2015年9月号

2015年9月号
ファンダメンタル・アナリシス ……………………………………………………… 1
新たな局面に入る世界経済と日本経済の展望 JPモルガン証券株式会社 チーフ・エコノミスト 菅野 雅明
マーケット・アウトルック …………………………………………………………… 7
不透明感を増す外部環境と日銀金融政策
SMBC日興証券株式会社 金利ストラテジスト 竹山 聡一
特別報告 …………………………………………………………………………………… 13
米国の二つのリテール金融機関
明海大学 教授 朝日 讓治
資産研コーナー …………………………………………………………………………… 19
地域経済の活性化のための資産証券化
―わが国におけるカバード・ボンドの導入可能性
ゆうちょ資産研究センター 研究員 宮下 恵子
統計データ集 ……………………………………………………………………………… 25
ゆうちょ関連データ ……………………………………………………………………… 31
一般財団法人ゆうちょ財団 ゆうちょ資産研究センター
新たな局面に入る世界経済と日本経済の展望
JP モルガン証券株式会社 チーフ・エコノミスト 菅野 雅明
新たな局面に入る世界経済と日本経済の展望
新たな局面に入る世界経済と日本経済の展望
概要
JPモルガン証券株式会社 チーフ・エコノミスト 菅野 雅明
世界経済は 2 つの不確実性に直面し市場は不安定化している。米国金融政策正常化の影響と中国経済
JPモルガン証券株式会社 チーフ・エコノミスト 菅野 雅明
の先行きに対する不確実性だ。米国の利上げで、これまで景気回復を支えてきた中央銀行によるバラン
概要
スシート拡大という条件に変化が起きる可能性があるほか、中国経済の減速は新興国、資源国を含め、
概要
世界経済は
2 つの不確実性に直面し市場は不安定化している。米国金融政策正常化の影
世界経済全体への影響が懸念される。先行きについては、米国経済は基本的に中国減速の影響を余り受
世界経済は
2 つの不確実性に直面し市場は不安定化している。米国金融政策正常化の影
響と中国経済の先行きに対する不確実性だ。米国の利上げで、これまで景気回復を支えて
響と中国経済の先行きに対する不確実性だ。米国の利上げで、これまで景気回復を支えて
きた中央銀行によるバランスシート拡大という条件に変化が起きる可能性があるほか、中
けず、景気後退に陥るリスクは低いほか、中国政府も金融財政政策を総動員すれば、大きな落ち込みは
きた中央銀行によるバランスシート拡大という条件に変化が起きる可能性があるほか、中
国経済の減速は新興国、資源国を含め、世界経済全体への影響が懸念される。先行きにつ
当面回避可能と考える。日本では、中国ショックによる外需の低迷に加え、内需面でも従来想定してい
国経済の減速は新興国、資源国を含め、世界経済全体への影響が懸念される。先行きにつ
いては、米国経済は基本的に中国減速の影響を余り受けず、景気後退に陥るリスクは低い
た「所得から支出への好循環」の波及メカニズムが十分に機能せず、消費
・ 設備投資が下振れ気味だ。
いては、米国経済は基本的に中国減速の影響を余り受けず、景気後退に陥るリスクは低い
ほか、
中国政府も金融財政政策を総動員すれば、大きな落ち込みは当面回避可能と考える。
日銀の追加緩和が実施される可能性が高い。ただし、これらの政策はあくまで時間稼ぎであり、この間に、
ほか、中国政府も金融財政政策を総動員すれば、大きな落ち込みは当面回避可能と考える。
日本では、中国ショックによる外需の低迷に加え、内需面でも従来想定していた「所得か
成長戦略と財政健全化を強く推進する必要がある。
日本では、中国ショックによる外需の低迷に加え、内需面でも従来想定していた「所得か
ら支出への好循環」の波及メカニズムが十分に機能せず、消費・設備投資が下振れ気味だ。
ら支出への好循環」の波及メカニズムが十分に機能せず、消費・設備投資が下振れ気味だ。
日銀の追加緩和が実施される可能性が高い。ただし、これらの政策はあくまで時間稼ぎで
中国ショックの影響
日銀の追加緩和が実施される可能性が高い。ただし、これらの政策はあくまで時間稼ぎで
あり、この間に、成長戦略と財政健全化を強く推進する必要がある。
あり、この間に、成長戦略と財政健全化を強く推進する必要がある。
中国経済は、昨年後半以来、減速傾向を強めている。昨年の
GDP 成長率は 7.3%だったが、本年初か
中国ショックの影響
ら 9 月までの GDP は年率 6.5%程度の減速した模様だ(試算は J.P. モルガン)。この間、とくに大きな減
中国ショックの影響
中国経済は、昨年後半以来、減速傾向を強めている。昨年の
GDP 20%台から足元では
成長率は 7.3%だった 10%前後ま
速を示しているのは固定資産投資で、伸び率(前年比)は、2013
年中の
中国経済は、昨年後半以来、減速傾向を強めている。昨年の
GDP
成長率は
7.3%だった
が、本年初から 9 月までの GDP は年率 6.5%程度の減速した模様だ(試算は
J.P.モルガン)
。
で低下している(第 1 図)
。これを受けて、鉱工業生産の伸びも鈍化し、併せて輸入も激減している。中
が、本年初から 9 月までの GDP は年率 6.5%程度の減速した模様だ(試算は J.P.モルガン)。
この間、とくに大きな減速を示しているのは固定資産投資で、伸び率(前年比)は、2013
国の輸入(金額ベース)前年比は前年割れが
9 ヶ月続いている。数量ベースでも急速な減速が起きてい
この間、とくに大きな減速を示しているのは固定資産投資で、伸び率(前年比)は、2013
年中の
20%台から足元では 10%前後まで低下している(第 1 図)。これを受けて、鉱工業
ると見られる。
年中の 20%台から足元では 10%前後まで低下している(第 1 図)。これを受けて、鉱工業
生産の伸びも鈍化し、併せて輸入も激減している。中国の輸入(金額ベース)前年比は前
生産の伸びも鈍化し、併せて輸入も激減している。中国の輸入(金額ベース)前年比は前
年割れが
9 ヶ月続いている。数量ベースでも急速な減速が起きていると見られる。
年割れが 9 ヶ月続いている。数量ベースでも急速な減速が起きていると見られる。
(第1表)GDPが1%変化した場合の影響
(第
1 図)中国:鉱工業生産と固定資産投資
(第1図)
中国:鉱工業生産と固定資産投資
(第 1 表)GDP が 1%変化した場合の影響
(%ポイント、4四半期累計)
(第1表)GDPが1%変化した場合の影響
GDPが1%変化した場合
(%ポイント、4四半期累計)
GDPが1%変化した場合
米国 ユーロ圏
日本
中国
%、前年比
(第1図) 中国:鉱工業生産と固定資産投資
30 %、前年比
25
30
20
25
15
20
10
15
世界経済
固定資産投資
固定資産投資
鉱工業生産
世界経済
先進国
先進国
米国
米国
ユーロ圏
鉱工業生産
日本ユーロ圏
5 10
新興国 日本
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
5
出所:中国国家統計局
新興国
アジア
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
出所 : 中国国家統計局
出所:中国国家統計局
アジア
中南米
1.2米国 ユーロ圏
0.9
0.3日本 0.5中国
1.4 1.2 0.6 0.9 0.3 0.3 0.2 0.5
-- 1.4 0.3 0.6 0.3 0.3 0.0 0.2
1.3
--
-- 0.3 0.2 0.3 0.4 0.0
1.8 1.3 1.0
--
-- 0.2 0.4 0.4
1.2 1.8 1.3 1.0 0.2
-- 1.1 0.4
0.7 1.2 1.1 1.3 0.1 0.2 0.9 1.1
1.5 0.7 1.2 1.1 0.3 0.1 1.2 0.9
1.5
1.2
0.3
1.2
中南米
東欧、中東、
2.2
2.1
0.6
1.3
アフリカ
東欧、中東、
2.2
2.1
0.6
1.3
出所:J.P.モルガン
アフリカ
2000年~2015年第2四半期
(注)計測期間は
出所:J.P.モルガン
出所:J.P.
モルガン
2000年~2015年第2四半期
(注)計測期間は
こうした状況下、中国経済への依存度が高い台湾、韓国のみならず、米国、日本でも中
(注)計測期間は 2000 年~ 2015 年第 2 四半期
こうした状況下、中国経済への依存度が高い台湾、韓国のみならず、米国、日本でも中
国の鉱工業生産の影響が顕著に観察される。世界の製造業に占める中国のウェイトが上昇
国の鉱工業生産の影響が顕著に観察される。世界の製造業に占める中国のウェイトが上昇
してきた結果、中国ショックの影響は、各国の輸出と鉱工業生産の減少を通じて世界経済
してきた結果、中国ショックの影響は、各国の輸出と鉱工業生産の減少を通じて世界経済
の成長を鈍化させる要因となっている。
こうした状況下、中国経済への依存度が高い台湾、韓国のみならず、米国、日本でも中国の鉱工業生
の成長を鈍化させる要因となっている。
J.P.モルガンの試算では、中国経済が
1%減速すると、世界経済は 0.5%減速するという
産の影響が顕著に観察される。世界の製造業に占める中国のウェイトが上昇してきた結果、中国ショッ
J.P.モルガンの試算では、中国経済が
1%減速すると、世界経済は 0.5%減速するという
関係がみられる(第
1 表)。しかし、これを国別・地域別にみると、先進国への影響は
0.2%
クの影響は、各国の輸出と鉱工業生産の減少を通じて世界経済の成長を鈍化させる要因となっている。
関係がみられる(第 1 表)。しかし、これを国別・地域別にみると、先進国への影響は 0.2%
J.P. モルガンの試算では、中国経済が 1%減速すると、世界経済は 0.5%減速するという関係がみられる
-1-
(第
1 表)
。しかし、これを国別 ・ 地域別にみると、先進国への影響は
0.2%に止まる一方、新興国への影
に止まる一方、新興国への影響は
1.1%とかなり大きい。これは、中国向け輸出減少という
響は
1.1%とかなり大きい。これは、中国向け輸出減少という直接効果に加え、資源価格低下に伴う間接
直接効果に加え、資源価格低下に伴う間接的な影響が大きいからだ。因みに、先進国の内
的な影響が大きいからだ。因みに、先進国の内訳を見ると、米国は
0.0%、日本は 0.4%となっている。米
訳を見ると、米国は 0.0%、日本は 0.4%となっている。米国経済が中国経済の減速の影響
国経済が中国経済の減速の影響を受けないのは、原油価格の低下に伴うガソリン価格の低下で、国内の
を受けないのは、原油価格の低下に伴うガソリン価格の低下で、国内の消費が喚起され、
消費が喚起され、中国向け輸出減少の影響が相殺されるからだ。
中国向け輸出減少の影響が相殺されるからだ。
中国を除く新興国でも経済の減速が顕著だ。新興国に共通する問題点としては、民間債務比率の上昇
中国を除く新興国でも経済の減速が顕著だ。新興国に共通する問題点としては、民間債
を挙げることが出来る。先進国では、リーマンショック後、企業部門での過剰債務の縮小が見られてい
務比率の上昇を挙げることが出来る。先進国では、リーマンショック後、企業部門での過
るが、
新興国では一貫して同比率が上昇傾向にある(第 2 図)。この結果、一部の新興国では、
自動車ロー
剰債務の縮小が見られているが、新興国では一貫して同比率が上昇傾向にある(第
2 図)
。
ンの焦げ付きが目立つようになり、
自動車ディーラーでは自動車ローンの提供を慎重化させている。また、
この結果、一部の新興国では、自動車ローンの焦げ付きが目立つようになり、自動車ディ
景気が減速している新興国でも、インフレ率の上昇、期間プレミアムの上昇などから長期金利が上昇傾
ーラーでは自動車ローンの提供を慎重化させている。また、景気が減速している新興国で
も、インフレ率の上昇、期間プレミアムの上昇などから長期金利が上昇傾向となっており、
向となっており、これも経済にはマイナスだ。
これも経済にはマイナスだ。
(第 2 図)民間非金融部門債務残高
(第2図) 民間非金融部門債務残高
新興国
%、対GDP 比、両軸
180
先進国
130
120
170
110
100
160
90
80
150
140
70
00
02
出所:J.P.モルガン
出所 :J.P. モルガン
04
06
08
10
12
14
16
60
中国での政策対応
こうした状況下、中国では、利下げ(今次局面で 5 回)と預金準備率の引下げ(同 3 回)
こうした状況下、中国では、利下げ(今次局面で 5 回)と預金準備率の引下げ(同 3 回)を既に実施
を既に実施したほか、インフラ投資などの財政政策面でも景気テコ入れを図っている。さ
したほか、インフラ投資などの財政政策面でも景気テコ入れを図っている。さらには、財政状況が悪化
らには、財政状況が悪化している地方政府に対しても、債務スワップなどを通じて資金面
している地方政府に対しても、債務スワップなどを通じて資金面でのサポートを行っている。この結果、
でのサポートを行っている。この結果、不動産価格は一時下落したものの、主要都市部で
不動産価格は一時下落したものの、主要都市部で再び上昇に転じている。生産面でも、早ければ 10 月中
再び上昇に転じている。生産面でも、早ければ 10 月中にも景気対策の効果が多少なりとも
にも景気対策の効果が多少なりとも顕現化する見込みだ。
顕現化する見込みだ。
しかし、過剰生産設備問題はほとんど手付かずのままだ。中国の鉄鋼業では 2 割程度が過剰生産設備
しかし、過剰生産設備問題はほとんど手付かずのままだ。中国の鉄鋼業では 2 割程度が
と言われているが、そこから産出される鉄鋼は、日本の年間粗鋼生産量の
2 倍近くに達する。中国では
過剰生産設備と言われているが、そこから産出される鉄鋼は、日本の年間粗鋼生産量の
2
減産は小幅に止まり、国内で需要しきれなかった鉄鋼はアジアを中心に輸出されている。この結果、ア
倍近くに達する。中国では減産は小幅に止まり、国内で需要しきれなかった鉄鋼はアジア
ジアでの鉄鋼価格は下落傾向となっている。こうした点は、
鉄鋼以外の素材産業(ガラス、セメントなど)
を中心に輸出されている。この結果、アジアでの鉄鋼価格は下落傾向となっている。こう
にも見られるほか、自動車でも販売台数が減少する中、3
割以上の過剰生産能力が発生しつつある。この
した点は、鉄鋼以外の素材産業(ガラス、セメントなど)にも見られるほか、自動車でも
ような過剰設備を保有し続けると、企業利益率が低下し、これが将来、不良債権化する可能性もある。
販売台数が減少する中、3 割以上の過剰生産能力が発生しつつある。このような過剰設備を
保有し続けると、企業利益率が低下し、これが将来、不良債権化する可能性もある。
中国での政策対応
中国政府はトリレンマに直面
国際金融に関しては、一般に「資本移動の自由化」「為替レートの固定化」「金融政策の独立性」の 3
中国政府はトリレンマに直面
つ全てを選択することは出来ず、一つを放棄せざるを得ない。多くの先進国は、固定為替相場を諦め、
国際金融に関しては、一般に「資本移動の自由化」「為替レートの固定化」「金融政策の
資本移動の自由化と金融政策の独立性を維持している。
独立性」の 3 つ全てを選択することは出来ず、一つを放棄せざるを得ない。多くの先進国
中国では、これまで資本移動の自由を制限することで人民元の事実上の固定相場制と金融政策の独立
は、固定為替相場を諦め、資本移動の自由化と金融政策の独立性を維持している。
性を確保できたが、政府が掲げる自由化路線の下で、資本移動にかかわる制限をかなり緩和してきた。
中国では、これまで資本移動の自由を制限することで人民元の事実上の固定相場制と金
融政策の独立性を確保できたが、政府が掲げる自由化路線の下で、資本移動にかかわる制
この間、米国利上げ観測が高まっていたこともあり、中国からの資本流出は加速し、外貨準備が減少、
限をかなり緩和してきた。この間、米国利上げ観測が高まっていたこともあり、中国から
固定為替レートの維持も厳しくなりつつあった。中国政府の政策対応は難しさを増している。今後も景
-2-
の資本流出は加速し、外貨準備が減少、固定為替レートの維持も厳しくなりつつあった。
気テコ入れのために、一段の金融緩和が必要とされる可能性もあるが、資本取引を自由化すると、ます
中国政府の政策対応は難しさを増している。今後も景気テコ入れのために、一段の金融緩
ます資本流出に歯止めがかからなくなり、人民元の大幅な減価とインフレの悪循環に陥らないとも限ら
ない。和が必要とされる可能性もあるが、資本取引を自由化すると、ますます資本流出に歯止め
がかからなくなり、人民元の大幅な減価とインフレの悪循環に陥らないとも限らない。
そこで、中国政府が目先の安定を最優先するなら、資本流出を規制することで、金融政策の自由度を
そこで、中国政府が目先の安定を最優先するなら、資本流出を規制することで、金融政
確保し、大幅な追加利下げを行う環境を整える、という選択肢が現実味をおびる。中国政府の自由化路
策の自由度を確保し、大幅な追加利下げを行う環境を整える、という選択肢が現実味をお
線は正しい政策と考えるが、短期的には市場の変動を高めないとも限らない。実際、中国政府は、為替
びる。中国政府の自由化路線は正しい政策と考えるが、短期的には市場の変動を高めない
先物市場への規制を強めているほか、過剰生産設備への対策としても国有企業の再編を本格化するとの
とも限らない。実際、中国政府は、為替先物市場への規制を強めているほか、過剰生産設
見方が出ているが、これは、政府の権限を強化する形での「中国流の対処方法」である。このように、
備への対策としても国有企業の再編を本格化するとの見方が出ているが、これは、政府の
中国政府は短期的な対応手段を持ち合わせているので、適切な政策手段を政府が選択するという前提に
権限を強化する形での「中国流の対処方法」である。このように、中国政府は短期的な対
応手段を持ち合わせているので、適切な政策手段を政府が選択するという前提に立てば、
中国経済が目先ハードランディングする可能性は低い。
立てば、中国経済が目先ハードランディングする可能性は低い。
高めの成長を維持する米国経済
米国では雇用の改善が進んでいる。失業率は、リーマンショック直後の 10.0%から 8 月には 5.1%まで
高めの成長を維持する米国経済
低下したほか、非農業部門雇用者数も毎月平均 20 万人強増加している。雇用ミスマッチの代表的な指標
米国では雇用の改善が進んでいる。失業率は、リーマンショック直後の 10.0%から 8 月
とされている U6 失業率(経済的理由で臨時雇用されている労働者も失業者と見なす)も足元では急速に
には 5.1%まで低下したほか、非農業部門雇用者数も毎月平均 20 万人強増加している。雇
低下しつつある(第 3 図)。
用ミスマッチの代表的な指標とされている U6 失業率(経済的理由で臨時雇用されている労
働者も失業者と見なす)も足元では急速に低下しつつある(第 3 図)
。
(第
3 図)米国:2
つの失業率指標
(第3図)
米国:2つの失業率指標
%
20
U6失業率
15
10
5
0
U3失業率(公式失業率)
00
02
04
06
08
10
12
14
出所:米国労働省
出所 : 米国労働省
このほか、住宅投資も堅調だ。住宅着工件数は足元で 120 万戸(年率)と前年比で 2 割
程度増加しているほか、住宅価格も緩やかな上昇基調を辿っている。さらに、個人消費面
では、自動車販売が好調だ。ガソリン価格の低下を背景に米国自動車メーカーが得意とす
このほか、住宅投資も堅調だ。住宅着工件数は足元で
120 万戸(年率)と前年比で 2 割程度増加して
る大型 SUV の売れ行きがとくに堅調だ。
いるほか、住宅価格も緩やかな上昇基調を辿っている。さらに、個人消費面では、自動車販売が好調だ。
もっとも、企業業績面では、ドル高の影響もあって増益基調がやや鈍化しているほか、
ガソリン価格の低下を背景に米国自動車メーカーが得意とする大型
SUV の売れ行きがとくに堅調だ。
原油価格の下落により、原油探索関連の設備投資が減少している。このため、設備投資と
もっとも、企業業績面では、ドル高の影響もあって増益基調がやや鈍化しているほか、原油価格の下
関連の深い月次指標である耐久財受注はこのところ低迷している。
落により、原油探索関連の設備投資が減少している。このため、設備投資と関連の深い月次指標である
このように、米国経済は底堅く推移しており、今後も潜在成長率(2%弱)を上回る成長
耐久財受注はこのところ低迷している。
率は達成できる可能性が高く、中国経済減速の影響は、最小限に止まるとみられる。ただ
このように、米国経済は底堅く推移しており、今後も潜在成長率(2%弱)を上回る成長率は達成でき
し、新興国の減速分を補えるほどの力強い成長は見込み難いであろう。
る可能性が高く、中国経済減速の影響は、最小限に止まるとみられる。ただし、新興国の減速分を補え
るほどの力強い成長は見込み難いであろう。
FRB の金融政策:9 月 FOMC は利上げ見送り
米国では、労働需給がタイト化しつつあるが、賃金上昇率の加速は見られていない(第 4
FRB の金融政策:9 月 FOMC は利上げ見送り
図)。また、エネルギー価格の低下もあり、インフレ率は低位安定している。こうした状況
米国では、労働需給がタイト化しつつあるが、賃金上昇率の加速は見られていない(第 4 図)。また、
下、FRB の金融政策に関し 2 つの異なる立場が存在する。
エネルギー価格の低下もあり、インフレ率は低位安定している。こうした状況下、FRB の金融政策に関
し 2 つの異なる立場が存在する。
-3-
(第 4 図)時間当り賃金と雇用コスト指数
(第4図) 時間当り賃金と雇用コスト指数
(第4図) 時間当り賃金と雇用コスト指数
%前年比
4.0 %前年比
4.0
3.5
3.5
時間当り賃金
3.0
雇用コスト指数
時間当り賃金
3.0
2.5
雇用コスト指数
2.5
2.0
2.0
1.5
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出所:米国労働省
08
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出所 :出所:米国労働省
米国労働省
第 1 の立場は、足下のインフレ率は低水準であり、今後も直ちにインフレ率が上昇する可
第 1 の立場は、足下のインフレ率は低水準であり、今後も直ちにインフレ率が上昇する可
能性は低いので、利上げは慎重に行うべき、とするハト派の見方だ。海外情勢をより重視
第 1 の立場は、足下のインフレ率は低水準であり、今後も直ちにインフレ率が上昇する可能性は低い
能性は低いので、利上げは慎重に行うべき、とするハト派の見方だ。海外情勢をより重視
する立場でもある。シカゴ連銀のエバンス総裁などがハト派の代表だ。FRB
