国内新車販売統計(2015年5月)

調 査 速 報
浜銀総合研究所
調査部
産業調査室
2015.7.1
国内新車販売統計(2015年6月)
輸出腰折れで国内生産が年率900万台割れ:内需低迷も続き、過剰在庫の削減は途上
○国内新車需要は依然低迷している
・7月1日発表の6月の国内新車販売台数(登録車+軽自動車、貨物車含む)は前年同月比
2.2%減と6か月連続の前年割れとなった。
季調済年率換算値(X-12-ARIMA にて当社試算、
以下 SAAR)でみた6月の販売台数は前月比 1.3%増の 492 万台と微増となったが、昨年実
績の 530 万台を大きく下回る水準で、新車需要は依然低迷している(図表1)
。
・内訳をみると、6月の乗用車(登録車+軽)販売台数の SAAR は前月比 0.4%減の 411 万
台となった(図表2)
。このうち、登録乗用車は同 3.3%減の 269 万台と減少した。4月か
らのエコカー減税の基準厳格化が足かせとなり、販売水準は依然として低い(図表3)
。
・軽乗用車の販売も低迷が続いている。6月の軽乗用車販売台数の SAAR は前月比 5.4%増
の 141 万台と2か月連続で増加したものの、昨年度実績(176 万台)を大きく下回る水準
で低調である(図表4)
。軽自動車市場の苦境が続いている。
・貨物車(普通+小型トラック)販売台数の6月の SAAR は前月比 1.4%増の 43 万台と2か
月連続の増加となった(図表5)
。もっとも、販売台数には頭打ち感があり、3か月後方
移動平均値は3か月連続の減少となっている。都市圏の活発な建設投資を背景とした旺盛
な受注が続く一方で、東日本の復興関連投資に関わるトラック受注が減速し、足を引っ
張っている。
・後述するが、6月 29 日発表の5月の生産指数は厳しい内容であった。自動車メーカーは
乗用車の減産をし、在庫を減らしたが依然として過剰在庫を抱えた状況である。輸出の大
幅な減少が、在庫削減が遅々として進まないことの背景にある。
・また、中古車輸出台数(SAAR)も 2015 年に入ってから軟調に推移しているが、5月は前
月比で反転増加した。なかでも、高年式のハイブリッド中古車の主要輸出先である、スリ
ランカ向けの輸出が持ち直した。国内の中古ハイブリッド車の流通価格に影響を与える、
同国向け輸出市場の動向に今後も要注目である。
図表1 国内新車販売の SAAR は2か月連続で増加したが依然低水準
季調済、千台
7,000
新車販売台数(登録車+軽自動車、貨物車含む)
前年同月比、%
15年6月SAAR 492 万台
100
前月比+1.3%
80
6,500
6,000
60
5,500
40
5,000
20
4,500
0
4,000
-20
3,500
3,000
-40
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
前年同月比(右軸)
-60
2,500
-80
.
11
12
13
14
15
2010年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会より作成
1
図表2 乗用車販売は前月比微減
季調済、千台
6,500
乗用車新車販売台数(登録車+軽)
図表3 登録乗用車の販売が減少
前年同月比、%
15年6月SAAR 411万台
前月比▲0.4%
6,000
4,500
100
4,000
5,500
80
5,000
60
4,500
4,000
3,500
0
3,000
-20
2,500
1,500
80
3,000
40
20
2,500
20
2,000
0
1,500
-60
1,000
-80
500
-20
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
前年同月比(右軸)
-40
-60
.
11
12
13
14
15
2010年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 日本自動車販売協会連合会より作成
図表4 軽乗用車は2か月連続で増加も低水準続く
2,500
前年同月比、%
80
15年6月SAAR 141万台
前月比+5.4%
60
2,000
40
1,500
20
1,000
0
図表5 貨物車販売は減少トレンド続く
季調済、千台
500
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
前年同月比(右軸)
0
貨物車販売台数
前年同月比、%
100
450
80
400
60
350
40
15年6月SAAR 43万台
前月比+1.4% 20
300
500
100
15年6月SAAR 269万台
前月比▲3.3%
40
11
12
13
14
15
2010年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 日本自動車販売協会連合会及び全国軽自動車協会連合会より作成
軽乗用車販売台数
前年同月比、%
60
.
