平成26年度 事業報告 平成26年度の総会で決定した方針を踏まえ、斐伊川流域林業活性化協議会、企画部 会 、加速化部会等を開催し、流域内関係者の合意を図り、以下の内容について取組みを 行った。 1.循環型林業の推進 平成21年12月、国において策定された「森林・林業再生プラン」は、「10年後の木材 自給率50%以上」を目指すべき姿として掲げ、平成22年6月に閣議決定された「新成長 戦略」において「21の国家プロジェクト」の一つに位置づけられた。 また、県においては「新たな農林水産業・農山漁村活性化計画(H24年度~H27年度)」 が策定され、循環型林業の確立に向けて原木増産対策や木材産業強化にかかるプロジェク トが進んでいる。 これら計画の達成のための効率的・安定的経営基盤づくりには、川上~川中~川下の連 携強化が必要であり、「森林整備加速化・林業再生事業」の円滑な実施のための地域協議 会の運営等、斐伊川流域林業活性化センターの今後の活動・取組は大きな役割を担ってい ると考えられる。 今年度においても、先進地視察等による課題把握、各種研修会の開催による人材育成等 の循環型林業の確立に向けた取り組みを進めた。 (1)森林整備加速化・林業再生事業の円滑な実施 当該事業の実施については、活性化協議会を当該事業の運営主体たる地域協議会に位置 づけ、さらに「森林整備加速化・林業再生事業部会」を設置し運営しているところである。 平成25年12月、国の平成25年度第3次補正予算において、当該事業が平成26年度ま で延長されたことから、引き続き確実かつ円滑に事業が執行されるよう調整に努めた。 取り組み実績 ○森林整備加速化・林業再生事業の実施 事業内容 ■地域協議会の運営、事業計画の作成等 ■技術研修会、木材利用拡大等の普及啓発活動等 *地域協議会の開催 ・活性化協議会 (9月5日)事業進捗状況報告 ・活性化協議会 (3月6日:島根県林業会館) *地域部会の開催 ・第1回松江地域部会 (3月10日:雲南合同庁舎) ・第1回雲南地域部会 (6月20日:雲南合同庁舎) ・第2回雲南地域部会 (7月24日:雲南合同庁舎) ・第3回雲南地域部会 (9月17日:雲南合同庁舎) ・第4回雲南地域部会 (10月 7日:雲南合同庁舎) ・第5回雲南地域部会 (11月18日:雲南合同庁舎) ・第6回雲南地域部会 ( 3月 3日:雲南合同庁舎) ・第1回出雲地域部会 (6月12日:出雲合同庁舎) ・第2回出雲地域部会 ( 9月18日:出雲合同庁舎) ・第3回出雲地域部会 ( 3月10日:出雲合同庁舎) (2)低コストで効率的な木材生産の推進 ベースとなる施業の集約化、路網整備並びに高性能林業機械による低コスト木材生産 システムの構築については、引き続き森林組合等の林業事業体が推進することとし、当 活性化センターはこの推進のための人材育成、路網開設技術にかかる研修、高性能林業 機械による低コスト木材生産システム構築、木材生産・流通体制の強化に係る検討を行 った。 - 1 - 取り組み実績 ①路網整備の推進 *しまねで目指す道づくり研修(林業のエンジニア研修) 1回 (4流域共催:研修実施機関 島根県立農林大学校) ・7月22日~24日[路網設計技術]:飯南町(島根県中山間地域研究センター) ②高性能林業機械による木材生産の推進 *高性能林業機械オペレーター研修(林業のエンジニア研修) 1回 (4流域共催:研修実施機関 島根県立農林大学校) ・5月26日~30日、6月4日~6日:飯南町(島根県中山間地域研究センター) ③森林施業の集約化・団地化の推進 *効率的な原木生産の作業システムの研究⇒各事務所・森林組合単位で研究 *民国連携「森林共同施業団地」連絡会議 1回 ・10月30日:雲南合同庁舎(参集者:森林管理署、森林組合、市町、林業公社、県) ④木材生産体制の強化 *斐伊川流域森林組合納材協議会「林業技術競技会」の開催支援 ・10月17日:雲南市大東町地内 ⑤コンテナ苗の生産技術の実証研究 *低コスト再造林技術を目指して、コンテナ苗の栽培技術の確立を図るため、 生産技術の実証研究実施 ・調査委託先 飯石森林組合 *コンテナ苗栽培意見交換会の開催 ・2月17日:松江合同庁舎:49名参加 ⑥先進地視察研修 *視察先:高知県 香美森林組合(高性能林業機械の導入による急傾斜地にお ける伐採)、土佐の森救援隊(自伐林業の推進) ・10月23日~24日:30名参加 (3)原木生産促進対策の推進 県産木材の需給ギャップ解消と森林の循環的利用による公益的機能の発揮を促すため 原木搬送経費を助成(500円/m3)する「循環型林業に向けた原木生産促進事業(県単事 業)」が平成24年度から実施されている。 当活性化センターは、当該事業の補助金交付事務を担うことにより、主伐による原木生 産の促進に寄与した。 取り組み実績 ○「循環型林業に向けた原木生産促進事業(県単)」の補助金交付事務の実施 による原木生産(主伐)の促進 ……24,076千円補助金交付 (4)労働安全対策の推進 取り組み実績 ○労働安全研修会の実施 「安全意識の向上のため経営者として取り組むべきこと」 講師:NPO法人 ジット・ネットワークサービス 理事長 ・3月6日:林業会館:63名参加 - 2 - 石垣正喜 2.