の外では、サ
ので、利上げは慎重に行うべき、とするハト派の見方だ。海外情勢をより重視する立場でもある。シカ
する立場でもある。シカゴ連銀のエバンス総裁などがハト派の代表だ。FRB の外では、サ
マーズ元財務長官などもこうした見方を支持している。
ゴ連銀のエバンス総裁などがハト派の代表だ。FRB
の外では、サマーズ元財務長官などもこうした見方
マーズ元財務長官などもこうした見方を支持している。
第
2 の立場は、今後さらに失業率が低下すると、近い将来賃金が上昇に転じ、インフレ
を支持している。
第 2 の立場は、今後さらに失業率が低下すると、近い将来賃金が上昇に転じ、インフレ
率が上昇する可能性が高いが、実際にインフレ率が上昇してからの利上げでは遅すぎるの
率が上昇する可能性が高いが、実際にインフレ率が上昇してからの利上げでは遅すぎるの
第で、早めに利上げすべき、とのタカ派の見方だ。9
2 の立場は、今後さらに失業率が低下すると、近い将来賃金が上昇に転じ、インフレ率が上昇する
月 FOMC での利上げ見送りに反対票を
で、早めに利上げすべき、とのタカ派の見方だ。9
月 FOMC での利上げ見送りに反対票を
可能性が高いが、実際にインフレ率が上昇してからの利上げでは遅すぎるので、早めに利上げすべき、
投じたリッチモンド連銀のラッカー総裁などがタカ派の代表だ。
投じたリッチモンド連銀のラッカー総裁などがタカ派の代表だ。
とのタカ派の見方だ。9
月 FOMC での利上げ見送りに反対票を投じたリッチモンド連銀のラッカー総裁
鍵を握るイェレン議長は、両者の中間に位置するが、9
月 FOMC では前者の立場を支持
鍵を握るイェレン議長は、両者の中間に位置するが、9
月 FOMC では前者の立場を支持
などがタカ派の代表だ。
した。もっとも、FRB は伝統的に、金融政策が発動されてから効果を発するまでに
1 年近
した。もっとも、FRB
は伝統的に、金融政策が発動されてから効果を発するまでに
1 年近
鍵を握るイェレン議長は、
両者の中間に位置するが、
9
月
FOMC
では前者の立場を支持した。もっとも、
くかかるので、1 年後のインフレ率を予測して行動する必要がある、という考え方は FRB
くかかるので、1
年後のインフレ率を予測して行動する必要がある、という考え方は
FRB
FRB内で共有されている。また、FOMC
は伝統的に、金融政策が発動されてから効果を発するまでに
1 年近くかかるので、1 年後のインフ
メンバーが考えている中長期的な均衡失業率は
4.9%
内で共有されている。また、FOMC
メンバーが考えている中長期的な均衡失業率は
4.9%
レ率を予測して行動する必要がある、という考え方は
FRB 内で共有されている。また、FOMC
メンバー
~5.2%であり、8
月失業率(5.1%)はその範囲に達している。そこで、
「さすがにゼロ金
~5.2%であり、8 月失業率(5.1%)はその範囲に達している。そこで、
「さすがにゼロ金
が考えている中長期的な均衡失業率は
4.9%~
5.2%であり、
8 月失業率(5.1%)はその範囲に達している。
利は早期に解除すべき」というのが
FRB
内での多数派意見となっている。
利は早期に解除すべき」というのが
FRB
内での多数派意見となっている。
そこで、
「さすがにゼロ金利は早期に解除すべき」というのが FRB年
内での多数派意見となっている。
ただし、利上げテンポは緩やかに止まるであろう。2004
6 月に始まった前回の利上げ
ただし、利上げテンポは緩やかに止まるであろう。2004
年 6 月に始まった前回の利上げ
ただし、利上げテンポは緩やかに止まるであろう。2004
年5.25%まで上昇したが、
6 月に始まった前回の利上げ局面では、
局面では、FRB の政策金利である FF レートは 1.0%から
9 月 FOMC
局面では、
FRB
の政策金利である
FF
レートは
1.0%から
5.25%まで上昇したが、
月 FOMC
年末の
FF レートは 1.3%と、今後
2 年余りで
59 回(各
FRB直後の時点で市場が予想する
の政策金利である FF レートは2017
1.0%から
5.25%まで上昇したが、9
月 FOMC
直後の時点で市場が予
直後の時点で市場が予想する
2017 年末の
FF レートは
2 年余りで 5 回(各
0.25%の利上げを前提)
程度の利上げという極めて緩やかな利上げを市場では想定している
想する
2017 年末の FF レートは
1.3%と、今後
2 年余りで
5 回(各1.3%と、今後
0.25%の利上げを前提)程度の利上げ
0.25%の利上げを前提)
程度の利上げという極めて緩やかな利上げを市場では想定している
(第
5 図)。
という極めて緩やかな利上げを市場では想定している(第
5 図)。
(第 5 図)。
(第5図) 米国:政策金利予測
(第 5 図)米国:政策金利予測
% (第5図) 米国:政策金利予測
FOMC予測(FOMCメンバー中央値)
4 %
FOMC予測(FOMCメンバー中央値)
①:2014/12/17
①
4
①:2014/12/17
①
3
②:2015/09/17
②
3
②:2015/09/17
① ②
2
①
2
②
1
②
1
市場予測
0
市場予測
20150
2016
2017
2018
出所:Fed、ブルームバーグ
2015
2016
2017
2018
出所:Fed、ブルームバーグ
出所 :Fed、ブルームバーグ
今後の利上げテンポについても前記と同様に 2 つの異なる立場が存在する。一つは、イ
今後の利上げテンポについても前記と同様に 2 つの異なる立場が存在する。一つは、イ
ンフレリスクが小さい以上、利上げペースもごく緩やかにすべきという主張であるが、他
今後の利上げテンポについても前記と同様に
2 つの異なる立場が存在する。一つは、インフレリスク
ンフレリスクが小さい以上、利上げペースもごく緩やかにすべきという主張であるが、他
方、あまり緩やかに利上げすると資産バブルが発生しかねず、資産バブル対策として急激
が小さい以上、利上げペースもごく緩やかにすべきという主張であるが、他方、あまり緩やかに利上げ
方、あまり緩やかに利上げすると資産バブルが発生しかねず、資産バブル対策として急激
な利上げを行うとそれがバブル崩壊に繋がるので、あまり緩やかな利上げは却って危険、
な利上げを行うとそれがバブル崩壊に繋がるので、あまり緩やかな利上げは却って危険、
-4-
すると資産バブルが発生しかねず、資産バブル対策として急激な利上げを行うとそれがバブル崩壊に繋
とする見解だ。イェレン議長は、前回の利上げでも結局は不動産バブルを招来したという
がるので、あまり緩やかな利上げは却って危険、とする見解だ。イェレン議長は、前回の利上げでも結
反省に立ち、資産バブルの発生は防ぎたいと考えているようだが、同時に、マクロプルー
局は不動産バブルを招来したという反省に立ち、資産バブルの発生は防ぎたいと考えているようだが、
デンス政策により、前回のような金融市場での過熱は見られていないので、仮に資産価格
同時に、マクロプルーデンス政策により、前回のような金融市場での過熱は見られていないので、仮に
が下落に転じても深刻な資産デフレは回避できるという見方もある。
資産価格が下落に転じても深刻な資産デフレは回避できるという見方もある。
金融政策と資産価格の関係は、歴史的にも議論が分かれるが、FRB が直面するリスクは、
金融政策と資産価格の関係は、歴史的にも議論が分かれるが、FRB が直面するリスクは、早く利上げ
早く利上げしすぎて景気の腰を折ってしまうリスクと、利上げのスピードがゆっくり過ぎ
しすぎて景気の腰を折ってしまうリスクと、利上げのスピードがゆっくり過ぎて過度なインフレ、ある
て過度なインフレ、あるいは資産インフレを生み出してしまうリスク、の 2 つだ。どちら
いは資産インフレを生み出してしまうリスク、の 2 つだ。どちらのリスクが大きいかについては FOMC
のリスクが大きいかについては FOMC 内でも意見が分かれるだろうが、イェレン総裁は優
内でも意見が分かれるだろうが、イェレン総裁は優れた経済学者であると同時に、優れた実務家との評
れた経済学者であると同時に、優れた実務家との評判も高い。イェレン議長は、9 月 FOMC
判も高い。イェレン議長は、9
月 FOMC では、前者のリスクを重視した決断を行ったが、今後は
では、前者のリスクを重視した決断を行ったが、今後は
2 つのリスクを常に念頭に置き、 2 つの
リスクを常に念頭に置き、経済指標を丁寧に分析し、バランスのとれた政策判断を行っていくであろう。
経済指標を丁寧に分析し、バランスのとれた政策判断を行っていくであろう。
減速に転じた日本経済
減速に転じた日本経済
本年初の日本経済展望は、筆者を含めて楽観的な見通しが多かった。それは、①円安に
本年初の日本経済展望は、筆者を含めて楽観的な見通しが多かった。それは、①円安による企業収益
よる企業収益の増加、②労働需給タイト化による賃金上昇、③原油価格低下による海外か
の増加、②労働需給タイト化による賃金上昇、③原油価格低下による海外からの所得移転、④消費税増
らの所得移転、④消費税増税効果の一巡、による経済押上効果が期待できたからだった。
税効果の一巡、による経済押上効果が期待できたからだった。
しかし、第
2 四半期以降、日本経済の減速が目立ってきた。確かに第
1 四半期が
4.5%成
しかし、第
2 四半期以降、日本経済の減速が目立ってきた。確かに第
1 四半期が
4.5%成長と高い成長
長と高い成長率が実現した後なので第 1・2 四半期を平均すれば 1.7%成長ということになる
率が実現した後なので第 1・2 四半期を平均すれば 1.7%成長ということになるが、第 3 四半期についても
が、第 3 四半期についても当初期待されたほどの力強い反発は見られていない。年後半の
当初期待されたほどの力強い反発は見られていない。年後半の日本経済は年初の予測に比べると、かな
日本経済は年初の予測に比べると、かなり下ブレする可能性が高い。その要因の一つは、
り下ブレする可能性が高い。その要因の一つは、中国に代表されるアジア経済の減速だ。日本の輸出の 4
中国に代表されるアジア経済の減速だ。日本の輸出の 4 割を占めるアジア経済の減速は日
割を占めるアジア経済の減速は日本の経済にとって打撃だ。
本の経済にとって打撃だ。
しかし、内需も決して万全とはいえる状況ではない。それは、上記①~④が実現しなかったからでは
しかし、内需も決して万全とはいえる状況ではない。それは、上記①~④が実現しなか
ない。第
2 四半期の企業収益は、財務省法人企業統計によると、リーマンショック前のピークを
ったからではない。第
2 四半期の企業収益は、財務省法人企業統計によると、リーマンシ 2 割程
度上回る史上最高益が実現された。また、第
2 四半期以降、実質賃金(前年比)はプラスに転じ、原油
ョック前のピークを 2 割程度上回る史上最高益が実現された。また、第
2 四半期以降、実
価格も
1 月を底に一旦は減少したものの、5 月から再び低下している。にも拘わらず、個人消費の回復は
質賃金(前年比)はプラスに転じ、原油価格も
1 月を底に一旦は減少したものの、5 月から
再び低下している。にも拘わらず、個人消費の回復は捗々しくない(第
6 図)。第 2 四半期
捗々しくない(第
6 図)。第 2 四半期の実質個人消費の水準は 2013 年平均を 2.5%下回っている。
の実質個人消費の水準は 2013 年平均を 2.5%下回っている。
(第 6 図)個人消費総合指数
(第 7 図)
設備投資とキャッシュフロー
(第7図)
消費者物価上昇率
(第6図) 個人消費総合指数
兆円、季節調整済み年率
%、前年比、生鮮食料品を除く、消費税の直接効果を除く
2005=100
114
1.5
112
1.0
110
0.5
108
0.0
106
104
Jan 13
Jul 13
出所:内閣府
出所 : 内閣府
Jan 14
Jul 14
Jan 15
Jul 15
-0.5
2013
出所:総務省
2014
2015
出所 : 財務省、J.P. モルガン
一方、実質設備投資は、緩やかな増加基調にあるものの、企業収益の伸びに比べると、
大幅に見劣りする。リーマンショック前のピークを 2 割程度下回っている。確かに、設備
投資と賃金は緩やかに増加しているが、企業利益の増加に比べるとごく僅かに止まってい
一方、
実質設備投資は、緩やかな増加基調にあるものの、企業収益の伸びに比べると、大幅に見劣りする。
る(第 7 図)ので、その結果、企業の手元資金(その大半は銀行預金)は歴史的な高水準
リーマンショック前のピークを 2 割程度下回っている。確かに、設備投資と賃金は緩やかに増加してい
となっている。
るが、企業利益の増加に比べるとごく僅かに止まっている(第 7 図)ので、その結果、企業の手元資金(そ
企業では、内部留保の一部は、いずれ自社株買いや増配で株主還元すると見られるが、
の大半は銀行預金)は歴史的な高水準となっている。
企業では、内部留保の一部は、いずれ自社株買いや増配で株主還元すると見られるが、それでも、足
-5-
元で銀行預金に積み上げられた資金は、銀行の貸し出しがさほど伸びていない状況では銀行は国債の購
入を増やすだけなので、資金は結局国庫に戻ってしまい、民間経済の成長にはあまり寄与しない。「所得
から支出への好循環」が十分に見られていない。
このことは、企業が国内の投資機会に魅力を感じていないことを示唆している。とはいえ、企業は投
資に消極的な訳ではない。日本企業による海外企業買収の M&A は過去最高のペースで進められている。
次に、企業は、国内でのインフレ率上昇をあまり信じていないようにもみえる。インフレ期待が高いの
であれば、金利ゼロの銀行預金に資金を寝かせることは選ばないであろう。こうした点を勘案すると、
アベノミクスは上手く行っているものの、企業の国内での投資態度を大きく変えるほどには至っていな
い、ということなのだろう。
日銀の追加緩和の可能性高まる
足下のコアインフレ率(生鮮食料品を除く CPI 前年比)はゼロ近辺で推移しており、日銀が目標とす
る 2%を大きく下回っているが、この点につき日銀はさほど懸念している様子は窺われない。日銀は、こ
れは原油価格の下落によるもので「物価の基調」は緩やかに上昇している、との判断だ。
日銀によると、
「物価の基調」とは、需給ギャップと期待インフレ率で判断する、とのことだ。需給ギャッ
プの計測の仕方は一様ではないが、GDP をベースに考えると、日本経済の潜在成長率とされる 0.5%前後
(日銀は 0.3%程度と考えている)の成長率を超えるかどうかで判断されるが、第 2 四半期マイナス成長
の後、第 3 四半期もプラス成長が微妙な状況となっている。7 月後半から 8 月前半までは猛暑で消費が増
えたが、8 月後半からは長雨、豪雨で消費が落ち込んだ可能性がある。この間、設備投資は緩やかに増加
基調にあると見られるが、輸出は回復力に乏しい状況だ。第 3 四半期がゼロあるいはマイナス成長とな
ると、日銀は情勢判断をさらに下方修正する必要に迫られよう。
期待インフレ率については、様々な計測方法があるが、市場で計測される期待インフレ率(インフレ
連動債から推計される BEI など)はせいぜい 1%止まりで、日銀の目標である 2%からは程遠い。また、
企業の期待インフレ率は上記のとおり、目だった上昇は見られていない。日銀が注目する「東大日次物
価(売上高)指数」は、全国の主要スーパーマーケットでの価格を日次ベースで集計したものだが、8 月
央現在で前年比 1%強上昇している一方、売上高も同プラスで推移している。日銀は、消費者が物価上昇
を受け入れ始めた、との解釈だが、この見方が正しいとすると、今後も日次売上高指数(前年比)がプ
ラスで推移する必要がある。この点は、今後も要注目だ。
いずれにせよ、日銀は、今後いずれかの時点で、「2%インフレが 2016 年度前半頃までに実現する」と
いう見方を変える必要(=先送りする必要)が出て来よう。その場合、日銀が信認を維持するためには、
追加緩和が必要になる。その時期については、当初は、来年 1 月の可能性が高いと考えていたが、足下
で経済が下ブレする場合には 10 月末での追加緩和の可能性が高まる。そこでの追加緩和の内容は、国債
を中心とする資産買入増額であろう。
しかし、日銀が追加緩和をしたとしても、それで(例えば)企業の期待インフレ率が高まるとは言い
切れない。日本経済の先行きに対し、消費者も企業も明るさを感じて初めて消費、設備投資が増えるこ
とになる。そのためには、日銀が追加緩和で時間稼ぎしている間に日本経済の生産性を大幅に上昇させ
る成長戦略を大胆に進めることが必要だ。具体的内容は、すでに発表されているので、必要なのは強い
政治的意思とそれを受容する国民の支持だ。残された時間は限られているが、この間に成長率を高め、
財政健全化に道筋をつけることが出来れば日銀の量的質的金融緩和からの出口も初めて見えてくる。
-6-
不透明感を増す外部環境と日銀金融政策
SMBC日興証券株式会社 金利ストラテジスト 竹山 聡一
不透明感を増す外部環境と日銀金融政策
不透明感を増す外部環境と日銀金融政策
■中国による外貨準備の取り崩しSMBC日興証券株式会社
SMBC日興証券株式会社 金利ストラテジスト
金利ストラテジスト 竹山
竹山 聡一
聡一
2015 年夏場までの国債市場の関心事は、需給以外では専ら欧米の経済と金利動向だった。ギリ
■中国による外貨準備の取り崩し
■中国による外貨準備の取り崩し
シャのユーロ離脱懸念が生じて不透明感が強まる場面はあったが、現状の中国経済への懸念に比
2015
2015
年夏場までの国債市場の関心事は、
年夏場までの国債市場の関心事は、
需給以外では専ら欧米の経済と金利動向だった。
需給以外では専ら欧米の経済と金利動向だった。
べれば些末な出来事だったと誰もが思っているだろう。そもそも中国経済の変調は
2014 年頃から
ギリシャのユーロ離脱懸念が生じて不透明感が強まる場面はあったが、現状の中国経済へ
ギリシャのユーロ離脱懸念が生じて不透明感が強まる場面はあったが、現状の中国経済へ
生じており、それがこの 8 月の中国人民銀行によるドル元基準レートの切り下げによって国内外
の懸念に比べれば些末な出来事だったと誰もが思っているだろう。そもそも中国経済の変
の懸念に比べれば些末な出来事だったと誰もが思っているだろう。そもそも中国経済の変
の中国経済・政府への不安感が一気に表面化した結果、足元の世界的な株式・為替市場の混乱に
調は
調は2014
2014年頃から生じており、
年頃から生じており、
それがこの
それがこの8 8月の中国人民銀行によるドル元基準レートの
月の中国人民銀行によるドル元基準レートの
つながったと考えられる。例えば中国国際収支(図表
1)によると、2014 年から誤差脱漏による
切り下げによって国内外の中国経済・政府への不安感が一気に表面化した結果、足元の世
切り下げによって国内外の中国経済・政府への不安感が一気に表面化した結果、足元の世
界的な株式・為替市場の混乱につながったと考えられる。例えば中国国際収支(図表
界的な株式・為替市場の混乱につながったと考えられる。例えば中国国際収支(図表
1)に
1)に
大規模な資金流出が
2015 年 3 月末までの 4 四半期続き、直近 2 四半期で外貨準備も減少に転じて
よると、2014
よると、2014年から誤差脱漏による大規模な資金流出が
年から誤差脱漏による大規模な資金流出が2015
2015年年3 3月末までの
月末までの4 4四半期続
四半期続
いる。この背景としては、中国経済が減速する中、元の為替レートが実力以上に元高の水準にあ
き、直近
き、直近2 2四半期で外貨準備も減少に転じている。この背景としては、中国経済が減速す
四半期で外貨準備も減少に転じている。この背景としては、中国経済が減速す
ると認識されてきたことが影響している可能性がある。中国は 2005 年から通貨バスケット制を採
る中、元の為替レートが実力以上に元高の水準にあると認識されてきたことが影響してい
る中、元の為替レートが実力以上に元高の水準にあると認識されてきたことが影響してい
用しており、為替レートを安定させるために中国人民銀行が需給を調整してきたが、2014
年3月
る可能性がある。中国は
る可能性がある。中国は2005
2005年から通貨バスケット制を採用しており、為替レートを安定
年から通貨バスケット制を採用しており、為替レートを安定
頃から基準値を上回る元安を容認するような形となっている(図表
2)
。しかし、今年に入って両
させるために中国人民銀行が需給を調整してきたが、2014
させるために中国人民銀行が需給を調整してきたが、2014年年3 3月頃から基準値を上回る元
月頃から基準値を上回る元
安を容認するような形となっている(図表
安を容認するような形となっている(図表2)
2)
。しかし、今年に入って両者の乖離がさらに
。しかし、今年に入って両者の乖離がさらに
者の乖離がさらに大きくなると、一転して元安を抑制するような介入を行って基準値と実勢値を
大きくなると、一転して元安を抑制するような介入を行って基準値と実勢値を一定の範囲
大きくなると、一転して元安を抑制するような介入を行って基準値と実勢値を一定の範囲
一定の範囲にとどめようとしていることを示唆している。言い換えれば、実力以上の元を売って
にとどめようとしていることを示唆している。言い換えれば、実力以上の元を売って他国
にとどめようとしていることを示唆している。言い換えれば、実力以上の元を売って他国
他国通貨を買う動きが強まったため、中国政府・中央銀行は元買い・ドル売りで一方的な元安を
通貨を買う動きが強まったため、中国政府・中央銀行は元買い・ドル売りで一方的な元安
通貨を買う動きが強まったため、中国政府・中央銀行は元買い・ドル売りで一方的な元安
阻止していた可能性がある。
を阻止していた可能性がある。
を阻止していた可能性がある。
図表1:
図表1:
経常収支は黒字だが、誤差脱漏のマイナスが続く
経常収支は黒字だが、誤差脱漏のマイナスが続く
図表2:
図表2:
基準と実勢のかい離が拡大していた
基準と実勢のかい離が拡大していた
図表
1:経常収支は黒字だが、誤差脱漏のマイナスが続く
図表2:基準と実勢のかい離が拡大していた
中国の国際収支
中国の国際収支
ドル元の基準レートと実勢レート
ドル元の基準レートと実勢レート
中国の国際収支
ドル元の基準レートと実勢レート
(USDbn)
300300(USDbn)
200200
0.15
0.15 (元)
(元)
0.10
0.10
元売り・ドル買い
元売り・ドル買い
外貨準備増加
外貨準備増加
基準値との差
基準値との差
(元)
(元)6.56.5
ドル/元(右軸)
ドル/元(右軸)
基準レート(右軸)
基準レート(右軸)
100100
0.05
0.05
0 0
? ?