季調済、千台
3,000
登録乗用車新車販売台数
3,500
-40
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
前年同月比(右軸)
2,000
季調済、千台
120
250
-20
200
-40
150
.
0
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
-20
-40
.
11
12
13
14
15
2010年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 全国軽自動車協会連合会より作成
11
12
13
14
15
2010年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 日本自動車販売協会連合会より作成
2
○5月は乗用車在庫が減少したが依然過剰で、生産への下方圧力が強い状況続く
・5月の鉱工業指数(速報値)を見ると、完成車メーカーは乗用車の大幅な減産を行ったこ
とで在庫を減らすことができたものの、依然として過剰在庫を抱える状況が続いている。
・図表6をみると、乗用車(含む軽)の在庫指数(季調値)は前月比で減少した。もっとも、
同月の在庫率指数(原数値)の前年同月比は 33.2%上昇と大幅なプラスとなっており、在
庫は依然として過剰である。
・図表7∼9では鉱工業指数から、普通、小型、軽乗用車別の各指数(生産、出荷、在庫、
在庫率)の推移を示している。普通乗用車の在庫(季調値)は5月も適正水準にある一方、
小型乗用車と軽乗用車は前月比で減少したものの、依然として過剰在庫を抱えている状況
だ。5月の小型乗用車の在庫率指数(原数値)は前年同月比 74.3%上昇、軽乗用車も同
181.5%の上昇となっており、プラス幅は前月比で縮小しているものの、在庫には依然と
して過剰感があるのが判る。なかでも、軽乗用車の在庫過剰感が非常に強いことは引き続
き軽自動車メーカーの懸念材料である。
・なお、5月の国内新車販売(SAAR)が前月比で増加していたにも関わらず出荷が減少し
たのは、後述のように、輸出の大幅減が背景にある(図表 10)
。
図表6 乗用車在庫は減少したが依然過剰
図表7 普通乗用車在庫は適正水準を維持
鉱工業指数の推移:乗用車
前年同月比、%
鉱工業指数の推移:普通乗用車
在庫
積み上がり
100
前年同月比、%
100
在庫率(原数値)の前年同月比
50
在庫率(原数値)の前年同月比
50
在庫調整
0
0
-50
-50
季調済、2010年平均=100
140
季調済、2010年平均=100
120
120
100
100
80
80
60
60
生産
出荷
生産
出荷
在庫
在庫
40
.
.
40
2010年
2011
2012
2013
2014
2011
2012
2013
2010年
注: 赤いマーカーは各年の1月実績。
出所: 経済産業省「鉱工業指数」より浜銀総合研究所が作成
2015
注: 赤いマーカーは各年の1月実績。
出所: 経済産業省「鉱工業指数」より浜銀総合研究所が作成
3
2014
2015
図表8 小型乗用車在庫は減少したが過剰感続く
図表9 軽乗用車も減産続くが在庫は依然過剰
鉱工業指数の推移:小型乗用車
鉱工業指数の推移:軽乗用車
前年同月比、%
250
在庫率(原数値)の前年同月比
200
150
100
50
0
-50
-100
前年同月比、%
500
400
300
在庫率(原数値)の前年同月比
200
100
0
-100
季調済、2010年平均=100
200
季調済、2010年平均=100
400
生産
出荷
在庫
180
360
160
320
生産
出荷
在庫
280
140
240
120
200
100
160
80
120
60
80
40
.
.
40
2011
2012
2013
2010年
注: 赤いマーカーは各年の1月実績。
出所: 経済産業省「鉱工業指数」より浜銀総合研究所が作成
2014
2015
2011
2010年
2012
2013
2014
注: 赤いマーカーは各年の1月実績。
出所: 経済産業省「鉱工業指数」より浜銀総合研究所が作成
図表 10 5月の乗用車輸出は腰折れ
新車乗用車輸出台数:全国
季調済、千台
前年同月比、%
100
5,000
80
15年5月SAAR 328万台
前月比▲12.5%
4,500
60
40
4,000
20
0
3,500
-20
3,000
-40
-60
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
2,500
-80
-100
.
