎖の保護基と同
時にペプチドを樹脂から切断した。反応終了後、吸引ろ過により樹脂を取り除き、
ろ液をエバボレーターで濃縮した。溶媒を除去したものに冷 ether を加え、ペプチ
ドを沈殿させた。この粗ペプチド試料を、遠心分離により (3000 rpm, 4 ℃, 10 min)
上清を除き、再び沈殿物に冷 ether 30 ml を加えてペプチドを洗浄後、遠心分離し
た。この洗浄操作を 3 回繰り返した。洗浄後、0.1% TFA/H2O と CH3CN を用いて
ペプチドを溶解後、凍結乾燥を行った。
3.
結果
3-1.ストラテジー
本研究では、抗硫酸化抗体を用いて生体内硫酸化タンパク質の網羅的な解析に展
開することを目的としている。作成する抗体は硫酸化チロシンのみを、または硫酸
化チロシン残基およびペプチド主鎖を認識し、その周囲のアミノ酸を認識しない抗
体であることが必要である。そこで、抗原として用いる硫酸化ペプチドと、抗体を
分泌するハイブリドーマ細胞のスクリーニングに用いるコントロールペプチドを
数種類合成した。
硫酸化を受けるペプチドの配列は、チロシン残基の近傍に酸性のアミノ酸が存
在すること以外、特異的な配列が知られていない。そこで、これまでに硫酸化を受
けることが知られているペプチドの配列を基に抗原とするペプチドを合成するこ
ととした。免疫に必要な抗原ペプチドは、キャリアタンパク質と結合される必要が
ある。また抗体スクリーニングにおいては、抗血清又はハイブリドーマ培養上清を
プレート上に結合させ、そこに標識化合物を結合した抗原ペプチドを反応させる
(Fig. 1)。そのため合成ペプチドには、全て N 末端にシステインを付加することと
した。
3
S
S
:標識化合物
:抗原ペプチド
:抗血清又はハイブリドーマ培養上清
Fig 1
スクリーニング方法
スクリーニングには、抗血清又はハイブリドーマ培養上清をプレート上に結合さ
せ、そこに標識化合物を共有結合した抗原ペプチドを反応させスクリーニングす
る
3-2. Fmoc-Tyr-OH の硫酸化・精製[4]
Fmoc-Tyr-SO3Na
Schme1 Fmoc-Tyr-OH の硫酸化
Fmoc-Tyr-OH 9.9 mmol を DMF : pyridine : dioxane (8 : 2 : 1) 22 ml に溶かし、
氷冷下に DMF-SO3 錯体 (sulfate trioxide N,N-dimethylformamide complex)
29.7 mmol を加えた。一晩室温で攪拌し、TLC でその反応の進行を確認した(Fig. 2
A)。その結果未反応の原料が見られたため、DMF-SO3 をさらに 3.2 mmol 加え、
反応を続行したところ全ての原料が反応した (Fig.2 B)。反応液を氷冷下にエバポ
レーターで濃縮し、残渣を得た。残渣を冷水で溶かし、5% Na2CO3 を加えて溶液
の pH を約 6.5 付近にし、硫酸化ナトリウムの沈殿を得た。硫酸化ナトリウムを含
む溶液を液体窒素で凍結し、凍結乾燥を行った。
凍結乾燥後の粉末に DMF を加え、不溶物を自然濾過にて除去した。ろ液をエバ
ポレーターで濃縮し、残渣に ether と ethanol を加えて粉末化させた。氷冷下で粉
4
末を細かく粉砕し、10 分放置した。吸引ろ過で粉末をろ取し、デシケーター中で
乾燥させた。
得られた粉末をカラムクロマトグラフィーにて、TLCで単一スポットを示す画分
を 集 め 、 濃 縮 後 ether で 粉 末 と し た 。 固 定 相 は Wako シ リ カ ゲ ル 、 移 動 相 は
chloroform:methanol:蒸留水=8:3:1を用いた。カラムクロマトグラフィー精
製後に得られた収量は3.5 g (収率79.2 %)であった。
B
A
反
原
反
原
Fig 2 TLC 結果
A:DMF-SO3 錯体 4.6 g を加えた反応
B:DMF-SO3 錯体をさらに 0.5 g 加えた反応
反:反応液 原:原料
UV と I2 を比較すると硫酸化チロシンは I2 で染
色されないので反応が進んでいることが確認
できる
白色:UV
灰色:I2
3-3.ペプチドの設計
合成するペプチド配列は、マウスに免疫を行って抗体を作成するため、マウス由
来タンパク質の配列を除外する必要がある。そこでヒト生体内でチロシン残基が硫