6.46.4
元安
元安
外貨準備は減少
外貨準備は減少
6.36.3
0.00
0.00
-100
-100
6.26.2
-200
-200
-0.10
-0.10
-300
-300
02 02 03 03 04 04 05 05 06 06 07 07 08 08 09 09 10 10 11 11 12 12 13 13 14 14 15 15
(年)
(年)
経常収支 資本収支
資本収支 金融収支
金融収支 誤差脱漏
誤差脱漏 金融収支うち外貨準備(符号逆)
金融収支うち外貨準備(符号逆)
経常収支
出所 : ブルームバーグ、SMBC日興証券
出所:ブルームバーグ、SMBC日興証券
出所:ブルームバーグ、SMBC日興証券
6.16.1
元高
元高
-0.05
-0.05
元買い・ドル売り
元買い・ドル売り
外貨準備減少
外貨準備減少
-0.15
-0.15
6.06.0
12/1
12/1 12/7
12/7 13/1
13/1 13/7
13/7 14/1
14/1 14/7
14/7 15/1
15/1 15/7
15/7
(年/月)
(年/月)
出所 : ブルームバーグ、SMBC日興証券
出所:ブルームバーグ、SMBC日興証券
出所:ブルームバーグ、SMBC日興証券
例えば、日本円に置き換えて考えると、本来の実力は
例えば、日本円に置き換えて考えると、本来の実力は1 1ドル=100
ドル=100円のはずが、当局の
円のはずが、当局の
円安抑制策によって
円安抑制策によって1 1ドル=90
ドル=90円に据え置かれていれば、市場では大量の円売り・ドル買
円に据え置かれていれば、市場では大量の円売り・ドル買
例えば、日本円に置き換えて考えると、本来の実力は
1 ドル= 100 円のはずが、当局の円安抑
い需要が生じるはずである。そうした中で円安を抑制し続けるためには、中央銀行は市場
い需要が生じるはずである。そうした中で円安を抑制し続けるためには、中央銀行は市場
制策によって 1 ドル= 90 円に据え置かれていれば、市場では大量の円売り・ドル買い需要が生じ
とは反対にドル売り・円買いを行う。すなわち外貨準備を取り崩すことになる。それでも
とは反対にドル売り・円買いを行う。すなわち外貨準備を取り崩すことになる。それでも
るはずである。そうした中で円安を抑制し続けるためには、中央銀行は市場とは反対にドル売り・
円高に戻らないのであれば、基準レートのほうを実勢に近い水準まで一気に切り下げて、
円高に戻らないのであれば、基準レートのほうを実勢に近い水準まで一気に切り下げて、
-7-
円買いを行う。すなわち外貨準備を取り崩すことになる。それでも円高に戻らないのであれば、
基準レートのほうを実勢に近い水準まで一気に切り下げて、介入の必要を後退させるとともにそ
介入の必要を後退させるとともにそれ以上のキャピタル・フライトに歯止めをかける手段
れ以上のキャピタル・フライトに歯止めをかける手段は考えられる。しかし、この手段はある程
介入の必要を後退させるとともにそれ以上のキャピタル・フライトに歯止めをかける手段
は考えられる。しかし、この手段はある程度のガス抜きにはなる一方で自国通貨不安を高
度のガス抜きにはなる一方で自国通貨不安を高めてしまう可能性もある。話を中国に戻すと、元
は考えられる。しかし、この手段はある程度のガス抜きにはなる一方で自国通貨不安を高
めてしまう可能性もある。話を中国に戻すと、元を切り下げた後の基準レートは若干元高
を切り下げた後の基準レートは若干元高に誘導され、実勢レートとの乖離も生じていないが、株
めてしまう可能性もある。話を中国に戻すと、元を切り下げた後の基準レートは若干元高
に誘導され、実勢レートとの乖離も生じていないが、株価の下落や中国経済指標をみる限
価の下落や中国経済指標をみる限りまだ不安感は解消されていないと思われる。市場の元売り圧
に誘導され、実勢レートとの乖離も生じていないが、株価の下落や中国経済指標をみる限
りまだ不安感は解消されていないと思われる。市場の元売り圧力が依然として強い状態の
力が依然として強い状態の中、当局が基準と実勢を一致させるために引き続きドル売り・元買い
りまだ不安感は解消されていないと思われる。市場の元売り圧力が依然として強い状態の
中、当局が基準と実勢を一致させるために引き続きドル売り・元買いを積極化していると
中、当局が基準と実勢を一致させるために引き続きドル売り・元買いを積極化していると
を積極化しているとすると、中央銀行が元を吸い上げるため市場では元が不足する。そのため、
すると、中央銀行が元を吸い上げるため市場では元が不足する。そのため、市場では金利
すると、中央銀行が元を吸い上げるため市場では元が不足する。そのため、市場では金利
市場では金利に上昇圧力が加わってしまう(金融引締)ため、預金準備率を引き下げ、資金供給
に上昇圧力が加わってしまう(金融引締)ため、預金準備率を引き下げ、資金供給も積極
に上昇圧力が加わってしまう(金融引締)ため、預金準備率を引き下げ、資金供給も積極
も積極化(金融緩和)する不胎化政策が実施されている。しかし、
上海銀行間取引金利(SHIBOR)
化(金融緩和)
する不胎化政策が実施されている。
しかし、
(SHIBOR)
化(金融緩和)
する不胎化政策が実施されている。
しかし、上海銀行間取引金利
上海銀行間取引金利(SHIBOR)
翌日物の上昇が続いていることに注目すると、中国市場における資金需要が強い状態(金融引締
翌日物の上昇が続いていることに注目すると、中国市場における資金需要が強い状態(金
翌日物の上昇が続いていることに注目すると、中国市場における資金需要が強い状態(金
効果>金融緩和効果)が続いていることを示唆している(図表
3)
。まだ、中国金融市場が完全に
融引締効果>金融緩和効果)が続いていることを示唆している(図表
3)。まだ、中国金融
融引締効果>金融緩和効果)が続いていることを示唆している(図表 3)。まだ、中国金融
落ち着いたとは言えないだろう。
市場が完全に落ち着いたとは言えないだろう。
市場が完全に落ち着いたとは言えないだろう。
図表3:
外貨準備取り崩しによる金融引き締め効果が勝り、
図表4:
産油国と中国が減少、他新興国への波及も想定される
図表3:外貨準備取り崩しによる金融引き締め効果が勝り、
図表 産油国と中国が減少、他新興国への波及も想定される
4:産油国と中国が減少、他新興国への波及も想定される
図表3:
外貨準備取り崩しによる金融引き締め効果が勝り、
図表4:
短期金利が上昇基調
短期金利が上昇基調
短期金利が上昇基調
各国の外貨準備残高
中国の金利動向
各国の外貨準備残高
中国の金利動向
各国の外貨準備残高
中国の金利動向
8.0
7.0
6.0
5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
0.8
8.0 (%)
(%)
0.8
ロシア
0.6
ロシア
0.5
中国(右軸)
0.6
5.0
0.5
4.0
0.4
3.0
0.3
(USDtn)
4
サウジアラビア
0.7
6.0
中国(右軸)
3
0.4
1.0
0.0
1W
1W 1Y
1Y 預金準備率(右軸)
銀行貸出金利
預金準備率(右軸)
14/4
14/7
14/7
14/10
14/10
15/1
15/1
出所 : ブルームバーグ、SMBC日興証券
出所: ブルームバーグ、SMBC日興証券
出所: ブルームバーグ、SMBC日興証券
15/4
15/4
1
0.2
1
0.1
0.1
0.0
0.0
15/7
0
03
03
15/7
04
05
06
07
08
04
05
06
07
08
09
09
10
10
11
11
12
13
12
14
13
15
14
(年)
15
(年)
出所 : ブルームバーグ、SMBC日興証券
出所:
ブルームバーグ、SMBC日興証券
出所: ブルームバーグ、SMBC日興証券
■過剰流動性相場は終わりに向かいつつある?
■過剰流動性相場は終わりに向かいつつある?
こうした外貨準備の取り崩しは中国に限らず、産油国であるロシア、サウジアラビアで
■過剰流動性相場は終わりに向かいつつある?
も確認されている(図表 4)。ロシアに関してはウクライナ問題に伴った経済制裁の影響も
こうした外貨準備の取り崩しは中国に限らず、産油国であるロシア、サウジアラビアでも確認
こうした外貨準備の取り崩しは中国に限らず、産油国であるロシア、サウジアラビアで
あるが、両国とも原油価格の急落によって経常収支が悪化している影響が大きい。これま
も確認されている(図表
4)。ロシアに関してはウクライナ問題に伴った経済制裁の影響も
されている(図表
4)
。ロシアに関してはウクライナ問題に伴った経済制裁の影響もあるが、両国
では米 QE によって市場に供給されたマネーが原油価格などコモディティ価格を押し上げ、
あるが、両国とも原油価格の急落によって経常収支が悪化している影響が大きい。これま
とも原油価格の急落によって経常収支が悪化している影響が大きい。これまでは米 QE によって
産油国は経常黒字が続き外貨準備が積み上がったが、昨年半ば以降はこれが逆流してきて
では米
QE によって市場に供給されたマネーが原油価格などコモディティ価格を押し上げ、
市場に供給されたマネーが原油価格などコモディティ価格を押し上げ、産油国は経常黒字が続き
いる。
産油国は経常黒字が続き外貨準備が積み上がったが、昨年半ば以降はこれが逆流してきて
外貨準備が積み上がったが、昨年半ば以降はこれが逆流してきている。
世界的に膨張した外貨準備はドル・ユーロ・ポンド・円など主要通貨に分散され、運用
いる。
世界的に膨張した外貨準備はドル・ユーロ・ポンド・円など主要通貨に分散され、運用は主に
は主に短期の国債だとすれば、外貨準備が減少するとそれらの通貨とその国の国債が売ら
世界的に膨張した外貨準備はドル・ユーロ・ポンド・円など主要通貨に分散され、運用
短期の国債だとすれば、外貨準備が減少するとそれらの通貨とその国の国債が売られ、各国金利
れ、各国金利には上昇圧力が加わると想定される。現在 Fed が検討しているような利上げ
は主に短期の国債だとすれば、外貨準備が減少するとそれらの通貨とその国の国債が売ら
(短期金利の誘導目標の切り上げ)が「能動的な金融引締め」とすると、こうした外貨準
には上昇圧力が加わると想定される。現在
Fed が検討しているような利上げ(短期金利の誘導目
れ、各国金利には上昇圧力が加わると想定される。現在
Fed が検討しているような利上げ
備の取り崩しは「受動的な金融引締め」の効果があるとも言える。
標の切り上げ)が「能動的な金融引締め」とすると、こうした外貨準備の取り崩しは「受動的な
(短期金利の誘導目標の切り上げ)が「能動的な金融引締め」とすると、こうした外貨準
備の取り崩しは「受動的な金融引締め」の効果があるとも言える。
-8-
3
2
0.2
O/N
O/N 3M
3M 銀行貸出金利
4
2
0.3
2.0
14/4
(USDtn)
サウジアラビア
0.7
7.0
0.0
(USDtn)
(USDtn)
0
金融引締め」の効果があるとも言える。
但し、中国の外貨準備削減に関しては、今のところダイレクトに金利上昇圧力となるわけでは
但し、中国の外貨準備削減に関しては、今のところダイレクトに金利上昇圧力となるわ
なさそうだ。今年の
2 月、6 年 5 ヶ月ぶりに日本が保有する米国債(短期債含む)の残高が中国
但し、中国の外貨準備削減に関しては、今のところダイレクトに金利上昇圧力となるわ
けではなさそうだ。今年の 2 月、6 年 5 ヶ月ぶりに日本が保有する米国債(短期債含む)の
けではなさそうだ。今年の 2 月、6 年 5 ヶ月ぶりに日本が保有する米国債(短期債含む)の
を再逆転したが、その後は再度中国がトップとなっており、直近判明している
6 月までに米国債
残高が中国を再逆転したが、その後は再度中国がトップとなっており、直近判明している 6
残高が中国を再逆転したが、その後は再度中国がトップとなっており、直近判明している
6
残高が減少したことは確認されない(図表
5)
。外貨準備だけでも中国は日本の約 3 倍あるものの、
月までに米国債残高が減少したことは確認されない(図表
。外貨準備だけでも中国は日
月までに米国債残高が減少したことは確認されない(図表 5)
5)
。外貨準備だけでも中国は日
本の約
本の約33倍あるものの、米国債の保有残高は同程度であり、中国の外貨準備運用が米国債
倍あるものの、米国債の保有残高は同程度であり、中国の外貨準備運用が米国債
米国債の保有残高は同程度であり、中国の外貨準備運用が米国債以外の割合も大きいことを示唆
している。中国の外貨準備の取り崩しは単純に米国債金利に上昇圧力が加えるというわけでもな
以外の割合も大きいことを示唆している。中国の外貨準備の取り崩しは単純に米国債金利
以外の割合も大きいことを示唆している。中国の外貨準備の取り崩しは単純に米国債金利
いのだろうが、社債スプレッドなどの信用スプレッドの拡大に影響している可能性は否定できな
に上昇圧力が加えるというわけでもないのだろうが、社債スプレッドなどの信用スプレッ
に上昇圧力が加えるというわけでもないのだろうが、社債スプレッドなどの信用スプレッ
ドの拡大に影響している可能性は否定できない(図表
6)
。
い(図表
6)。
ドの拡大に影響している可能性は否定できない(図表
6)
。
図表 5:6 月末まででは中国の米債売りは確認できず
図表 6:米経済は好調なはずだが、スプレッドが拡大
図表5:
図表5:6 6月末まででは中国の米債売りは確認できず
月末まででは中国の米債売りは確認できず
米国債(短期含む)保有残高
米国債(短期含む)保有残高
米国債(短期含む)保有残高
図表6:
図表6: 米経済は好調なはずだが、スプレッドが拡大
米経済は好調なはずだが、スプレッドが拡大
米国の社債スプレッドと S&P500 指数
米国の社債スプレッドと
米国の社債スプレッドと S&P500 指数
1,400
1,400 (USDtn)
(USDtn)
600
600
1,200
1,200
日本
日本
500
500
1,000
1,000
中国
中国
(bp)
(bp)
米国A格社債
米国A格社債
米国BBB格社債
米国BBB格社債
400
400
800
800
300
300
600
600
400
400
200
200
200
200
100
100
0 0
12 13
13
0303 0404 0505 0606 0707 0808 0909 1010 1111 12
出所: ブルームバーグ、SMBC日興証券
出所:
出所 : ブルームバーグ、SMBC日興証券
ブルームバーグ、SMBC日興証券
14
14
00
15
15
(年)
(年)
05
05
06
06
07
07
08
08
09
09
10
10
11
11
12
12
13
13
14
14
15
15(年)
(年)
出所: ブルームバーグ、SMBC日興証券
ブルームバーグ、SMBC日興証券
出所:
出所 : ブルームバーグ、SMBC日興証券
■Fed利上げと日米長期金利
利上げと日米長期金利
■Fed
それでも、Fed
が年内に利上げを実施するという観測自体は崩れていない。米実質 GDP
■ Fed 利上げと日米長期金利
それでも、Fed が年内に利上げを実施するという観測自体は崩れていない。米実質
GDP
成長率は
2015
年
1-3
月期に+0.6%と伸び悩んだが、4-6
月期に+3.7%と大きく改善するな
成長率は 2015 年 1-3 月期に+0.6%と伸び悩んだが、4-6 月期に+3.7%と大きく改善するな
それでも、Fed が年内に利上げを実施するという観測自体は崩れていない。米実質 GDP 成長率
ど、6 月時点でも利上げが正当化されるような経済環境だったことが示されている。元々
ど、6
月時点でも利上げが正当化されるような経済環境だったことが示されている。元々
は 2015
年 1-3
月期に +0.6% と伸び悩んだが、4-6 月期に +3.7% と大きく改善するなど、6 月時点
2015年内の利上げ実施自体は市場に織り込まれており、その後の利上げのペースや上限の
年内の利上げ実施自体は市場に織り込まれており、その後の利上げのペースや上限の
2015
でも利上げが正当化されるような経済環境だったことが示されている。元々
2015 年内の利上げ実
想定が米長期金利の水準を左右すると考えられていたが、今となっては世界経済の鈍化懸
想定が米長期金利の水準を左右すると考えられていたが、今となっては世界経済の鈍化懸
施自体は市場に織り込まれており、その後の利上げのペースや上限の想定が米長期金利の水準を
念が重石となってペースは相当慎重化し、最終的な金利水準もあまり高くならないことが
念が重石となってペースは相当慎重化し、最終的な金利水準もあまり高くならないことが
見込まれる。過去の利上げ局面を振り返ってみると、カーブがフラット(年限間利回り較
左右すると考えられていたが、今となっては世界経済の鈍化懸念が重石となってペースは相当慎
見込まれる。過去の利上げ局面を振り返ってみると、カーブがフラット(年限間利回り較
差が小さい)
な状態で実施した 1999~2000 年にかけてはカーブが全体的に押し上げられた
重化し、
最終的な金利水準もあまり高くならないことが見込まれる。過去の利上げ局面を振り返っ
差が小さい)
な状態で実施した 1999~2000 年にかけてはカーブが全体的に押し上げられた
が、カーブがスティープ(年限間利回り較差が大きい)な状態から実施した 2004~2006
てみると、カーブがフラット(年限間利回り較差が小さい)な状態で実施した
1999 ~ 2000 年に
が、カーブがスティープ(年限間利回り較差が大きい)な状態から実施した 2004~2006
年の利上げ局面では長い年限ほど上昇圧力を受けにくく、カーブがフラットニングした(図
年の利上げ局面では長い年限ほど上昇圧力を受けにくく、カーブがフラットニングした(図
かけてはカーブが全体的に押し上げられたが、カーブがスティープ(年限間利回り較差が大きい)
表 7)。原因としては諸説あり、結論は得られてはいない。しかし、カーブがスティープな
表 7)。原因としては諸説あり、結論は得られてはいない。しかし、カーブがスティープな
な状態から実施した
2004 ~ 2006 年の利上げ局面では長い年限ほど上昇圧力を受けにくく、カー
状態である現状は 2004 年からの利上げ局面と共通しており、短期金利の上昇がすぐに長期
状態である現状は 2004 年からの利上げ局面と共通しており、短期金利の上昇がすぐに長期
ブがフラットニングした
(図表 7)
。原因としては諸説あり、
結論は得られてはいない。しかし、
カー
金利を押し上げにくい状態であることは確かだろう。
金利を押し上げにくい状態であることは確かだろう。
利上げによる米長期金利の上昇が限られるのであれば、JGB
金利への上昇圧力も限定的
ブがスティープな状態である現状は
2004 年からの利上げ局面と共通しており、短期金利の上昇が
利上げによる米長期金利の上昇が限られるのであれば、JGB 金利への上昇圧力も限定的
となり得る。図表 8 は米長期金利と日長期金利の推移を水準調整してみたものだが、一時
すぐに長期金利を押し上げにくい状態であることは確かだろう。
となり得る。図表 8 は米長期金利と日長期金利の推移を水準調整してみたものだが、一時
利上げによる米長期金利の上昇が限られるのであれば、JGB 金利への上昇圧力も限定的となり
得る。図表 8 は米長期金利と日長期金利の推移を水準調整してみたものだが、一時期を除いて連
-9-
動性が高いことが確認できる。足元で乖離が生じているが、日銀の追加緩和観測が高まっている
期を除いて連動性が高いことが確認できる。足元で乖離が生じているが、日銀の追加緩和
期を除いて連動性が高いことが確認できる。足元で乖離が生じているが、日銀の追加緩和
ことや、米利上げの見送りを
JGB が見込んでいる影響があるだろう。日銀が大量に国債を保有し
観測が高まっていることや、米利上げの見送りを
観測が高まっていることや、米利上げの見送りを JGB
JGB が見込んでいる影響があるだろう。
が見込んでいる影響があるだろう。
ているというストックビューに基づく効果は全くないとは言えないが、残高が増え続ける中で米
日銀が大量に国債を保有しているというストックビューに基づく効果は全くないとは言え
日銀が大量に国債を保有しているというストックビューに基づく効果は全くないとは言え
金利との乖離が拡大していかないところを見ると、まだ限定的な効果しか発揮していないようだ。
ないが、残高が増え続ける中で米金利との乖離が拡大していかないところを見ると、まだ
ないが、残高が増え続ける中で米金利との乖離が拡大していかないところを見ると、まだ
しかし、現状のネット国債発行が年間 30 兆円程度の中、日銀買入れはグロスで年間 110 兆円、ネッ
限定的な効果しか発揮していないようだ。しかし、現状のネット国債発行が年間
限定的な効果しか発揮していないようだ。しかし、現状のネット国債発行が年間 30
30 兆円程
兆円程
トで年間 80 兆円と年間約 50 兆円を市場吸収する大規模なものであり、ストックの効果は先行き
度の中、日銀買入れはグロスで年間
度の中、日銀買入れはグロスで年間 110
110 兆円、ネットで年間
兆円、ネットで年間 80
80 兆円と年間約
兆円と年間約 50
50 兆円を市
兆円を市
強まっていくことが想定される。
場吸収する大規模なものであり、ストックの効果は先行き強まっていくことが想定される。
場吸収する大規模なものであり、ストックの効果は先行き強まっていくことが想定される。
図表7:
図表7:
2004
2004 年の利上げ局面と同じくカーブは順イールド
年の利上げ局面と同じくカーブは順イールド
図表8:
乖離も見られるが、基本連動して推移
乖離も見られるが、基本連動して推移
図表
7:2004
年の利上げ局面と同じくカーブは順イールド 図表8:
図表
8:乖離も見られるが、基本連動して推移
米金利の推移
米金利の推移
(水準調整後の)日米長期金利の推移
(水準調整後の)日米長期金利の推移
米金利の推移
(水準調整後の)日米長期金利の推移
(%)
(%)
99
88
77
(%)
(%)
政策金利(FFレート)
政策金利(FFレート)
米5年債利回り
米5年債利回り
米30年債利回り
米30年債利回り
(%)
(%)
3.1
3.1
3.0
3.0
2.9
2.9
追加緩和
追加緩和
2.8
2.8
2.7
2.7
2.6
2.6
2.5
2.5
2.4
2.4
2.3
2.3
2.2
2.2
2.1
2.1
2.0
2.0
1.9
1.9
1.8
1.8
1.7
1.7
1.6
1.6
1.5
1.5
13/12
13/12 14/2
14/2 14/4
14/4 14/6
14/6 14/8
14/8 14/10
14/10 14/12
14/12 15/2
15/2 15/4
15/4 15/6
15/6 15/8
15/8
米2年債利回り
米2年債利回り
米10年債利回り
米10年債利回り
線形
線形 (米10年債利回り)
(米10年債利回り)
66
55
44
33
22
11
00
95
95 96
96 97
97 98
98 99
99 00
00 01
01 02
02 03
03 04
04 05
05 06
06 07
07 08
08 09
09 10
10 11
11 12
12 13
13 14
14 15
15
0.80
0.80
0.75
0.75
0.70
0.70
0.65
0.65
0.60
0.60
0.55
0.55
0.50
0.50
0.45
0.45
0.40
0.40
0.35
0.35
0.30
0.30
0.25
0.25
0.20
0.20
(年)
(年)
米国債10年金利(左軸)
米国債10年金利(左軸)
出所
ブルームバーグ、SMBC日興証券
出所:
出所:: ブルームバーグ、SMBC日興証券
ブルームバーグ、SMBC日興証券
JGB10年金利(右軸)
JGB10年金利(右軸)
(年/月)
(年/月)
: ブルームバーグ、SMBC日興証券
出所:
出所:出所
ブルームバーグ、SMBC日興証券
ブルームバーグ、SMBC日興証券
■前回の日銀追加緩和決定時との共通点と違い
■前回の日銀追加緩和決定時との共通点と違い
■前回の日銀追加緩和決定時との共通点と違い
今後、ストック効果による
今後、ストック効果による JGB
JGB への金利低下圧力は強まっていくと想定される中、果た
への金利低下圧力は強まっていくと想定される中、果た
今後、ストック効果による
JGB への金利低下圧力は強まっていくと想定される中、果たして足
して足元で観測が高まっているようなさらなる追加緩和は必要だろうか?確かに中国経済
して足元で観測が高まっているようなさらなる追加緩和は必要だろうか?確かに中国経済
元で観測が高まっているようなさらなる追加緩和は必要だろうか?確かに中国経済の減速懸念や
の減速懸念や原油安によって、足元の環境は昨年
の減速懸念や原油安によって、足元の環境は昨年 10
10 月に日銀が追加緩和を実施した時との
月に日銀が追加緩和を実施した時との
共通点があり、観測自体が高まるのは前回の決定がサプライズだったことを含めて仕方の
共通点があり、観測自体が高まるのは前回の決定がサプライズだったことを含めて仕方の
原油安によって、足元の環境は昨年
10 月に日銀が追加緩和を実施した時との共通点があり、観測
ないことではある。
ないことではある。
自体が高まるのは前回の決定がサプライズだったことを含めて仕方のないことではある。
前回の追加緩和が実施された背景としては、①原油安による物価上昇率の失速②2014
前回の追加緩和が実施された背景としては、①原油安による物価上昇率の失速②2014
年
前回の追加緩和が実施された背景としては、①原油安による物価上昇率の失速②
2014年
年に入っ
に入ってからの円安
に入ってからの円安・
・株高の一服③消費増税の反動減からの鈍い回復④8%から
株高の一服③消費増税の反動減からの鈍い回復④8%から 10%への消
10%への消
