リハビリテーション科 1 診療体制 (1) 外来の状況 リハビリテーション科では西多摩地域唯一の第 3 次救急病院リハビリテーション(以下リハ)部門としての機能 を果たすため、入院患者を中心にリハを行っている。通院リハとしては、当院入院中にリハを実施し自宅退院した、 整形外科疾患患者、脳卒中片麻痺患者等で外来継続リハが必要な患者のみ行っている。そのため通院リハを希望さ れるその他の患者には、地域連携室を通して近隣のリハビリテーション専門病院や、介護保険を利用した通所リハ を御紹介している。 (2) 病棟の状況 第 3 次救急病院のリハ部門として必要とされる、在院日数の短縮、リハ治療の方向性の決定を目的とした急性期 リハ評価・訓練を集中的に行なっている。診療科に関わらず依頼があれば早期からリハを実施しており、廃用症候 群予防目的のリハも積極的に行っている。今年度は毎日平均 88 人の入院患者がリハの対象となり、評価・訓練を 施行した。 2 診療スタッフ 部長 髙 橋 眞 冬(医 師) (平成 22.10.1~) (神経内科部長兼務) 科長 堀 家 春 樹(理学療法士) (昭和 62.4.1~) 主査 高 田 譲 二(理学療法士) (平成 6.4.1~) 主査 高 橋 信 雄(作業療法士) (平成 14.4.1~) 主任 寺 沢 陽 子(作業療法士) (平成 10.3.1~) 主任 村 井 和歌子(言語聴覚士) (平成 15.4.1~) 渡 辺 友 理(理学療法士) (平成 19.4.1~) 山 田 綾(理学療法士) (平成 15.4.1~) 野 邑 奈 示(言語聴覚士) (平成 25.5.1~) 3 診療内容 平成 26 年度に当院受診し、リハ科に依頼があった患者は 1,142 人(前年度に比べて 79 人増) 。年度毎の科別入院新 患数(訓練実施)を表1に、疾患別入院新患数を表2に示す。リハ対象患者は大部分が院内入院患者で、その疾患内 訳は脳血管障害等 442 人(前年度 346 人) 、脊髄損傷 25 人(同 19 人) 、神経筋疾患 39 人(同 33 人) 、骨関節疾患 258 人(同 269 人) 、呼吸・循環器疾患 196 人(同 201 人) 、切断 1 人(同 7 人) 、その他 181 人(同 188 人)と、全体の中 で脳血管障害等が 39%、整形疾患が 25%を占めた。また全体数として内科・外科系における廃用症候群関連の患者数 はいまだ多い。 表 1 診療科別入院新患数一覧(訓練実施) 24 年度 脳 神 経 外 内 25 年度 26 年度 科 139 164 189 科 352 388 359 神 経 内 科 140 168 229 整 形 外 科 278 266 251 他 86 77 114 995 1,063 1,142 そ の 合 計 注)内科は神経内科以外の内科系全般 -78- 表 2 疾患別入院新患数一覧(訓練実施) 23 年度 脳 血 脊 管 障 髄 損 24 年度 25 年度 害 271 346 442 傷 16 19 25 神 経 筋 疾 患 34 33 39 骨 関 節 疾 患 293 269 258 患 181 201 196 断 7 7 1 他 193 188 181 呼 吸 ・ 循 環 器 切 そ の 疾 注 1)脳血管障害は頭部外傷・脳炎等を含む 注 2)脊髄損傷は外傷性以外を含む 注 3)呼吸・循環器疾患は肺炎等を含む 4 1 年間の経過と今後の目標 各診療科において高齢患者や重症患者が多数を占める昨今、入院期間の短縮を進めていくため、身体機能・ADL・ 摂食嚥下機能の機能評価・機能改善をリハに求める傾向は年々強まっている。平成 26 年度においては脳血管障害の患 者数が著増する一方、呼吸・循環器系疾患患者や外科手術後患者、精神疾患を合併している患者の嚥下評価・訓練依 頼や ADL アップ目的での廃用症候群の訓練依頼もかなりの数を占めていた。廃用症候群予防目的での訓練依頼は非常 に増加しているが、今年度の診療報酬改定において廃用症候群に対するリハの報酬が大きく引き下げられたためリハ 科としての収益は微減となった。現在のスタッフ数で安定的な収益を維持しながら患者の安全を考慮したリハを施行 していくため、訓練頻度の調整や自主訓練指導、病棟レベルでの訓練を増やすなどの対策も平行して行っている。 褥瘡・摂食機能・呼吸ケア・緩和ケア等各チーム医療への参加の求めに対しては、少ないスタッフではあるが可能 な限り参加を促し医療水準の維持向上を心がけている。しかし現段階ではまだ十分に対応しきれていない状況となっ ており、各診療科の先生方、病棟のご理解をお願いしたい。 入院期間の限られた中で効果的なリハを行うため、週 1 回南1病棟(脳外科・神経内科)入院患者のカンファレン スを脳神経外科、神経内科医師、病棟師長、担当看護師の参加で、また隔週で南 2 病棟入院患者について整形外科医 師、病棟師長、担当看護師参加で、その他の病棟の入院患者についても各病棟担当看護師の参加を得て週 1 回カンフ ァレンスを実施している。カンファレンスには必ずソーシャルワーカーに参加をお願いして、入院期間の短縮を目指 すと共に、転院先の中心となる西多摩地域の医療機関との医療連携を強め、患者に有益な継続的リハビリテーション を行える様努力している。