酸化を受けることが知られているタンパク質のうち、 マウスとヒトのペプチド配
列が違うものを選択した (Table 1)。これらの配列の N 末端にシステインを付加し
たものを合成するペプチド配列とした (Table 2)。
Table 1 ヒト体内で硫酸化を受けることが知られているタンパク質のペプチド配列
と硫酸化部位
Protein (配列部位)
Sulfation site(s)*
REF
CCR5 (1-9)
CCR5 (9-22)
Complement C4
PSGL-1 (42-55)
Heparin cofactorⅡ(87-96)
MDYQVSSPI
IYDINYYTSEPCQ
MEANEDYEDYEYDELPAK
ATEYEYLDYDFLPE
SEDDDYIDIV
[6]
[6]
[7]
[8]
[9]
5
Table 2 合成したペプチド配列
Peptide 名
CCR5 (1-9)
non-sulfate
CCR5 (1-9)
sulfate
Heparin cofactor Ⅱ(87-96)
non-sulfate
Heparin cofactor Ⅱ(87-96)
sulfate
3-4.
Sequence
H2N-CMDYQVSSPI-amide
H2N-CMDY (SO3H)QVSSPI-amide
H2N-CSEDDDYIDID-amide
H2N-CSEDDD Y (SO3H)IDID-amide
ペプチド固相合成[5]
CCR5(1-9)及び Heparin cofacoter Ⅱ (87-96)を Fmoc-固相法により合成した。
固相合成終了後、硫酸化ペプチドの場合は低温での TFA 処理により硫酸基を損な
うことなく保護基の除去と樹脂からの遊離を行った。非硫酸化体の場合は室温で
TFA 処理を行った。
3-4-1.CCR5 (1-9) sulfate の合成・精製
CCR5 (1-9) sulfate の合成は Rink Amide AM Resin 0.71 mmol/g を用いて各ア
ミノ酸を縮合した、氷冷下、3 hr、TFA:TIS=95:5 (v/v)で脱保護を行い、HPLC
で合成純度の分析を行った (Fig. 3A)。分析用カラムは、COSMOSIL 5C18 AR-Ⅱ
(4.6×250 mm)を用いた。移動相に 0.1% TFA/H2O と 0.1% TFA/acetonitrile を用
い、0.1% TFA/acetonitrile の初濃度を 20 %、40 min 後の濃度が 55 %の直線濃度
勾配で、235 nm におけるアミド結合の吸収を指標としてペプチドを溶出した。
15min に溶出されるピーク (Fig. 3 A peak a b)を少量分取し MALDI-TOF-MS
にて質量を測定したところ、peak a が目的のペプチドであることを確認した
(Table 3)。peak b は MS の結果硫酸基が脱離したものと考えられる (Data not
shown) 。 そ こ で peak a を 分 取 し 、 逆 相 High-performance Liquid
Chromatography (HPLC)で純度確認を行った (Fig. 3 B)ところ、二本のピークが
6
検出された。今回合成したペプチドは、N 末端にシステインをもつため分取時又は
分析時に空気酸化によりジスルフィド結合を形成したものと考えられる。そこで、
peak c のサンプルに TCEP を加えて再度 HPLC で確認したところ、peak c 一本の
みが検出された (Data not shown)ため、peak b が単量体、Peak d が二量体であ
ることが示された。そこで、これらサンプルは、免疫前に還元処理を行うこととし
た。
B
A
a
c
d
b
Fig. 3 CCR5 (1-9) sulfate HPLC チャート
A:合成純度確認 Gradient:0.1% TFA/CH3CN 10-90%,peak a を分取
B:純度確認 Gradient:0.1% TFA/CH3CN 20-55% peak c:monomer peak d:dimer
Table3
CCR5 (1-9) sulfate MS の測定結果
サンプル名
CCR5(1-9)
sulfate
Theor. Mono.
