オゾン層観測装置JEM/SMILESが分光関係者に残し

第 211 回 物理学教室セミナー
日本物理学会北陸支部特別講演会
日時: 2015 年 12 月 17 日(木) 15:15~16:15
場所: 富山大学理学部 多目的ホール(B243)
講演者:
尾関 博之 先生(東邦大学理学部生命圏環境科学科・教授)
タイトル:
オゾン層観測装置 JEM/SMILES が分光関係者に残した宿題
講演要旨:
2009 年に JAXA の新型ロケット HIIB で国際宇宙ステーションに運ばれた
JEM/SMILES (国際宇宙ステーション搭載 超伝導リム放射サウンダー)は
同年 10 月から翌 2010 年 4 月までオゾン層の観測を行いました。当初予定の 1
年間の運用は残念ながら叶いませんでしたが、7 か月の運用中に得られたデータ
は、それでも成層圏オゾンの新しい姿を我々に垣間見せてくれました。これは
大気観測衛星としては世界初の超伝導技術を用いた高感度観測の賜物なのです
が、かつてない信号雑音比で大気成分の放射スペクトルが得られたばかりに、
そのデータ解析には新たな問題をもちこんでしまうことにもなりました。
JEM/SMILES は本観測後の後期運用期間を経て 2015 年の 9 月にこうのとり 5
号機の帰路便に搭載され、大気圏で燃え尽き、観測機器としてのミッションは
全て終了しました。しかし観測データの解析作業はいまだに続いています。
本講演ではあしかけ 16 年に及んだ JEM/SMILES ミッションの概要を御紹介
するとともに、衛星観測データの解析(リトリバル)における分光学の役割と、
JEM/SMILES が我々に突き付けた問題点-宿題-についてお話ししたいと思
います。
世話人: 小林 かおり、柿崎 充(富山大学大学院理工学研究部)