Rihoのドイツ便り № 77

市民プロジェクトを支援する
GLS銀行
№ 77
ドイツ初の社会的銀行である G LS 銀行(貸与と贈与のため
の共同銀行)は 1974 年に設立され、今年創立 40 周年を迎え
ました。
組合制の銀行で社員は 450 人、出資する組合員は約 3 万 5000 人にのぼります。G LS 銀行
は、社会や環境、倫理の価値観を取り入れて業務を行い、
「どのように生きたいか」に関わって
いると自負しています。再生可能エネルギーを供給するシェーナウ電力会社も G LS 銀行の協力
で、送電線買い取り資金を全国から調達しました。
G LS 銀行は、シュタイナー教育で知られるルドルフ・シュ
タイナー
(1861 -1925 年)の人智学を取り入れています。シュ
タイナーは経済活動で得た利益はすべて、教育と文化に費
やすべきだと考えました。設立当初はシュタイナーの考えを
理解し、預金しても利子を全く受け取らない、または一部
しか受け取らない人が大半でした。利子は社会的に意義が
あることに使われるためです。
しかし徐々にお金に対する考え方が変わり、現在利子を
受け取らない人は数%に過ぎません。以前は「利子を寄付
しませんか」とすべての客に声をかけていたが、このごろは
控えるようになり、
「G LS 銀行は利益追求をしません」と宣伝することもやめました。しかし新
入社員には、シュタイナーや銀行の哲学について最初に教示しています。
年間 1 万以上のプロジェクトや団体に融資しており、2013 年は再生可能エネルギー分野に
38%、食料関連に 14%、健康に 22%、教育に 8%、住居に 18%融資しました。2012 年には
「ドイツ持続可能な企業」として賞も受けました。自分のお金が意義のあることに使われること
を望む人が増えており、G LS の役割は今後も大きくなるでしょう。
ボーフムにある G LS 銀行本社を訪ねました。フレックス勤務制を取り入れ、写真のように中
庭にシュタイナーの哲学を体現した池があり、ベランダにハチの巣箱が置かれ、アットホームな
雰囲気です。働きやすい職場で、みなさん誇りを持って仕事をしている様子がうかがえました。
ごみかんドイツ特派員 田口 理穂
ドイツで子育て
夏休みを利用して3週間、明は日本の小学校に通いました。長野県の村の小学校1年生です。
プール参観、防災訓練、運動会の練習と盛りだくさん。雑巾がけもやりました。ドイツでは
学校の掃除は業者まかせなので、掃除も新鮮です。最初は「ドイツは夏休みなのに、学校行
きたくない」といっていましたが、先生は面倒見がいいし、友達はやさしいし、給食はおいし
いし、最高だったみたい。最後にお別れ会でハンカチ落としや椅子取りゲームをし、クラスの
みんなからカードをもらいました。
日常の習慣や挨拶、歌を学び、読み書きもレベルアップし、学校に行けて本当によかった。
子どもにとって、こんなにいいところはありません。しかも無償だなんて! 日本の義務教育は
充実しているなぁ、とつくづく感じました。明は「来年も行く」と今から楽しみにしています。
14 ごみ・環境ビジョン 21 * ごみっと・SUN 104 号