2,000
2010年
11
12
13
14
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: ノックダウンを除く。
注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
4
15
2015
○欧米向け新車乗用車の輸出が大幅に減少し、中国向けは底ばい圏から脱出できない
・国内の新車販売が低迷する中、国内生産を下支えする輸出においては、引き続き、欧米向
けの輸出が増えるかどうかと、在庫調整が続く中国向けの輸出が回復するかが鍵になって
いる。しかし、6月 29 日に公表された5月の乗用車輸出台数(軽乗用車と中古車を除く)
は SAAR で前月比 12.5%減の 328 万台と2か月連続の減少となった(図表 10)
。欧米向け
輸出の減少が続き、中国向け輸出は底ばいで推移している。豪州向け輸出が大きく減少し
たことも響いた。
・図表 11∼12 ではそれぞれ、米国向けと欧州向け(EU 圏 28 か国)の乗用車輸出台数の推
移を示している。5月は、米国向けと欧州向けの乗用車輸出台数(SAAR)がともに2か
月連続の減少となった。
・中国向け輸出も低迷が続いている。5月の中国向け乗用車輸出(SAAR)は前月比 0.3%増
の 11.2 万台となり、2月に底割れし大幅下落した水準から停滞が続いている(図表 13)
。
中国市場では日系自動車メーカーの販売が減速しており、過剰在庫を抱える大手メーカー
各社は、1∼3月に中国現地工場にて生産調整を行い、日本生産モデルの輸出も減らして
いた。4月末の中国国内の流通在庫は依然として過剰であったことから、4月以降も在庫
調整が続けられている可能性が高い。
・加えて、豪州向けの5月の乗用車輸出台数も前月比で大きく減少した(図表 14)
。欧米の
減少と中国の低迷に加え、豪州向けの大幅減も日本からの乗用車輸出の減少に拍車をかけ
た。
・欧米向け輸出動向を見通す上で気がかりなのは、米国と欧州の新車販売の動向である。5
月の米国新車販売台数(SAAR)は前月比で増加したが、米系完成車メーカーを中心に積
極販売が行われたことが背景にあり、楽観は禁物である(図表 15)
。一方、5月の欧州の
新車販売台数(SAAR)は2か月連続で減少し、腰折れ感が強まっている(図表 16)
。今後、
欧米での新車需要が停滞ないしは減退し続けると、円安であったとしても日本からの自動
車輸出を増やすことが困難になり、日本の国内生産を下押す要因として重くのしかかるこ
とになる。引き続き、欧米の新車販売及び輸出動向は要注意である。
図表 11 米国向け乗用車輸出が2か月連続の減少
米国向け新車乗用車輸出台数
季調済、千台
2,000
1,000
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
前年同月比、%
80
60
700
60
40
600
40
20
500
20
0
400
0
-20
300
-40
200
-60
100
-80
0
-20
15年5月SAAR 39.3万台
前月比▲6.1%
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
2010年
11
12
13
14
-40
-60
-80
.
.
.
0
EU圏(28か国)向け新車乗用車輸出台数
季調済、千台
800
前年同月比、%
80
15年5月SAAR 147.4万台
前月比▲5.6%
1,500
500
図表 12 EU 向け乗用車輸出も減少続く
15
2010年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: ノックダウンを除く。
注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
注1:
注2:
注3:
出所:
5
11
12
13
14
赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
ノックダウンを除く。
SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
財務省「貿易統計」より作成
15
図表 13 中国向け輸出は足踏みが続く
中国向け新車乗用車輸出台数
季調済、千台
400
図表 14 豪州向け輸出も大幅減
15年5月SAAR 11.2万台
前月比+0.3%
豪州向け新車乗用車輸出台数
季調済、千台
400
前年同月比、%
80
前年同月比、%
80
15年5月SAAR 27.8万台
前月比▲20.4%
60
350
40
300
40
250
20
250
20
200
0
200
0
150
-20
150
-20
-40
100
-60
50
-80
0
350
300
100
50
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
0
-40
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
-60
-80
.