[M-H]⁻
[M-H-SO₃]⁻
Found*
1219.443
1139.486
[M-H]⁻
[M-H-SO₃]⁻
1219.703
1139.861
*Negative Reflector mode で測定
3-4-2
CCR5(1-9)
non-sulfate の合成・精製
CCR5 (1-9) non-sulfate の合成は Rink Amide AM Resin 0.71 mmol/g を用いて
ペプチド鎖を構築後、室温下、2 hr、TFA:TIS=95:5 (v/v)で脱保護を行った (Fig.
7
4)。分析用カラムは、COSMOSIL 5C18 AR-Ⅱ (4.6×250 mm)を用いた。移動相に
0.1% TFA/H2O と 0.1% TFA/acetonitrile を用い 0.1% TFA/acetonitrile の初濃度を
15%、40 min 後の濃度が 55% の直線濃度勾配で、235 nm におけるアミド結合の
吸収を指標としてペプチドを溶出させた。
non-sulfate のペプチドは縮合反応を終了したので、今後 MALDI-TOF-MS を用
いて合成を確認後、分取・精製を行う予定である。
Fig. 4 CCR5 (1-9) non-sulfateHPLC チャート
合成純度分析 Gradient:0.1% TFA/CH3CN 15-55%
3-4-3. Heparin cofacoterⅡ (87-96) sulfate の合成・精製
Heparin cofactor Ⅱの合成は Rink Amide AM Resin 0.71 mmol/g を用いてペ
プチド鎖を構築後、氷冷下、3 hr、TFA:TIS= 95:5 (v/v)で脱保護を行った (Fig.
5A)。分析用カラムは、COSMOSIL 5C18 AR-Ⅱ (4.6×250 mm)を用い、溶移動相に
0.1% TFA/H2O と 0.1% TFA/acetonitrile を用い 0.1% TFA/acetonitrile の初濃度を
20%、40min 後の濃度が 55% の直線濃度勾配で、235 nm におけるアミド結合の
吸収を指標としてペプチドを溶出させた。
16 min に溶出されるピーク (Fig. 5A peak e)を少量分取し、MALDI-TOF-MS
にて質量を測定したところ、目的のペプチドであることを確認した (Table 4)。そ
こで、このピークを分取し、HPLC で純度確認を行った結果 (Fig.5B)、目的とす
るペプチド以外には他のペプチドは含まれていないことを確認した。なお最終収量
は 1.03mg (収率 0.41%)であった。
8
A
B
e
Fig. 5
Heparin cofacoterⅡ (87-96) sulfate HPLC チャート
A:合成純度確認 Gradient:0.1% TFA/CH3CN 20-55%,peak e を分取
B:純度確認 Gradient:0.1% TFA/CH3CN 20-50%
Table 4
heparin cofactorⅡ (87-96) sulfate MS の測定結果
サンプル名
heparin cofactor Ⅱ
(87-96)
sulfate
Theor. Mono.
