ICTを活用したスマート農業の実践

2015/10/27
平成27年度中間報告会
ICTを活用したスマート農業の実践
~先端技術を備えたスペシャリストの育成に向けて~
園芸科
平成27年9月30日(水)
阿部 由
現状
担い手の高齢化、新規就農者の不足
儲からない
天候に左右されるから、安定収入
を得られない
経験が浅く数年はうまくいかない
一人でやれるか不安
自営就農者、 農業法人への就職者、農業大学校への進学者の減少(H24 ,7%)
手段:ICTを活用したスマート農業
先端農業技術への興味・関心
誰もが取り組める農業と認識
3K(きつい・危険・汚い)イメージからの脱却
儲かる農業の実証
目標
自営就農者、 農業大学校への進学者、 農業法人への就職者を増やし(H28, 20%)
地域農業の担い手を育成する
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「三農連携(仮想農業法人)」
構成員
宮農生(仮想従業員)
農業大学校生(仮想経営者)
農園研研究員(仮想コンサルタント)
宮農
実験圃場 深町圃場 作物育苗ハウス
時
IT活用
期 平成27年5月~平成28年2月
IT活用
圃場
活動時間 授業時間・放課後
農園
研
大学
校
活動場所 宮農仮設農場管理室
ICTを活用した圃場管理
環境遠隔モニタリングシステム
定点カメラによるモニタリング
ICTを活用した指導(LINE)
IT活用
栽培管理およびデータ収集
宮農生
ITを活用した栽培管
理・収穫。
ICTを活用した農場経営(掲示板)
管理の振り返りおよび経営分析
農業大学校生
経営を意識した栽培
管理
経営判断・指示
農園研研究員
アドバイス
生産者と消費者の情報交流(クラウドシステム)
ICTを活用した圃場管理
ICTを活用した圃場管理
実験圃場 深町圃場
作物育苗ハウス(平面図)
%
hpa
g/m3
9m
klx
培養土(袋)、断熱材
℃
l
6.4m
■作目
:トマト(Mr.浅野の傑作、中玉トマト)
■作型
:4月~10月
主枝1本仕立て(長段栽培)
■栽培方法
:養液土耕栽培(バックカルチャー)
■栽植様式
:120苗(30袋×4苗)
■センシング技術(気象センサー類)
℃:温度、%:湿度、hpa:気圧
(g/m3:二酸化炭素)、Klx:照度、画像
l:肥料(液肥=10:5:8)、用水
■観察記録(作業実績、生育情報、
肥料・薬剤散布実績)
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平成27年度計画
平成27年度計画
農園研
農業大学校
宮農
消費者
~3月
栽培計画・経営計画立案、広報活動、アンケート実施
平成26年度
今年度の取り組みを知る
アンケート実施
先進地見学、資格習得
4~5月
経営判断・指示、データ収集・分析・発信、栽培・販売①
平成27年度
6月~7月
8月~9月
農産物の情報を知る
購入、商品開発、ニーズ発信
経営判断・指示、データ収集・分析・発信、栽培・販売①
農産物の情報を知る
評価・改善
購入、商品開発、ニーズ発信
経営判断・指示、データ収集・分析・発信、栽培・販売②
10月~11月
実需者
農産物の情報を知る
購入、商品開発、ニーズ発信
農産物の情報を知る
経営判断・指示、データ収集・分析・発信、栽培・販売②
購入、商品開発、ニーズ発信
評価・改善
12月~1月
栽培・経営評価、広報活動、アンケート実施
アンケート実施
三者会議の実施、評価・改善
2~3月
次年度の栽培計画・経営計画、広報活動
次年度の取り組みを知る
先進地見学、資格習得
生徒の評価基準
資 料 3 園 芸 科
園芸
2年
高品質な野菜栽培技術の習得
総合実習
学習内容
糖度10度のトマト生産
学習活動
学習活動における主な具体の評価規準
関心
思考
技術
野菜の栽培について 野菜の品種について 野菜栽培関する基礎的な知識を身に付けている。
○
○
病害虫や環境要因に関する基礎的な技術と知識を身に付けている。
○
○
栽培環境と野菜の
生育について
栽培環境と野菜の生育の関係に関する学習に意欲的に取り組んでい
る。
労働時間の調査
2年
総合実習
ICTを活用した栽培
管理支援技術につ
いて
さまざまな先端技術
について
技能テスト
整枝方法に関する基礎的な知識を身に付けて理解している。
園芸
環境制御について
小テスト レポート
病害虫・環境要因
野菜栽培に係る労働時間について,調査しまとめている
超結果 の分 析と まと
野菜経営について考え、経営改善を意欲的に取り組んでいる。
め
学習内容
評価方法
○
整枝方法
○
観察
観察
野 菜 の 肥 培 管 理 に 野 菜 の生 理機 能に 影響 をおよぼ す施 肥量 の違 いに ついて理 解してい
ついて
る。
野菜栽培の経営に
ついて
知識
○
小テスト
○
○
レポート
○
○
実習の成果物
ICを活用した栽培管理支援技術の習得
ICTを活用した環境制御ができる
学習活動
環境制御
学習活動における主な具体の評価規準
関心
思考
環境制御に関する基礎的な知識と技術を身に付けている。
環境制御機器の機
能
環境制御機器の役割について,理解している。
使用方法
ICT(情報通信技術)に関する基礎的な技術を身に付けている。
プログラム
環境要因がおよぼすトマトへの影響について考え、適切なプログラミン
グができる。
データ分析
データの収集・分析に関する基礎的な技術を身に付けている。
先端農業技術を活
