技 術 資 料 - プラスチック・マスマンホール協会

下水道用プラスチック製マンホール
プラスチック製マンホール
技 術 資 料
PMMS 006
プラスチック製マンホールを安全にご利用いただくために
はじめに
この技術資料は皆様方に下水道用プラスチック
製マンホール(PMMS 006)を効果的にまた安全
にご使用いただくための要点を取りまとめたもの
です。本技術資料がプラスチック製マンホールの
設計・施工にお役立ていただければ幸いです。
■ プラスチック製マンホールのご利用にあたって
は必ず本技術資料をお読みください。
■ ご不明な点がありましたら当協会または協会員
各社にお問い合わせください。
CONTENTS
1.プラスチック製マンホールとは 1
2
2.特 長 4
3.種 類
4
3.1 マンホール 3.2 マンホールの構成部材 4
4
3.3 調整リング 5
4. 性 能
4.1 耐薬品性試験 5
6
4.2 荷重試験 7
4.3 水圧試験 8
4.4 本管接合部水圧試験 5.設 計
5.1 設計にあたって 5.2 管 種 5.3 設置場所 5.4 マンホール設置高さ範囲 5.5 流入受口の最小落差 5.6 勾 配
5.7 流入受口の接続範囲 6.施 工
6.1 運搬及び保管 6.2 工具類 6.3 掘 削 6.4 基 礎 6.5 据付け及び本管との接合 6.5.1 標線の記入および接合長さの確認 6.5.2 調整管の寸法測定及び切断 6.5.3 調整管と本管との接合 6.5.4 据付け 6.5.5 偏芯やりとり継手と調整管の接合
6.6 マンホールの組み立て 6.7 ふたの据付け 6.8 埋戻し 6.9 設置例
7.留意事項
7.1 設計上の留意事項
7.2 施工上の留意事項
7.3 取扱い上の留意事項
10
10
10
10
10
12
12
13
15
15
15
15
15
16
16
16
17
17
17
18
19
20
20
21
21
21
22
1 プラスチック製マンホールとは
下水道用硬質塩化ビニル製小型マンホール(PMMS 005)は軽量性、耐食性などプラスチックの性能が高い
評価を受け、全国の市町村でご採用が急速に伸びており、600×900マンホールにおいてもプラスチック製の
ご採用が急速に伸びています。こうした実績から、規格制定された呼び600×900の人孔である下水道用プラ
(以下、「マンホール」という。)はその軽量性から従来のコンクリート
スチック製マンホール(PMMS 006)
製マンホールでは不可能だった人力運搬も可能で、大型重機の使用を最小限に抑え、コスト縮減が図れる製
品です。また、耐食管渠が構築できるとともに水密性にも優れており、維持管理性も万全で、下水道面整備
の効率化に貢献します。
ふた
調整リング
斜壁
流入受口
直壁
インバート
流出差し口
図1─ 1 プラスチック製マンホール概念図
1
2 特 長
1
軽 量
●軽量のため、運搬・取扱が容易です。
●楕円形状のため、狭小地での設置にも適しています。
2
優れた耐食性
●酸・アルカリに対して優れた耐薬品性を有して
います。
●酸性土壌・圧力開放端(硫化水素)の条件下に
も適しています。
3
水理特性
●コンクリートと同等以上の掃流性を有しています。
2
4
スピード施工
●工場プレキャスト製品であり、マンホールを組み立てて
納入するため、作業効率が大幅アップします。
(組み立て高さ2m以上の場合は、2分割で納入されます。
)
●流入受口部、流出差し口部、ステップは予め設置されて
納入されます。
5
リサイクル
●マンホールの材料はLLDPE(直鎖状低密度
ポリエチレン)+リサイクルエポキシ樹脂で
あり、環境に配慮した製品です。
3
3 種 類
3.1 マンホール
マンホールの種類は、表3─ 1に示すとおりです。
表3─ 1
種 類
呼 び
マンホール組み立て高さ
600× 900
1080, 1230, 1380, 1530, 1670, 1820, 1970,
2120, 2260, 2410, 2560, 2710, 2850, 3000,
略 号
楕 円 形
P M D
マンホールの種類
