平成27年12月14日 急性期病棟看護師

平成27年12月14日
急性期病棟看護師
胆石症とは、胆嚢や胆管に石ができて、痛みなど
様々な症状を引き起こす病気の総称である。
胆石とは、胆汁の通る肝内胆管・総胆管・胆嚢にで
きた石のことである。
胆石症患者数は約1,000万人。
男女比は1:1.6と女性に多い。
年齢は60~70歳代にピーク。
肝臓では消化液である胆汁が作られる。肝臓
で出来た胆汁は、胆管を通って肝臓の外に出
て十二指腸に流れ込む。
胆汁は1日に600~1,000ml排出されるが、直接
十二指腸に流れ込むわけではなく、一時的に
胆嚢に貯蔵される。胆嚢は、一時的に胆汁を
貯蔵している間に胆汁内の水分や電解質を吸
収する。また、油脂の多い食事を食べると、
胆嚢が収縮して胆汁を十二指腸に送り出して、
油脂の分解を助ける。
・胆嚢結石症
(コレステロール石)
胆嚢の中にできる結石。
※80~90%で一番発症率が高い。
・総胆管結石症
(ビリルビンカルシウム石)
総肝管と総胆管にできる結石。
・肝内胆石
肝臓内の胆管にできる結石。
胆汁中に溶けているコレステロール、ビ
リルビンなどの物質が様々な原因(胆汁
中に過剰に排泄、胆道感染など)により
胆汁中に溶けきれなくなり、結石となる。
それが胆石とよばれている。
胆汁中のコレステロールの増える原因と
しては、高脂肪食や肥満、高脂血症、糖
尿病、妊娠などがある。
胆石症の3主徴
右季肋部痛、発熱、黄疸
その他、心窩部痛、背部痛
嘔気、嘔吐などがある。
胆石が胆嚢の中にあるときは無症状である。しか
し、胆石が胆管を塞ぐと疝痛(繰り返す痛み)が
起こる。
疼痛は激痛で、脂肪の富んだ食事摂取30分~2時間
後、過労時、精神的緊張の強い時、就寝後に起こ
りやすい。比較的短時間で痛みは治まる。
・血液検査
ビリルビン値などの肝胆道系酵素が上昇傾向、胆嚢炎などの感染
を伴っている場合は炎症反応も高値となる。
・超音波検査
胆石が疑われる場合の第一選択。胆嚢結石の検出率90%以上であ
る。
・胆道造影
胆石は、その部分が抜けて陰になって表わされる。通常は胆汁内
に造影剤を排泄させて写真に写し出す方法(排泄性胆道造影)を
用いる。当院ではビリスコピンを使用する。
・CT
カルシウムを含む胆石を抽出するのに利用できる。
その他、MRCP(磁気共鳴胆管膵管像)なども利用される。
外科的治療
①手術で胆嚢摘出術(腹腔鏡下胆嚢摘出術)
②Tチューブを挿入して胆汁を体外へ出す
内科的治療
①結石溶解剤の内服(ウルソデオキシコール酸)
②内視鏡的乳頭切開術
③体外衝撃波結石破砕術
33歳
男性
病名:胆嚢結石症
経過:9/28心窩部痛、嘔吐、下痢あり来院
採血で肝胆道系酵素上昇
腹部エコー:胆嚢内に胆泥あり、胆嚢は軽度腫大
DIC-CT:胆嚢内に結石あり
治療:ウルソ内服開始
10/28腹腔鏡下胆嚢摘出術施行
11/11経過良好のため退院
腹腔鏡を用いて胆嚢を摘出する方法。手順は、胆
嚢動脈という血管と、胆嚢管という胆汁が流れる
管をクリップして胆嚢を切除し回収する。
腹腔鏡下胆嚢摘出術の主な術後合併症は、
術後出血、創感染、胆汁廔、肝機能障害、
胆管損傷、消化管穿孔、肺炎、腹腔内出
血などがある。
合併症は、通常術後数日以内に起こるが、
術後長期経過後の合併症として、癒着に
よる腸閉塞などがある。
胆嚢の働きは胆汁の貯蔵。
胆汁は特に油物の消化に欠かせない。胆汁は肝臓
で作られており、胆嚢は単なる貯蔵庫の役割であ
る。胆嚢を摘出しても、胆汁は肝臓で作られてい
るので、胆汁の分泌には大きな問題はない。
油物を食べ過ぎた時など胆汁の分泌が追いつかな
くて下痢をすることなどは起こりえる。排便状態
の変化も、半年ほどで慣れてきて下痢が減少して
くる。
①規則正しい時間に食事を摂る
②ゆっくりと、よく噛んで食べる
③一度にたくさん食べない
④脂っこい食事は避ける
乳製品、調味料(マヨネーズ、油入りのドレッシン
グ)、インスタント食品、カップ麺、ファストフー
ド、菓子類、ナッツ類など
⑤食物繊維の多い食品を積極的に摂る
(緑黄色野菜、キノコ類、いも類、海藻類など)
術後の運動の制限は特にないが、手術直後の運
動は避けるように指導が必要となる。
ウォーキングや自転車などの運動は手術後約2
週間経過してからにした方が良い。
激しい運動などは、約3週間経過してからが望
ましい。
・胆石症とは結石のできる場所によって総
称、結石の種類が変わってくる。
・胆石症の症状は右季肋部痛、発熱、黄疸
であり、特に疝痛で、食後に多い。
・術後の食生活は、低脂肪食にすることを
本人・家族へ指導を行う。