123 I-IMP SPECT が診断に有用であった中枢神経系原発悪性リンパ腫の一例 医療法人徳洲会 大垣徳洲会病院 伊東 徹 はじめに 中枢神経系原発悪性リンパ腫( Primary Central Nervous System Lymphoma 以下、PCNSL)の診断における、 I-IMP を用いた脳血流シンチ(以下、123I-IMP SPECT)の有用性について、これまでにも幾つか報告さ 123 れている。今回、123I-IMP SPECT が PCNSL の鑑別診断に有用であった一例を経験したので報告する。 SPECT 画像 4 時間後( Delayed image)と、24 時間後(Extla Delayed image)の画像で高集積を示した。 半定量的評価として、病変部(T) 、正常脳実質(N)のカウント比(T/N 比)を測定、 4時間後 T/N 比 1.3、24時間後 T/N 比 1.6 と明らかに高値を示しました。 考察 PCNSL は、原発性脳腫瘍の約3%で、前頭葉、側頭葉、小脳を中心に発症することが多く、25%~50%は多発 性病変として診断される。CT、MRI では周囲に強い浮腫像を認め、増殖する細胞が小さく、細胞密度が高いこ とから、拡散強調画像で高信号、ADC 値は低値となり ADC 値は低下する。 これまでの報告によれば、PCNSL 以外の脳腫瘍は、123I-IMP SPECT の Delay で正常脳皮質より低集積もし くは無集積(欠損像)を示すのに対し、PCNSL では病変部に一致して、正常皮質と同程度ないしは高集積を示 すことより、123I-IMP SPECT は、PCNSL と他の脳腫瘍との鑑別に特異的な検査とされており、PCNSL が有 する非特異的なアミン受容体へ IMP が結合すると考えられている。 今回の症例は、4 時間後、24 時間後ともに病変部は視覚的高集積を示した。また半定量的評価(T/N 比)におい ても 4 時間後で 1.3、24 時間後で 1.6 と明らかに高値を示し、これまでの報告や文献同様123I-IMP SPECT が PCNSL の診断に有用であることが確認できた症例であった。 しかし、123I-IMP SPECT における感度について、大脳半球の感度は高いが、3㎝以下の病変や後頭蓋下病変 は感度が低いと報告や、メラニン産生性の悪性黒色腫や、内分泌機能を有するカルチノイドでも同様のパターン を取ると報告されおり。今後も感度、特異度について検討が必要と考える。
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