Document

第 3 回西濃画像研究会
「 MR 最 新 情 報 」
GE ヘ ル ス ケ ア ・ ジ ャ パ ン 株 式 会 社
MR 営 業 推 進 部
寺嶋健一
EOB 造 影 剤 の 登 場 以 降 、 MR 装 置 で の 上 腹 部 検 査 が 増 え て い る 。 息 止 め が 不 安 定 な 場 合 は
モーションアーチファクトによって画像劣化が起きてしまう。今回は上腹部検査における
画質向上の観点から 3 つの技術を紹介する。
1 つ 目 は Motion Free の 撮 像 法 で あ る 。 2004 年 に 頭 部 領 域 に お け る 動 き 補 正 の 撮 像 シ ー
ケ ン ス の Propeller 法 を 世 界 で 初 め て 発 表 し て か ら 、 現 在 で は 全 身 撮 像 に お い て 動 き 補 正
ま た は 抑 制 効 果 の あ る 撮 像 が 可 能 と な っ て い る 。腹 部 の T2 強 調 画 像 で は 、そ の Propeller
法と呼吸同期法を併用して腹壁からの大きなアーチファクト抑制と、肝臓内の脈管の拍動
などを抑制した画像の取得が可能となっている。また、横隔膜部分にペンシルビーム型の
ナビゲーターエコーを印加し、リアルタイムに横隔膜の位置をモニターしながら同期撮像
を行う手法も可能となり、拡散強調画像や腎動脈の撮像なども精度が向上している。
2 つ 目 は 高 速 撮 像 技 術 で あ る 。 ダ イ ナ ミ ッ ク 撮 像 や EOB 肝 細 胞 相 の 撮 像 は 、 当 社 で 用 い
て い る LAVA に 代 表 さ れ る 、 脂 肪 抑 制 を 付 加 し た 3DT1 強 調 画 像 を 撮 像 す る こ と が 多 い が 、
20 秒 前 後 の 息 止 め 時 間 が 必 要 と な っ て い る 。高 齢 の 患 者 が 増 え て い る 中 で 、画 質 を 落 と さ
ず に 息 止 め 時 間 を 短 く す る 事 は 重 要 で あ る 。 GE 社 で は Turbo LAVA に よ っ て こ の 問 題 を 解
決 す る 。 こ れ は k-Space の 充 填 に お い て 高 周 波 領 域 の 間 引 き 率 を 上 げ て 、 さ ら に パ ラ レ ル
イ メ ー ジ ン グ 法 の ARC 法 を 最 適 化 す る こ と に よ っ て 、 以 前 の バ ー ジ ョ ン よ り 最 大 50%の 息
止 め 時 間 の 短 縮 を 可 能 と し た 。こ れ に よ っ て 息 止 め 検 査 の 成 功 率 が 向 上 す る と 期 待 で き る 。
ま た 、 DISCO 法 は Turbo LAVA と View Sharing 法 を 組 み 合 わ せ た 撮 像 法 で あ り 、 時 間 分 解
能 を 向 上 さ せ た 検 査 も 可 能 と な っ て い る 。 K-Space を 低 周 波 領 域 の 中 心 部 分 と 高 周 波 領 域
の外側との 2 つに分け、さらに外側の領域をランダムに 3 つのグループに分けている。ラ
ンダムに分けることで動きのアーチファクトにも強くなる。ある時相では、中心部分のデ
ー タ と 外 側 の デ ー タ の 1/3 を 収 集 す る 。 真 ん 中 は 毎 時 相 ご と に デ ー タ 収 集 さ れ る が 、 外 側
は 3 回に1回の収集となる。画像再構成の際には、外側は前後の時相データをシェアしな
がら計算を行っている。これにより従来では分かりにくい早期濃染の様子を捉える事が可
能 と な る 。 DISCO 法 は 乳 腺 検 査 に も 適 用 が 可 能 で あ り 、 従 来 と 比 べ る と 2 倍 以 上 の 空 間 分
解能撮像が可能となる。
3 つ 目 は 息 止 め 不 要 の 技 術 で あ る 。従 来 の 横 隔 膜 同 期 法 で は 、TR/TE が 短 い も の は 撮 れ な
か っ た 。 当 社 の PB Navigator は T2 用 の ト リ ガ リ ン グ モ ー ド だ け で は な く 、 T1 用 の ゲ ー テ
ィングモードにも対応している。ゲーティングモードとは、ナビゲーターエコーと実撮像
シ ー ケ ン ス( 例 え ば L AVA な ど )を 交 互 に デ ー タ 収 集 し て い る 。こ れ に よ っ て 横 隔 膜 の 動 き
を モ ニ タ ー し な が ら 、 TR が 短 い 3DT1 の デ ー タ 取 得 が 可 能 と な る 。 EOB 肝 細 胞 相 に お い て
PB Navigator を 併 用 し た LAVA-FLEX 法 で は 、 2 分 前 後 の 時 間 で 自 由 呼 吸 下 で の デ ー タ 取 得
が 可 能 と な る 。 息 止 め が 続 か な い 患 者 の 場 合 に 有 用 で あ る と 考 え る 。 ま た 、 前 述 の DISCO
と組み合わせることによって、息止めダイナミック撮像の代わりになる事も示唆されてい
る。
これらの技術を組み入れることにより、上腹部検査の画質安定が図られると考える。