3150, 3300, 3440, 3590, 3740, 3890
注 マンホール組み立て高さとは、斜壁上面から流出管底までの高さのことです。
3.2 マンホールの構成部材
マンホールの構成部材は、表3─ 2及び図3─ 1に示すとおりです。
表3─ 2
構成部材の区分
名 称
呼 び
高 さ
斜 壁
600×900
590
─
65
150
─
25
300
─
30
590
─
60
150
150
600×900
インバート 600×900
590
斜壁
直壁
流入受口
200
150
250
155
インバート
300
155
流出差し口
注1. 流入受口は150、200、250、300の4サイズとなってます。
2. 材質は、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)+リサイクル
エポキシ樹脂です。
3. ステップは、斜壁、直壁に付いています。
図3─ 1
マンホールの構成
3.3 調整リング
調整リングの種類は、表3─ 3に示すとおりです。
表3─ 3
種 類
フラット型調整リング
テーパー型調整リング
略 号
PMD-FR
PMD-TR
調整リングの種類
内 径
6 0 0
6 0 0
注 材質は、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)です。
4
外 径
8 2 0
8 2 0
厚 さ
参考質量(kg)
1 0
3
3 0
6
5 0
8
10×20
4
組み立て高さ
直 壁
流出差し口の管径 参考質量(kg)
4 性 能
4.1 耐薬品性試験
〈目 的〉
マンホールの耐薬品性を確認します。
〈試験方法〉
供試体から作成した試験片を、表4─ 1の各試験液に5時間浸せきした後、流水中で5秒間洗浄し(水によ
る浸せきの場合には行わない。
)、乾いた布で表面の水分を拭き取り、はかり瓶に入れて質量を量ります。
次の式(1)によって質量変化率d(%)を算出します。
d=
mb−ma
× 100(%)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(1)
ma
ここに、
ma:試験片の浸せき前の質量(mg)
mb:試験片の浸せき後の質量(mg)
〈試験条件〉
(1)供試体の数 各試験液ともn=2
(2)各試験液の温度 各試験液60℃±2℃
表4─ 1 試験液の純度及び濃度
試験液の種類
試 験 液 の 濃 度 及 び 純 度
水
蒸留水又はイオン交換水
塩 化 ナ トリ ウ ム 溶 液
JIS K 8150〔塩化ナトリウム(試薬)〕の塩化ナトリウムの10%水溶液
硫 酸
JIS K 8951〔硫酸(試薬)〕の硫酸の30%水溶液
硝 酸
JIS K 8541〔硝酸(試薬)〕の硝酸の40%水溶液
水酸化ナトリウム溶液
JIS K 8576〔水酸化ナトリウム(試薬)〕の水酸化ナトリウムの40%水溶液
〈試験結果〉
試験結果を表4─ 2に示します。
表4─ 2
試験液の種類
浸せき試験結果
性 能
水
塩化ナトリウム溶液
硫 酸
硝 酸
試験結果
−0.003%
各試験液とも質量変化
率±0.3%未満であること
水酸化ナトリウム溶液
−0.007%
0.004%
0.067%
−0.036%
考 察
マンホールの耐薬品性は流下物に対して十分安全であることを確認しました。
5
4.2 荷重試験
〈目 的〉
マンホールがT-25相当の荷重に対して安全であることを確認します。
〈試験方法〉
供試体の底面を均等に支持できる受け台又は平板上に供試体を設置し、鉛直方向に140kNの荷重を負荷し、
割れ及びひびの有無を目視によって調べます。
〈試験条件〉
(1)供試体の数 各サイズともn=3
(2)試験時の温度 常温
注 常温とは、5℃∼35℃[JIS Z 8703(試験場所の標準状態)の温度15級]とします。
(3)試験装置 試験装置を図4─ 1に示します。
荷重
載荷板
鉄板
供試体
受け台又は平板
本図は直壁を示したものです。
図4─ 1
荷重試験装置
〈試験結果〉
試験結果を表4─ 3に示します。
表4─ 3 荷重試験結果
供試体の種類