.
2010年
11
12
13
14
2010年
15
11
12
13
図表 15 5月の米国新車販売(SAAR)は増加したが、楽観は禁物
米国新車販売台数
前年同月比、%
30
17
20
16
10
15
0
-10
14
15年5月SAAR 17.34百万台
前月比+3.9%
13
-20
12
-30
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
11
10
-40
-50
9
-60
.
08
09
10
11
12
13
14
15
2007年
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: Autodata、Bloombergのデータより作成
図表 16 欧州新車販売(SAAR)は2か月連続の減少で腰折れ感強まる
EU27か国乗用車新車登録台数
季調済、百万台
16
前年同月比、%
30
15年5月SAAR 13.03百万台
前月比▲3.0%
14
20
12
10
10
0
-10
8
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
6
4
-20
-30
.
2008年
09
10
14
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: ノックダウンを除く。
注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: ノックダウンを除く。
注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
季調済、百万台
18
60
11
12
13
14
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 欧州自動車工業会(ACEA)のデータより作成
6
15
15
○5月の中古乗用車輸出台数(SAAR)は反転増加
・中古乗用車の輸出市場は日本の自動車産業において数少ない高成長市場であり、新車
ディーラー含め、国内の自動車流通業者の多くが中古乗用車の輸出市場の動向に注目して
いる。その中古乗用車輸出市場も2月以降は軟調に推移している。5月の中古車輸出台数
(SAAR)は前月比 4.9%増の 101 万台と反転増加したが、ここ数か月の輸出台数には停滞
感がある(図表 17)
。
・同市場が注目されているのは、中古乗用車の輸出動向が、国内の中古車流通価格と新車販
売に影響を与えるからである。中古車輸出が減少すると、国内の中古車供給量が増加し、
国内流通価格の下押し要因となる。流通価格の下落は中古車下取り価格の下落に繋がり、
国内新車販売の足かせとなる。
・5月の中古乗用車輸出を仕向地別で見ると、ミャンマー向けが停滞している一方、ロシア、
アラブ首長国連邦、チリ、スリランカ向けが持ち直し、ニュージーランド向けが堅調に増
加している(図表 18)
。
・2014 年まで堅調に台数を伸ばしていたミャンマーでは、15 年1月、渋滞解消を目指すヤ
ンゴン管区政府が自動車を輸入する際に「車庫証明」を提出させる規制を発令した。ヤン
ゴン市民の多くが駐車場を保有していないため、今回の規制は自動車輸入に大きく影響し、
これが日本からミャンマーへの中古車輸出が大きく減少したことの背景にある。中古車流
通業者は、首都ヤンゴンから同国第2の都市マンダレーへと販売地域を拡大する動きを進
めているが、ミャンマー向けの輸出が本格回復するまでには長い時間を要すると考えられ
る。
・高年式ハイブリッド車の主要輸出先として、業界関係者から将来の高成長が期待されてい
るスリランカ向けの輸出台数は、2015 年に入ってから軟調に推移していたが、5月の輸出
台数は反転増加した(図表 19)
。15 年1月 30 日にハイブリッド中古車の輸入関税を引き
上げた影響で、同国向け輸出台数は減少が続いていた。もっとも、最近の業界関係者への
取材によると、スリランカでの中古ハイブリッド車の需要は引き続き堅調なようで、現地
港湾ヤードでの在庫減少に伴い、高年式の中古ハイブリッド車(一部の軽自動車モデルも
含む)の引き合いが足元で持ち直している、という声が聞かれてきた。このような動きが
5月の輸出統計に現れた可能性が高い。スリランカ向けのハイブリッド中古車の輸出増加
は、日本国内のハイブリッド中古車の流通価格の下支えとなり、新車販売に影響を与える
ことから、今後も同国向け中古車輸出の動向に注意していきたい。
7
図表 17 5月の中古乗用車輸出台数は反転増加
中古乗用車輸出台数の推移
季調済、万台
140
前年同月比、%
80
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
前年同月比(右軸)
120
60
100
40
80
20
60
0
15年5月 SAAR 101万台
3か月後方移動平均値 100万台
40
10年 67.3万台
前年比+33.3%
20
11年 70.0万台
前年比+4.1%
12年 83.1万台
前年比+18.7%
13年 94.8万台
前年比+14.1%
-20
14年 106.0万台
前年比+11.8%
-40
0
-60
.