[M-H]⁻
[M-H-SO₃]⁻
Found*
1363.4670
1283.5102
[M-H]⁻
[M-H-SO₃]⁻
1363.513
1283.554
*Negative Reflector mode で測定
3-4-4. Heparin cofacterⅡ (87-96) non-sulfate の合成・精製
Heparin cofactorⅡ non-sulfate の合成は Rink Amide AM Resin 0.71 mmol/g
を用いてペプチド鎖を構築し、室温下、2 hr、TFA:TIS= 95:5 (v/v)で脱保護を
行い、HPLC で分析を行った (Fig. 6)。分析用カラムは、COSMOSIL 5C18 AR-Ⅱ
(4.6×250 mm)を用いた。移動相に 0.1% TFA/H2O と 0.1% TFA/acetonitrile を用
い 0.1% TFA/acetonitrile の初濃度を 25%、40 min 後の濃度が 50%の直線濃度勾
配で、235 nm におけるアミド結合の吸収を指標としてペプチドを溶出させた。
non-sulfate のペプチドは縮合反応を終了したので、今後 MALDI-TOF-MS を用
9
いて合成の確認後、分取・精製を行う予定である。
Fig. 6 Heparin cofacterⅡ (87-96) non-sulfate HPLC チャート
合成純度確認 Gradient:0.1% TFA/CH3CN 25-50%
4.考察
CCR5 (1-9)では HPLC や MS 解析により dimer を形成していると考えられるようなピ
ークが副生した。理由として凍結乾燥時に 0.02 mol/l NH4HCO3 と CH3CN でペプチ
ドを溶解した為、液性がアルカリ性側に偏りペプチド中のシステイン残基同士がジス
ルフィド結合を形成したことが考えられる。ジスルフィド結合を切断する為に還元剤である
TCEP を加え、分析・分取を行い、また凍結乾燥時には 0.1% TFA/H2O と CH3CN で
溶解することで、目的のペプチドの単量体を得ることができた。Heparin cofactor
Ⅱ (87-96) sulfate は収量が低く、今後再度合成する必要がある。
今回合成した硫酸化チロシンを含むペプチドをマウスに免疫して抗体を得るこ
とができれば、抗体を用いて生体内に存在する硫酸化タンパク質の網羅的なスクリ
ーニングに展開でき、現在明らかにされていない新規の硫酸化タンパク質の確認や
硫酸化の意義・機能を解明できる可能性がある。またチロシンの硫酸化は、HIV
の宿主細胞への進入時に関与しているといわれていることが知られている [6]。硫
酸化の意義・機能を詳しく知ることができれば、新規の HIV 治療や薬の開発につ
ながると考える。
10
謝 辞
本卒業研究Ⅱの終わりに、随時有益なご助言とご指導頂きました新潟薬科大学薬学
部薬品製造学研究室
北川
幸己
教授に心から感謝致します。
本卒業研究Ⅱを進めるにあたり、直接のご指導とご鞭撻を賜りました新潟薬科大学薬
学部薬品製造学研究室
浅田
真一
助教に深く感謝致します。
本研究を進めるにあたり、全面的に実験協力をして頂いた、新潟薬科大学薬学部
薬品製造学研究室
坪川
和明
氏と木村
龍士
最後に、研究室の皆様方に深く感謝いたします。
氏に心から感謝いたします。
11
引 用 文 献
1. Leppänen, A., Yago, T., Otto, V.I., McEver, R.P., Cummings, R.D. J. Bio.
Chem. 278, 26391-26400.(2003)
2. Ouyang Y, Lane W.S., Moore K.L., Proc Natl Acad Sci U S A. 95.2896-901.
( 1998)
3. Niu S, Huang T, Feng K, Cai Y, Li Y,J Proteome Res. 9.6490-6497. (2010)
4. Futaki, S., Taike, T., Yagami, T., Ogawa, T., Akita, T., Kitagawa,K. J. Chem.
Soc., Perkin Trans. 1 , 1739-1744.(1990)
5. Kitagawa K., Aida C., Fujiwara H., Yagami T., et.al. (2001) J. Org, Chem. 66,
1-10
6. Faran,M., Mizabeko, T., Kolchinsky, P., Wyatt, R., Choe, H., Cho,H.,
Cell ,96,667-676,(1999)
7. Hortin,G.,Sims,H., Strauss,A.W., J.Biol.Chem,261,1786-1793, (1986)
8. Pouyani,t.,Seed,B., Cell, 83,333-343,(1995)
9. Hortin,G., Tollefsen,D.M., Strauss,A.WJ.Biol.Chem,261,15827-15830,(1986)
12