インバート
直壁
斜壁
調整リング
高 さ
590
150
300
590
590
10
30
50
10× 20
供試体数
3
3
3
3
3
3
3
3
3
性 能
鉛直方向に140kNの荷重
を負荷し、割れ及びひびの
ないこと
試験結果
異 常 な し
異 常 な し
異 常 な し
異 常 な し
異 常 な し
異 常 な し
異 常 な し
異 常 な し
異 常 な し
考 察
マンホールは鉛直方向T-25相当の荷重に対して十分に安全であることを確認しました。
6
4.3 水圧試験
〈目 的〉
マンホールのインバート、直壁、斜壁間の接合部及び流入受口、流出差し口の融着接合部の水密性を確
認します。
〈試験方法〉
試験片の一端をポンプに接続して、0.04MPaの水圧を加え、1分間放置後、各接合部からの漏水の有無を
目視によって調べます。
〈試験条件〉
(1)供試体の数 各供試体ともn=3
(2)試験時の温度 常温
注 常温とは、5℃∼35℃[JIS Z 8703(試験場所の標準状態)の温度15級]とします。
(3)試験装置 試験装置を図4─ 2に示します。
斜壁+インバート
圧力計
鉄ふた
直壁+インバート
水圧
圧力計
鉄ふた
水圧
斜壁
直壁
(H=590)
インバート
インバート
パッカー
パッカー
流入受口
流出差し口
パッカー
パッカー
流入受口
図4─ 2
水圧試験装置
表4─ 4
水圧試験結果
流出差し口
〈試験結果〉
試験結果を表4─ 4に示します。
供 試 体 の 形 態
流入及び流出管径 供 試 体 数
斜壁+インバート
300
3
直壁(H=590)+ インバート
300
3
性 能
0.04MPaの水圧を加え、1分間放置 異 常 な し
後、接合部からの漏れがないこと 異 常 な し
考 察
マンホールは土被り4mに埋設しても、十分な水密性を有することを確認しました。
7
試験結果
4.4 本管接合部水圧試験
〈目 的〉
インバートの流入受口と塩ビ本管差し口及び流出差し口と塩ビ本管ゴム輪受口の接合部の水密性を確認
します。
〈試験方法〉
(1)偏芯偏平水圧試験
供試体の直管部に4%の偏芯偏平(片寄せ偏平)を与え、0.04MPaの水圧を加えて一分間放置後、漏れそ
の他の欠点の有無を目視によって調べます。
(2)偏平曲げ水圧試験
供試体の直管部を5%偏平(両寄せ偏平)した後、3°の曲げを与え、さらに0.04MPaの水圧を加えて一分間放
置後、漏れその他の欠点の有無を目視によって調べます。
〈試験条件〉
(1)供試体の数 各試験項目ごとにn=3
(2)試験時の温度 常温
注 常温とは、5℃∼35℃[JIS Z 8703(試験場所の標準状態)の温度15級]とします。
(3)試験装置 試験装置を図4─ 3及び図4─ 4に示します。
塩ビ本管差し口+流入受口
200 20
流入受口
(単位:mm)
0.96D
水圧
載荷板
D
塩ビ本管差し口
200
受け台(平板)
流出差し口+塩ビ本管受口
200 20
塩ビ本管受口
0.96D
水圧
載荷板
D
流出差し口
200
図4─ 3
受け台(平板)
偏芯偏平水圧試験装置
8
(単位:mm)
塩ビ本管差し口+流入受口
載荷板(平板)
流入受口
0.95D
D
水圧
3°
塩ビ本管差し口
流出差し口+塩ビ本管受口
載荷板(平板)
塩ビ本管受口
0.95D
D
水圧
3°
流出差し口
図4─ 4
偏平曲げ水圧試験装置
〈実験結果〉
試験結果を表4─ 5に示します。
表4─ 5 本管接合部水圧試験
供試体の形態
マンホール
流入受口
流出差し口
塩ビ本管
差し口
ゴム輪受口
偏芯偏平水圧試験
流入及び
流出管径
供試体数
150
3
異常なし
200
3
250
3
300
3
直 管 部 に 4 % の 偏 異常なし
芯 偏 平 を 与 え 、 異常なし
0.04MPaの水圧を 異常なし
150
3
200
3
250
3
加え1分間放置後、 異常なし
漏れその他欠点の 異常なし
ないこと
異常なし
300
3
異常なし
性 能
試験結果
偏平曲げ水圧試験
性 能
試験結果
異常なし
直管部を5%偏平 異常なし
した後、3°の曲げ
異常なし
