(人体臓器観察)の評価

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早期体験学習(人体臓器観察)の評価
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近畿大薬)
◯中村 武夫 1 ,伊藤 栄次 1 ,桑島 博(
【目的】薬剤師養成教育に対するモデル・コアカリキュラムは、知識偏重型から
統合型(知識・技能・態度)教育を意識して作成されている。生命に関わる職業
人である薬剤師となるために薬学部に入学してきた学生の動機付け教育の一つに
早期体験学習がある。今回、医学部における人体臓器観察の評価について、学生
からのアンケートをもとに検討した。
【方法】医療薬学科1年生を対象に 2009 年 10 月に医学部解剖学実習室にて約 50
名ずつのグループに分け、人体臓器観察を行った。体験前後に自記式無記名アン
ケートを実施し、プレアンケートは 161 名、ポストアンケートは 135 名よりそれ
ぞれ回収できた。
【結果・考察】「これまでに人体臓器を観察したことがあるか」については、161
名中 25 名が人体の不思議展や医学部で体験していた。
「人体臓器観察に対する不
安さ」については、全く不安を感じていない学生は 23.6%(プレ)
、30.4%(ポスト)
であった。
「臓器観察が薬剤師養成教育として役立つか」については、
「思わない」
の回答が 23%(プレ)から 11.1%(ポスト)に減少し、人体臓器見学の有用性が評
価された。
「観察したい臓器・印象に残った臓器」についての総回答数は 495 件(プ
レ)および 665 件(ポスト)であった。観察前に期待の最も大きかった臓器は心
臓であったが、観察後の印象深さにおいて回答件数は減少した。一方、四肢、胎
児に対する観察前の関心はそれぞれ 15 件、16 件と低かったが、観察後においては
それぞれ 58 件、
112 件であった。
胎児および成人献体については 82.5%および 66.7%
の学生が印象を受けた。個々の臓器以上に全身に印象づけられたことは、生命の
尊厳に関してのヒューマニズム教育に有益な効果があったと解される。