STAFF LECTURE - BSC Japan 矯正歯科研究会

第2日
STAFF LECTURE (スタッフ口演)
成田 真冬
9:40∼10:20
STAFF LECTURE
有賀 菜恵
東京 ふなき矯正歯科
石渡 里沙子、山本 舞子、舩木 誠子、舩木 純三
■ 略歴
2012年 3 月
同年 4 月
■ 略歴
2013年 7 月
2014年4月
鶴見大学短期大学部 歯科衛生科 卒業
ふなき矯正歯科 勤務 現在に至る
スマイル時に口角の左右差が認められた
動的矯正治療終了患者のスマイルトレーニングについて
【目的】
当院では、動的矯正治療終了者の中で希望により、スマイルトレーニングを行っている。今回、スマ
イル時の口元の左右差の改善を希望した動的矯正治療終了患者にトレーニングを行い、良好な結果と若
干の知見を得たので、ここに報告する。
【内容】
調査対象は、当院で動的矯正治療終了後、視覚的に明らかに口角の左右差があり、改善を希望した患
者 17 名(男性 5 名、女性 12 名)で、平均年齢 29 歳 2 ヶ月(最小 16 歳 2 ヶ月、最大 48 歳 3 ヶ月)、口
角の左側が下がっている患者 9 名、右側が下がっている患者が 8 名だった。
左
表情筋の麻痺の患者、およびスマイルトレーニング前に骨格性の顎偏位および
右差のある患者は除外した。
トレーニング方法は、個々に差はあるものの主に下がった側の口角を人差し指で押し上げ、その後、
指なしでトレーニングを行った。トレーニング期間は平均 5.8 ヶ月(最小 1 ヶ月、最大 15 ヶ月)だった。
調査資料は、スマイルトレーニング開始前と終了時に撮影した中程度のスマイル(ハーフスマイル)
正貌写真計 34 枚を用いた。
計測方法は、左右の内側眼瞼点を結んだ直線に左右の口角から垂線を降ろし、この長さの比率を求め
てトレーニング前後の変化量を比較検討した。
【結論】
スマイルトレーニング後、すべての患者で改善を認め、口角の左右差に有意(P<0.01)の変化をみた。
男性(P<0.05)と女性(P<0.01)共に有意に改善をみたが、男女間に有意差を認めなかった。
一方、トレーニング期間が 6 ヶ月未満(P<0.05)と 6 ヶ月以上(P<0.01)共に有意に改善し、期間の
長短による有意差は認めなかった。また、30 歳未満(P<0.01)、30 歳以上(P<0.05)共に有意に改善し
ていた。
これらのことより、口角の左右差に対する当院のスマイルトレーニングは治療期間に個人差があった
ものの、性別、年齢に関係無く極めて有効であることが示唆された。
第2日
スタッフ口演
9:40∼10:20
東京 DIO 文野矯正歯科
DIO 文野矯正歯科 勤務
新宿鍼
柔整歯科衛生専門学校 入学
プラークコントロールと食事について
矯正治療中にプラークコントロールは必須である。私達は、個々の患者さんに則した口腔衛
生ケアを心がけ、歯磨き指導を行っている。しかし中には、私達だけでなく患者さんも一生懸
命磨いているのに、なかなか状態の改善しない人がいる。当院では、そのような患者さんを対
象に食生活に関して詳しく聞き取り調査を行った。
その結果、まず驚いたのが、
「微糖」や「低糖」なら、歯に悪くないと思っている人が多かっ
たことである。喉が渇いた時に何を飲むかときいたところ、お茶や水以外のペットボトル飲料
を好んで飲んでいたことがわかった。このような人は、おやつをダラダラ食べていなくても、
歯の脱灰が広範囲に見られ、唾液の粘調性が高い。歯垢が何層にも蓄積されているため、一度
染め出しを行ってきれいにしても最表層の歯垢が落ちただけで、もう一度染め出しを行うと、
次の層の歯垢でまた真っ赤に染まるのである。減速コントラにブラシをつけて磨いても、歯垢
を塗りつけているような状況になってしまう。このレベルになると、染め出しや機械的清掃だ
けでは根本的にプラークを除去できないと判断し、食生活の改善も併せて行っていくことにし
た。
大幅な改善を急に行うのは難しいので、まずは患者さんの無理なく出来る範囲で行い、それ
を長く続けてもらうことが大事だと考えた。喉が渇いたらお茶か水、食事中もお茶か水にし、
微糖であれ低糖であれ、とにかくジュース類を断ってもらう。これだけを約束してもらった。
二ヵ月後、以前の写真と比較すると、脱灰して白くなっていた歯に、明らかに改善が見られた。
手軽に購入できるスナック類やペットボトル飲料、ガムなどに含まれる糖は、昔から使われ
ているいわゆる砂糖ではなく、工業生産物である。そのようなものが身体に良いはずがなく、
カリエスだけでなく糖尿病、ひいては歯周病など様々な病気の素因になっていることをまず私
達が自覚し、患者さんに伝えていくことが今後必要になってくると考える。
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