2010年
11
12
13
14
15
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAを用いて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
図表 18 ミャンマー向け輸出が低調だが、ロシア向けが持ち直しの兆し。ニュージーランド向けも堅調
季調済、万台
25
仕向地別中古乗用車輸出台数の推移
ロシア(15年5月SAAR 5.6万台)
ミャンマー(9.3万台)
チリ(7.1万台)
スリランカ(5.0万台)
ニュージーランド(11.8万台)
アラブ首長国連邦(8.2万台)
アフリカ南部・東部6か国(18.5万台)
20
15
10
5
0
.
注1:
注2:
注3:
出所:
11
12
13
14
15
2010年
赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
アフリカ南部3か国:南アフリカ、モザンビーク、ザンビア、東部3か国:ケニア・タンザニア・ウガンダ。
SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAを用いて浜銀総合研究所が試算。
財務省「貿易統計」より作成
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図表 19 スリランカ向け輸出が反転増加
季調済、千台
80
スリランカ向け中古乗用車輸出台数とFOB平均価格の推移
15年5月 SAAR 5.0万台
前月比+13.7%
FOB平均価格(右軸)
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
70
千円/台
2,500
2,000
60
50
1,500
40
1,000
30
20
500
10
0
0
.
2010年
11
12
13
14
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAを用いて浜銀総合研究所が試算。
出所: 財務省「貿易統計」より作成
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○5月の国内生産は年率 900 万台を割り込んだ
・5月の国内自動車生産台数(SAAR)は前月比 1.8%減の 888 万台となり、900 万台を割り
込む水準にまで落ち込んだ(図表 20)
。前述のように、足元の過剰在庫を減らすため、自
動車メーカーは引き続き在庫調整をする必要がある。国内生産に対する下方圧力が強い状
況が継続するため、国内生産が現在の水準から大きく回復することは想定しがたい。
・なお、当社は今年度の国内販売台数を前期比 7.9%減の 487 万台と予想している。上期は
エコカー減税の基準厳格化と軽自動車増税が、下期は車検対象車両が大幅に減少すること
が、国内販売の足かせとなるとみている。今年度に入って4∼6月実績の新車販売台数の
平均 SAAR は 479 万台となった。今年度はまだ始まったばかりではあるが、足元の低調な
販売が今後も継続し、輸出も低迷していることから、年度ベースで国内生産が 900 万台を
割り込む可能性はあると考えている。
・円安を背景とした自動車生産の「国内回帰」を期待する声が散見されるが、その期待とは
裏腹に当面、自動車生産の低迷が続く可能性が高い。自動車関連企業においては、客先か
らの受注変動に柔軟に対応できるような高効率・省人化生産設備を整えることや、海外進
出の検討を継続することで、
「国内空洞化」の進展への対抗策を講じていくことが重要で
ある。
図表 20 5月の国内生産(SAAR)は年率 900 万台を割り込んだ
国内四輪車生産台数
季調済、千台
11,500
11,000
10,500
前年同月比、%
100
15年5月SAAR 888万台
80
前月比▲1.8%
60
10,000
40
9,500
20
9,000
0
8,500
-20
8,000
季節調整済年率換算値:SAAR(左軸)
7,500
前年同月比(右軸)
-40
SAARの3か月後方移動平均値(左軸)
-60
7,000
-80
.
2010年
11
12
13
14
15
注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。
注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。
出所: 日本自動車工業会のデータより作成
担当:調査部 産業調査室 深尾三四郎
TEL 045−225−2375
E-mail: [email protected]
本レポートの目的は情報の提供であり、売買の勧誘ではありません。本レポートに記載されている情報は、浜銀総合研究所・調査部が
信頼できると考える情報源に基づいたものですが、その正確性、完全性を保証するものではありません。
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