第2章 文書情報を取巻く環境と技術 な記録を作成するべきかまで含めたレコード・マネジメントへの拡張が求め られている。このような CSR 活動を開示する目的で、CSR 報告書が発行さ れるようになってきたが、これらの活動を証拠としての記録が必要となるだ けでなく、活動内容を説明する責任(アカウンタビリティ)にまでつながっ てくる。 さらに、「企業行動の開示・評価に関する研究会中間報告」(経済産業省、 H17.8)では、 『企業経営者が、 コーポレートガバナンス及びリスク管理・ 内部統制に係る取組状況を当該企業のホームページ等により広く開示すると ともに、制度開示において積極的に対応することによって、説明責任(アカ ウンタビリティ)等を果たし、企業経営の公正性及び透明性を確保すること は極めて重要である。企業経営者が株主・投資家等ステークホルダーへの情 報開示を行う際、上記のようなコーポレートガバナンス及びリスク管理・内 部統制に係る体制を単に開示するということだけではなく、実際に企業経営 者が行っている取組が機能していることまで含めて開示すべきである』と、 幅広い情報開示を求めている。 2.文書情報マネジメント・システムの導入メリット 文書情報マネジメント・システムが導入され、ビジネス環境がデジタル化 されることにより、検索性、生産効率が向上する。さらに、コンテンツのセ キュリティ管理、履歴管理がシステムレベルで実現できるようになり、組織 のコンプライアンス向上を図ることが可能となる。特に、「金融商品取引法」 の内部統制における業務プロセスの適正化、事業継続計画(BCP)対応など、 企業の根幹をなす文書情報の適切な管理体系を、企業レベルで容易に実現す ることができる。 (1) コンプライアンス(Compliance) 法令遵守に限らず、幅の広い規制遵守や内部の情報セキュリティ方針を遵 守することが可能となる。ドキュメントの所在とセキュリティを保証するこ とにより、内部統制で求められる高信頼性の監査要件に対応できる。 (2) コラボレーション(Collaboration) コラボレーションとは共同作業のことで、ネットワークを利用したデータ の共有が重要な機能である。業務処理のために部門内の ワークフローや情 報の共有や協業作業などから、情報を必要とする組織内の全てのビジネスユ 18 id3_143701_2章.indd 18 12.3.8 10:49:10 AM 文書情報を取巻く環境と技術 第2章 ニットに協業モデルを提供できる。ますます分散するオフィス環境でも、高 い組織連携と生産性を維持することが可能となる。 第 (3) 顧客サービス(Customer Relationship) 顧客の要求に対してリアルタイムに応えることができる環境を構築するこ 2 章 とで、顧客満足度を高めると同時に、顧客との良好な関係維持のためのハイ レベルな顧客サービスが実現できる。 (4) 費用対効果(Cost) ドキュメントの作成、保存、配布のコストが削減できる。処理時間の短縮 や情報の即時検索、業務プロセスの効率化により、人材の再配置や業務プロ セスを、より効率的・効果的な業務に活用でき、高い導入効果が実現できる。 (5) 継続性(Continuity) BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)など、24 時間 365 日 の企業活動を維持するために重要不可欠な情報資産をデジタル化して管理、 活用することは重要な課題である。文書情報マネジメント・システムは、迅 速なディザスタリカバリ(災害などで起こったシステム障害を復旧させる作 業)の実現など企業活動の継続を支援するシステムといえる。 19 id3_143701_2章.indd 19 12.3.8 10:49:10 AM
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