てからの円安・株高の一服③消費増税の反動減からの鈍い回復④ 8%から 10%への消費増税の決
費増税の決断を目前に控えた時期など様々な要因が重なったことが挙げられる。では、足
費増税の決断を目前に控えた時期など様々な要因が重なったことが挙げられる。では、足
断を目前に控えた時期など様々な要因が重なったことが挙げられる。では、足元の状況はどうか。
元の状況はどうか。①物価:原油価格の緩やかな上昇を前提として物価が上昇していく経
元の状況はどうか。①物価:原油価格の緩やかな上昇を前提として物価が上昇していく経
①物価:原油価格の緩やかな上昇を前提として物価が上昇していく経路が想定されていたが、前
路が想定されていたが、前提に反して原油価格は伸び悩み、コア
路が想定されていたが、前提に反して原油価格は伸び悩み、コア CPI
CPI 上昇率はゼロ%近傍
上昇率はゼロ%近傍
提に反して原油価格は伸び悩み、コア
CPI 上昇率はゼロ%近傍で横ばい②円安・株高:中国経済
で横ばい②円安・株高:中国経済などへの懸念から日経平均株価は年初からの上昇が帳消
で横ばい②円安・株高:中国経済などへの懸念から日経平均株価は年初からの上昇が帳消
しとなり、
しとなり、若干円高へと巻き戻されている③GDP
若干円高へと巻き戻されている③GDP 成長率:民間消費と外需の弱さから
成長率:民間消費と外需の弱さから 2015
2015
などへの懸念から日経平均株価は年初からの上昇が帳消しとなり、若干円高へと巻き戻されてい
年度
年度 4-6
4-6 月期は前期比年率▲1.2%とマイナス成長となり、7-9
月期は前期比年率▲1.2%とマイナス成長となり、7-9
月期もマイナス成長が懸念
月期もマイナス成長が懸念
る③ GDP
成長率:民間消費と外需の弱さから
2015 年度 4-6 月期は前期比年率▲
1.2%とマイナ
される弱い状況④次回は法律が改訂されない限り、2017
される弱い状況④次回は法律が改訂されない限り、2017
年
年 44 月に引き上げられるが、まだ
月に引き上げられるが、まだ
ス成長となり、7-9
月期もマイナス成長が懸念される弱い状況④次回は法律が改訂されない限り、
11 年以上の猶予がある。このように①~③は前回追加緩和時と似通っている。
年以上の猶予がある。このように①~③は前回追加緩和時と似通っている。
2017 年 4 月に引き上げられるが、まだ 1 年以上の猶予がある。このように①~③は前回追加緩和
しかし、追加緩和はまだメインシナリオ、コンセンサスとは言えないだろう。日銀は当
しかし、追加緩和はまだメインシナリオ、コンセンサスとは言えないだろう。日銀は当
時と似通っている。
しかし、追加緩和はまだメインシナリオ、コンセンサスとは言えないだろう。日銀は当初目標
としていた達成時期である「2 年」を既に曖昧化し、
物価に関しても水準よりも基調、
その目安も「生
- 10 -
初目標としていた達成時期である「2 年」を既に曖昧化し、物価に関しても水準よりも基調、
その目安も「生鮮除く総合(コア
CPI)」だけでなく「生鮮・エネルギーを除く総合」が勘
鮮除く総合(コア CPI)」だけでなく「生鮮・エネルギーを除く総合」が勘案されるようになって
初目標としていた達成時期である「2 年」を既に曖昧化し、物価に関しても水準よりも基調、
案されるようになってきている(図表
9)。まず、達成時期に関しては、
「原油価格が現状程
きている(図表 9)
。まず、達成時期に関しては、
「原油価格が現状程度の水準から緩やかに上昇し
その目安も「生鮮除く総合(コア CPI)」だけでなく「生鮮・エネルギーを除く総合」が勘
度の水準から緩やかに上昇していくとの前提にたてば、
2016 年度前半頃」としているため、
ていくとの前提にたてば、2016
年度前半頃」としているため、原油価格の伸び悩みを原因とした
案されるようになってきている(図表
9)。まず、達成時期に関しては、
「原油価格が現状程
原油価格の伸び悩みを原因とした後ずれは許容され得る。日銀の想定は 2015 年 4 月の展望
後ずれは許容され得る。日銀の想定は
2015 年 4 月の展望レポートによると「ドバイ原油価格が見
度の水準から緩やかに上昇していくとの前提にたてば、
2016 年度前半頃」としているため、
レポートによると「ドバイ原油価格が見通し期間(2014
年度~2017
年度)の終盤にかけて
原油価格の伸び悩みを原因とした後ずれは許容され得る。
日銀の想定は
2015
年 4 月の展望
通し期間(2014
年度~ 2017 年度)の終盤にかけて 70
ドル前半に緩やかに上昇していく」である
70 レポートによると「ドバイ原油価格が見通し期間(2014
ドル前半に緩やかに上昇していく」である(図表 年度~2017
10)。次に物価の基調は、円安などに
年度)の終盤にかけて
(図表 10)。次に物価の基調は、円安などによって価格が上昇している「食料」を加え、原油安の
よって価格が上昇している「食料」を加え、原油安の直接的な影響を除いた「生鮮・エネ
70 ドル前半に緩やかに上昇していく」である(図表 10)。次に物価の基調は、円安などに
直接的な影響を除いた「生鮮・エネルギー除く総合」は、当社の試算では今年の 2 月に底打ちし
よって価格が上昇している「食料」を加え、原油安の直接的な影響を除いた「生鮮・エネ
ルギー除く総合」は、当社の試算では今年の 2 月に底打ちして 7 月に前年比+0.8%まで上
てルギー除く総合」は、当社の試算では今年の
7 月に前年比+ 0.8%まで上昇してきており、
上昇基調を維持していると判断することは可能だ。
2 月に底打ちして
7 月に前年比+0.8%まで上
昇してきており、上昇基調を維持していると判断することは可能だ。
昇してきており、上昇基調を維持していると判断することは可能だ。
図表9:
図表 エネルギーを除けば、上昇基調を維持
9:エネルギーを除けば、上昇基調を維持
図表10:
緩やかな上昇基調とはなっていない
図表 10:緩やかな上昇基調とはなっていない
図表9: エネルギーを除けば、上昇基調を維持
図表10: 緩やかな上昇基調とはなっていない
「除く生鮮食品・エネルギー」ベースの消費者物価(前年比)
原油先物価格(スポット)
「除く生鮮食品
・エネルギー」ベースの消費者物価(前年比)原油先物価格(スポット)
原油先物価格(スポット)
「除く生鮮食品・エネルギー」ベースの消費者物価(前年比)
2.0
前年比(%)
2.0
前年比(%)
100
100
(ドル/バレル)
(ドル/バレル)
1.5 1.5
90 90
1.0 1.0
80 80
WTI先物中心限月
WTI先物中心限月
ブレント先物中心限月
ブレント先物中心限月
ドバイ(スポット)
ドバイ(スポット)
「生鮮食品除く総合(コアCPI)」
「生鮮食品除く総合(コアCPI)」
0.5 0.5
70 70
0.0 0.0
60
「除く生鮮食品・エネルギー」
▲ 0.5
「除く生鮮食品・エネルギー」
▲ 0.5
40
前回の追加緩和時はとも
▲ 1.0
前回の追加緩和時はとも
に減速してきていた
に減速してきていた
▲ 1.0
▲ 1.5
▲ 1.5
50
11
12
13
11
12
13
消費増税の影響除く、当社推計含む
注注:
: 消費増税の影響除く、当社推計含む
出所:
総務省、SMBC日興証券
: 総務省、SMBC日興証券
注:出所
消費増税の影響除く、当社推計含む
14
14
15
15
60
50
40
30
14/10
30 14/11 14/12 15/1
(年)
(年)
15/2 15/3
14/10 14/11 14/12 15/1
15/4 15/5
15/2 15/3
15/6 15/7
15/4 15/5
15/8
15/9
(年/月)
15/6 15/7
15/8
15/9
(年/月)
出所:出所
ブルームバーグ、SMBC日興証券
: ブルームバーグ、SMBC日興証券
出所: ブルームバーグ、SMBC日興証券
出所: 総務省、SMBC日興証券
また、追加緩和の効果と副作用を比べた時に、限界的な効果が副作用を上回る可能性が
あることも決断を躊躇わせる要因だろう。日銀
QQE の要は、
「円安」と「実質金利の低下」
また、追加緩和の効果と副作用を比べた時に、限界的な効果が副作用を上回る可能性があるこ
また、追加緩和の効果と副作用を比べた時に、限界的な効果が副作用を上回る可能性が
と考えられるが、1 ドル=125 円がいわゆる「黒田ライン」
(6 月「円安」と「実質金利の低下」
16 日の参議院での発言)
あることも決断を躊躇わせる要因だろう。日銀
の要は、
とも決断を躊躇わせる要因だろう。日銀
QQEQQE
の要は、
「円安」と「実質金利の低下」と考えられ
とされ、それ以上の円安進行に抵抗感が生じる可能性や、名目金利を一段と低下させるこ
と考えられるが、1
円がいわゆる「黒田ライン」
月 16 日の参議院での発言)
るが、1 ドル= 125ドル=125
円がいわゆる「黒田ライン」
(6 月 16 (6
日の参議院での発言)とされ、それ以上
とが可能かどうか不透明感がある。効果が限られる可能性がある一方で、潜在的な副作用
とされ、それ以上の円安進行に抵抗感が生じる可能性や、名目金利を一段と低下させるこ
の円安進行に抵抗感が生じる可能性や、名目金利を一段と低下させることが可能かどうか不透明
が蓄積する可能性は高い。具体的な副作用は「国債市場の流動性の低下」や「財政ファイ
とが可能かどうか不透明感がある。効果が限られる可能性がある一方で、潜在的な副作用
感がある。効果が限られる可能性がある一方で、潜在的な副作用が蓄積する可能性は高い。具体
ナンス懸念」などが挙げられるだろう。流動性に関しては、日銀自身が「国債市場の流動
が蓄積する可能性は高い。具体的な副作用は「国債市場の流動性の低下」や「財政ファイ
性指標」を発表しておりこれに鑑みれば、明確に流動性が低下しているとは言えないもの
的な副作用は「国債市場の流動性の低下」や「財政ファイナンス懸念」などが挙げられるだろう。
ナンス懸念」などが挙げられるだろう。流動性に関しては、日銀自身が「国債市場の流動
の、SC レポレートがマイナスとなる銘柄数が増加する頻度が高まるなど、局所的に低下し
流動性に関しては、日銀自身が「国債市場の流動性指標」を発表しておりこれに鑑みれば、明確
性指標」を発表しておりこれに鑑みれば、明確に流動性が低下しているとは言えないもの
やすくなっているとは言えそうだ。財政ファイナンス懸念に関しては出口で高まりやすい
に流動性が低下しているとは言えないものの、SC レポレートがマイナスとなる銘柄数が増加する
と想定されるが、今以上に買入額を増やすことでそれよりも前に顕在化してしまうリスク
の、SC
レポレートがマイナスとなる銘柄数が増加する頻度が高まるなど、局所的に低下し
頻度が高まるなど、局所的に低下しやすくなっているとは言えそうだ。財政ファイナンス懸念に
は高まるだろう。万が一、大規模な緩和をして経済環境が改善しなかった場合、日本の財
やすくなっているとは言えそうだ。財政ファイナンス懸念に関しては出口で高まりやすい
関しては出口で高まりやすいと想定されるが、今以上に買入額を増やすことでそれよりも前に顕
政不安が加速していくだけという結果になっても不思議ではない。
と想定されるが、今以上に買入額を増やすことでそれよりも前に顕在化してしまうリスク
在化してしまうリスクは高まるだろう。万が一、大規模な緩和をして経済環境が改善しなかった
は高まるだろう。万が一、大規模な緩和をして経済環境が改善しなかった場合、日本の財
場合、日本の財政不安が加速していくだけという結果になっても不思議ではない。
政不安が加速していくだけという結果になっても不思議ではない。
- 11 -
■勝ち目が生じた時こそ短期決戦を仕掛けるタイミング
世界的に景気への不透明感が強まる中、そのようなリスクを冒してまで、日銀はさらなる大規
■勝ち目が生じた時こそ短期決戦を仕掛けるタイミング
世界的に景気への不透明感が強まる中、そのようなリスクを冒してまで、日銀はさらな
模な追加緩和を実施するだろうか?図表
11 は毎月の入札によって市場に発行される国債の量と、
る大規模な追加緩和を実施するだろうか?図表 11 は毎月の入札によって市場に発行される
日銀が市場から買い入れる国債の量を差し引いたものだが、買入れ量が発行量を上回ったのは一
国債の量と、日銀が市場から買い入れる国債の量を差し引いたものだが、買入れ量が発行
時的であり、日銀自身が発行を上回る買入れに対しては消極的だと考えられる。こうした姿勢を
量を上回ったのは一時的であり、日銀自身が発行を上回る買入れに対しては消極的だと考
保ったまま追加緩和を実施したとしても、買入れを増やすことが可能なのはほぼ「10
年超」の超
えられる。こうした姿勢を保ったまま追加緩和を実施したとしても、買入れを増やすこと
長期区分に限られ、小規模なものとなってしまう。2014 年 10 月末の追加緩和後の各年限の金利推
が可能なのはほぼ「10 年超」の超長期区分に限られ、小規模なものとなってしまう。2014
移をみると、明らかに金利低下に働いているのは、
「25 年超」の買入れ量が 4 倍程度に増加したこ
年 10 月末の追加緩和後の各年限の金利推移をみると、明らかに金利低下に働いているのは、
とを反映した 30 年くらいである(図表 12)
。つまり、明確に更なる金利押し下げ圧力を加えるの
「25 年超」の買入れ量が 4 倍程度に増加したことを反映した 30 年くらいである(図表 12)。
であれば、
「副作用のない薬はない」とされるように、財政ファイナンスへの懸念を緩めて発行量
つまり、明確に更なる金利押し下げ圧力を加えるのであれば、
「副作用のない薬はない」と
を上回る買入れを継続的に実施する必要があると考えられる。日銀が残存「1
年以下」と「1 年超
されるように、財政ファイナンスへの懸念を緩めて発行量を上回る買入れを継続的に実施
5 年以下」の買入れを合わせて
2014 年 11 月に 6年以下」と「1
兆 8,200 億円、
12 月に
5 兆 6,200 億円と発行(2 ヶ
する必要があると考えられる。日銀が残存「1
年超
5 年以下」の買入れを合
わせて
年 11
月に 6 兆 8,200 億円、12 月に 5 兆 6,200 億円と発行(2
ヶ月で約
11 兆
月で約
11 2014
兆 5,000
億円)を上回る買入れを実施した結果、2015
年初の 2 年や
5 年金利のマイナス
5,000 億円)を上回る買入れを実施した結果、2015 年初の 2 年や 5 年金利のマイナス化に
化に影響したこと、その後買入れを縮小すると金利がマイナス化しないということは、外部要因
影響したこと、その後買入れを縮小すると金利がマイナス化しないということは、外部要
を含めて実験の結果の一つだろう。
因を含めて実験の結果の一つだろう。
図表11:
発行を上回る買入れには消極的
図表 11:発行を上回る買入れには消極的
国債の発行額と日銀の買入れ額(月次)
国債の発行額と日銀の買入れ額(月次)
35,000
図表12:
追加緩和で明確に金利低下したのは超長期くらい
図表 12:追加緩和で明確に金利低下したのは超長期くらい
JGB
JGB各年限の金利推移
各年限の金利推移
1
(億円)
30,000
(%)
(%)
0.8
25,000
20,000
2
0.6
15,000
2.5
1.5
0.4
10,000
5,000
1
0.2
0
-5,000
13/7 13/10 14/1
14/4
0
-0.2
-15,000
13/4
14/7 14/10 15/1
15/4
13/1 13/4 13/7 13/10 14/1 14/4 14/7 14/10 15/1 15/4 15/7
15/7
2年
20年(右軸)
(年/月)
超長期
0.5
0
買入超となっ
たのは一時的
-10,000
長期
中期
注 : 超長期は(20、
30、
40 年と流動性供給入札による発行)-(日銀オペ「10
5年
30年(右軸)
10年(右軸)
(年/月)
出所 : ブルームバーグ、SMBC日興証券
注: 超長期は(20、30、40 年と流動性供給入札による発行)-(日銀オペ 出所: ブルームバーグ、SMBC日興証券
年超」
)
、長期は(10 年と流動性供給入札による発行)-(日銀オペ「5 年
「10 年超」)、長期は(10 年と流動性供給入札による発行)-(日銀オペ「5
超 10 年以下」
)
、中期は(2、5 年入札による発行)-(日銀オペ「1 年以下」
年超 10 年以下」)、中期は(2、5 年入札による発行)-(日銀オペ「1 年以
「1 年超 5 年以下」
)
下」「1 年超 5 年以下」)
出所 :財務省、日本銀行、SMBC日興証券
財務省、日本銀行、SMBC日興証券
出所:
まとめると、日銀が迫られているのは、短期決戦を挑むか持久戦に持ち込むかといった
まとめると、日銀が迫られているのは、短期決戦を挑むか持久戦に持ち込むかといったところ
ところである。すぐにでも物価上昇率が
2%に高まる自信があれば、成果を誇示するような
である。すぐにでも物価上昇率が
2%に高まる自信があれば、成果を誇示するような大規模な追加
大規模な追加緩和は可能だが、自信が乏しければ現状維持でやり過ごし、確度が高まる時
緩和は可能だが、自信が乏しければ現状維持でやり過ごし、確度が高まる時を待つのが妥当である。
を待つのが妥当である。本来は逆なのだが、切れるカードが残り少ないために一種のジレ
本来は逆なのだが、切れるカードが残り少ないために一種のジレンマに陥っているというのが現
ンマに陥っているというのが現状であり、次に日銀が現状の QQE をそのまま強化した時こ
状であり、次に日銀が現状の QQE をそのまま強化した時こそ、国内経済の見通しが明るくなるタ
そ、国内経済の見通しが明るくなるタイミングなのだろう。その意味では、政府による財
イミングなのだろう。その意味では、政府による財政政策の強化との同時実施などが効果を高め
政政策の強化との同時実施などが効果を高める機会となり得る。
る機会となり得る。
- 12 -
米国の二つのリテール金融機関
米国の二つのリテール金融機関
米国の二つのリテール金融機関
明海大学
教授
朝日讓治
明海大学 教授 朝日讓治
明海大学 教授 朝日讓治
最近、何かと話題にのぼる米国の二つのリテール金融機関を紹介しよう。クレジット・
ユニオンの中で組合員数と総資産のいずれの点でも最大の規模を誇るネイビー・フェデラ
最近、何かと話題にのぼる米国の二つのリテール金融機関を紹介しよう。クレジット・ユニオ
最近、何かと話題にのぼる米国の二つのリテール金融機関を紹介しよう。クレジット・
ル・クレジット・ユニオンと、ニューヨークをベースに商業銀行の中で目覚ましい成長を
ンの中で組合員数と総資産のいずれの点でも最大の規模を誇るネイビー
・フェデラル・クレジット・
ユニオンの中で組合員数と総資産のいずれの点でも最大の規模を誇るネイビー・フェデラ
続けるシグナチャー銀行である。
ル・クレジット・ユニオンと、ニューヨークをベースに商業銀行の中で目覚ましい成長を
ユニオンと、ニューヨークをベースに商業銀行の中で目覚ましい成長を続けるシグナチャー銀行
米国の金融機関は、周知のように「商業銀行」、「貯蓄金融機関」、「クレジット・ユニオ
続けるシグナチャー銀行である。
である。
ン」の三種類からなっている。図表
1 は、3つの業態の機関数と資産を
2013 年と 2014 年
米国の金融機関は、周知のように「商業銀行」
、「貯蓄金融機関」
、「クレジット・ユニオ
米国の金融機関は、周知のように「商業銀行」
、
「貯蓄金融機関」
、
「クレジット・ユニオン」の
についてまとめたものである。いずれの機関でも機関数が減少し、資産は増加しているこ
ン」の三種類からなっている。図表
1 は、3つの業態の機関数と資産を
年
三種類からなっている。図表
1 は、3つの業態の機関数と資産を
20132013
年と年と
20142014
年についてまと
とが分かる。クレジット・ユニオンの資産は、全金融機関のほんの
6.8% に過ぎないが、機
についてまとめたものである。いずれの機関でも機関数が減少し、資産は増加しているこ
めたものである。いずれの機関でも機関数が減少し、
資産は増加していることが分かる。クレジッ
関数は金融機関総数のほぼ半数を占めている。
とが分かる。クレジット・ユニオンの資産は、全金融機関のほんの
6.8% に過ぎないが、機
ト・ユニオンの資産は、全金融機関のほんの
6.8% に過ぎないが、機関数は金融機関総数のほぼ半
関数は金融機関総数のほぼ半数を占めている。
数を占めている。
図表 1 米国の金融機関の種類・機関数・資産
機関数
資産
図表金融機関の種類
1 米国の金融機関の種類・機関数・資産
金融機関の種類
商業銀行
(2013.6.30)
機関数
5,980
(2013.6.30)
貯蓄金融機関
商業銀行
クレジット・ユニオン
貯蓄金融機関
(2013.6.30)
(2014.6.30)
資産
機関数
13
兆
350
億ドル
5,757
(2013.6.30)
(2014.6.30)
兆 億ドル
60 億ドル
5,980960 13 兆1350
56 億ドル
6,930 1 兆1 兆60 億ドル
960
資産
機関数
(2014.6.30)
資産
14
兆
1060 億ドル
(2014.6.30)
兆 590
億ドル
億ドル
5,757899 14 兆1 1060
1125
億ドル
6,671 1 兆1 兆590
億ドル
899
(注 1) 商業銀行とクレジット
・ユニオンは、
国法と州法に基づいて設立された金融機関の合計である。
クレジット・ユニオン
1兆
56 億ドル
1 兆 1125 億ドル
6,930
6,671
(注商業銀行とクレジット
2) クレジット・ユニオンは、
米国 50
州の他、プエルトリコ他の連邦自治州の信用金庫数を含む。
(注 1)
・ユニオンは、
国法と州法に基づいて設立された金融機関の合計である。
Federal Deposit Insurance
Corporation、Credit
Union National Association。
(注 (出所)
2) クレジット・ユニオンは、
米国 50
州の他、プエルトリコ他の連邦自治州の信用金庫数を含む。
(出所) Federal Deposit Insurance Corporation、Credit Union National Association。
図表2は、クレジット・ユニオンの過去 7 年間の動向を示している。2015 年 3 月 31 日
図表2は、クレジット・ユニオンの過去
年間の動向を示している。2015
年
月 31
31 日現在の機
現在の機関数は 6,331 であり、組合員数は
1 億 120 万人、実に米国人の 3年
人にひとりが組
図表2は、クレジット・ユニオンの過去
77年間の動向を示している。2015
33 月
日
関数は
6,331
であり、
組合員数は
1
億
120
万人、
実に米国人の
3
人にひとりが組合員となっている。
合員となっている。総資産額は
1
兆
1730
億ドル、クレジット・ユニオン当たりの資産は、
現在の機関数は 6,331 であり、組合員数は 1 億 120 万人、実に米国人の 3 人にひとりが組
総資産額は
1兆
1730
億ドル、クレジット・ユニオン当たりの資産は、単純平均で
1 億 8500 万ド
単純平均で
1億
8500
億ドルとなるが、メディアンは
2500 万ドル(図表2には掲載されて
合員となっている。総資産額は
1 兆 1730 億ドル、クレジット・ユニオン当たりの資産は、
ルとなるが、
2500 万ドル(図表2には掲載されていない)に過ぎないので、
クレジッ
いない)に過ぎないので、クレジット・ユニオンの半数は、総資産
2500 万ドル以下の小規
単純平均で
1 メディアンは
億 8500 億ドルとなるが、メディアンは
2500 万ドル(図表2には掲載されて
ト・ユニオンの半数は、総資産
2500 万ドル以下の小規模の資産を保有していることになる。
模の資産を保有していることになる。
いない)に過ぎないので、クレジット・ユニオンの半数は、総資産
2500 万ドル以下の小規
模の資産を保有していることになる。
図表2 クレジット・ユニオンの動向
2015**
2014
2013
2012
2011
2010
2009
図表2 クレジット・ユニオンの動向
組合数
6,331 2014
6,398 2013
6,680 2012
6,956 2011
7,236 2010
7,486 2009
7,708
2015**
組合当たり資産*
185.3 6,398
177.6 6,680
161.0 6,956
148.8 7,236
134.6 7,486
123.8 7,708
116.3
組合数
6,331
総資産(10 億ドル) 185.3
1,173 177.6
1,136 161.0
1,075 148.8
1,035 134.6
974 123.8
927 116.3
897
組合当たり資産*
組合員数(千人)
101,207 1,136
100,512 1,075
97,4491,035
95,058 974
93,108 927
91,760 897
91,157
総資産(10
億ドル)
1,173
(注)表中の数字は、連邦法と州法それぞれに基づき設立されたクレジット・ユニオンの合計。
組合員数(千人)
101,207 100,512 97,449 95,058 93,108 91,760 91,157
*組合当たり資産の単位は 100 万ドル。**2015 年については 3 月末日、その他は 12 月末のデータ。
(注)表中の数字は、連邦法と州法それぞれに基づき設立されたクレジット・ユニオンの合計。
(出所)CUNA http://www.cuna.org/Research-And-Strategy/Credit-Union-Data-And-Statistics/
*組合当たり資産の単位は
100 万ドル。**2015 年については 3 月末日、その他は 12 月末のデータ。
