慢性好酸球性肺炎によるステロイド治療について

慢性好酸球性肺炎における
ステロイド治療について
平成27年11月30日
急性期病棟看護師
事例紹介
• 女性
既往歴:初回発症時期:X年
呼吸苦・喘鳴・寝汗が1週間続き近医にてマイコプラズマ肺炎と診断される。
しかし精査を勧められ国立MH病院に紹介受診し気管支鏡検査で
慢性好酸球性肺炎と診断を受ける。入院しプレドニンを20㎎/日より開始し
2週間入院継続後退院となる。
2週間に1回定期外来受診し、プレドニンを0.5mgつ漸減し、1年かけて
中止となる。
現病歴:X+6年6月頃呼吸困難出現した為再入院となり、以前のステロイド
治療が再開となり、現在プレドニン6mg/日を継続中である。
・処方薬:X+7/10/28~
プレドニン(5mg)1錠、プレドニン(1mg)1錠 1日1回朝食後
バクタ・ネキシウムカプセル 1日1回夕食後
アレンドロン酸(骨粗鬆症予防薬) 毎週水曜日に1回
実際の画像
慢性好酸球性肺炎とは
概 要:特に30~50歳の女性に発症しやすい。
末梢血中の好酸球数の増加と肺の異常陰影を伴う疾患。
呼吸不全を来しやすく治療が適切でないと線維化を残す
だけでなく致命的な経過となりうる。
通常ではステロイド治療を一生必要とする
(減量する際に再燃しやすい)。
好酸球性肺炎とは
・原因:寄生虫・真菌・細菌・薬剤などが原因となることが
多いが大半は原因不明。
・症状:発熱・咳嗽・痰・呼吸困難・全身倦怠感・体重減少を
主訴とし次第に呼吸不全化する。
・検査:採血(好中球増加・白血球増加・CRP上昇・Ig高値)
喀痰検査・気管支鏡・胸部X-P・胸部CT
・治療:プレドニゾロン40~60mg/日から開始
(半年~1年かけて治療)
呼吸リハビリ
ステロイド治療とは
• 副腎皮質ホルモン(ステロイド)が分泌され、さまざまな
ストレスに打ち勝ち健康を維持する働きをしている。
• 副腎皮質ホルモンの不足を補い強力な炎症の緩和や
免疫を押さえる目的がある。
・ 投与を中止すると副腎不全の状態となる。
悪化すると意識障害を起こすこともあり
一気に中止する事は危険である。
・ 逆に勝手に量を増やすのも疾病のコントロールが
つかず危険である為、指示量を順守する必要がある。
ステロイドの適応疾患
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慢性腎不全
膠原病、関節リウマチ、ネフローゼ
重い喘息、肺炎、ひどいアレルギー症状
めまい、耳鳴り
抗癌薬に伴う悪心 嘔吐
副作用
ステロイド内服中の注意点
• 感染予防:人込みの中への外出はさけ、マスク、手洗い、
うがいをする。
• 食 事:ステロイドを服用すると脂質の代謝が活発になり
食欲増進し過食気味になるため低カロリー食を
なるべく摂る。
刺激物や消化吸収の悪いものは控える。
カルシウムを含む食材を摂る。
・ 定期受診:服薬管理
・ 体調管理:異常時は速やかに受診する。
ま と め
• 慢性好酸球性肺炎は治療中や経過観察中でも
再燃しやすい為、常に感染対策を徹底する。
• ステロイドの長期投与が必要な為、糖尿病や潰瘍
などの全身性の合併症に注意する。
・ 慢性疾患である事から、悪化させないよう病気と
付き合っていく生活の見直しも必要である。