平成 27 年 4 月 16 日 教養展開科目 「生活と光の作用」 千葉大院融合科学研究科 椎名 1.光と生活 1. 光と生活 ・光に囲まれた生活 日常生活には光が溢れている。視覚に頼った人間社会の中で、5 感(視覚、聴覚、触覚、味覚、 嗅覚)の中でも視覚からの情報が80%以上を占めると言われている。瞳への過度な負荷はメガネ やコンタクトレンズに始まり、眼内レンズやレーッシックといった視覚矯正手術によってますます 大きくなっている。ケータイやスマートフォンでは小さな文字を凝視し、大画面テレビからは過剰 な程の光が瞳に飛び込んできている。 光の生活への寄与は視覚に留まらない。光通信や DVD 等の光記録メディア、望遠鏡や顕微鏡と 行った光観察/測定技術、ならびに X 線診断や CT、放射線治療/医療技術と多岐に渡る。もはや 光無しでは生活出来ない状況にある。 光を人の心と結びつけた科学/技術も多い。花火や華やかな LED イルミネーション等デザイン への応用、睡眠環境と光の作用に関する生活習慣、さらには好ましい照明/色環境の科学が挙げら れる。もっとも、良い応用ばかりではなく、放射線被害や光技術を偽って利用した商品等も、同じ 光の作用である。 この授業では身の回りに溢れた光の現象、技術、応用に関して学ぶ。生活する上での光の作用と 利用を理解し、正しい判断ができるように、また光を使った技術の利用や医療行為に際しては最適 な効果を期待できるように教養的理解を深めることを目的としている。 ・光についての人類の理解 ・ニュートンの光線としての「幾何光学」 光は”光線”であるとして、プリズム、レンズ、 虹の理論(分光)を説明。 1704 年「光学」を出版。 アイザック・ニュートン (1642-1727) アイザック・ニュートン著 尾島永康訳「光学」岩波文庫 小山恵太著「ニュートンの秘密の箱」丸善 ・ホイヘンスの光の波動説 光を”波”として捉え、反射、屈折を説明。 1690 年「光についての論考」(ホイヘンスの原理) 光の媒体として”エーテル”を提唱。 クリスティアン・ホイヘンス (1629-1695) 1 平成 27 年 4 月 16 日 教養展開科目 「生活と光の作用」 千葉大院融合科学研究科 椎名 1.光と生活 ・ヤング、フレネル、フラウンホーファーらによる「波動光学」 1800 年頃、ヤングの干渉の実験。 1820 年代、フレネル、フラウンホーワー、キルヒホッフ による回折現象の説明。 トーマス・ヤング (1773-1829) ・ファラデー、マクスウェルによる「電磁波」としての光 1847 年、ファラデーによる偏光の実験 1864 年、マクスウェルによる波動方程式と電磁波の予言。 1888 年、ヘルツによる電磁波の実証。 ジェームス・クラーク・マクスウェル (1831-1879) マイケル・ファラデー著 矢島祐利訳「ろうそくの科学」岩波文庫 ・アインシュタイン、ハイゼルベルグらによる「量子力学」 光は粒子性と波動性の性質をあわせ持つ。 1905 年、アインシュタインの「相対性理論」 1927 年、ハイゼンベルグ「不確定性原理」 1920 年代、プランク、ボーアらによる原子論 アルバート・アインシュタイン (1879-1955) アルバート・アインシュタイン著 内山龍雄訳「相対性理論」岩波文庫 ・光の定義 光はエネルギーである。電磁波の一種であり、波長 380nm から 780nm までの可視光、およびその 前後の波長まで拡大したものを指す。 電磁波 γ線 X線 紫外 可視光線 波長 赤外 マイクロ波 1Å 1nm 0.38 – 0.78μm 10m | | 18 | 15 10 (Exa Hz) 10 (Peta Hz) 2 12 10 (Tera Hz) 平成 27 年 4 月 16 日 教養展開科目 「生活と光の作用」 千葉大院融合科学研究科 椎名 1.光と生活 ・光と生活 これらの光の性質、物質との作用を通して、光は人類の日常生活に深く関わっている。光の性質や 現象を理解することで物質の状況や変化を知り、科学技術で光を応用することで、今の現代社会を築 いている。 本来なら、昼間を行動する人間としての生活は朝、日の出とともに起床し、日の入りとともに就寝 することを基本としている。身体のメカニズム/バイオリズムもその周期に従って作用している。そ れが、現代社会では証明環境や住環境、さらには生活習慣によって大きな変化をもつようになった。 夜でも明るい照明は、火の利用から電球、蛍光灯へと進化し、現代では LED 光源へと置き換わりつ つある。より明るく、より使い易く進歩した結果である。一方で、生物としての人間の体躯や内面は、 そのような急激な進化には対応できず、そのため、多くの支障が生活のあらゆる場面に表れてきた。 皮膚の疾患、アレルギー、鬱、これらのいわゆる現代病の原因にも、現代人の光との関わり方が深く 関係している。 3 平成 27 年 4 月 16 日 教養展開科目 「生活と光の作用」 千葉大院融合科学研究科 椎名 1.光と生活 ~ Memo ~ つまらん意地を張って、優しい仲間を失うことは、美しい宝⽯石 をなくすよりも悲しいことだよ。 4 ス ナ フ キ ン
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