(出所)CUNA http://www.cuna.org/Research-And-Strategy/Credit-Union-Data-And-Statistics/
- 13 -
資産規模の大きさトップ
50 にランクされるクレジット・ユニオンが占める資産は、図表3が示
資産規模の大きさトップ
50 にランクされるクレジット・ユニオンが占める資産は、図表
すように
28%のシェア、また組合員総数
1 億 120 万人のうちトップ
50 のクレジット・ユニオンの
3が示すように
28%のシェア、また組合員総数
1 億 120 万人のうちトップ
50 のクレジッ
資産規模の大きさトップ 50 にランクされるクレジット・ユニオンが占める資産は、図表
組合員数のシェアは
24% である。
ト・ユニオンの組合員数のシェアは
24%である。
3が示すように 28%のシェア、また組合員総数 1 億 120 万人のうちトップ 50 のクレジッ
ト・ユニオンの組合員数のシェアは 24%である。
図表3 トップ 50 のクレジット・ユニオンの資産と組合員数
図表3 トップ 50 のクレジット・ユニオンの資産と組合員数
この数字を商業銀行と比較してみよう。同時期の商業銀行数は 5,757、総資産額は 14 兆
1060 億ドル、クレジット・ユニオンのトップ 50 に対応する商業銀行のトップ 50(クレジ
この数字を商業銀行と比較してみよう。同時期の商業銀行数は
5,757、総資産額は
兆億
この数字を商業銀行と比較してみよう。同時期の商業銀行数は
5,757、総資産額は
14 兆14
1060
ット・ユニオンと比較するため実際にはトップ 47)を計算すれば、ほぼ 95%を占めること
1060 億ドル、クレジット・ユニオンのトップ
50 に対応する商業銀行のトップ
50(クレジ
ドル、クレジット・ユニオンのトップ
50 に対応する商業銀行のトップ
50(クレジット・ユニオン
になる。また、商業銀行トップの JP モルガン・チェイスの資産は 2 兆 5270 億ドル、これ
ット・ユニオンと比較するため実際にはトップ
47)を計算すれば、ほぼ
95%を占めること
と比較するため実際にはトップ
47)を計算すれば、ほぼ
95% を占めることになる。また、商業銀
はクレジット・ユニオン全体の総資産額の 2 倍にあたる。さらに、バンク・オブ・アメリ
になる。また、商業銀行トップの
JP
モルガン・チェイスの資産は
2
兆
5270
億ドル、これ
行トップの
JP モルガン・チェイスの資産は
2 兆 5270 億ドル、これはクレジット・ユニオン全体
カ、シティ・グループ、
ウェルス・ファーゴを加えた四大銀行だけで、
7 兆ドルを優に超え、
はクレジット・ユニオン全体の総資産額の
2・倍にあたる。さらに、バンク・オブ・アメリ
の総資産額の
2 倍にあたる。さらに、バンク
・オブ
アメリカ、シティ・グループ、ウェルス・ファー
商業銀行全体の
56%の資産を有するのである。
カ、シティ・グループ、ウェルス・ファーゴを加えた四大銀行だけで、7 兆ドルを優に超え、
ゴを加えた四大銀行だけで、7
兆ドルを優に超え、商業銀行全体の 56%の資産を有するのである。
図表4は、クレジット・ユニオンの機関数と組合員数の趨勢を図表2に基づきグラフ化
商業銀行全体の 56%の資産を有するのである。
図表4は、クレジット・ユニオンの機関数と組合員数の趨勢を図表2に基づきグラフ化したも
したものである。2009 年には 7,708 あった機関が、2015 年には 6,331 にまで減少している。
図表4は、クレジット・ユニオンの機関数と組合員数の趨勢を図表2に基づきグラフ化
のである。2009
年には 7,708 あった機関が、2015
6,331 にまで減少している。その一方で、
その一方で、組合員数は増加し、2014
年には 1年には
億人を超えた。
したものである。2009 年には 7,708 あった機関が、2015 年には 6,331 にまで減少している。
組合員数は増加し、2014 年には 1 億人を超えた。
その一方で、組合員数は増加し、2014 年には 1 億人を超えた。
図表4 クレジット・ユニオンの機関数と組合員数の趨勢
図表4 クレジット・ユニオンの機関数と組合員数の趨勢
(注)組合員数の単位は 10 人である。
(注)組合員数の単位は 10 人である。
クレジット・ユニオンは、共通の絆―地域・業態・業域・民族など同一の条件を満たす
人々によって組織される組合である。メンバー資格を得るためには、一定額の預金をし、
クレジット・ユニオンは、共通の絆―地域・業態・業域・民族など同一の条件を満たす
クレジット・ユニオンは、共通の絆―地域・業態・業域・民族など同一の条件を満たす人々によっ
それを維持することが必要である。組合員の預金をプールし、融資を必要とする組合員が
人々によって組織される組合である。メンバー資格を得るためには、一定額の預金をし、
て組織される組合である。メンバー資格を得るためには、一定額の預金をし、それを維持するこ
借り受ける。組合の運営は民主的に行われ、預金高の多寡に関わらずひとり1票の投票権
それを維持することが必要である。組合員の預金をプールし、融資を必要とする組合員が
とが必要である。組合員の預金をプールし、融資を必要とする組合員が借り受ける。組合の運営
を持つ組合員が相互に役員を選出する。役員は、組合員の代表としてクレジット・ユニオ
借り受ける。組合の運営は民主的に行われ、預金高の多寡に関わらずひとり1票の投票権
は民主的に行われ、預金高の多寡に関わらずひとり1票の投票権を持つ組合員が相互に役員を選
ンの経営に参画する。
を持つ組合員が相互に役員を選出する。役員は、組合員の代表としてクレジット・ユニオ
出する。役員は、組合員の代表としてクレジット・ユニオンの経営に参画する。
クレジット・ユニオンは世界各地に古くから存在する。経済が未成熟の時代、庶民は仲
ンの経営に参画する。
クレジット
・ユニオンは世界各地に古くから存在する。経済が未成熟の時代、庶民は仲間を募り、
間を募り、資金を出し合い、必要が生じた際にはプールした中から融資を受けるという自
クレジット・ユニオンは世界各地に古くから存在する。経済が未成熟の時代、庶民は仲
資金を出し合い、必要が生じた際にはプールした中から融資を受けるという自然発生的な制度が
然発生的な制度があった。わが国では、「講」と呼ばれ、相互扶助団体として頼母子講や無
間を募り、資金を出し合い、必要が生じた際にはプールした中から融資を受けるという自
あった。わが国では、
「講」と呼ばれ、相互扶助団体として頼母子講や無尽講が存在していたこと
尽講が存在していたことが想起される。
然発生的な制度があった。わが国では、「講」と呼ばれ、相互扶助団体として頼母子講や無
が想起される。
尽講が存在していたことが想起される。
- 14 -
もちろん、相互扶助の精神は、金融に限らずさまざまな形で現れる。たとえば、第1次大戦の
中国の青島で捕虜になり日本に送られたドイツ兵の例である。収容所で過ごす中で、ドイツ兵た
もちろん、相互扶助の精神は、金融に限らずさまざまな形で現れる。たとえば、第1次
ちが金を出し合い、病気になった仲間の医療費を賄うという健康保険組合を結成したという興味
大戦の中国の青島で捕虜になり日本に送られたドイツ兵の例である。収容所で過ごす中で、
深い例もある。
もちろん、相互扶助の精神は、金融に限らずさまざまな形で現れる。たとえば、第1次
ドイツ兵たちが金を出し合い、病気になった仲間の医療費を賄うという健康保険組合を結
大戦の中国の青島で捕虜になり日本に送られたドイツ兵の例である。収容所で過ごす中で、
そもそも、クレジット・ユニオンは、
その成り立ちから小規模の金融機関のはずである。ところが、
成したという興味深い例もある。
ドイツ兵たちが金を出し合い、病気になった仲間の医療費を賄うという健康保険組合を結
図表5の資産規模の分布からも明らかなように、最近、資産が 10 億ドルを超える機関が全体の 4%
そもそも、クレジット・ユニオンは、その成り立ちから小規模の金融機関のはずである。
成したという興味深い例もある。
を占めるようになってきた。
ところが、図表5の資産規模の分布からも明らかなように、最近、資産が
10 億ドルを超え
そもそも、クレジット・ユニオンは、その成り立ちから小規模の金融機関のはずである。
る機関が全体の 4%を占めるようになってきた。
ところが、図表5の資産規模の分布からも明らかなように、最近、資産が 10 億ドルを超え
図表5 クレジット・ユニオンの資産の分布
る機関が全体の 4%を占めるようになってきた。
資産
機関数の分布
図表5 クレジット・ユニオンの資産の分布
2500 万ドル以下
資産
2500 万ドル~5000 万ドル
2500 万ドル以下
5000 万ドル~5 億ドル
2500 万ドル~5000 万ドル
5 億ドル~10 億ドル
5000 万ドル~5 億ドル
10 億ドル以上
5 億ドル~10 億ドル
50%
機関数の分布
14%
50%
28%
14%
4%
28%
4%
4%
(注)データの関係上、本表でのクレジット・ユニオン総数は 6,398 である。
10 億ドル以上
4%
(出所)CUNA http://www.cuna.org/survey/
(注)データの関係上、本表でのクレジット・ユニオン総数は 6,398 である。
(出所)CUNA http://www.cuna.org/survey/
とりわけ目を引くのが全米に組合員を持つネイビー・フェデラル・クレジット・ユニオ
ンである。名前はネイビーとなっているが、陸軍、空軍、海兵隊、沿岸警備隊に所属する
とりわけ目を引くのが全米に組合員を持つネイビー・フェデラル・クレジット・ユニオンである。
とりわけ目を引くのが全米に組合員を持つネイビー・フェデラル・クレジット・ユニオ
人々にも資格がある。1933
年、連邦法に基づいて創設されて以来、軍人とその家族、国防
名前はネイビーとなっているが、陸軍、空軍、海兵隊、沿岸警備隊に所属する人々にも資格がある。
ンである。名前はネイビーとなっているが、陸軍、空軍、海兵隊、沿岸警備隊に所属する
省の職員、軍の退職者などから、もっとも選好され、信頼される金融機関であることを目
1933 年、連邦法に基づいて創設されて以来、軍人とその家族、国防省の職員、軍の退職者などから、
人々にも資格がある。1933 年、連邦法に基づいて創設されて以来、軍人とその家族、国防
標にしてきた。ひとたび組合員になると、軍を離れても、組合員資格は継続する。
もっとも選好され、信頼される金融機関であることを目標にしてきた。ひとたび組合員になると、
省の職員、軍の退職者などから、もっとも選好され、信頼される金融機関であることを目
軍を離れても、組合員資格は継続する。
標にしてきた。ひとたび組合員になると、軍を離れても、組合員資格は継続する。
図表6 ネイビークレジット・ユニオンの現状 2015 年第 2 四半期
総資産
699 億 2692 万ドル
図表6 ネイビークレジット・ユニオンの現状 2015 年第 2 四半期
預金額
471 億 8059 万ドル
総資産
699 億 2692 万ドル
貸出額
508 億 1863 万ドル
預金額
471 億 8059 万ドル
組合員数
569 万人
貸出額
508 億 1863 万ドル
(出所)Navy Credit Union ホームページ
組合員数
569 万人
https://www.navyfederal.org/about/about.php
(出所)Navy Credit Union ホームページ
https://www.navyfederal.org/about/about.php
ネイビー・フェデラル・クレジット・ユニオンは、全米で最大のクレジット・ユニオン
であり、図表 6 で見るいずれの数字も桁外れである。総資産 699 億ドルは、商業銀行の資
ネイビー・フェデラル・クレジット・ユニオンは、全米で最大のクレジット・ユニオン
産高に当てはめると 30 位にランク付けられる。
ネイビー・フェデラル・クレジット・ユニオンは、全米で最大のクレジット・ユニオンであり、
であり、図表
6 で見るいずれの数字も桁外れである。総資産 699 億ドルは、商業銀行の資
もともと、クレジット・ユニオンと、資産 10 億ドル未満で特徴づけられるコミュニティ・
産高に当てはめると
30 位にランク付けられる。
図表 6 で見るいずれの数字も桁外れである。総資産
699 億ドルは、商業銀行の資産高に当てはめ
バンクとの間には、預金獲得の上で確執があった。クレジット・ユニオンの金融サービス
もともと、
クレジット・ユニオンと、
資産
10
億ドル未満で特徴づけられるコミュニティ・
ると 30 位にランク付けられる。
の内容も拡充し、商業銀行の金融サービスに匹敵するようになると、当然、両者のライバ
バンクとの間には、預金獲得の上で確執があった。クレジット・ユニオンの金融サービス
もともと、クレジット・ユニオンと、資産 10 億ドル未満で特徴づけられるコミュニティ・バ
ル関係は激化する。重要な争点は、連邦所得税とほとんどの州で州税が非課税になってい
の内容も拡充し、商業銀行の金融サービスに匹敵するようになると、当然、両者のライバ
ンクとの間には、預金獲得の上で確執があった。クレジット・ユニオンの金融サービスの内容も
ること、さらに、商業銀行に課せられている金融機関としての地域への貢献義務、すなわ
ル関係は激化する。重要な争点は、連邦所得税とほとんどの州で州税が非課税になってい
拡充し、商業銀行の金融サービスに匹敵するようになると、当然、両者のライバル関係は激化す
ち、「地域再投資法」
(CRA)の履行も免除されている点である。これら優遇措置に対する
ること、さらに、商業銀行に課せられている金融機関としての地域への貢献義務、すなわ
る。重要な争点は、連邦所得税とほとんどの州で州税が非課税になっていること、さらに、商業
批判に対しては、信用組合全国協会(CUNA)がクレジット・ユニオンの設立趣旨を根拠
ち、「地域再投資法」
(CRA)の履行も免除されている点である。これら優遇措置に対する
銀行に課せられている金融機関としての地域への貢献義務、すなわち、
「地域再投資法」
(CRA)
に徹底的な反論を展開している。最近、とくに非課税問題が大きく表面化しているのは、
批判に対しては、信用組合全国協会(CUNA)がクレジット・ユニオンの設立趣旨を根拠
の履行も免除されている点である。これら優遇措置に対する批判に対しては、信用組合全国協会
2015 年 5 月、プロフットボールの全米組織(NFL)が自ら非課税の優遇措置を返上したこ
に徹底的な反論を展開している。最近、とくに非課税問題が大きく表面化しているのは、
(CUNA)がクレジット・ユニオンの設立趣旨を根拠に徹底的な反論を展開している。最近、とく
とも影響している。
2015 年 5 月、プロフットボールの全米組織(NFL)が自ら非課税の優遇措置を返上したこ
とも影響している。
- 15 -
に非課税問題が大きく表面化しているのは、2015 年 5 月、プロフットボールの全米組織(NFL)
が自ら非課税の優遇措置を返上したことも影響している。
さらには、金融監督主体が両者の間で異なることも争点となっている。すなわち、連邦法に基
づく商業銀行の監督は通貨管理局(OCC)
、州法に基づく銀行の監督は連邦準備制度に加入してい
ればその理事会、加入していない場合は各州の当局と連邦預金保険公社(FDIC)が監督する。連
邦法に基づくクレジット・ユニオンは全国クレジット・ユニオン管理庁(NCUA)
、州法に基づく
クレジット・ユニオンは各州の当局が独自の基準で監督する。この点もまた商業銀行の批判の的
となっている。
さて、もうひとつのリテール金融機関に移ろう。ニューヨーク州法に基づいて設立されたシグ
ナチャー銀行である。この銀行は、そのユニークなビジネスモデルで注目されている。個人を顧
客とするが、ターゲットとする顧客はクレジット・ユニオンとは対照的に、富裕層、それも超が
つくほどの資産家や特異な人々である。
ウォール・ストリート・ジャーナル 2015 年 8 月 30 日付「ヒップ・ホップの大物が利用する唯
一の銀行」という見出しの記事は、アーブ・ゴティの例をあげながら、同行を「貸出と預金に焦
点を合わせたシンプルなビジネスモデルを実践する控えめな銀行で、ゆったりした時代の銀行に
先祖返りしている」と紹介する。たしかに、同行は、独自のビジネスモデルに則っているが、そ
れは、かつてはどの銀行も行っていた預金獲得と融資のみに徹底する保守的で堅実な運営方法で
ある。近年もてはやされた金融工学の手法に乗らなかったためリーマンショックの影響から免れ、
また、積極的な M&A も行わず費用の縮減が可能となった。
ただし、これだけでは目覚ましい成長は望めない。顧客こそが重要である。巨額な遺産を相続
した富裕層ではなく、一線で活躍する弁護士や不動産業者など継続的に高収入を得られる層を同
行は対象としており、ニューヨークという土地柄を強みとしている。加えて、一人ひとりの顧客
の要望にきめ細かく応ずる金融エキスパートを擁していることも見逃せない。まさに、同行のモッ
トー、
「小さな銀行の持つ細かな対応と、大きな銀行の持つ深い経験と熟達した手腕の両面を備え
た」銀行なのである。
一般に銀行は利用者の利便性を考え、立地のいい場所に店舗を展開し、成長に応じて拠点を拡
大していく。それに対し、シグナチャー銀行は、ニューヨークの五番街のビルの 8 階を本拠とし、
マンハッタンとその周辺に 27 の拠点を持つだけである。また、近い将来、拠点を拡大する予定は
ないという。銀行の宣伝はせず、むしろ潜在的な顧客に銀行からアプローチする。あるいは、口
コミによって顧客を拡大していく。ニューヨークの金融機関で活躍する有能なバンカーを迎え入
れることにより、バンカーの担当する顧客も一緒に同行に招き入れるのである。顧客は、担当者
との長期に及ぶ信頼関係を重視するため、自然に同行に良質な顧客が集まることになる。その利
点により、バンカーは厚遇される。2014 年 4 月 28 日付けの CRAIN’
S NEW YORK BUSINESS
によると、不良債権の責任はバンカーに負わせるものの、ボーナスの上限はなく、徹底した成果
主義による報酬が与えられる。2013 年度、CEO のジョセフ・デパオロの年収は 560 万ドルであっ
たが、バンカーの中には、デパオロより高額な報酬を得る者がいるという。
このような特色を持った銀行の設立は 2001 年のことであった。トップのジョー・デパオロとナ
ンバー2のジョン・タンバーレインは、それまでニューヨーク・リパブリック・ナショナル銀行
で個人への融資を主とした金融サービスを提供する部門にいた。1999 年、この銀行が HSBC 持株
会社に買収されることになったとき、新しい銀行での活躍場所に期待が持てず、自ら、個人を中
心とした銀行を設立する計画を立てる。これに、M&A のエキスパート、ソロモンブラザーズの
スコット・シェイ(現シグナチャー銀行取締役会長)が三人目の創設者に加わった。設立にあたっ
- 16 -
ては、イスラエルの主力銀行であるハポアリム銀行が初期融資を行っている。
行が初期融資を行っている。
行が初期融資を行っている。
同行の株式公開は 2004 年である。図表7は、同行の株価とダウ・ジョーンズ株価指数の過去6
同行の株式公開は 2004
2004 年である。図表7は、同行の株価とダウ・ジョーンズ株価指数の
年である。図表7は、同行の株価とダウ・ジョーンズ株価指数の
同行の株式公開は
年間の変動を表している。2015
年を例外として、両者はほぼ同様な動向を示している。両者の変
過去6年間の変動を表している。2015
年を例外として、両者はほぼ同様な動向を示してい
過去6年間の変動を表している。2015
年を例外として、両者はほぼ同様な動向を示してい
動を年間変化率で見たものが図表8である。グラフでは、とくにシグナチャー銀行の高い変化率
る。両者の変動を年間変化率で見たものが図表8である。グラフでは、とくにシグナチャ
る。両者の変動を年間変化率で見たものが図表8である。グラフでは、とくにシグナチャ
が鮮明に表れている。たとえば、2013
年、ダウ・ジョーンズ指数は
26.5% の上昇、同行は
ー銀行の高い変化率が鮮明に表れている。
たとえば、
2013 年、
年、
ダウ・
・ジョーンズ指数は
ジョーンズ指数は
26.5% 50.6%
ー銀行の高い変化率が鮮明に表れている。
たとえば、
2013
ダウ
26.5%
の上昇を示している。
の上昇、同行は 50.6%の上昇を示している。
50.6%の上昇を示している。
の上昇、同行は
図表7 シグナチャー銀行の株価動向
シグナチャー銀行の株価動向
図表7
図表8 シグナチャー銀行の株価変化率
シグナチャー銀行の株価変化率
図表8
$200.00
$200.00
$150.00
$150.00
60
60
50
50
$100.00
$100.00
$50.00
$50.00
株価
株価
DJ
DJ
$0.00
$0.00
(注)シグナチャー銀行の株価とDJ
DJ株価指数は
株価指数は
(注)シグナチャー銀行の株価と
12月末日、ただし、2015
月末日、ただし、2015年については、2015
年については、2015年
年
12
月88日の値である。
日の値である。
99月
40
40
30
30
株価変化率
株価変化率
20
20
10
10
DJ変化率
変化率
DJ
00
2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
-10
-10 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
-20
-20
(注)株価変化率はシグナチャー銀行の年間変化率。
(注)株価変化率はシグナチャー銀行の年間変化率。
DJ変化率は
変化率はDJ
DJ株価指数の年間変化率である。
株価指数の年間変化率である。
DJ
ただし、2015年については、2015
年については、2015年
年99月
月88日の株価。
日の株価。
ただし、2015
(出所)図表7及び図表8いずれもhttp://investor.signatureny.com/stocklookup.cfm
http://investor.signatureny.com/stocklookup.cfm より作成。
より作成。
(出所)図表7及び図表8いずれも
設立以来、シグナチャー銀行の成長は著しい。フォーブズ誌が掲載する
BestWorst
and Worst
設立以来、シグナチャー銀行の成長は著しい。フォーブズ誌が掲載する Best
Best and
and
設立以来、シグナチャー銀行の成長は著しい。フォーブズ誌が掲載する
Worst
Banks
に 2013
年に第3位、翌年には第2位、そして
2015
年にはついに第1位にランクインした。
Banks
に 2013
2013
年に第3位、翌年には第2位、そして
2015
年にはついに第1位にランクイ
Banks
に
年に第3位、翌年には第2位、そして
2015
年にはついに第1位にランクイ
このランキングは、ROE、不良債権比率、自己資本比率などの指標を用いて評価したものである。
ンした。このランキングは、ROE、不良債権比率、自己資本比率などの指標を用いて評価
ンした。このランキングは、ROE、不良債権比率、自己資本比率などの指標を用いて評価
シグナチャー銀行の
ROE は、2013 年は ROE
12%、2014
年は年は
12.7%、そして
13.8% と着実
したものである。シグナチャー銀行の
は、2013
12%、20142015
年は年には
12.7%、そし
したものである。シグナチャー銀行の
ROE は、2013
年は 12%、2014
年は
12.7%、そし
に伸びている。図表9は
2015
年度の米国のベスト銀行のトップ5の一覧である。シグナチャー銀
て 2015
2015 年には
年には 13.8%
13.8% と着実に伸びている。
と着実に伸びている。
図表9は 2015
2015 年度の米国のベスト銀行のトッ
年度の米国のベスト銀行のトッ
て
図表9は
行の総資産の急速な上昇は、図表
10
から明らかである。
プ5の一覧である。
シグナチャー銀行の総資産の急速な上昇は、
図表10
10から明らかである。
から明らかである。
プ5の一覧である。
シグナチャー銀行の総資産の急速な上昇は、
図表
図表9 2015
2015 年度米国のベスト銀行
年度米国のベスト銀行
図表9
11
22
33
44
(総資産の単位は 10
10 億ドル)
億ドル)
(総資産の単位は
銀行名
銀行名
所在地
所在地
Signature Bank
Bank
Signature
Bank
of
Hawaii
Bank of Hawaii
New York,
York, NY
NY
New
Honolulu,
HI
Honolulu, HI
BankUnited
BankUnited
SVB Financial
Financial Group
Group
SVB
総資産
総資産
Miami Lakes,
Lakes, FL
FL
Miami
Santa Clara,
Clara, CA
CA
Santa
26
26
15
15
18
18
36
36
ROE
ROE
13.8%
13.8%
15.5%
15.5%
10.6%
10.6%
11.4%
11.4%
NPLs*/
NPLs*/
Loans
Loans
0.1%
0.1%
0.6%
0.6%
0.3%
0.3%
0.1%
0.1%
State Street
Street
Boston, MA
MA
275
10.0%
0%
55
State
Boston,
275
10.0%
0%
(注) NPLs*
NPLs* (Nonperforming
(Nonperforming Loans)
Loans) は、90
は、90日以上延滞が続いている貸付を含む。
日以上延滞が続いている貸付を含む。
(注)
(出所) America’s
America’s Best
Best And
And Worst
Worst Banks,
Banks, Forbes
Forbes,, 2014.12.22.
