P52 電力系統の過渡安定性向上のための VSGの慣性決定手法 ◎中山顕寛, 斎藤浩海(東北大学) 研究の背景 過渡安定性とは ・インバータ電源の系統連系量増加 ・電力系統に短時間で大きな擾乱が生じた際に、 発電機が脱調せずに運転できる能力 ・系統全体の過渡安定性の低下が懸念される ・CCT・・・脱調を起こさない限界の事故継続時間 研究の目的 短時間で大きな 擾乱の例 ・CCTが長いほど過渡安定性が良いと言える ・VSGの慣性を可変パラメータとする ・他の発電機の脱調を防ぐ最適な慣性を決定する 同期発電機の特性 慣性 VSG・・・同期発電機の特性を模擬 ・電気出力の変動に対する 回転速度の変化のしにくさ 𝟐𝑯𝑽𝑺𝑮 𝒅𝚫𝝎 = 𝐏𝒎 − 𝐏𝐞 = 𝚫𝐏𝐕𝐒𝐆 𝝎𝟎 𝒅𝒕 ・𝐻𝑉𝑆𝐺 ・・・VSGの慣性の値[s], 𝜔0 ・・・系統角周波数[s], Δ𝜔・・・VSGの基準角周波数からの偏差, ΔPVSG ・・・VSGの原動機入力𝑃𝑚 と電気出力𝑃𝑒 の差 同期化力 SG1 ・他の発電機と同期を保つ力 SG ・発電機が最も脱調しにくい値に設定 慣性と同期化力は過渡安定性に影響 シミュレーション結果 VSGの慣性とCCTの関係 検討内容 6.40 [ #5 Load A Load C 系統基準 容量 100[MVA] #4 3 SG3 2 0 0 0.5 1 72 時刻t[sec] 6 ・𝑯𝑽𝑺𝑮 = 𝟒. 𝟐𝟔[𝒔] (脱調せず) SG1(VSG) 5 4 SG2 3 SG3 2 1 0.5 1 1.5 CCT 2 2 4 6 8 10 VSGの慣性 HVSG[s] ・3台の発電機の加速度が一致するときCCTが最大となった 地絡中の等価回路から𝐻𝑉𝑆𝐺 の導出 #3 Island A #2 ・事故点によって発電機が分断 Island B #1 #3 条件式 3.01 [ #6 Load B 2 1.8 1.6 1.4 1.2 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 0 時刻t[sec] SG2 SG3 VSG 事故点 𝐻𝑉𝑆𝐺 𝛥𝑃𝑉𝑆𝐺 = 𝐻𝑆𝐺2 + 𝐻𝑆𝐺3 𝛥𝑃𝑆𝐺2 + Δ𝑃𝑆𝐺3 #4 =6.40 [ 2[p.u] 1.5 = j0.0576 VSG CCT[sec] 1 SG3 0.039+j0.170 B/2=j0.179 = 0.0119+j0.1008 B/2=j0.1045 0.017+j0.092 B/2=j0.079 SG2 0.010+j0.085 0.032+j0.161 B/2=j0.153 B/2=j0.88 0.0085+j0.072 B/2=j0.0745 j0.0586 SG2 0 ・CCTが最長となる 𝑉𝑆𝐺の慣性を求める #9 4 0 ・#4至近端送電線での 3相地絡事故をシミュレーション #8 ・𝑯𝑽𝑺𝑮 = 𝟏𝟎. 𝟎[𝒔] (脱調) SG1(VSG) 5 周波数変動Δf[Hz] ・#1・・・VSG ・#2,#3・・・SG (過渡リアクタンス背後電圧一定モデル) 周波数変動Δf[Hz] 系統構成 #2 j0.0625 #7 最適なVSGの慣性 𝐻𝑉𝑆𝐺 = 4.2[𝑠]付近 7 6 SG2 =3.01 [ 慣性可変 慣性可変 #1 まとめ ・インバータ電源をVSGとして連系することで過渡安定性 が向上 ・提案手法を用いて𝐻𝑉𝑆𝐺 を決定すれば、過渡安定性を 更に向上できる ・𝑯𝑽𝑺𝑮 = 𝟒. 𝟐𝟔 𝒔 ・シミュレーションの結果と一致 今後の課題 ・VSGモデルをインバータ制約を反映したモデルに変更 ・発電機の分断の仕方によっては、VSGの慣性調節 では脱調を防げない可能性あり
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