を 与 え 、さ ら に
異常なし
0.04MPaの水圧を
異常なし
加え1分間放置後、
異常なし
漏れその他欠点の
異常なし
ないこと
異常なし
考 察
インバートの流入受口と流出差し口に塩ビ本管を接続して土被り4mに埋設し、(1)管上から接続部の差
し口に4%の片寄せ偏平が加わった場合、(2)管上から接続部の差し口に5%の両寄せ偏平と3°曲げが加わっ
た場合の過酷な条件下でも、十分な水密性を有することを確認しました。
9
5 設 計
5.1 設計にあたって
マンホールの流入受口及び流出差し口は、設計図面に合わせて呼び径・流入角度・落差等あらかじめ指定
された取付け位置に接続してあります。
したがって、施工現場での流入受口及び流出差し口の接続作業は必要ありません。
5.2 管 種
マンホールは下水道用硬質塩化ビニル管(日本下水道協会規格 JSWAS K-1)VU150、200、250、300用で
す。
5.3 設置場所
(1)マンホールは管路の起点及び方向、勾配、管径等の変化する箇所、段差の生じる箇所、管路の会合する
箇所、ならびに維持管理の上で必要な箇所に設置します。
注 人の出入りが特に必要のない場合は、PMMS 005(JSWAS K-9対応)の下水道用硬質塩化ビニル製小型マンホール
を設置してください。
(2)マンホールの設置間隔は管路の直線部分において75m以下とします。
5.4 マンホール設置高さ範囲
(1)マンホールを設置するにあたり、設置高さ範囲はマンホールふたの高さ110mmとした場合、図5─ 1の
とおりとなります。
マンホールふた
110
G.L
300
150
直壁
100
インバート
マンホール深さ 1190∼4000
斜壁
流入受口
マンホール深さ=マンホール組立て高さ+ふた110mm(+調整リング)
図5─ 1
設置高さ範囲
10
(2)マンホールの組立て高さは、最小が1080mmで、直壁の組み合せにより表5─ 1のとおりとなります。
表5─ 1 マンホール深さと構成部材の組み合せ
(単位:個)
構成部材
マンホール深さ
高さ
(㎜)
(マンホール組立て高さ
組立て高さ(㎜)
+ふた110㎜)
(㎜)
1080
1230
1380
1530
1670
1820
1970
2120
2260
2410
2560
2710
2850
3000
3150
3300
3440
3590
3740
3890
1190
1340
1490
1640
1780
1930
2080
2230
2370
2520
2670
2820
2960
3110
3260
3410
3550
3700
3850
4000
直壁
斜壁
インバート
590
150
300
590
490
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
−
1
−
1
−
1
−
1
−
1
−
1
−
1
−
1
−
1
−
1
−
−
1
1
−
−
1
1
−
−
1
1
−
−
1
1
−
−
1
1
−
−
−
−
1
1
1
1
2
2
2
2
3
3
3
3
4
4
4
4
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
(3)マンホール深さの微調整はマンホール用調整リングを使用します。
ふた
斜壁
図5─ 2
表5─ 2 フラット型調整リングの組み合せ
調整リング高さ
(mm)
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
110
120
130
140
フラット型
調整リング
フラット型調整リング
11
調整リング(枚)
10mm
50mm
30mm
1
−
−
2
−
−
−
−
1
1
−
1
−
1
−
1
1
−
2
1
−
−
1
1
1
1
1
−
2
−
1
2
−
2
2
−
−
2
1
1
2
1
(4)路面の傾斜対応はテーパー型調整リングをご使用ください。
テーパー型
調整リング
φ820
20mm
10mm
図5─ 3 テーパー型調整リング
5.5 流入受口の最小落差
(1)流入受口と流出差し口の落差は20mmとなっています。