それ以外にも在宅調整看護師との連携を強め、当院から自宅退院される患者やその御家族 の QOL がなるべく良好になるよう努力している。 患者の機能的予後を予測し最終的な帰結を判断・左右するリハビリテーションは、当院のような重症患者を多く診 療している急性期病院においては在院日数の短縮を進める上で重要な位置を占めるものである。今後更に急性期医療 に貢献できるリハを推し進めていくには、病棟における活動も強める必要がありマンパワーの充実は不可欠である。 幸い次年度から理学療法士・作業療法士各 1 名が増員となったため、廃用症候群予防や ADL アップ、そしてリハ自体 の質的改善も図れるものと考えている。各診療科の医師、病棟、ソーシャルワーカー、その他医療関係スタッフと更 なる連携を保ち、西多摩地域の第 3 次救急病院として最大のリハ効果が得られるよう今後も努力していきたい。 -79- BSC 部 署 名 リハビリテーション科 ミッション 全人間的復権という理念のもと、当院の特性に合わせたリハビリテーションを提供する 理 念 運 営 方 針 患者(家族)満足と医療の質の向上 項 目 戦略的 目 標 主な成果 25 年度 26 年度 実 績 目 標 指 標 233 件 増加 MSW との連携 ケースカンファレンス定期開催 1件 0件 患者リスクの確認 0件 0件 0件 接遇、目標のわかりやすい設定 家族への協力依頼 0件 リハ各部門収益改善 各部門別収支計算 4.3%↑ 増加 外来クラークによる収支計算 1.3%↓ 対応件数の増加 1.6%↑ 増加 評価を中心に実施 次の施設への連絡 2.3%↑ → → 部門システム入力内容変更 入力フォーマット改善 → → → 訓練スケジュールの入力 訓練スケジュールの周知 → 27 回 → 参加しやすい環境作り 研修会等への参加促進 30 回 スキルアップへの促し 研修会等への参加促進 0件 リハ帰結の向上 回復期病院転院数 顧 客 の 患者満足 事故の防止 発生件数(レベル 3 以上) 視 点 の向上 リハに対する意欲 中止件数 の向上 経 営 の リハ収益 視 点 の安定 対応件数 記録・サマリーの入力 カルテ入力時間低減 内部プロセス 業務効率 効率化 の 視 点化 訓練時間の円滑化 訓練スケジュール作成 学会・研修会への 研修・講習・学会等 参加数 学 習 と 成 長 学校環境 参加促進 の 視 点 作り 関連資格の取得 関連資格取得数 0 件 0~1 件 1日平均外来患者数(リハビリテーション科) 110 26 年度 実 績 基本的手順 268 件 1日平均入院患者数(リハビリテーション科) 24年度 25年度 26年度 人 24年度 25年度 26年度 人 10 105 100 95 90 88.9 87.0 84.8 85 5 80 75 70 65 60 0 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 0.0 3月 平均 4 5 6 外来患者1人1日当たり収益(リハビリテーション科) 90 8 9 10 11 12 1 2 3 月 平均 入院患者1人1日当たり収益(リハビリテーション科) 24年度 25年度 26年度 円 7 10,000 24年度 25年度 26年度 円 9,000 80 8,000 70 7,000 60 58 6,000 50 5,000 40 40 4,000 34 30 3,000 20 2,000 10 1,000 0 0 4 人 800 700 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 月 平均 運動器リハビリ 24年度 25年度 26年度 0.0 4 -80- 1,800 1,600 人 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3月 平均 脳血管リハビリ 24年度 25年度 26年度 4,000 34 30 3,000 20 2,000 10 1,000 0 0 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 4 運動器リハビリ 人 0.0 3 月 平均 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3月 平均 脳血管リハビリ 人 24年度 25年度 26年度 800 5 24年度 25年度 26年度 1,800 700 1,600 600 1,400 1,385.5 1,330.0 505.7 500 400 1,222.1 1,200 439.9 411.6 1,000 300 200 800 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 月平均 4 呼吸器リハビリ 人 24年度 25年度 26年度 50 40 30 20.6 20 12.9 10 6.7 0 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 月 平均 -81- 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 月平均
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