SHTxx シリーズ温湿度センサーの ESD、ラッチアップおよび EMC に

アプリケーションノート:
SHTxx シリーズ温湿度センサーの ESD、ラッチアップおよび EMC について
はじめに
SHTxx シリーズの温湿度センサー(すなわち当社温
湿度センサーの全シリーズ)は ESD(静電気放電)と
ラッチアップに関して JESD 22 – A114、MIL 規格
E
883 および JEDEC78 規格に準拠しています。すべ
ての試験に合格しており、この結果はこれらのセン
サーが電子的衝撃に対して十分に保護されているこ
とを示しています。
置などに由来する電磁放射(EMI)に対して優れたイ
ミュニティー機能を有し、その機能のもたらす恩恵
を受けています。
本アプリケーションノートは ESD とラッチアップに
ついて詳述し、SHTxx シリーズのセンサーの保護回
路についてより深く理解できるようにするものです。
より優れた ESD 保護が要求される場合を考慮し、外
SHTxx シリーズのセンサーは、そのマイクロインテ 部 ESD 保護を追加する事例を提示しています。さら
グレーションとデジタルインタフェースにより、ま に、センサーを使用した電磁両立性(EMC)設計に関
た CRC チェックサムにサポートされていることで、 する情報も提供しています。
例えば、携帯電話、機械、およびその他の RF 放射装
ESD 保護
SHTxx シリーズのセンサーは集積回路で構成されて
いるため、静電気放電(ESD)によりセンサーが損
傷することがあります。そのため、各センサーはす
べてのピンについて最新の ESD 保護回路を内蔵して
います。図 1 に ESD 保護回路の機能を示す概念図を
示します。
各センサーの試験は「人体モデル」を使用して 2 kV
で行います(JESD 22 – A114、MIL 規格 883E によ
る)
。試験回路と波形を図 2 に示します。
図 2 「人体モデル試験回路」
。100 pF のコンデン
サーが人体のキャパシタンスを、1.5 kΩ の放電抵抗
器が人体の内部抵抗をそれぞれシミュレートしてい
ます。電圧は 0.1 μs ごとの正負のパルスとして印加
されます。
当社では ESD ストレス試験を、試験装置 TMT Verifier
II(シリアル番号 1042049)を使用して下表に従って
実施しました。
ストレス
レベル
ストレス
印加ピン
SCK
DATA
SCK
2kV
DATA
GND
SCK
表 1 試験条件の要約
基準ピン
極性
GND
GND
VDD
VDD
VDD
DATA
正パルス 3
回印加後に
負 パル スを
3 回印加
図 1 ESD 保護回路の機能を示す概念図。VDD パッ
ド(上)
、SCK パッド(中)、DATA パッド(下)
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SHTxx シリーズのセンサーは「人体モデル」試験に
問題なく合格しています。詳しくは当社までお問い
合わせください。ESD 保護に関しては、より高い電
圧や他のモデル(「マシンモデル」
、
「帯電デバイスモ
デル」、「帯電ケーブルモデル」等)を使用した上記
以外の試験は行っていません。
「人体モデル」試験は
業界で肯定的に受け入れられており、また SHTxx シ
リーズのセンサーが各アプリケーションと通常の注
意事項に留意した取扱のためによく保護されている
ことを確認するものです。
極端な放電保護に関わる要求事項がある場合には、
それに応じて保護回路を追加することもできます。
図 3 をご参照ください。
SHTxx より
入力
出力
あふれます。続いてこれらのキャリアは徐々に流れ
出し、その結果サイリスターのトリガーが生じます。
 最終的には寄生サイリスターのトリガーは高い供
給電圧によって起こることがあります。ただし、こ
の電圧はデータシートに示す値よりも遥かに高い
値となるはずです。
以上の状態は SHTxx シリーズの各データシートに示
す仕様には反するものですが、制御されていない事
象の間に発生することがあります。センサーは、サ
イリスターの感度をできる限り小さくして、それに
よって上記のすべての状況下でのラッチアップを回
避すべく最新の予防措置に準拠するように設計され
ています。
ラッチアップイミュニティーを検証するため、
SHTxx シリーズのセンサーは JEDEC 規格 78 に
従って試験を行っています。
(最大)
SHTxx へ
図 3 SHTxx シリーズのセンサーの追加用外部回路
(100 μWs を超える極端な静電エネルギーに対する
保護用)
ラッチアップ
(最大)
一つの集積回路上の個々のダイオード、トランジス
ター、コンデンサー間の分離は逆バイアスされた PN
接合により達成されます。これらの接合は隣接する
各接合と NPN および PNP 構造を形成し、これによ
り寄生サイリスターが生じます。これらの寄生サイ
リスターのトリガーは次に示すように様々な望まし
くない形で発生することがあります。
 センサーの入力または出力部にある電圧が掛かっ