(2)施工時、偏芯やりとり継手が必要になります。その際に発生する流出管と偏芯やりとり継手の落差を
考慮して設計してください。
偏芯やりとり継手
落差20mm+χmm
流出差し口
χmm
流出差し口と
偏芯やりとり継手の落差
偏芯やりとり継手
呼び径
( )
図5─ 4
最小落差
表5─ 3
最小落差
流入・流出落差 流出差し口と偏芯やりとり継手の落差
χ(mm)
(mm)
最小落差
(mm)
150
20
10
30
200
20
11
31
250
20
14
34
300
20
16
36
5.6 勾配
適応可能な最大勾配は流入受口、流出差し口ともに50‰です。
ただし、50‰以上の勾配の場合は、本管自在継手を使用します。
12
5.7 流入受口の接続範囲
(1)流入受口は図5─ 5のとおり180°の範囲で流入角度が自由に設計できます。
なお、流入角度の表し方は、図5─ 6のとおり流出管方向を 0°
として時計回りの角度で表します。
180°
180°
270°
300
150
300
流入受口
90°
流出差し口
0°
図5─ 5
図5─ 6
流入受口の接続範囲
流入角度の表し方
(2)インバートに流入高さが同じ複数の流入受口を取り付ける場合、表5─ 4の間隔をあけて設計します。
表5─ 4
流入受口の間隔
呼び径
流入受口の間隔(θ)
150
55°以上
200
80°以上
250
90°以上
300
90°以上
注 異径管合流の場合は最大呼び径側の角度で設計します。
θ
図5─ 7 インバートでの落差が同じ流入受口の間隔
13
(3)現場で組み立てる場合、流入受口はマンホール接続部には取り付けられませんのでご注意ください。
(プレキャスト製品の場合は可能です。)
なお、インバートと直壁(590)の組合せ時に流入受口の取り付け可能な落差は図5─8及び図5─9の通りです。
注 構成部材の組合せにより流入受口の取り付け可能範囲が異なります。
835
マンホール接続部
785
735
695
接続可能な
範囲
落差(mm)
540
流入受口
流出差し口
落差
流入受口
落差
マンホール接続部
235
200
185
135
90
100
150
200
250
300
呼び径(mm)
図5─ 8 落差の表し方
図5─ 9 現場で組み立てる場合の接続可能な落差
(4)落差が0.6m以上の場合、副管を設けます。
副管用90°
支管
0.6m以上
図5─ 10
副管の使用
注 管の最小径は150となっていますので、流入径150の場合でも、副管径150を使用してください。
14
6 施 工
6.1 運搬及び保管
(1)運 搬
マンホールを運搬するとき、本体及び流入・流出管へ衝撃を与えないでください。
(2)保 管
保管場所は屋内が望ましいが、屋外保管するときは不透明シートで覆い、風通しのよい状態に保ちます。
また、火気の近くでの保管はしないでください。
6.2 工具類
マンホールの施工に必要な工具類は表6─ 1の通りです。
表6─ 1
作業名
工具類(参考)
工 具 類
水糸、下げ振り、スケール、水準器、レベル、スタッフ
据 付
(M16)、ナット
(M16)
、
水膨張ゴム、水膨張シーラント、専用アイボルト
(M16)、専用ボルト、寸切ボルト、スパナ[M16(24mm)]
、
ワッシャー
接 合
電気のこぎり、ジグソー、手のこ、ハンドグラインダー、ヤスリ、スケール、水準器、
油性ペン、バケツ、ウエス、専用滑剤、刷毛、挿入機(荷締め機、ヒッパラーなど)
及びワイヤーロープ、てこ棒及び当木(挿入機を使用しない場合)
、チェックゲージ、
100V電源リード線、帯テープ又は細ひも、ボルト
(M16)
注 下線部の部材は、附属品です。
6.3 掘 削
マンホール設置部分の掘削幅は、幅1.2m×長さ2.5mを目安とします。ただし、土留めを必要とする場合
は腹起こし材等の幅を見込みます。掘削深さはマンホール深さ+10cm+基礎厚さとします。
なお、掘削は凹凸のないよう平坦に行い、基礎になる地盤を不必要に乱さないよう注意します。
6.4 基 礎
マンホールの基礎は砂または砕石(C-40)と
G.L.