木材・木質バイオマス利用の推進 「木を伐って、使って、植えて、育てる」循環型林業を実現していくためには、需要に 応じた原木供給の仕組みづくりとともに、県産材の利用拡大や木材製品の高付加価値化等 の対策を一体的に実施していくことが必要とされている。このため、当活性化センターと しても地域産材利用促進対策の推進、木質バイオマス利活用等の取組を実施・支援した。 (1)地域産材需要の拡大 平成22年10月1日に施行された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する 法律」により、今後、公共建築物等への木材利用の増加が見込まれることから、関係者 による木材利用に係る知識の共有、製材品の品質向上が必要である。 また、木材の地産地消を推進する動きが地域内において高まりつつあるなか、この動 きを促進させるためには、地元素材生産業者、製材所、建築士、建築組合及び工務店が ネットワークを組むとともに、施主に対して地元材の情報を積極的に発信し、川上・川 中・川下の関係者相互による「顔の見える関係」を構築することが必要である。 加えて、地域産材の需要拡大を考えるうえで、県外へ販路拡大も重要な課題の一つで あることから、今年度においても、県・4流域林業活性化センターが一体となったこの 取組を継続・拡充し、地域産材製品の県外販路拡大を推進した。 取り組み実績 ①木材利用の推進 *林業講演会の開催~岐路に立つ日本の森林・林業・木材産業 講師 鹿児島大学 農学部 教授 遠藤日雄 12月24日 (参加者数)106名 ②上下流連携による地域木材利用促進 *工務店と連携した現地見学会 地域木材を利用した家づくり勉強会(島根県住まいづくり協会と共催) (見学先)出雲木材市場、プレテクノ島根、飯石森林組合 10月21日 (参加者数) 31名 ③木造建築の担い手研修 *木造建築に精通した建築士等の養成研修の実施 (委託先)島根県建築士会 ④木材乾燥技術の向上研修 *製材品生産技術研修会(木材乾燥の基礎、乾燥技術向上、輻射熱木材乾燥シ ステム技術、JAS制度)8月26日 [参加者数] 55 名 ⑤新たな(県外)販路開拓への取り組み *県産材製品展示商談会の開催 (4流域共催) ・ 6月10日:インデックス大阪館(KENTEN) ・10月15~17日:大阪国際会議場(Living&Design) ・10月29日 :島根ウッドフェアー(出雲木材市場) ・11月12~14日:東京ビックサイト:東京(ジャパンホームショー) ・2月6日 :大阪木材会館 (神々の国しまねの木展示、商談会)) (2)木質バイオマス利活用の推進 取り組み実績 バイオマス発電用原木の出荷調査業務 *バイオマス発電用の原木を出荷する予定の事業体が最適な生産システムを検討 するための調査 ・7事業体に対して調査委託 - 3 - 3.上下流市町が一体となった森林整備の推進 (1)斐伊川流域荒廃林等再生整備基金協定の導入と実施 平成24年度から斐伊川流域6市町による「斐伊川流域荒廃林等再生整備基金協定」 の締結により「荒廃林等再生整備事業」の取組が開始され、基金の運用を活性化センタ ーが担うこととなった。 今後10年間の荒廃林整備目標140ha達成のため、計画的な基金運用・事業展開に努 めた。 取り組み実績 ①H26年度荒廃林整備の実施計画 …… 別紙(2)参照 ②関係自治体協議会の開催(個別協定の早期締結支援等) ・ 8月 7日:斐伊川流域荒廃林等再生整備基金協定関係自治体協議会 ・11月13日:斐伊川流域荒廃林等再生整備基金協定関係自治体協議会 (2)森林整備協定地の整備 平成13年度から平成23年度までに整備した「森林整備協定地」における保育施業につ いて、上下流市町の調整を図り、適期・的確な施業に努める。 取り組み実績 ①森林整備協定地 約293.74ha の適切な保育管理 ②事業量・事業費等にかかる上下流市町の調整 ・ 8月 7日:斐伊川流域荒廃林等再生整備基金協定関係自治体協議会 ・11月13日:斐伊川流域荒廃林等再生整備基金協定関係自治体協議会 (3)斐伊川流域住民交流会の開催 森林整備の重要性に対する県民の理解と協力が得られるよう、斐伊川流域自治体との連 携による住民交流会の開催。 取り組み実績 ○住民交流会の開催 ・11月9日:飯南町小田地内 [植樹活動] 飯南町 県中山間地域研究センター [森の工作] (参加者 93名) 4、その他 (1)県内4流域合同の島根県知事への要望活動 (10月7日)島根県知事外8名へ要望 (要望内容) 「循環型林業」の確立を目指した流域林業の推進への支援を要望 ① 循環型林業の確立のため「原木生産促進事業」の継続実施、木質バイオマスのスト ックヤード確保への支援事業を創設すること ② 森林整備加速化・林業再生事業の継続について、国に働きかけること ③ 主伐後の森林再生のための苗木の増産対策に引き続き取り組むこと ④ 水と緑の森づくり税による事業について継続実施すること - 4 -
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