28SJ-am11 硫酸マグネシウムの瀉下作用における腸管アクアポリンの役割の検討 ◯馬場 弘太 1 , 宇敷 隆 1 , 工藤 敏之 1 , 戸田 雄大 1 , 五十嵐 信智 1 , 伊藤 清美 1 , 1 1 落合 和 1 , 杉山 清( 星薬大) 【目的】硫酸マグネシウム(MgSO 4 )は、腸管内の浸透圧を上昇させることで水 分の吸収を妨げ、腸内容物を軟化・容積を増加させることにより瀉下作用を引き 起こす。我々はこれまでに、in vitro実験において腸管における水の分泌・吸収を 担う水チャネルであるアクアポリン3(AQP3)の発現をMgSO 4 が増加させ、この 増加がMgSO 4 による瀉下作用の一端を担っている可能性を示した。本研究では、 MgSO 4 をラットに投与し、下痢を生じた際の大腸におけるAQP発現量と糞中水分 量の関係を調べることにより、MgSO 4 の瀉下作用におけるAQPの役割を検討した。 【方法】Wistar系ラットにMgSO 4 (2g/kg) を経口投与した。MgSO 4 投与 2、5、8 時間後のラットから腸管を摘出し、AQP3 のタンパク質発現をWestern blotting法 により定量した。なお、MgSO 4 投与 8 時間後まで経時的に糞を採取し、糞便湿重 量および乾燥重量から糞中水分量を算出した。 【結果・考察】MgSO 4 を経口投与したラットの糞中水分量は経時的に増加し、投 与 4 時間後から 8 時間後においては重度の下痢が認められた。また、大腸におい て強く発現しているAQP3 のタンパク発現量はMgSO 4 投与後、経時的に増加し、 投与 8 時間後では投与直後に比べ約 8 倍有意に増加した。本研究の結果から、 MgSO 4 の瀉下作用が単に腸管内の浸透圧の変化のみでもたらされるものではなく、 AQPの発現変化も伴って極めて合理的に生じている可能性が示唆された。 R R R R
© Copyright 2025 ExpyDoc