マンホール深さ
し十分に転圧を行ってください。地下水位が
高い場合や軟弱地盤の場合、沈下防止や施工
設置状況に応じてマンホールをコンクリート
コンクリート製底板
10cm
なおコンクリート製底板を使用する場合は、
20cm以上
さ1190mm以上)との併用を検討してください。
基礎厚さ
性を考え、コンクリート製底板(幅900mm×長
製底板に固定してください。
図6─ 1
15
基礎
砂または砕石
6.5 据付け及び本管との接合
6.5.1 標線の記入
偏芯やりとり継手の差し口に本管受口長さに合わせて標線を
記入します。
標線
図6─ 2
標線の記入
6.5.2 調整管の寸法測定及び切断
(1)マンホール外面から偏芯やりとり継手の先端ま
での有効長さAを測定します。
(2)マンホール外面から流出側本管までの有効長さB
を測定します。
ふた芯
(3)(B−A)で調整管の必要長さを求めます。
B−A
切断標線
調整管(ゴム輪受口両受け直管)
300
A
偏芯やりとり継手
B−A
流出側本管
(必要長さ)
B
図6─ 3
調整管の寸法測定および切断
6.5.3 調整管と本管との接合
ふた芯
下流側本管に必要長さに切断した調整管
を接合します。
調整管
300
流出側本管
偏芯やりとり継手
図6─ 4
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調整管と本管の接合
6.5.4 据付け
(1)マンホールを水平に据付けます。
ふた芯
(2)本管の軸芯、マンホール深さを確認します。
調整管
300
流出管
偏芯やりとり継手
図6─ 5 据付け
6.5.5 偏芯やりとり継手と調整管の接合
ふた芯
偏芯やりとり継手を調整管に接合します。
偏芯やりとり継手
調整管
300
流出側本管
偏芯やりとり継手
調整管
偏芯やりとり継手を調整管に接合
図6─ 6 偏芯やりとり継手と調整管の接合
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6.6 マンホールの組み立て
マンホール組み立て高さが2m以上の場合は2分割して納入されます。下記の手順で組み立ててください。
(1)インバートあるいは直壁の接続部(凹部)に水膨張シーラント及び水膨張ゴムを装填します(図6─ 7参照)。
(2)分割されたマンホールの上部を吊り降ろし、ボルト、ナットにて組み立てます(図6─ 7参照)。
①水膨張シーラントの充填
②水膨張ゴムの装填
④ボルト、ナットによる組み立て
③マンホール上部の吊り降ろし
図6─ 7
本体の組み立て
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6.7 ふたの据付け
(1)斜壁(又は調整リング)の接続部(凹部)に水膨張ゴムを装填し、日本下水道協会規格 JSWAS G-4下水
道用鋳鉄製マンホールふたを据付けてボルト固定します(図6─ 8参照)。
(2)調整リングが必要な場合は、斜壁の接続部(凹部)に水膨張ゴムを装填し、調整リングを据付けます
(図6─ 9及び図6─ 10参照)。
寸切りボルト
水膨張ゴム
図6─ 8
ふたの据付け
鉄ふた
テーパー型
調整リング1枚
水膨張ゴム
マンホール本体
図6─ 10
図6─ 9 調整リングの据付け
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テーパー型調整リングの据付け
6.8 埋戻し
埋戻しは砂等を用い、周囲を均等にランマーなどで何層かに分け、よく突き固めます。
砂等
なお、機械が使用できない箇所は木だこ又は足踏みなどで十分締め固めてください。
