第 26 回万有仙台シンポジウム Poster 発表要旨 Callipeltin B, E および M の全合成と細胞毒性評価 Total synthesis of callipeltins B, E and M and its cytotoxicity 菊池真理、今野博行 (山形大院理工) 海綿 Callipelta 種より単離・構造決定された callipeltin B は細胞毒性を有する異常アミノ酸含 有環状デプシペプチドである. 一方で海綿 Latrunculia 種より callipeltin B の部分構造を有する直 鎖ペプチド callipeltin E ならびに M が単離・構造決定されている. 演者は, 構造活性相関研究へ の適用を視野に入れた合成法の確立を目指し, C 末端からペプチド鎖を伸長し, TFA による脱保護 が可能な一般的な Fmoc 固相合成法を用いた callipeltin B, E ならびに M の全合成を検討した. さらに, 合成した callipeltin 類の HeLa 細胞に対する毒性を評価した. まず callipeltin 類を構成する異常アミノ酸である Fmoc-MOY(MEM)-OH1), Fmoc-D-aThr-OH2), pDME-OH3) を立体制御下に合成した . 次に固相合成法によるペプチド鎖の伸長を検討した . Fmoc-MeAla-OH を 2-chlorotrityl chloride 樹 脂 に 担 持 し , 縮 合 剤 と し て PyBOP/HOBt ま た は COMU/HOAt を用い C 末端から順次構成アミノ酸を縮合した. 樹脂から切断後, TFA/CH2Cl2 で処 理し callipeltin E を得た.1) さらに Fmoc-D-aThr-OH と pDME-OH をペプチド鎖に組み込んだ後, 脱 保 護 す る こ と で callipeltin M の 最 初 の 全 合 成 に 成 功 し た . ま た , 保 護 callipeltin M を DIPCI/DMAP, 45oC の条件で処理することでマクロラクトン体とし, 10% TIPS/TFA で最終脱保護を 行い callipeltin B の全合成を達成した.4) 合成品と天然品の callipeltin B における細胞毒性を評価したところ, 天然 callipeltin B にのみ CC50=130 M の毒性が見られた. スペクトルデータの解析から, 天然物中に callipeltin C (CC50=17 M) ならびに H が約 17%混入していることが示された. これらの詳細について報告する. <参考文献> 1) Kikuchi, M.; Nosaka, K.; Akaji, K.; Konno, H. Tetrahedron Lett. 2011, 52, 3872-3875. 2) Kikuchi, M.; Konno, H. Tetrahedron 2013, 69, 7098-7101. 3) Kikuchi, M.; Konno, H. Heterocycles 2014, 89, 1620-1631. 4) Kikuchi, M.; Konno, H. Org. Lett. 2014, 16, 4324-4327. 発表者紹介 氏名 菊池 真理 (きくち まり) 所属 山形大学大学院 学年 D3 (4 月から京都薬科大学ポスドク) 研究室 生物有機化学分野(今野研究室) 理工学研究科 (3 月まで)
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