2014.12.22.
(出所)
Reserves/
Reserves/
NPLs*
NPLs*
634%
634%
285%
285%
269%
269%
1000%
1000%
1000%
1000%
http://www.forbes.com/sites/kurtbadenhausen/2014/12/22/americas-best-and-worst-ban
http://www.forbes.com/sites/kurtbadenhausen/2014/12/22/americas-best-and-worst-ban
ks-2015/
ks-2015/
- 17 -
図表 10 シグナチャー銀行の総資産の動向
(注)総資産は各年とも 12 月末日。単位は百万ドル。
(出所)http://www.zacks.com/stock/quote/SBNY/balance-sheet
シグナチャー銀行は、今までは大手銀行と比べて比較的緩やかな監視下にある。しかし、やが
シグナチャー銀行は、今までは大手銀行と比べて比較的緩やかな監視下にある。しかし、
て総資産が 500 億ドルを突破すると、連邦準備理事会の「ストレステスト」を受けなければなら
やがて総資産が 500 億ドルを突破すると、連邦準備理事会の「ストレステスト」を受けな
なくなる。ウォール・ストリート・ジャーナルの記事によると、法令遵守のための支出を増やし、
ければならなくなる。ウォール・ストリート・ジャーナルの記事によると、法令遵守のた
バランスシートやビジネス慣行を再点検しなければならない。これまで、ニューヨークの不動産
めの支出を増やし、バランスシートやビジネス慣行を再点検しなければならない。これま
投資に重きを置いてきたが、今後はニューヨーク市へのローンや商用車両のローンを拡張してい
で、ニューヨークの不動産投資に重きを置いてきたが、今後はニューヨーク市へのローン
くという。
や商用車両のローンを拡張していくという。
厳しい規制への対応策として、同行は、最近、マサチューセッツの元下院議員で下院金融サー
厳しい規制への対応策として、同行は、最近、マサチューセッツの元下院議員で下院金
ビス委員会委員長を務めたバーニー・フランクを取締役に迎えた。フランクは
2010 年、グラス
融サービス委員会委員長を務めたバーニー・フランクを取締役に迎えた。フランクは
2010 =
スティーガル法の現代版といわれる「ドッド
= フランク法」を成立させた要人である。この法は、
年、グラス=スティーガル法の現代版といわれる「ドッド=フランク法」を成立させた要人
金融機関に対する規制強化、すなわち、説明責任と透明性の向上によって安定的な金融サービス
である。この法は、金融機関に対する規制強化、すなわち、説明責任と透明性の向上によ
を目指す。金融機関から消費者を保護する消費者金融保護局を連邦準備理事会に設置することも
って安定的な金融サービスを目指す。金融機関から消費者を保護する消費者金融保護局を
謳っている。
連邦準備理事会に設置することも謳っている。
年、夏から秋にかけての米国では、中国経済の変調に端を発する世界的な株価の大
20152015
年、夏から秋にかけての米国では、中国経済の変調に端を発する世界的な株価の大幅下落
幅下落があり、オバマ政権下のオバマケアの渦中で、三大医療保険会社、アエトナ、アン
があり、オバマ政権下のオバマケアの渦中で、三大医療保険会社、アエトナ、アンセム・シグナ、
セム・シグナ、ユナイテッド・ヘルス・グループそれぞれが積極的な
M&A を推進し、存在
ユナイテッド・ヘルス・グループそれぞれが積極的な
M&A を推進し、存在感を増してきている。
感を増してきている。いま、米国の金融機関は徐々に変容しつつある。かつて設立目的が
いま、米国の金融機関は徐々に変容しつつある。かつて設立目的が明白に異なっていた商業銀行
明白に異なっていた商業銀行と貯蓄金融機関の相違が消滅し、同質化してきている一方、
と貯蓄金融機関の相違が消滅し、同質化してきている一方、クレジット・ユニオンの提供する金
クレジット・ユニオンの提供する金融サービスと商業銀行の提供するサービスとの違いが
融サービスと商業銀行の提供するサービスとの違いがなくなりつつある。
大手の商業銀行もリテー
なくなりつつある。大手の商業銀行もリテール部門を重視するようになった。こうした緩
ル部門を重視するようになった。こうした緩やかな金融機関の変容の中で、今後、巨大化したク
やかな金融機関の変容の中で、今後、巨大化したクレジット・ユニオンの存在価値を何に
レジット・ユニオンの存在価値を何に求めるか、ユニークな銀行として関心を集めているシグナ
求めるか、ユニークな銀行として関心を集めているシグナチャー銀行が、予想される、よ
チャー銀行が、予想される、より厳しい金融当局の規制の下、どのような戦略をとっていくか、
り厳しい金融当局の規制の下、どのような戦略をとっていくか、とりわけ、金融規制強化
とりわけ、金融規制強化を主張してきたバーニー・フランクが同行の方針にどのような影響を与
を主張してきたバーニー・フランクが同行の方針にどのような影響を与えるか、注目を引
えるか、注目を引くテーマである。
くテーマである。
- 18 -
地域経済の活性化のための資産証券化
―わが国におけるカバード・ボンドの導入可能性
地域経済の活性化のための資産証券化
―わが国におけるカバード・ボンドの導入可能性
ゆうちょ資産研究センター
研究員
宮下
恵子
ゆうちょ資産研究センター 研究員 宮下 恵子
はじめに
はじめに日銀は今年 5 月 29 日「人口減少に立ち向かう地域金融」と題した『金融システムレポ
ート別冊シリーズ』を公表した。主に人口減少を背景とした地域経済への下押し圧力が地
日銀は今年
5 月 29 日「人口減少に立ち向かう地域金融」と題した『金融システムレポート別冊シリー
域金融機関の収益低下の一因となっているが、付加価値のある金融サービスの提供で状況
ズ』を公表した。主に人口減少を背景とした地域経済への下押し圧力が地域金融機関の収益低下の一
を変えることができると指摘した。また、地域金融機関は県外貸出を増加させてきたが、
因となっているが、
付加価値のある金融サービスの提供で状況を変えることができると指摘した。また、
県内と比較し低金利での貸出となり、収益力向上には繋がっていないことも示した。
地域金融機関は県外貸出を増加させてきたが、県内と比較し低金利での貸出となり、収益力向上には
現在政府の掲げる目標は、地方の人口減少抑制や地域経済の活性化による「地方創生」
繋がっていないことも示した。
である。それは、都市機能の集約化・付加価値のある地場産業の育成・地産地消による強
現在政府の掲げる目標は、地方の人口減少抑制や地域経済の活性化による「地方創生」である。そ
い地方経済を創り、若者の雇用促進・定着を図ることである。そこでは地域の中核となる
れは、都市機能の集約化・付加価値のある地場産業の育成・地産地消による強い地方経済を創り、若
地域金融機関が収益力を備えた産業として存立し、金融面で円滑なサポートをすることが
者の雇用促進・定着を図ることである。そこでは地域の中核となる地域金融機関が収益力を備えた産
不可欠といえる。本稿では、地域金融機関が保有する資産を証券化する手法の一例として、
業として存立し、金融面で円滑なサポートをすることが不可欠といえる。本稿では、地域金融機関が
カバード・ボンドの導入可能性について考察する。
保有する資産を証券化する手法の一例として、カバード・ボンドの導入可能性について考察する。
1. 地域金融機関の貸出状況
低金利長期化の中、競争激化により貸出金利のトレンドが下降(図表 1)する中、貸出
低金利長期化の中、競争激化により貸出金利のトレンドが下降(図表
1)
、貸出利鞘も低下傾向をた
利鞘も低下傾向をたどり、2000 年代における利鞘低下幅は地域銀行が顕著であった
(図表
どり、2000
年代における利鞘低下幅は地域銀行が顕著であった(図表
2)
。一方、地域銀行の貸出額は
2)。一方、地域銀行の貸出額は 2011 年にプラス転換した後、増加基調が続いている(図
2011 表
年にプラス転換した後、増加基調が続いている(図表
。先行して都内店貸出が増加しているこ
3)。先行して都内店貸出が増加していることから、3)
シンジケートローンへの参画や県外
とから、シンジケートローンへの参画や県外への営業範囲拡大が伺えるが、その間貸出利鞘は低下傾
への営業範囲拡大が伺えるが、その間貸出利鞘は低下傾向を辿ったままであり、収益力向
向を辿ったままであり、収益力向上に繋がっていないことがわかる。その理由は、都内店向けが競争激
上に繋がっていないことがわかる。その理由は、都内店向けが競争激化により低金利とな
化により低金利となっていること、県外貸出についても新規顧客を獲得するために低金利を提示しがち
っていること、県外貸出についても新規顧客を獲得するために低金利を提示しがちであり、
1
であり、また、情報劣位により信用力の高い貸出先を選好したためと指摘されている
また、情報劣位により信用力の高い貸出先を選好したためと指摘されている1。。
1. 地域金融機関の貸出状況
(図表1)業態別新規貸出金利の推移
%
3.5
3
2.5
2
1.5
1
都市銀行
地方銀行
0.5
第二地方銀行
信用金庫
0
1998
2000
2002
2004
2006
2008
2010
2012
2014
出所)日本銀行統計
1
日本銀行『金融システムレポート別冊シリーズ』「人口減少に立ち向かう地域金融」より
1
日本銀行『金融システムレポート別冊シリーズ』
「人口減少に立ち向かう地域金融」より
- 19 -
(図表2)国内貸出利鞘の推移
(図表3)地域銀行の企業向け貸出
(注1)大手行・地域銀行は14年度上期、信用金庫は13年度まで。
(注2)利鞘の変化幅は、大手行・地域銀行は14年度上期と99年度の
利鞘の差、信用金庫は13年度と99年度の利鞘の差。
(注)直近は15年4月。地元企業向けは都内転移外での企業向け貸出。
(出所)日本銀行「金融システムレポート別冊」
(出所)日本銀行「金融システムレポート別冊」
2013 年半ば以降については、地元企業向け貸出の増加基調が確認できる。この背景と
2013 年半ば以降については、
地元企業向け貸出の増加基調が確認できる。この背景となるのは、
「地
なるのは、
「地方創生」である。2012
年末に発足した第
2
次安倍政権による「アベノミク
方創生」である。2012 年末に発足した第 2 次安倍政権による「アベノミクス」は「金融政策」
「財政
ス」は「金融政策」
「財政政策」
「成長戦略」の
3
本の矢からなり、第
1・第
2
の矢による
政策」
「成長戦略」の 3 本の矢からなり、第 1・第 2 の矢による景気回復は、グローバル経済では認め
景気回復は、グローバル経済では認められたものの、ローカル経済には波及が認められな
られたものの、ローカル経済には波及が認められなかった。そこで、地域経済の活性化を謳うローカル・
かった。そこで、地域経済の活性化を謳うローカル・アベノミクスが推し進められること
アベノミクスが推し進められることとなったのである。
となったのである。
2014 年 5 月には日本創生会議において「地方消滅レポート」が公表されたことを受け、6 月には「骨
2014 年 5 月には日本創生会議において「地方消滅レポート」が公表されたことを受け、
太の方針 2014」で人口減少対策や地域活性化に重点がおかれた。9 月の改造内閣では「まち・ひと・
6 月には「骨太の方針 2014」で人口減少対策や地域活性化に重点がおかれた。9 月の改造
しごと創生本部」を創設し、11 月には「まち・ひと・しごと創生法」
「改正地域再生法」が可決・成立、
内閣では「まち・ひと・しごと創生本部」を創設し、11 月には「まち・ひと・しごと創生
12 月には「まち・ひと・しごと創生総合戦略(総合戦略)
」が閣議決定された。
法」「改正地域再生法」が可決・成立、12 月には「まち・ひと・しごと創生総合戦略(総
総合戦略には過去の政策が有効ではなかった原因として、5 項目が挙げられている。
合戦略)」が閣議決定された。
① 府省庁・制度の縦割り構造
総合戦略には過去の政策が有効ではなかった原因として、5 項目が挙げられている。
② 地域特性を考慮しない全国一律の手法
① 府省庁・制度の縦割り構造
③ 効果検証を伴わないバラマキ
② 地域特性を考慮しない全国一律の手法
④ 地域に浸透しない表面的な施策
③ 効果検証を伴わないバラマキ
⑤ 短期的な成果を求める施策
④ 地域に浸透しない表面的な施策
地域特性を考慮しない国から地方への一時的・一方的なバラマキは効果がなく、地域経済に持続的
⑤ 短期的な成果を求める施策
な資金循環が生まれること、つまり資金の地産池消が地域活性化の鍵であり、その円滑な運営には地
地域特性を考慮しない国から地方への一時的・一方的なバラマキは効果がなく、地域
域金融機関が不可欠である。貸出額が伸びている中、
地域金融機関の資金調達の多様化・バランスシー
経済に持続的な資金循環が生まれること、つまり資金の地産池消が地域活性化の鍵であり、
トの活性化に取り組めるような環境整備が課題といえよう。次章ではバランスシート活性化の一例と
その円滑な運営には地域金融機関が不可欠である。貸出額が伸びている中、地域金融機関
の資金調達の多様化・バランスシートの活性化に取り組めるような環境整備が課題といえ
して、わが国にはまだみられないカバード・ボンドの導入について考察する。
よう。次章ではバランスシート活性化の一例として、わが国にはまだみられないカバー
ド・ボンドの導入について考察する。
2. カバード・ボンドの導入可能性
(1)概要と仕組み
2. カバード・ボンドの導入可能性
カバード・ボンド(Covered
Bond)とは、主に住宅ローン債権や公共セクター向け債権を担保とし
(1)
概要と仕組み
て金融機関が発行する債権担保付債券(CBO:Coraterazed Bond Obligation)の一種であり、以下
カバード・ボンド(Covered Bond)とは、主に住宅ローン債権や公共セクター向け債
の特徴を持つ。
権を担保として金融機関が発行する債権担保付債券(CBO:Coraterazed Bond Obligation)
① 担保が住宅ローンや公共セクター向け貸出などの信用力の高い債権(カバー)プールであること
の一種であり、以下の特徴を持つ。
② 投資家は発行体とカバープールの双方に請求権があるデュアルリコース性をもつこと
- 20 -
① 担保が住宅ローンや公共セクター向け貸出などの信用力の高い債権(カバー)プー
ルであること
② 投資家は発行体とカバープールの双方に請求権があるデュアルリコース性をもつ
こと
③ 発行体が破綻した際でもその倒産手続による制限を受けず、カバープールから優先的に償還を
③ 発行体が破綻した際でもその倒産手続による制限を受けず、カバープールから優先
受けることができること
的に償還を受けることができること
また、カバード・ボンドは、MBS(Mortgage Backed Securities)のような証券化商品とは異なり、
また、カバード・ボンドは、MBS(Mortgage Backed Securities)のような証券化商品
上述のデュアルリコース性と、担保がオンバランスのままであることが多く、適切な管理によりカバー
とは異なり、上述のデュアルリコース性と、担保がオンバランスのままであることが多く、
プールの水準が確保される仕組みとなっているため、一般的に高格付で安定性の高い商品であると評
適切な管理によりカバープールの水準が確保される仕組みとなっているため、一般的に高
価されている。
格付で安定性の高い商品であると評価されている。
カバード・ボンドには、特別の法制度に基づき発行される「法制カバード・ボンド」と、特別の法
カバード・ボンドには、特別の法制度に基づき発行される「法制カバード・ボンド」
制度によらずストラクチャード・ファイナンスの手法による「ストラクチャード・カバード・ボンド」
と、特別の法制度によらずストラクチャード・ファイナンスの手法による「ストラクチャ
がある。
ード・カバード・ボンド」がある。
(図表4)カバード・ボンドの概要
(参考)ストラクチャード
・カバードボンド
法制カバード・ボンド
SPC型
リングフェンス型
SPC発行型
特別法を根拠とする
法制
カバープールの保有者
オリジネーター
発行者
オリジネーター
破綻時
SPC保証型
特別法に基づかない
SPC
SPC
SPC
オリジネーター
一般財産から隔離され、
優先弁済を受けられる
一般財産から隔離され、
優先弁済を受けられる
ドイツ(ファンドブリーフ)
スペイン(セデュラス)
フランス(オブリガシオン・
イタリア・イギリス
フォンシエール)
海外の発行事例
SPCが保証人となり、
保証債務を履行
オリジネーター
SPCが保証
韓国(国民銀行)
フランス(パリバ)
アメリカ
韓国(韓国住宅金融公社)
SPC保証型
がほとんど
オーストラリア・NZ・カナダ
アメリカ(Bank of America)
(出所)各種資料より作成
法制カバード・ボンドの基本的な仕組みは、発行体が自ら担保資産を保有し続ける「リ
法制カバード・ボンドの基本的な仕組みは、発行体が自ら担保資産を保有し続ける「リングフェン
ングフェンス型」と担保資産を SPC に移して発行体から隔離する「SPC 型」に大別される。
ス型」
と担保資産を SPC に移して発行体から隔離する「SPC 型」に大別される。一方、
ストラクチャー
一方、ストラクチャード・カバード・ボンドは、保証人が
SPC か発行体かでの区分がある
ド・カバード・ボンドは、保証人が
SPC となるケースが多くみられるが、全般的に法的安定性が低く
が、全般的に法的安定性が低くなりがちで、複雑なストラクチャーの構築に伴うコストや
なりがちで、複雑なストラクチャーの構築に伴うコストやリスクプレミアムが生じるため、法制カバー
リスクプレミアムが生じるため、法制カバード・ボンドと比較し商品性が低下しやすいと
ド・ボンドと比較し商品性が低下しやすいという指摘がある。
いう指摘がある。
海外の事例をみると、法制カバード・ボンドが大半を占める。これはストラクチャード・カバード・
海外の事例をみると、法制カバード・ボンドが大半を占める。これはストラクチャー
ボンドのコスト増が、法制カバード・ボンド発行への法整備を進展させるインセンティブになったもの
ド・カバード・ボンドのコスト増が、法制カバード・ボンド発行への法整備を進展させる
インセンティブになったものと思われる。
と思われる。
- 21 -
(図表5)カバード・ボンド方式イメージ図
(図表5)カバード・ボンド方式イメージ図
リングフェンス型
リングフェンス型
SPC発行型
SPC発行型
発行体
発行体
その他資産
その他資産
超過
超過
担保
担保
カバープール
カバープール
担保資産
担保資産
を移転
を移転
カバード・ボンド
カバード・ボンド
超過
超過
担保
担保
担保資産
担保資産
その他負債・
その他負債・
純資産
純資産
カバープール
カバープール
投資家
投資家
その他資産
その他資産
発行体(SPC)
発行体(SPC)
超過
超過
担保
担保
発行
発行
保全
保全
オリジネーター
オリジネーター
負債
負債
担保資産
担保資産
その他負債・
その他負債・
純資産
純資産
SPC保証型
SPC保証型
オリジネーター
オリジネーター
カバード・ボンド
カバード・ボンド
担保資産
担保資産
を移転
を移転
その他負債・
その他負債・
純資産
純資産
カバード・ボンド
カバード・ボンド
発行
発行
投資家
投資家
発行体(SPC)
発行体(SPC)
その他資産
その他資産
保証
保証
負債
負債
発行
発行
保全
保全
投資家
投資家
(出所)「カバードボンド研究会とりまとめ」 を参考に作成
(出所)「カバードボンド研究会とりまとめ」 を参考に作成
(2) 市場規模
(2) 市場規模
(2)市場規模
カバード・ボンドといえばドイツのファンドブリーフが代表例であり、フランス・ス
カバード・ボンドといえばドイツのファンドブリーフが代表例であり、フランス・ス
カバード・ボンドといえばドイツのファンドブリーフが代表例であり、フランス・スペインなど欧州
ペインなど欧州中心22に発行されてきた。しかし近年では、アジアや南米でも法整備が進
ペインなど欧州中心
に発行されてきた。しかし近年では、アジアや南米でも法整備が進
2
3を背景に発行残高が伸びてきており、ファンドブリーフの占有率は3 2003
年
中心んできたこと
に発行されてきた。しかし近年では、アジアや南米でも法整備が進んできたこと
を背景に発行
3
んできたこと を背景に発行残高が伸びてきており、ファンドブリーフの占有率は 2003 年
の 70%超から年々低下している(図表
6)。また、担保資産の内訳をみると、公的セクタ
残高が伸びてきており、
ファンドブリーフの占有率は
2003 年の 70%超から年々低下している(図表 6)
。
の 70%超から年々低下している(図表 6)。また、担保資産の内訳をみると、公的セクタ
ー向け債権が中心であったが、現在では住宅ローン債権などの不動産が大半を占めるよう
また、担保資産の内訳をみると、公的セクター向け債権が中心であったが、現在では住宅ローン債権
ー向け債権が中心であったが、現在では住宅ローン債権などの不動産が大半を占めるよう
になっている(図表 7)。
などの不動産が大半を占めるようになっている(図表
7)
。
になっている(図表 7)。
(図表6)発行国別発行残高(2014年)
(図表6)発行国別発行残高(2014年)
総額2.5兆ユーロ
総額2.5兆ユーロ
豪・NZ
豪・NZ
3%
3%
スイス
スイス
4%
4%
ノルウェー
ノルウェー
4%
4%
イタリア
イタリア
5%
5%
イギリス
イギリス
5%
5%
米・加
米・加
3%
3%
(兆ユーロ)
3(兆ユーロ)
その他
3
2.5
2.5
その他
その他
11%
11%
ドイツ
ドイツ
16%
16%
2
2
デンマーク
デンマーク
15%
15%
スウェー
スウェー
デン
デン
8%
8%
スペイン
スペイン
12%
12%
(出所)ECBC Statistics
(出所)ECBC Statistics
フランス
フランス
13%
13%
(図表7)担保資産別発行残高及び件数の推移
(図表7)担保資産別発行残高及び件数の推移
その他
船舶
船舶
不動産
不動産
公的セクター
公的セクター
発行件数(左軸)
発行件数(左軸)
(件)
(件)
600
600
500
500
400
400
1.5
1.5
300
300
1
1
200
200
0.5
0.5
100
100
0
2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 0
2003 2004
2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014(年)
(出所)ECBC
Statistics
(年)
(出所)ECBC Statistics
0
0
なお、
2013 年よりECBC
(European
CoveredCovered
Bond Council)
カバード・ボンド・レーベルが導入された。
なお、2013
年より
ECBC(European
Bond Council)カバード・ボンド・レー
なお、2013 年より ECBC(European Covered Bond Council)カバード・ボンド・レー
これは、担保資産の明確化、カバープールや発行体の情報の透明性など改善を行い、更なる流動性の
ベルが導入された。これは、担保資産の明確化、カバープールや発行体の情報の透明性な
ベルが導入された。これは、担保資産の明確化、カバープールや発行体の情報の透明性な
向上を目指すものである。具体的には、適格担保をモーゲージ・公的セクター向け債権・船舶貸付に
ど改善を行い、更なる流動性の向上を目指すものである。具体的には、適格担保をモーゲ
ど改善を行い、更なる流動性の向上を目指すものである。具体的には、適格担保をモーゲ
限定し、特別法に基づく発行体とカバープールへのデュアルリコース性の確保、監督体制などの要件
2
2
3
3
2014 年 12 月現在、33 カ国で発行され、EU28 カ国、その他 5 カ国である。
2014 年 12 月現在、33 カ国で発行され、EU28 カ国、その他 5 カ国である。
オーストラリアでは 2011 年 11 月に改正銀行法の施行により発行が解禁。シンガポールでは 2013 年
オーストラリアでは 2011 年 11 月に改正銀行法の施行により発行が解禁。シンガポールでは 2013 年
2
2014
12 月現在、30
カ国で発行残高があり、EU 23 カ国、その他 7 カ国である。
12 年
月に
銀行法に基づく通知発出により解禁。韓国ではカバード・ボンド法が
2014 年 4 月に施行。ブラ
3
12 月に 銀行法に基づく通知発出により解禁。韓国ではカバード・ボンド法が
2014
4 月に施行。ブラ
オーストラリアでは
11 月に改正銀行法の施行により発行が解禁。シンガポールでは 2013
年年
12 月に銀行法に基づく通知発出
ジルでは 2014 年2011
10 年
月にブラジル版カバード・ボンドの発行に向けて暫定規則を制定。
ジルでは 2014 年 10 月にブラジル版カバード・ボンドの発行に向けて暫定規則を制定。
により解禁。韓国ではカバード・ボンド法が
2014 年 4 月に施行。ブラジルでは 2014 年 10 月にブラジル版カバード・ボンドの発行
に向けて暫定規則を制定。
- 22 -
ージ・公的セクター向け債権・船舶貸付に限定し、特別法に基づく発行体とカバープール
ージ・公的セクター向け債権・船舶貸付に限定し、特別法に基づく発行体とカバープール
へのデュアルリコース性の確保、監督体制などの用件を定め、統一のテンプレート採用に
を定め、統一のテンプレート採用による情報公開の提供を行うカバード・ボンドに対して一定の基準
へのデュアルリコース性の確保、監督体制などの用件を定め、統一のテンプレート採用に
よる情報公開の提供を行うカバード・ボンドに対して一定の基準を満たす証としてレーベ
を満たす証としてレーベルを付与するものである。これにより、EU 以外の投資家にとっても投資判断
よる情報公開の提供を行うカバード・ボンドに対して一定の基準を満たす証としてレーベ
ルを付与するものである。これにより、EU 以外の投資家にとっても投資判断がより容易に
がより容易になった。
ルを付与するものである。
これにより、EU 以外の投資家にとっても投資判断がより容易に
なることとなる。
なることとなる。
(3)課題
(3) 課題
我が国にはカバード・ボンドに関する特別の法制
(3)我が国にはカバード・ボンドに関する特別の
課題
(図表8)新生銀行が発行を2度延期した