図6─ 11
埋戻し方法
6.9 設置例
マンホールの設置例を図6─ 12に示します。
ふた
調整リング
斜壁
ステップ
直壁
10−M16(連結ボルト)
インバート
偏芯やりとり継手
硬質塩化ビニル管
硬質塩化ビニル管
流入受口
流出差し口
図6─ 12
マンホールの設置例
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7 留意事項
7.1 設計上の留意事項
(1)マンホールの流入受口および流出差し口は、あらかじめ接続されて出荷されますので、流入受口の位
置を正確に指示してください。
(2)マンホールは、下水道用硬質塩化ビニル管(日本下水道協会規格 JSWAS K-1)VU150、200、250、
300用です。
(3)マンホール深さ(G.L∼流出差し口部の管底)の範囲は、1190㎜∼4000㎜です。
(4)適用可能な最大勾配は50‰です。ただし、50‰以上の勾配の場合は、本管自在継手を使用します。
(5)最小落差は、
(インバートの落差20㎜)+(流出差し口と偏芯やりとり継手の落差)です。
偏芯やりとり継手
落差20mm+χmm
流出差し口
偏芯やりとり継手
χmm
流出差し口と
偏芯やりとり継手の落差
( )
最小落差
呼び径
流入・流出落差 流出差し口と偏芯やりとり継手の落差
χ(mm)
(mm)
最小落差
(mm)
150
20
10
30
200
20
11
31
250
20
14
34
300
20
16
36
(6)最小副管径は150です。
(7)マンホールふたは日本下水道協会規格 JSWAS G-4下水道用鋳鉄製マンホールふたをご使用ください。
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7.2 施工上の留意事項
(1)マンホールの基礎は砂または砕石とし、十分に転圧を行ってください。
(2)地下水位の高い場合は、マンホールが地下水の浮力で持ち上がらないようコンクリート製底板に固定
してください。
※コンクリート製底板の設計につきましては、協会員各社にお問い合わせください。
(3)マンホールは水平に据付け、軸芯、マンホール深さの確認を正確に行ってください。
(4)マンホール組み立て高さが2m以上の場合は、2分割して納入されます。施工現場にて所定の手順に従
って接続部の凹部に水膨張シーラントおよび水膨張ゴムを装填し、ボルトナットにて全周を均等に締
めつけて組み立ててください。
(5)埋め戻しは何層かに分け、よく突き固めます。特に、流入受口、流出差し口付近は突き固めにくいの
で、木だこ、突き棒、足ふみなどで十分突き固めてください。
7.3 取扱い上の留意事項
(1)マンホールの保管の際には、マンホールが転倒しないよう平らな面に置いてください。
(2)マンホールを重機にて吊って運搬、据付けの際には、吊り荷の下は危険ですので、絶対入らないでく
ださい。
(3)マンホールの積み降しに際しては、放り投げたり、衝撃を与えないでください。
(4)マンホールを屋外に保管する場合は、不透明シートをかけ、風通しのよい状態に保ってください。
(5)マンホールの組み立てに使用する水膨張ゴム及び水膨張シーラントは、水に触れると膨張して使用で
きなくなりますので注意してください。
(6)本管の接合に用いる専用滑剤は、使用後、缶のふたをしっかり閉めて冷暗所に保管してください。
(7)燃焼するおそれがありますので、火気の近くではマンホールの保管や施工をしないでください。
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