式辞 「うれしさは 春の光を 手にすくい」 「うれしさは 春の光を 手にすくい」(野見山 朱鳥) 三十年ぶりでしょうか、雪の入学式は。新しい季節の到来は、雪は降っても、明るい春の光からも感じられます。 それを手ですくい取れる喜びを味わえる、今日のよき日に、春日部市議会議長・河井美久 様をはじめ、たくさ んのご来賓の皆様のご臨席たまわり、さらに、多くの新入生保護者の皆様のご出席を頂戴し、春日部市立大 増中学校第32回入学式を挙行できますことに、心から御礼申し上げます。 ただいま、呼名をもって確認させていただきました96名の新入生の皆さん、立野小と大増中という、春日部市 の小中一貫教育のパイロット校の本校への入学、おめでとうございます。本校教職員一同、皆さんの入学を心よ り歓迎いたします。また、本日の入学をお喜びの保護者の皆さまに、心よりお祝いを申し上げます。 さて、新入生の皆さん。皆さんは今日から中学生です。そこで、私からお祝いの言葉として、小中一貫の九か 年、後半ともいうべき中学校3年間でがんばってほしいことを、お話ししたいと思います。 それは、立野小学校の卒業式で、皆さんが浅見校長先生やご来賓の皆様から頂戴した言葉を出発点とし たいと思います。 卒業式で浅見校長先生から皆さんは、「努力は裏切らない、未来を信じ、中学校という大きな山に登りましょ う」という餞(はなむけ)の言葉をいただきました。「大きな山、大きな目標」に向かって歩むみなさんに、私からは、 「目標」に向かう基本的な姿勢について、中学生となったみなさんに、入学のお祝いとして贈りたいと思います。 それは、大増中の学校教育目標と、今年度大増中生徒にがんばってほしいことと同じです。 学校の教育目標は、30周年記念として、2年前、この体育館の背面に掲示いたしました。学校教育目標は、 「理性」「情熱」「友愛」の3つです。これは、理性は□、情熱は△、友愛は○で視覚化・イメージ化しています。 校内の様々な場所に□・△・○が隠れていますから、入学後ぜひ探してみてください。上ばかりではなく、足元も 探してください。きっと見つかるはずです。 次は、今年度、大増中生徒にがんばってほしいことをお話しします。始業式で2年生・3年生にもお話したこと です。 ひと言でいうと「リスペクト大増」ということばで表現しています。尊敬される大増中ということです。 このことについて、3つお話をしたいと思います。 一つ目は、2年前、大増中学校は30年の節目を迎えました。その節目から次の40年の節目に向けて、新 たな10年間のスタートの年としての昨年を過ごしてきました。「次の10年間への新しいスタート」を昨年、切ること ができました。第一歩を踏み出したのです。 そこで、今年は、その二歩目、セカンドステップ、階段を一段のぼって、二つ目の段にあがる年にしたいという、 位置づけをしています。そうした意味を考えて生活してほしいことです。これをはじめにお伝えします。 二つ目は、「リスペクト大増」、尊敬される大増中のために、「ことばをたいせつにしてほしい」ということです。 「ことば」を大切にすることは、自分や友だち、周囲の人たちを大切にすることです。人と人の間を大切にすることで す。考え方を大切にすることです。そうすることが、きっと尊敬させることにつながると思います。ぜひ、「ことばを大切 にして」生活してください。 三つ目は、「ことば大切にする」意味で、学習のまとめを「ことば」でできるようになってほしいということです。すべ ての物事を整理し、明確にするのは「ことば」です。ですから、授業、行事、委員会活動、部活動、すべての面で、 「ことば」でまとめることができると、「ことば」の力がつくと期待できます。「ことばの力」を高める第一歩は、「体験し たことをことばで表す」ということです。ですから、自分の行ったことを、必ず「ことば」にしてください。初めはひと言で も、やがて、文で表現できるようになってください。これが学力の基礎となります。 まとめます。 理性と情熱と友愛という学校の教育目標に向かって、今年は、「リスペクト大増」尊敬される大増中を合言 葉に、新しい10年、四40目に向けたセカンドステップの年として、 1 ことばを大切にしよう 2 ことばで学習がまとめられるようにしよう これを中学校入学のお祝いの言葉としてみなさんに贈ります。今日からいっしょにがんばっていきましょう。 さて、保護者の皆さま、本日の入学の喜びはひとしおであろうと想像いたします。お子様のご誕生から幼稚園・ 保育園への入園・卒園、小学校入学、そして、卒業。今また、中学校への入学と、日に日に成長するわが子 の姿は、親としての喜びであり、楽しみでもあろうと思います。今日からは中学生、つないだ手を離して、じっと様子 を見守っていってください。「手を離して、目を離さない」姿勢をお願いします。 20年ぶりに復刊された本、『父という余分なもの』の著者、京都大学学長の山極寿一先生は、次のようなこ とを述べられています。 「集団のために尽くしたいと思う心は、子供時代にすべてをなげうって育ててくれた親や隣人たちの記憶に支えら れている」という内容です。その記憶が私たちの代で途切れないように、すべてをなげうつ姿を、子どもたちの記 憶に刷り込んでまいりましょう。 中学生という精神的に難しい時期を、学校とともに共同で子育てをしていきましょう。そして、保護者の皆様、 地域の皆様、本校教職員と一致団結して、みなさんで立野小・大増中校区の子どもたちを将来の宝として育て ていきましょう。そのために、いつでも本校の職員にご相談ください。また、立野小学校の先生がたとも連携・協力 してまいります。そうして、地域の子どもたちの成長の支援ができればと考えています。どうかよろしくお願いいたしま す。 結びにあたり、本日ご多用のなか、ご臨席を賜りましたご来賓の皆様に、衷心より感謝と御礼を申し上げます。 先ほども申し上げましたが、今年度本校は三十二回目の春を迎えることができました。新しい10年、40年目 に向けて、セカンドステップを上ってまいります。そうした意味で、立野小学校にあって大増中学校になかった、 特別支援学級を、昨年度4月に引き続き、もうひと学級、4月当初から開設することとなりました。これも昨年同 様ですが、本校では、「個別支援学級」と呼んでまいります。こちらもセカンドステップであるととらえています。どう か今後とも大増中学校を地域の学校としてご支援賜りますようお願い申し上げ、式辞といたします。 平成27年4月8日 春日部市立大増中学校 校長 舩田年男 ※ 算用数字に書き換えた数字は、原文はすべて漢数字です。
© Copyright 2024 ExpyDoc