度がないため、法制カバード・ボンドは存在しない。 カバード・ボンドの概要
我が国にはカバード・ボンドに関する特別の (図表8)新生銀行が発行を2度延期した
法制度がないため、法制カバード・ボンドは存
発行体
新生銀行
また、ストラクチャード・カバード・ボンドについて
法制度がないため、法制カバード・ボンドは存
在しない。また、ストラクチャード・カバード・ カバード・ボンドの概要
裏付資産
住宅ローン債権
発行体
新生銀行
は、2008
年に新生銀行が有価証券届出書を提出した
在しない。
また、ストラクチャード・カバード・
ボンドについては、
2008 年に新生銀行が有価証
発行予定日
2008年7月18日
裏付資産
住宅ローン債権
事例はあるものの、発行するに至ってはいない(図
ボンドについては、
2008 年に新生銀行が有価証
券届出書を提出した事例はあるものの、発行す
期間
10年
発行予定日
2008年7月18日
表 8)
。この要因としては、金融機関が恒常的な資金
券届出書を提出した事例はあるものの、発行す
るに至ってはいない(図表 8)。この要因として
償還日
2018年6月29日
期間
10年
余剰状況にあったことや良好な社債発行環境を背景
るに至ってはいない(図表
8)。この要因として
は、金融機関が恒常的な資金余剰状況にあった
発行額
300億円
償還日
2018年6月29日
に、カバード・ボンドを発行するインセンティブが働
表面利率
1-3%(仮)
は、金融機関が恒常的な資金余剰状況にあった
ことや良好な社債発行環境を背景に、カバー
発行額
300億円
条件決定
2008年6月27日~7月8日
表面利率
1-3%(仮)
かなかったためという解釈が一般的となっている。
ことや良好な社債発行環境を背景に、カバー
ド・ボンドを発行するインセンティブが働かな
主幹事証券
新生証券
条件決定
2008年6月27日~7月8日
また、
特別法がないため、ストラクチャード・カバー
ド・ボンドを発行するインセンティブが働かな
かったためという解釈が一般的となっている。
格付け
AAA(Moodys)
主幹事証券
新生証券
かったためという解釈が一般的となっている。
また、特別法がないため、ストラクチャー
ド・ボンドの形式でカバープールをSPCに移転して
保証会社
合同会社アイビーアイ保証
格付け
AAA(Moodys)
また、特別法がないため、ストラクチャー
ド・カバード・ボンドの形式でカバープールを
も、倒産隔離が確保されない可能性が指摘されてい
(出所)ロイターおよびブルームバーグニュースより
保証会社
合同会社アイビーアイ保証
ド・カバード・ボンドの形式でカバープールを
SPCに移転しても、倒産隔離が確保されない
る。具体的には、発行体が更生手続を開始した場合
(出所)ロイターおよびブルームバーグニュースより
SPCに移転しても、倒産隔離が確保されない
可能性がある。具体的には、発行体が更生手続を開始した場合において、カバード・ボン
において、カバード・ボンドに基づく発行体の債務
可能性がある。具体的には、発行体が更生手続を開始した場合において、カバード・ボン
ドに基づく発行体の債務が更生担保権とされ、カバープールから生じるキャッシュフロー
が更生担保権とされ、カバープールから生じるキャッシュフローからの優先的な弁済が実現されない
ドに基づく発行体の債務が更生担保権とされ、カバープールから生じるキャッシュフロー
からの優先的な弁済が実現されない恐れがある。特別の法制度がなければ、法的安定性の
恐れがある。特別の法制度がなければ、法的安定性のあるスキームを構築することが困難であると考
からの優先的な弁済が実現されない恐れがある。特別の法制度がなければ、法的安定性の
あるスキームを構築することが困難であると考えられている。
えられている。
あるスキームを構築することが困難であると考えられている。
(図表9)わが国のカバード・ボンド検討状況
(図表9)わが国のカバード・ボンド検討状況
主体
時期
タイトル
内容
主体
タイトル
内容
経済産業省の委託調査
カバードボンド市場の状況、他国に見られる
カバード・ボンドに関する欧米事例と我
2009年12月 カバード・ボンド検討会
事務局:三菱UFJリサーチ&
カバードボンド制度の特徴、そして、カバー
が国における導入可能性の検討
経済産業省の委託調査
カバードボンド市場の状況、他国に見られる
コンサルティング
ドボンドを日本に導入する際の論点整理
カバード・ボンドに関する欧米事例と我
2009年12月 カバード・ボンド検討会
事務局:三菱UFJリサーチ&
カバードボンド制度の特徴、そして、カバー
が国における導入可能性の検討
コンサルティング
ドボンドを日本に導入する際の論点整理
カバード・ボンド研究会とりまとめ(わが国
網羅的かつ本格的なカバードボンド法制整
2011年7月
カバード・ボンド研究会
事務局:日本政策投資銀行 へのカバード・ボンド導入に向けた実務
備に向けた提言
カバード・ボンド研究会とりまとめ(わが国
者の認識の整理と課題の抽出)
網羅的かつ本格的なカバードボンド法制整
2011年7月
カバード・ボンド研究会
事務局:日本政策投資銀行 へのカバード・ボンド導入に向けた実務
備に向けた提言
者の認識の整理と課題の抽出)
カバード・ボンドの導入について検討を
成長ファイナンス推進会議 政府
表明
「カバードボンドの導入の必要性について、
カバード・ボンドの導入について検討を
民間金融機関や投資家のニーズや国際的
成長ファイナンス推進会議
政府
2012年7月
表明
「カバードボンドの導入の必要性について、
な議論、預金者保護や預金保険制度への
民間金融機関や投資家のニーズや国際的
2012年7月
「日本再生に向けた改革工程表」にカ 影響も踏まえた検討
な議論、預金者保護や預金保険制度への
日本成長戦略
政府
バードボンド導入検討を明記
「日本再生に向けた改革工程表」にカ 影響も踏まえた検討
日本成長戦略
政府
バードボンド導入検討を明記
時期
2013年1月
2013年1月
カバード・ボンド研究会
カバード・ボンド研究会
(出所)カバード・ボンド研究会資料等より作成
カバード・ボンドの発行に向けた検討報 カバード・ボンド研究会とりまとめフォロー
告書
アップ
カバード・ボンドの発行に向けた検討報 カバード・ボンド研究会とりまとめフォロー
事務局:日本政策投資銀行
告書
アップ
事務局:日本政策投資銀行
(出所)カバード・ボンド研究会資料等より作成
- 23 -
わが国においてもカバード・ボンドの法制化に向けた検討が進められた経緯はある(図表
9)が、
わが国においてもカバード・ボンドの法制化に向けた検討が進められた経緯はある(図
4
2012 表
年 12
月の政権交代以降、政府のカバード・ボンド導入に向けた動きは停滞
している。前述の
9)が、2012
年 12 月の政権交代以降、政府のカバード・ボンド導入に向けた動きは停
4
滞 している。前述の国際的なカバード・ボンド法制化の流れとは対照的である。
国際的なカバード・ボンド法制化の流れとは対照的である。
わが国への導入のメリットとしては、金融危機等により国債のボラティリティが高ま
わが国への導入のメリットとしては、金融危機等により国債のボラティリティが高まる局面において
る局面においても、カバード・ボンドのボラティリティは相対的に低くとどまっている
(図
も、カバード・ボンドのボラティリティは相対的に低くとどまっている(図表
10)ことから、運用対象
表 10)ことから、運用対象に組み込むことで非常時におけるリスク分散が見込めること、
に組み込むことで非常時におけるリスク分散が見込めること、また、発行サイドの金融機関としても、
また、発行サイドの金融機関としても、資金調達手段が多様化でき、バランスシートを活
資金調達手段が多様化でき、バランスシートを活性化できることが挙げられよう。
性化できることが挙げられよう。
導入に当たっては、海外の法整備を参考としながらも、わが国のニーズに合った法制
導入に当たっては、海外の法整備を参考としながらも、わが国のニーズに合った法制を検討してい
を検討していくことが求められる。具体的には、カバープールや発行体、保証スキームに
くことが求められる。具体的には、
カバープールや発行体、保証スキームに関する情報公開を積極化し、
関する情報公開を積極化し、融資対象やリスクの所在に関する透明性を高めることが重要
融資対象やリスクの所在に関する透明性を高めることが重要である。また、発行に際しては小口化し、
である。また、発行に際しては小口化し、投資家層を拡大することもポイントとなろう。
投資家層を拡大することもポイントとなろう。そうすれば、地域金融機関が地公体や公的セクターへ
そうすれば、地域金融機関が地公体や公的セクターへの融資を債権プールとするカバー
の融資を債権プールとするカバード・ボンドを発行する場合、使途を明確にした住民参加型ミニ地方
ド・ボンドを発行する場合、使途を明確にした住民参加型ミニ地方債の類型を地域金融機
債の類型を地域金融機関で発行できることにもなり、地方経済活性化に一役買うこととなろう。国際
関で発行できることにもなり、地方経済活性化に一役買うこととなろう。国際的な流れか
的な流れからも、わが国でカバード・ボンドの法制化・市場の育成を再考することは有意であると思
らも、わが国でカバード・ボンドの法制化・市場の育成を再考することは有意であると思
われる。
われる。
おわりに
おわりに
地方創生のためには、地方に主体性を持たせることも必要であり、これまでの国から
地方創生のためには、地方に主体性を持たせることも必要であり、これまでの国から地方への一時
地方への一時的で一方向な資金の流れから、地元で資金を還元させる「地産地消」がテー
的で一方向な資金の流れから、地元で資金を還元させる「地産地消」がテーマとなっている。地域の
マとなっている。地域の資源・人材を活性化させ、持続可能な社会を築くためには円滑な
資源・人材を活性化させ、持続可能な社会を築くためには円滑な資金循環が要であり、地域金融機関
資金循環が要であり、地域金融機関の担う役割は大きい。
の担う役割は大きい。
地元の中小企業向け貸出が伸びつつある中、多様な資金ニーズに柔軟に対応するため
地元の中小企業向け貸出が伸びつつある中、多様な資金ニーズに柔軟に対応するためには、地域金
には、地域金融機関のバランスシートを活性化し、収益力の底上げも必要である。金融機
融機関のバランスシートを活性化し、収益力の底上げも必要である。金融機関の保有する住宅ローン
関の保有する住宅ローン債権や地公体・公的セクター向け債権をどう活用するか、そのひ
債権や地公体・公的セクター向け債権をどう活用するか、そのひとつの手法としてカバード・ボンド
とつの手法としてカバード・ボンド導入も一考に値しよう。欧州型のカバード・ボンド体
導入も一考に値しよう。欧州型のカバード・ボンド体系にとらわれない柔軟な商品設計も視野に入れ
系にとらわれない柔軟な商品設計も視野に入れた法整備の進展が期待される。
た法整備の進展が期待される。
4
4
2013 年 7 月には、内閣府の規制改革会議規制改革ホットラインを通じて提出された日本経済団体連合会
によるカバード・ボンド法制の整備に向けた要望に対し、
「現状ではカバード・ボンドを発行する喫緊のニ
2013
年 7 月には、内閣府の規制改革会議規制改革ホットラインを通じて提出された日本経済団体連合会によるカバード・ボンド法
ーズはなく、法整備を行うことは適当ではない」と金融庁から回答がなされている。
制の整備に向けた要望に対し、
「現状ではカバード・ボンドを発行する喫緊のニーズはなく、法整備を行うことは適当ではない」と
金融庁から回答がなされている。
- 24 -
日本 マクロ経済
%
6
%
実質GDPと名目GDP(4-6月、2次速報)
実質GDPの内訳(4-6月、2次速報)
40
6.0
4
30
4.0
2
20
2.0
0
-2
10
0.0
0
-4
-6
実質GDP(前年比)+0.8%
-8
名目GDP(前年比)+2.3%
-10
-2.0
民間最終消費支出(前年比)+0.3%
-4.0
-20
民間企業設備(前年比、右軸)+1.5%
-30
輸出(前年比、右軸)+1.5%
-10
95
98
01
04
07
10
-6.0
13
鉱工業生産指数等(7月)
120
-40
95
%
50
%
50.0
98
01
04
07
10
貿易収支7月(前年比)
13
百万円
15,000
40
10,000
30.0
30
110
20
5,000
10.0
10
100
0
0
-10.0
-10
90
-20
80
70
(注)鉱工業生産指数
鉱工業生産指数(前年比、右軸)+0.2% 8,9月は予測
景気先行指数(CI)
出荷・在庫バランス(右軸)-3.4%
貿易統計(右軸)
-30.0
-30
輸出+7.6%
-5,000
-10,000
輸入-3.2%
-40
-15,000
-50.0
-50
(注)財務省「貿易統計(通関ベース)」より。
%
%
消費支出と可処分所得7月(実質前年比)
4
8
現金給与等7月(前年比)
12
6
4
2
2
6
0
0
0
-2
-2
-6
-4
現金給与総額(名目)
+0.6%
所定内給与+0.6%
-4
-6
-8
-6
可処分所得(勤労者世帯 )+5.0%
-10
-18
所定外労働時間(右
軸)-0.7%
消費支出-0.2%
-12
-8
(注)総務省「家計調査報告」より。
(注)厚生労働省「毎月勤労統計」より。
%
%
失業率と雇用7月(前年比)
-12
-24
消費者物価指数7月(前年比)
7
5.0
10.0
2
6
4.0
8.0
3.0
6.0
1.5
5
2.0
4.0
1
4
1.0
2.0
0.0
0.0
-1.0
-2.0
2.5
0.5
3
0
2
-0.5
-1
常用雇用指数(前年比)+2.0%
有効求人倍率 1.21
失業率(右目盛)3.3%
1
0
-4.0
-2.0
-3.0
コア(食料及びエネルギー除く)0.6%
-6.0
-4.0
消費者物価指数(コア)0%
-8.0
-5.0
- 25 -
国内企業物価指数(右軸)-3.6%(8月)
-10.0
日本短期・債券市場
新発10年国債利回りと国債発行利率
2.5
(%)
(%)
2.0
2.0
1.6
1.5
1.0
1.2
新発10年国債
利回り(右軸)
10年債利率
(左軸)
0.8
5年債利率
(左軸)
0.5
8月31日
0.4
7月31日
6月30日
0
2年債利率(左軸)
0.0
2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
(%)
金先3ヶ月物
(%)
0.25
9月
0.0
12月
3月
6月
イールドカーブ
12月
3月
6月
2017
(%)
2
9月
2016
各年限の曲率
0.4
ゼロ金利解除後最高
(2000/9)
1.5
0.2
ゼロ金利以前最低
(1998/10)
1
0.3
前月末比
現在の曲率
0.1
0.5
7/31
0
8/31
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
-0.5
-0.1
-0.2
0.1
前月末比
0.0
-0.3
2
3
4
5
6
7
8
9
-0.1
0.6
各年限間のスプレッドの推移
新発10年国債の利回り
(%)
2.5
2
10年-5年
5年-2年
20年-10年
10年-コール
0.5
1.5
0.4
1
0.3
0.5
0.2
7/1
7/13
7/24
8/5
8/17
8/27
月日
(%)
(兆円)
短期金利の推移
0.5
0
2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
当座預金残高(右軸)
0.4
短期金利(8月末)
(%)
240
0.3
210
0.25
180
0.2
150
0.15
120
0.1
90
0.05
60
0
30
-0.05
0
-0.1
TDB
LIBOR
0.3
補完貸付利率0.3%
0.2
無担保コール翌日物:誘導目標0~0.1%
0.1
¥Libor3ヶ月物
0.0
TDB3ヶ月物
-0.1
7/1
7/13
7/24
8/5
8/17
コール(O/N)
O/N
8/27
月日
- 26 -
1M
2M
3M
6M
9M
12M
海外 マクロ経済
GDPとFFレート推移
(%)
(%)
FFレート( 08/12/16利下げ)=0.25%(左目盛)
8
6
実質GDP(前年同期比、右目盛)2Q=+2.7%
7
4
6
2
5
4
0
3
-2
2
-4
1
0
-6
91
93
95
97
99
(千件)
01
03
05
07
09
11
13
15
千人
失業率(%)
雇用統計
700
10.5
非農業部門雇用者数 7月=215千人
600
10.0
失業率 7月=5.3%
500
9.5
400
9.0
300
8.5
200
8.0
100
7.5
0
7.0
-100
6.5
-200
6.0
-300
5.5
-400
5.0
-500
4.5
-600
4.0
-700
3.5
91 93 95 97 99 01 03 05 07 09 11 13 15
住宅着工、建設許可件数
S&P/ケース・シラー住宅価格指数
220
2,500
200
2,000
180
1,500
160
1,000
140
500
住宅着工件数 7月=1206千件
120
建築許可件数 7月=1130千件
ケース・シラー住宅価格指数 6月=180.08
100
0
93
95
97
99
01
03
05
07
09
11
13
01
15
03
05
07
09
11
13
15
ISM製造業・非製造業景況指数
消費者信頼感指数
70
160
1990年8月 イラクが
クウェートに侵攻
1979年2月
第2次石油ショック
1980年代前半
世界的大不況
140
120
リーマン・ショック前
2007年7月
=111.9
100
60
50
80
2000年後半 ハイテク企
業を中心とした製造業
が急激に悪化
60
40
40
ISM製造業景況指数 8月=51.1
景気後退期 2007.12~2009.1
消費者信頼感指数 8月=101.54
ISM非製造業景況指数 8月=59.0
20
79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 01 03 05 07 09 11 13 15
(%)
30
97
小売売上高(前年比)
12
10
8
6
4
2
0
-2
-4
-6
-8
-10
-12
99
01
03
05
07
09
11
13
15
消費者物価(前年比)
(%)
6
5
4
3
2
1
0
-1
全体 7月=2.4%
総合指数 7月=0.2%
-2
自動車を除く 7月=1.3%
コア指数 7月=1.8%
-3
93
95
97
99
01
03
05
07
09
11
13
15
- 27 -
91
93
95
97
99
01
03
05
07
09
11
13
15
海外 債券市場
独国10年国債利回りと政策金利
(%)
米国10年国債利回りと政策金利
(%)
5
6
10年国債利回り
10年国債利回り
5
4
4
3
3
2
5/8
11/7
6/5
9/4
2
1
1
12/16 ゼロ近辺への利下げ
2007年
2005年
レポレート:0.05%
FFレート
FFレート:0~0.25%
0
レポレート
0
2009年
2005年
2013年
2011年
FF金利先物
(%)
25bpの利下げ
25bpの利下げ
10bpの利下げ
10bpの利下げ
2007年
2013年
EURIBOR
0.25 (%)
0.75
2011年
2009年
0.50
0
2015/06/30
0.25
2015/07/31
2015/08/31
2015/06/30
1
2
3
4
限月
米国債イールドカーブ
0.80
(%)
9M
8M
7M
6M
5M
4M
3M
12M
12
2016年
(%)
4.0
11
11M
10
10M
9
FF
レート
2M
0.00
1M
-0.25
1W
2015/07/31
レポレート
2015/08/31
英国10年国債利回りと政策金利
6
0.60
3.5
5
8/31
3.0
2.5
0.40
7/31
0.20
10年国債利回り
4
0.00
3
1.5
-0.20
2
1.0
-0.40
2.0
前月末比
0.5
-0.60
0.0
-0.80
年
2/2
3/2
1
50bpの利下げ
50bpの利下げ
オフィシャルバン
クレート
バンクレート:0.5%
0
0.25
2
5
8
11
14
17
20
23
26
29
米独英長期金利
(%)
6
2007年
2005年
2011年
2013年
米独英長短スプレッド
(%)
4
5
2009年
米国債10年-2年
独国債10年-2年
英国債10年-2年
3
4
2
3
1
2
米国10年債
独国10年債
英国10年債
1
0
0
2002
2004
2006
2008
2010
2012
2014
年
-1
2002
- 28 -
2004
2006
2008
2010
2012
2014
年
株式市場
NYダウ・ナスダック
NYダウ
19,000
18,000
17,000
16,000
15,000
14,000
13,000
12,000
11,000
10,000
9,000
8,000
7,000
ナスダック
7,000
NYダウ(8月 16,528.03)
6,500
ナスダック(8月 4,776.51)
6,000
5,500
5,000
4,500
4,000
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014
欧州株式指数(FT、DAX、CAC)
12,000
10,000
TOPIX
2,200
日経平均(8月 18,890.48)左軸
20,000
2,000
TOPIX(6月 1,537.05)右軸
18,000
1,800
16,000
1,600
14,000
1,400
12,000
1,200
10,000
1,000
800
8,000
600
6,000
1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014
7,000
香港ハンセン
中国上海・香港ハンセン
上海株式
ドイツDAX(8月 10,259.46)
フランスCAC(8月 4,652.95)
イギリスFT100(8月 6,207.94)
11,000
日経平均株価・TOPIX
日経平均
22,000
35,000
上海株式総合(8月 3,205.98)
香港ハンセン(8月 21,670.58)
9,000
6,000
30,000
5,000
25,000
4,000
20,000
3,000
15,000
2,000
10,000
1,000
5,000
8,000
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
0
1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014
日本株価指数(日経平均、TOPIX、JASDAQ指数)
原油先物
150
140
130
120
110
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
1998
0
1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014
4.5
WTI原油先物(8月 49.2)
4.0
ブレント原油先物(8月 54.15)
3.5
日経平均
TOPIX
JASDAQ
1998/1=1
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
2000
2002
2004
2006
2008
2010
2012
1998
2014
日本株式新興市場(ジャスダック・マザーズ)
3,000
300
マザーズ指数(8月 817.21)左軸
日経平均
250
2,000
200
1,500
150
1,000
100
500
0
2003/7/1
2002
2004
2006
2008
2010
2012
日経平均株価と円・ドルレート
2014
円・ドル
22,000
ジャスダック指数(8月 111.48)右軸
2,500
2000
20,000
150
日経平均(8月 18,890.48)左軸
円・ドル(8月 121.23)右軸
140
18,000
130
16,000
120
14,000
110
12,000
100
10,000
90
8,000
80
50
2006/7/1
2009/7/1
2012/7/1
0
2015/7/1
6,000
70
1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014
- 29 -
為替市場
日米金利差(%)
ドル・円と日米金利差
ドル・円
8
160
ドル・円(8月 121.23)
150
7
日米金利差(8月 +0.205%)
140
6
130
5
120
4
110
3
100
2
90
1
80
0
70
1999
-1
2001
2003
2005
2007
2009
2011
2013
日米金利
金利(%)
8
2015
金利差(%)
棒グラフ 14
日米金利差(8月 +0.205%)
ドル3ヶ月(8月 0.37%)
円3ヶ月(8月 0.165%)
7
ユーロ・ドル
ユーロ・ドルと米欧金利差
1.7
1.6
1.5
1.4
1.3
1.2
1.1
1
0.9
0.8
0.7
ユーロ・ドル(8月 1.1211)
0.6
米欧金利差(8月 +0.405%)
0.5
1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011
米欧金利
金利(%)
8 折れ線グラフ
米欧金利差
3
2
1
0
-1
-2
-3
2013
2015
金利差(%)
棒グラフ 12
米欧金利差(8月 +0.405%)
ドル3ヶ月(8月 0.37%)
ユーロ3ヶ月(8月 -0.035%)
12
7
6
10
6
8
5
8
5
6
4
6
4
4
3
4
3
2
2
2
2
0
1
0
1
-2
-2
0
1999
0
1999
2001
2003
2005
2007
2009
2011
2013
2015
10
-4
2001
2003
人民元先物(12ヶ月NDF)と人民元現物
2005
2007
2009
2011
2013
2015
米ドル・実効レート
9.5
130
ウエイト
ドル実効レート(8月 95.824)
9
ユーロ
57.6%
日本円
13.6%
ポンド
11.9%
カナダドル
9.1%
スエーデンクローナ 4.2%
スイスフラン
3.6%
120
8.5
110
8
100
7.5
90
7
80
人民元(NDF)(8月 6.601)
6.5
