東京たま広域資源循環組合に係る措置請求についての意見陳述 伊藤 久雄 府中市若松町 2-17-17 川田 敏雄 府中市府中町 2-20-5 1.請求の趣旨について (別紙請求書のとおり) 2.情報公開条例が未制定であることについて 東京たま広域資源循環組合(以下、組合といいます)は情報公開条例が未制定です。 平成 15 年第 2 回東京都三多摩地域廃棄物広域処分組合議会定例会会議録には次のような 管理者(土屋正忠氏、当時武蔵野市長、現衆議院議員)の答弁が記載されています。 管理者答弁 一般的な意味の情報公開やそういうことは検討するけれども、こういう組織的、体 系的、継続的な妨害行動が続く限り、私が管理者をやっている限り、条例制定をする 考え方はありません。 このような当時の対応の是非はここでは触れません。しかし、その当時から今日まで 12 年ほども経過しているにもかかわらず、いまだに制定されておりません。したがって、請 求の趣旨にあるような組合の対応が繰り返されています。もちろん、条例が制定されてい ないからといっても、情報を公開することは可能であり、むしろ積極的に情報を公開すべ きです。しかし残念ながら組合の対応は、「未制定だから公開できない」の一点張りです。 また、平成 27 年 2 月 20 日 27 年第 1 回組合議会定例会が開催されていますが、いまだに 会議録は未公開です。組合のホームページ(組合議会)には、「会議の内容については、定 例会終了から約 1 ヵ月半後に会議録を作成し、掲載しています。」とあり、かつてはそのよ うに会議録を掲載していますが、今回だけはどういうわけか 3 か月以上経過しているにも かかわらず未掲載です。きわめて遺憾に思います。 3.基本協定および契約が公開されていないこと 組合のエコセメントプラントはDBO方式というPFIに1方式で運営されています。 DBO 方式(Design Build Operate)とは、組合が「施設整備資金を調達し、民間事業者に 施設整備業務及び複数年にわたる運転管理業務の実施を一括して委ねる」方式です。 平成 15 年第 2 回組合議会定例会会議録における管理者報告(管理者、土屋正忠氏)を みますと次のような記載があります。 次に、エコセメント事業についてでありますが、エコセメント事業につきましては、 太平洋・荏原建設JVとの間で施設建設請負契約を、また東京たまエコセメント株式 会社との間で運営委託契約をそれぞれ締結し、稼働に向けて準備を進めているわけで ありますが、併せてシンボルマークを「エコタロー」と命名し、プレス発表をいたし ました。 そして組合は、平成 15 年 6 月 6 日に基本協定を、同年 7 月 31 日には 「多摩地域廃棄物 エコセメント化施設整備運営事業に係る施設建設工事請負契約」および「施設運営業務委 託契約」の調印式が行われています。基本協定を締結した当時、組合はホームページで次 のような報告をしています。 基本協定を締結した相手方(事業者) 《施設整備事業者・特別目的会社株主》 太平洋セメント株式会社・株式会社荏原製作所 《運営事業者》 東京たまエコセメント株式会社 ※「東京たまエコセメント株式会社」は、太平洋セメント株式会社と株式会社荏原製作 所の出資による特別目的会社(SPC)です。 支払予定金額 約 763 億 6,900 万円(消費税を含まない)のうち 建設請負 258 億 9,000 万円 運営業務委託 約 504 億 7,900 万円 (平成 18 年 4 月~38 年 3 月の 20 年間) ただし、先ほども述べましたが、基本協定書や「多摩地域廃棄物エコセメント化施設整 備運営事業に係る施設建設工事請負契約」については、公開されていません。そこで、太 平洋セメント株式会社の当時のニュースリリースをみますと、次のような記載があります。 太平洋セメント株式会社ニュースリリース(平成 15 年 7 月 31 日、多摩地域廃棄物エコ セメント化施設整備運営事業を正式受注) エコセメントプラントの運営受託事業 (1)概要 「東京たまエコセメント(株)」が施設運転・維持管理・原燃料副資材調達・ エコセメント販売等の運営業務の一切を20年間に亘り受託します。その他、弊社 グループ各社が施設の修繕、エコセメント販売等の業務について協力していきます。 (2)運営会社概要 商号 : 東京たまエコセメント株式会社 本店 : 東京都西多摩郡日の出町 資本金 : 1千万円(弊社90%、荏原社10%) 代表 : 尾花 博(太平洋セメント 東京三多摩エコセメントプロジェクト部長) 事業年度 : 2006 年度(平成 18 年度)?2025 年度(平成 37 年度) (3)売上規模(税込) 東京たまエコセメント(株) : 運営業務受託費 26.5 億円×20 年=530億円 弊社及びグループ会社 : 修繕、エコセメント販売、原料販売、ライセンス収入等 約 20 億円(見込み)×20 年=約400億円 なお、組合の「エコセメント事業実施計画(平成 14 年7月)によれば、「運営業務受 託費にはエコセメント売却益を含む」ものとされていますが、平成 25 年度組合決算書の 歳入(雑入)には、エコセメント売払収入として、76,980,656 円の記載があります。こ の 76,980,656 円は年間のエコセメントの売上金と想定されます。 私たちが問題にする重金属売却益については、太平洋セメント株式会社のホームペー ジにはその後の記載がないと思われますし、組合の「エコセメント事業実施計画」には 「重金属回収」の記載はありますが、売却に関しては一切の記載がありません。ただし、 多摩川衛生組合の 25 年度、26 年度収入から類推すると、その数倍になることは確実です (ただし多摩川衛生組合の重金属売却のあり方には疑問があります) 。 また、組合は今年 2 月の第 1 回定例会における質疑で、「年間の重金属回収は約 1600 トン」と答弁したと聞きますが、先述したように会議録はいまだ掲載されず、ここに確 かな情報として示すことはできません。私たちは、この住民監査請求の監査結果がでる までは掲載しないのではないかと考えざるをえません。組合には、ホームページへの記 載、情報公開が遅れている理由を明確にすることを求めます。 4.東京たまエコセメント株式会社 東京たまエコセメント株式会社は、先述したように資本金:1千万円(太平洋90%、 荏原10%)でスタートしましたが、現在は 4 億 2195 億円(8439 株)にまで増資されて います。会社の「現在事項全部証明書」によれば、取締役として 7 人、監査役として 1 人の氏名が記載されており、Web上の調査によれば、うち代表取締役は市原エコセメ ントから、取締役のうち 3 人は太平洋セメントからの派遣だと考えられます。 しかし、東京たまエコセメント株式会社はその事業目的や役員に関する情報、財務情 報等、一切の情報は非公開です。つまりWeb上の情報はありません。企業のコンプラ イアンスや企業の社会的責任(CSR)が重要されている今日の日本において、一切の情報 が公開されていないことは不可解としかいいようがありません。 東京たまエコセメント株式会社は、平成 21 年 10 月 16 日の組合と会社の共同ニュー スリリースによれば、平成 21 年度の「循環型社会形成推進功労者等環境大臣表彰」を 受賞しています。その受賞の理由(功績)は次のように述べられています。 東京たまエコセメント化施設の運転維持管理業務を通じて、多摩地域 25 市 1 町か ら排出されたごみ焼却灰の全量をエコセメント原料として再利用することによって、 最終処分場の延命化を実現し、循環型社会形成に貢献しています。 仮にこのような優良な企業であるなら、 「現在事項全部証明書」には記載されない財務 情報もふくめてできる限りの情報を公開し、社会的責任を果たすべきだと思います。 5.現在の委託料と説明責任について 平成 25 年度の決算書からエコセメント事業費をみますと、 委託料として 4,916,657,000 円が記載されています。そのうち施設運営業務委託料は 4,689,475,713 円になっていま す。これは基本協定書にあげられた年間委託料約 26 億 5000 万円(約 504 億 7,900 万円 ÷20 年×1.05)の約 1.8 倍にあたります。 基本協定は 20 年、契約は 1 年ごとになるでしょうが、 なぜこのような金額になるのか、 明確に説明されなければなりません。東京新聞の 6 月 3 日付け多摩版によれば、組合の 担当者は「金属産物については契約に基づいて適切に処理されている」と説明したとさ れています。その説明のとおりだとすれば、契約には金属産物の売却代金が記載されて いなければなりません。施設運営業務委託契約の公開と金属産物売却に関する情報の公 開を求めます。 なお組合は、平成 18 年度の稼働以来、東京たまエコセメント株式会社に対するモニタ リングや検証をどのように実施し、どのような結果であったかについても情報を公開す る必要があります。繰り返しになりますが、それは情報公開条例を制定以前の問題であ り、年間 93 億 3000 万円(平成 25 年度決算)もの負担(その約半分がエコセメント化施 設の運転維持管理業務になります)を行っている 25 市 1 町とその市民、町民に対する義 務であると考えます。
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