用した管理・通常管
理
先端農業技術に関心をもち、通常の慣行農法との比較(育苗期・栄養成
長期・生殖成長期・収穫期)について意欲的に探求しようとしている。
技術
知識
○
○
○
○
○
○
評価方法
ノート
問答法
実技(使用方法
など)
○
実習の成果物
○
実技(使用方法
など)
ノート
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これまでの活動内容
栽培
生徒
(授業・放課後)
外部機関との連携
備考
2014年1月 トマト品種、栽培方法・栽
植様式検討
2月 品種選定
3月
2015年4月 播種(4/23)
5月 鉢上げ(5/7)
圃場整備
1・2年生対象
説明会実施
サーバー設置
6月 圃場整備
定植(6/30)
授業
放課後
気象センサー
カメラ等設置
予算確保
7月 芽かき、観察記録
寒冷紗設置
授業
放課後
データ収集
異常気象
高温
8月 芽かき、観察記録、試食
病害虫防除
授業
放課後
データ収集
異常気象
日照不足
9月 芽かき、観察記録、試食
病害虫防除
授業、放課後
アンケート実施
太陽光パネル変更
データ収集・分析
関東・東
北豪雨
トマトの播種・育苗
品種:Mr.浅野の傑作(中玉)
播種:4月23日
鉢上げ:5月7日
圃場整備
防草シート、培土、
誘因ワイヤー等設置
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定植・かん水準備
定植穴の作成
かん水チューブ・ドリッパー設置
定植
定植:6月30日(120苗)
管理作業・観察記録
寒冷紗の設置
誘因
観察記録
生育特性の説明
芽かきのやり方
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外部機関との連携
東北学院大学工学部による支援(ICT技術・システム構築)
・気象センサー:温度、湿度、気圧
照度、
・カメラ→画像
実験圃場・農場管理室への設置
気象センサー
WiFi中継用
アンテナ
6
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Own Cloud
Web access
https:miyanou.homeip.net/owncloud
http://www.miyanou.homeip.net/demo
圃場カメラ
画像・温度・湿度・気圧・照度
画像
ハウス内の
温度推移
湿度推移
7/1~
7/1
7/15
7/29
8/12
8/26
9/9
9/23
データ分析(タイムラプス画像)
開花~受粉と着果~肥大と着色
v300-3.mp4
*岩本先生より提供
7
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夏休み期間中、管理が行き届かず・・・
高温・多湿の環境条件が続き・・・
成長点枯死
病害虫発生
ハウス内の温度推移 7/1~
7/1
7/15
7/29
8/12
8/26
9/9
9/23
豪雨(9/10~11)→冠水→ネットワークダウン、病害発生
漏電→システムダウン
葉かび病発生
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自然エネルギー(太陽光パネル)の活用
反省
栽培について
×収量少ない→販売に至らず
・管理不十分(苗老化・繁茂)→病害虫発生
△生育不良(根張りが悪い)
・かん水量とタイミング、施肥量調節、温度管理
△その土地にあった栽培管理ができず
○生徒の学ぶ意欲が高まり、行動力が身についた。
ICT技術の活用について
×生徒間・職員間の情報共有不足
・理解・活用が進まず
×データの活用・発信ができず
・基礎となるデータがない、教材活用不十分
×外部機関に頼り切りになった
○新たな知識・技術の習得が、自分のスキルアップに
つながった。
アンケート~生徒編~
(文科省報告用)
Q1.授業や実習等に取り組む
意欲について
Q2.課題解決能力について
Q3.知識・技術の習得について
Ans)
全生徒が、そう思うorどちらかと
言えばそう思うと回答
Q4.職業観の変化について
Ans)
7割の生徒が、そう思うorどちら
かと言えばそう思うとか回答
3割が、どちらかと言えばそう思
わないと回答
三農連携について
×連携がまったくできなかった
・我々のノウハウを優先してしまい、経営評価や栽培技術等の指示を仰がなかった
9
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課題
今年度
・職員、生徒への周知、作業マニュアルの作成
→打合せ・勉強会の実施、作業の明確化(野菜栽培の基礎・基本の習得)
・生徒によるICT機器の活用(新たな知識・技術の習得)
・データ分析
→栽培のマニュアル化、教材化(生徒の分析力や課題解決能力の育成)
・消費者、農家への情報発信
→生産情報の提供
・ 農業園芸総合研究所・農業大学校との連携
→定期的な三農打合せ実施
・評価基準に添った授業展開とアンケート実施
・先進地見学
→農業生産法人株式会社GRA見学
来年度
・三農連携を生かし、多収・高品質・高糖度トマト生産とマニュアル化
→野菜栽培の基礎基本とICT技術の習得
→販売、情報発信
→将来の職業(農業)に対する意識を高める。
ご静聴ありがとうございました
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