ている場合、この正電圧が電源電圧よりも大きいか、
または負電圧が接地接続部の電圧よりも大きいと、
電流は寄生サイリスターのゲートに流れます。この
電流の大きさおよび時間がある値を超えると、サイ
リスターのトリガーが生じます。長い配線(数メー
トル)およびオーバーシュートの場合、サイリス
ターのトリガーが生じる確率を考慮しなければな
りません。
 静電気放電は寄生サイリスターをトリガーさせる
可能性があります。静電気の継続時間がわずか数十
ナノ秒間であっても、チップ全体に電荷キャリアが
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図 4 各パッドと正負の両符号用のラッチアップ試
験セットアップ。SHTxx シリーズはここでは、寄生
サイリスターとしてモデル化してあります。
図 4 に試験セットアップを示します。この試験は
85°C で、ORYX 11000EX 試験システムを使用して実
施しました。
この試験では、±100 mA の電流 I をコンプライアン
ス電圧 9 V の VDD(最大)で印加します。供給電流
A はラッチアップトリガーパルスの前後に測定され
ます。各値の間に相違が見られず、デバイスの機能
が低下していない場合、試験に問題なく合格したこ
とになります。この試験は SHTxx シリーズの全ピン
同士の間で行われ、肯定的な結果が得られています。
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EMC 保護
SHTxx シリーズのセンサーは要求の厳しい環境でも
信頼性の高い機能を保持するように設計されていま
す。その長所を以下に列記します。
 外部の部品は不要です(DATA ライン上のプルアッ
プ抵抗を除きます)。影響を受けやすい回路はすべ
てマイクロメートルのオーダーでチップに組み込
まれており、それにより(例えばワイヤレスデバイ
ス に由 来す る) RF 放 射に 対し て元 々イミ ュニ
ティーを有しています。
 各センサーの純粋なデジタルインタフェーシング
により、SCK および DATA の各ライン上で高い S/N
比が得られます。
 クロストークを極力抑えるため、SCK および DATA
の各ラインは、長いリボンケーブルまたはフラット
フレキシブルケーブルを使用している場合を除き、
互いに隣接して這わせないようにします。
 長いケーブルを使用する場合には送信周波数と信
号のスロープを小さくします。これは、クロストー
ク感度、反射、バーストによる影響を減らすためで
す。図 5 に示すように、各スロープは受動ローパス
フィルターを挿入することで小さくすることがで
きます。最良の結果は、ローパスフィルターをケー
ブル接続部のいずれかの側に設置する場合に得ら
れると考えられます。
 SCK および DATA の各ライン間で測定したデータ
の送信周波数は任意の低い値に設定することがで
きます。従い、各信号のスロープをフィルター処理
することで、バーストによる影響を最小化すること
ができます。
DATA
SCK
ケーブル
マスター
 CRC(巡回冗長検査)により、データ転送が正しく
行われたことを検証することができます。
当社では、SHTxx シリーズのセンサーの周囲の回路
を設計する際に、次の基本的な対策を取ることを推
奨します。
図 5 センサーに長いケーブルを使用する場合に
DATA ラインの SCK のスロープを小さくする。
 VDD と GND との間のできるだけセンサーに近い
位置に 100 nF のコンデンサーを配置します(デー
タシートを参照)
。
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本文書について
本文書は以下の当社技術文書の英文版を和訳したものです。
記載内容に疑義が生じた場合は、当該英文版を正とします。
文書名:Application Note: EDS, Latch-Up and EMC
For SHTxx Humidity and Temperature Sensors
(Version 1.3)
改訂履歴
日付
2003 年 10 月 17 日
2005 年 5 月 25 日
2006 年 10 月 03 日
2009 年 3 月 12 日
改訂版
1.0
1.1
1.2
1.3
変更点
初版発行
本社住所変更
Sensirion Inc.住所追加
図 5 を変更、新規フォーマットを適用
当社の本社および日本現地法人
本社
SENSIRION AG
Laubisruetistr. 50
CH-8712 Staefa ZH
Switzerland
Tel: + 41 (0)44 306 40 00
Fax: + 41 (0)44 306 40 30
[email protected]
http://www.sensirion.com/
センシリオン株式会社
TEL: 03-3444-4940
[email protected]
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