原位置化学酸化(フェントン反応)とバイオレメディエーションの 複合工法とその施工事例その2 -ホットスポットにおける施工○小松大祐1・小川えみ1 1㈱アイ・エス・ソリューション Email : [email protected] はじめに・・・化学酸化とバイオレメディエーション、そして複合工法 2つの長所 フェントン反応 ヒドロキシラジカルによる強力な酸化反応 反応時間は短く(8h~24h)リバウンドの懸念 副生成物として酸素が大量に発生 + + 過酸化水素 鉄(触媒) H2O2 Fe2+ 複合工法 バイオレメディエーション (還元分解) (酸化分解) + = 反応時間は長い(薬剤や条件次第で年単位) 環境要因に左右されやすい 水素 塩素 炭化水素 水 H2O → 二酸化炭素 CO2 + 塩素 Cl2 + 活かす工法 (酸化分解+還元分解) 微生物による穏やかな還元反応 VOCs を 化学的な反応と生物的な反応の組み合わせ 高濃度も対応可能 リバウンドが抑えられる 化学酸化の影響により微生物分解が促進 炭化水素 酸素 O2 工期短い/高濃度も可能 + リバウンド防止 長所:工期短い/高濃度も可能 長所:浄化効果が長続きする →2年間モニタリングもOK 8h 現場の状況・・・ホットスポットの存在 複合工法の施工手順・・・柱状改良機を使用 施工方針 8h~24hの養生 フェントン反応は終了 88 ①不飽和帯(GL-0.0m~GL-1.0m) ・・・フェントン反応剤混合撹拌 ②地下水+飽和帯(GL-1.0m~GL-5.0m) ・・・嫌気バイオ促進剤原位置注入 フェントン反応剤の バイオ薬剤の 表層のみ 混合撹拌 混合撹拌 地盤改良 ③ホットスポット(GL-0.0m~GL-5.0m) :ボーリング調査地点 ・・・複合工法による施工(フェントン+嫌気バイオ) B-1区画 B-2区画 ホットスポット B-1 B-2 浄化範囲 B-3 GL-0.0m 粘土層 粘土質 シルト層 10m 5m 0m ポイント② 鉄触媒の添加なし 易分解性の有機物を増強 GL-1.0m GL-2.0m ポイント③ GL-3.0m シルト質 細砂層 B-3区画 ボーリング 調査地点 ポイント① 連続的に施工可能 GL-4.0m GL-5.0m ★全体的に腐植物混じる ホットスポットのVOCs地下水濃度および水質の経時変化 酸化分解 結果・・・酸化分解後の微生物分解が驚異的なスピードで起こった 微生物分解 10.000 :PCE ■:TCE ▲:cis-1,2-DCE 地下水VOCs濃度 (mg/L) 1.000 基準の約500倍のPCEはわずか2週間足らずで基準適合 すべての分解生成物含めると、およそ2カ月で基準適合 →酸化分解によりPCE濃度が下がったことで、cis-1,2-DCEの生成が抑えられた 酸化分解後、速やかに嫌気環境(施工後3日でORP-284mV)に移行した デハロコッコイデス属細菌は死滅せず、30日目以降は増殖が確認された 考察・・・微生物分解が促進された可能性 0.100 cis-1,2-DCE 環境基準 TCE 環境基準 フェントン反応後、微生物は死滅することなく即座に増殖、分解が起こった フェントン反応で水温が上がっていることから、微生物の活性が上がった可能性がある フェントン反応で土中の難分解性有機物等が分解され、 低分子の易分解性有機物や有機酸が大量に生成した可能性がある←データからは不明 →今後、フェントン反応の有無で嫌気的な微生物分解が促進されているのか、検証したい PCE 環境基準 0.010 項目 <0.001 0.001 浄 施 -10 化 工 前 日 10 30 50 70 混合撹拌施工後経過日数(日) リバウンドがない pH DO(mg/L) ORP(mV) 水温(℃) Dehalococcoides 属細菌 (コピー数/100mL) 施工後 3日目 6.81 0.13 -284 28.88 施工後 14日目 6.70 <0.01 -442 24.59 ‐ ‐ 施工後 30日目 ‐ ‐ ‐ ‐ 施工後 65日目 ‐ ‐ ‐ ‐ 1.37×10 6 4.28×10 8 まとめ フェントン反応による酸化分解と嫌気的バイオレメディエーションを組み合わせた複合工法は、両者の長所を持ち合わせ た優れた工法といえる。 また、フェントン反応が嫌気的な微生物分解を促進させる可能性があり、今後は検証とそのメカニズムの解明を進めた い。
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