人民元現物(8月 6.379)
6
1999
2001
2003
2005
2007
2009
2011
2013
2015
70
1999
米国貿易収支(対中、対日)
(百万ドル)
2001
2003
2005
(百万ドル)
0
2007
2009
2011
2013
2015
世界の外貨準備
14,000,000
その他(7月 6,666,887)
12,000,000
日本(7月 1,187,529)
中国 (7月 3,651,310)
-20,000
10,000,000
8,000,000
-40,000
6,000,000
-60,000
4,000,000
米貿易収支(6月 -43,839)
対中国(6月 -31,457)
2,000,000
対日本(6月 -5,228)
-80,000
93
95
97
99
01
03
05
07
09
11
13
0
2003
15
- 30 -
2005
2007
2009
2011
2013
2015
投資信託
投資信託
<ゆうちょ銀行の投資信託取扱状況>
年月
2005年度累計
2006年度累計
2007年度累計
2008年度累計
2009年4-6月
2009年7-9月
2009年10-12月
2010年1-3月
2009年度累計
2010年4-6月
2010年7-9月
2010年10-12月
2011年1-3月
2010年度累計
2011年4-6月
2011年7-9月
2011年10-12月
2012年1-3月
2011年度累計
2012年4-6月
2012年7-9月
2012年10-12月
2013年1-3月
2012年度累計
2013年4-6月
2013年7-9月
2013年10-12月
2014年1-3月
2013年度累計
2014年4-6月
2014年7-9月
2014年10-12月
2015年1-3月
2015年度累計
2015年4-6月
2015年度累計
累計
販売件数
(件)
販売金額
(百万円)
166,760
1,191,441
2,227,821
1,598,000
309,000
322,000
321,000
327,000
1,279,000
326,000
340,000
334,000
345,000
1,345,000
331,000
346,000
321,000
316,000
1,314,000
297,000
271,000
257,000
265,000
1,090,000
252,000
231,000
220,000
249,000
952,000
234,000
256,000
277,000
294,000
1,061,000
284,000
284,000
12,509,022
保有口座数
(口)
119,631
595,453
504,399
171,395
30,024
34,708
35,710
33,443
133,885
49,507
37,877
45,507
39,823
172,714
53,580
46,325
32,314
45,202
177,421
58,338
57,040
73,403
90,406
279,187
123,347
64,831
81,270
70,237
339,685
84,104
86,404
111,103
95,389
377,000
127,816
127,816
2,998,586
純資産残高
(百万円)
90,166
360,271
508,495
557,000
565,000
572,000
577,000
586,000
593,000
599,000
604,000
609,000
614,000
616,000
615,000
618,000
620,000
621,000
622,000
626,000
630,000
639,000
644,000
648,000
654,000
660,000
665,000
673,000
-
119,612
705,854
978,531
898,514
932,977
960,654
980,930
913,877
952,213
939,494
960,336
952,878
850,696
845,438
902,646
853,385
859,190
936,713
1,016,814
1,001,586
991,505
969,486
977,638
1,011,745
1,041,099
1,119,462
1,118,791
1,114,796
-
投信販売金額と累計
32,000
4,000
販売金額(左軸)
3,500
28,000
累計(右軸)
3,000
24,000
2,500
20,000
2,000
16,000
1,500
12,000
1,000
8,000
500
4,000
0
0
06年 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年
(百万円)
投信純資産推移
1,200,000
1,000,000
800,000
600,000
400,000
200,000
0
07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年
ゆうちょ銀行取扱のファンド別 分配金実績・基準価格・純資産
分
類
ファンド名
分配金実績 基準価格
純資産
(過去1年) (2015.9.11) (2015.9.11)
5円
5円
5円
5円
5円
バ
5円
ラ
10円
ン
180円
ス
180円
180円
スマートファイブ⑫
400円
スマートファイブ①
なし
東京海上・円資産⑫
340円
大和インデックス225①
160円
SMTAM JPX日経400⑫
280円
GS日本株式※②
10円
国 日本株式SRI①
なし
内 フィデリティ日本配当④
120円
株 eMAXIS TOPIX※①
なし
式 三菱UFJ日本優良株①
なし
JPMジャパンプライム①
なし
新光日本小型株①
1000円
生活基盤関連株式①
なし
SMTAM NYダウ①
なし
日興五大陸株式④
480円
DIAM高配当株式⑫
1560円
新光サザンアジア株式② 1800円
海 米国成長株オープン①
322円
外 eMAXIS 先進国株式※①
なし
株 eMAXIS 新興国株式※①
なし
式 ピクテグローバル株式※⑫ 600円
ピクテグローバル株式※①
なし
JPM北米高配当①
なし
新光世界インフラ株式②
720円
グローイング台湾株式②
3200円
野村資産設計2015②
野村資産設計2020②
野村資産設計2025②
野村資産設計2030②
野村資産設計2035②
野村資産設計2040②
野村資産設計2045②
野村6資産(安定)⑥
野村6資産(分配)⑥
野村6資産(成長)⑥
10,498
10,344
10,420
10,489
10,277
10,174
17,842
11,493
10,138
11,410
10,219
11,007
11,646
13,553
11,394
9,626
8,051
10,539
18,169
10,315
9,488
12,117
10,990
11,055
9,818
14,082
9,397
9,639
21,159
12,178
4,755
15,286
9,391
16,151
10,107
1,423
1,008
859
745
492
1,379
117
35,417
144,236
35,051
22,065
6,518
62,539
31,452
3,978
9,718
3,457
12,125
23,892
1,691
126
37
15,030
2,051
18,142
12,494
3,526
1,233
30,563
22,912
867,592
12,532
38
57
33
(単位:百万円)
分配金実績 基準価格
(過去1年) (2015.9.11)
ファンド名
マニュライフカナダ株式※④
グローイングブラジル株式②
1500円
200円
海
野村ユーロトップB※②
なし
外
エマージング好配当①
200円
株
4400円
式 JPM医療関連株式※④
ピクテプレミアムブランド※④
820円
オーストラリア好配当※⑫
220円
国 ニッセイ日本債券⑫
120円
内
なし
債 eMAXIS 国内債券※①
なし
券 Navioマネープール②
日興五大陸債券⑫
300円
三菱UFJ高金利債券⑫
1240円
ダイワ成長国セレクト債券※⑫ 960円
ダイワ成長国セレクト債券※① なし
野村米国ハイイールド⑫
同(為替ヘッジあり)⑫
野村米国ハイイールド①
同(為替ヘッジあり)①
エマージング・ソブリン※⑫
同(為替ヘッジあり)※⑫
エマソブ(資産成長)※①
海 同(為替ヘッジあり)※⑫
外
DWSグローバル公益債券※⑫
債
券 同(為替ヘッジなし)※⑫
三菱UFJ米高格付債券⑫
同(為替ヘッジなし)⑫
1680円
540円
なし
なし
720円
910円
なし
なし
480円
480円
20円
20円
810円
10円
なし
なし
180円
60円
600円
540円
360円
高金利先進国債券※⑫
高金利先進国債券※①
eMAXIS 先進国債券※①
eMAXIS 新興国債券※①
Navioオーストラリア債券⑫
Navioカナダ債券⑫
Navioトルコ債券⑫
Navio南アフリカ債券⑫
Navioブラジル債券⑫
※印 ゆうちょ銀行以外でも販売 ⑫毎月決算型 ⑥年6回決算 ④年4回決算 ②年2回決算 ①年1回決算
- 31 -
9,364
7,007
9,627
8,367
9,480
12,614
8,920
9,914
11,135
10,005
9,585
9,448
6,119
9,468
13,719
9,577
11,979
9,960
8,752
9,147
13,002
10,516
9,926
12,093
9,798
10,024
7,067
17,569
14,065
11,904
11,188
11,689
8,531
8,693
5,893
純資産
(2015.9.11)
ファンド名
7,819 Navioインド債券⑫
7 三菱UFJ欧州債券⑫
11,307 同(為替ヘッジなし)⑫
2 ピムコグローバル債券⑫
108,405 同(為替ヘッジあり)⑫
28,929 メキシコ債券オープン※⑫
19 インドネシア・ルピア債券⑫
16,789 アジアハイイールド債券※⑫
22,212 同(為替ヘッジなし)※⑫
2 海 USストラテジック※⑫
90,503 外 同(為替ヘッジなし)※⑫
108,097 債 新興国ハイイールド債券A⑫
56,424 券 新興国ハイイールド債券B⑫
439 ピムコハイインカム※⑫
19,752 同(為替ヘッジ付き)※⑫
DIAMアジアソブリン債券⑫
4,934
欧州ハイイールド債券※⑫
1,323
同(為替ヘッジなし)※⑫
321
39,064 三菱UFJバランス⑫
53,314 同(為替ヘッジなし)⑫
613 三菱UFJバランス①
217 同(為替ヘッジなし)①
125,910 MHAM Jリート⑫
25,569 DIAM世界リート⑫
1,174 R ダイワUS-REITA※⑫
1,497 E ダイワUS-REITB※⑫
444,212 eMAXIS 国内リート※①
I
15,767 eMAXIS 先進国リート※①
17,979 T ニッセイ世界リート※⑫
5,257 ニッセイ世界リート※②
260 アジアリートオープン※⑫
247 フォーシーズン※⑫
そ
292 の ステートストリートゴールド①
275 他 ピムコUSハイインカムローン※⑫
同(為替ヘッジなし)※⑫
78
合 計
分配金実績
(過去1年)
600円
20円
20円
480円
480円
1320円
480円
1200円
1440円
240円
840円
720円
1080円
420円
540円
なし
960円
1440円
なし
なし
なし
なし
890円
500円
720円
960円
なし
なし
1440円
なし
60円
300円
なし
360円
560円
基準価格
(2015.7.14)
11,846
9,949
9,205
13,491
9,197
10,002
8,017
8,908
13,896
9,716
11,089
6,710
9,499
8,052
8,850
9,390
10,415
14,292
9,697
9,831
9,757
9,891
11,015
4,987
7,947
5,105
21,946
23,700
9,622
12,303
10,045
7,763
6,087
9,561
11,409
純資産
(2015.7.14)
1,200
992
24
22
41
48,406
4
1,051
1,086
5,692
35,854
1,217
958
125,661
3,692
189
1,486
1,139
1
2
1
1
11,515
258,874
1,971
569,275
11,030
9,654
13,423
488
7
10,296
129
2,706
16,518
3,728,142
<投資信託協会公表の投信残高(契約型公募投信)>
(単位:億円)
株式投信
追加型
タイプ
単位型
末
2000年12月
2001年12月
2002年12月
2003年12月
2004年12月
2005年12月
2006年12月
2007年12月
2008年12月
2009年12月
2010年12月
2011年12月
2012年12月
2013年12月
2014年12月
2015年5月
6月
7月
8月
3,736
6,173
6,979
11,613
17,998
19,450
18,752
18,762
12,878
15,229
12,661
8,814
12,753
14,798
17,911
18,547
18,500
18,216
17,671
国内
株式型
51,088
76,057
82,058
64,908
33,468
33,712
29,528
23,709
25,718
46,112
44,979
48,664
48,607
50,225
47,383
公社債投信
計
バランス
型
ファンドオ
うち毎月 ブファンズ
決算型
その他
小計
105,743
159,380
199,382
227,469
180,202
193,614
182,731
155,984
154,535
151,525
161,496
162,864
159,965
158,884
153,371
74,070
125,729
164,505
189,973
152,222
164,535
154,715
131,192
128,194
122,559
123,272
121,403
118,647
117,070
112,167
74,491
11,548
122,883
156,295
77,724
102,057
98,641
80,184
103,800
152,375
189,010
117,661
120,075
132,194
128,116
142,369
142,881
156,749
201,780
256,354
306,022
537,826
649,083
395,555
487,207
511,984
458,806
516,386
635,476
753,043
826,236
812,743
824,700
783,304
25,032
59,037
133,503
200,411
104,161
157,824
201,084
198,929
236,889
285,464
357,558
375,644
365,449
366,327
342,267
<契約型公募投信の販売態別純資産残高の状況>
証券会社
残高
割合
424,562
85.9%
363,075
80.2%
277,062
76.9%
269,596
72.0%
267,972
65.4%
341,965
61.8%
394,956
57.3%
453,232
56.8%
296,043
56.8%
352,527
57.4%
378,664
59.4%
342,980
59.8%
392,688
61.3%
540,938
66.4%
621,244
66.4%
698,115
67.0%
689,790
68.4%
693,520
68.4%
659,476
68.2%
販売態
末
2000年12月
2001年12月
2002年12月
2003年12月
2004年12月
2005年12月
2006年12月
2007年12月
2008年12月
2009年12月
2010年12月
2011年12月
2012年12月
2013年12月
2014年12月
2015年5月
6月
7月
8月
(兆円)
80
146,105
149,054
163,728
213,393
274,352
408,289
556,578
667,845
408,433
502,436
524,645
467,619
529,139
650,274
770,954
844,783
831,244
842,915
800,975
追加型
うちMMF
計
証券投信計
6,783
341,103
109,711 347,886
493,992
4,934
298,818
77,228 303,752
452,807
3,895
192,537
55,216 196,432
360,160
3,233
157,730
43,502 160,963
374,356
2,138
133,476
36,062 135,614
409,967
2,824
124,143
30,202 126,967
553,476
2,494
130,202
26,931 132,696
689,276
1,498
128,262
29,170 129,760
797,607
976
112,066
26,127 113,042
521,476
637
111,477
24,560 112,114
614,551
445
112,111
22,295 112,556
637,201
374
109,731
20,289 110,105
573,274
302
110,894
18,470 111,196
640,638
245
164,468
19,259 164,713
815,232
148
163,943
19,758 164,091
935,045
(出所)投資信託協会HP:www.toushin.or.jp
131
179,659
19,507 179,790 1,024,574
129
177,254
19,351 177,383 1,008,628
129
171,524
19,144 171,653 1,014,569
128
165,284
18,936 165,412
966,387
(単位:億円)
直販
残高
割合
15,234
3.1%
12,361
2.7%
5,498
1.5%
2,388
0.6%
3,202
0.8%
3,539
0.6%
4,325
0.6%
4,412
0.6%
2,770
0.5%
3,636
0.6%
3,831
0.6%
3,388
0.6%
4,077
0.6%
5,350
0.7%
5,983
0.7%
6,731
0.7%
6,544
0.6%
6,507
0.6%
6,134
0.6%
合計
残高
割合
493,992
100%
452,807
100%
360,160
100%
374,356
100%
409,967
100%
553,477
100%
689,276
100%
797,607
100%
521,476
100%
614,551
100%
637,201
100%
573,273
100%
640,637
100%
815,233
100%
935,046
100%
1,024,573
100%
1,008,627
100%
1,014,569
100%
966,387
100%
投信純資産残高(年末)
100
90
銀行等
残高
割合
54,197
11.0%
77,372
17.1%
77,601
21.5%
102,372
27.3%
138,793
33.9%
207,972
37.6%
289,996
42.1%
339,963
42.6%
222,664
42.7%
258,387
42.0%
254,706
40.0%
226,904
39.6%
243,842
38.1%
268,945
33.0%
307,819
33.0%
319,727
32.3%
312,293
31.0%
314,542
31.0%
300,778
31.1%
単位型
販売態別純資産残高の割合(年末)
100%
MMF
公社債投信
80%
株式投信
70
60
60%
50
40
40%
30
20
20%
10
0
直販
銀行等
証券会社
0%
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14
- 32 -
ゆうちょ銀行諸指標
ゆうちょ銀行諸指標
<貸借対照表(負債の部)>
年月
貯金
2005年3月
2006年3月
2007年3月
2007年9月
2008年3月
2009年3月
2010年3月
2011年3月
2012年3月
2013年3月
2014年3月
2015年3月
2,161,129
2,039,053
1,919,573
1,865,159
1,817,437
1,774,798
1,757,976
1,746,532
1,756,354
1,760,961
1,766,128
1,777,107
(単位:億円)
うち
振替貯金
うち
通常貯金
52,042
58,104
61,347
64,518
75,005
72,700
75,977
87,147
94,741
102,100
109,257
117,473
うち
貯蓄貯金
556,997
563,529
560,632
543,698
482,435
461,098
439,598
446,935
449,741
449,002
452,381
461,400
うち
定期貯金
5,110
4,666
4,286
4,222
4,112
4,026
3,964
3,934
116,586
79,624
96,310
115,978
57,988
174,086
268,477
219,113
184,267
184,267
147,814
135,699
うち
定額貯金
うち
特別貯金
うち
その他貯金
1,432,073
1,334,888
1,198,940
1,138,865
97,966 1,095,196
290,589
768,353
352,479
614,133
535,144
450,952
669,506
351,392
715,607
299,587
789,947
260,219
835,833
220,725
債券貸借取引 その他負債 各種引当金 繰延税金負
受入担保金
等
等
債
3,431
2,908
2,344
2,100
3,737
3,307
3,026
3,018
2,596
2,461
2,545
2,040
8,048
62,360
80,839
83,021
94,432
106,676
135,701
<貯金残高と前期末増減額(四半期)>
年月
貯金残高
1,779,465
1,790,688
1,777,107
1,781,219
4,383
11,223
▲ 13,581
4,112
流動性貯金の
前期末増減額
617,516
615,206
610,536
625,311
2,905
▲ 2,310
▲ 4,670
14,775
うち
定期性貯金
年月
特別貯金残高 特別貯金の
前月末増減額
214,958
211,982
209,135
206,324
1,600
14,033
▲ 9,367
▲ 10,517
(単位:億円)
26,596
25,668
24,888
24,179
▲ 561
▲ 928
▲ 780
▲ 709
188,347
186,299
184,232
182,130
2,085
1,586
2,040
1,895
▲ 122
▲ 499
454
▲ 145
<各種金利>
年月
通常郵便貯金 通常郵便貯金の 定額郵便貯金 定額郵便貯金の
残高
前月末増減額
残高
前月末増減額
▲ 2,708
▲ 2,976
▲ 2,847
▲ 2,811
1,452
1,624
3,854
8,705
9,992
14,406
2015年4月
5月
6月
7月
8月
▲ 2,146
▲ 2,048
▲ 2,067
▲ 2,102
(注)1 流動性貯金は、振替貯金、通常貯金である。
(注)2 定期性貯金は、定額貯金、定期貯金、積立貯金である。
(注)3 特別貯金は、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構からの預り金で、同機構
が日本郵政公社から承継した郵便貯金に相当する。
(注)4 特別貯金のデータは独立法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構のHPから引用した。
(注)5 未払利子は含まれない。
(単位:%)
財政融資資金
定額貯金
預託金利 貸付金利
0.3
0.4
0.04
0.4
0.5
0.04
0.4
0.5
0.04
0.4
0.5
0.04
0.3
0.5
0.04
(注)1 「預託金利」は9年以上10年未満
(注)2 「貸付金利」は満期一括償還の9年超10年以内
<貸借対照表(資産の部)>
年月
有価証券
1,325,462
1,522,415
1,650,165
1,705,093
1,725,320
1,735,511
1,782,307
1,750,264
1,759,533
1,715,966
1,660,579
1,561,697
2005年3月
2006年3月
2007年3月
2007年9月
2008年3月
2009年3月
2010年3月
2011年3月
2012年3月
2013年3月
2014年3月
2015年3月
(注)1
(注)2
(注)3
(注)4
(注)5
2,595,928
2,407,711
2,232,138
2,149,299
2,040,723
1,883,012
1,858,388
1,843,497
1,860,017
1,888,431
1,910,484
1,965,490
定期性貯金の
うち
その他貯金の
前期末増減額 その他の貯金 前期末増減額
1,159,864
1,173,897
1,164,530
1,154,013
<特別貯金残高と前月末増減額>
2015年5月
6月
7月
8月
6,991
6,899
6,288
10,448
1,316
1,342
1,360
1,384
1,411
3,368
2,577
1,559
(単位:億円)
うち
流動性貯金
前期末増減額
2014年9月
12月
2015年3月
6月
427,809
361,758
306,281
273,659
221,973
98,824
35,238
13,119
15,376
24,876
25,111
35,761
負債合計
(単位:億円)
国債
1,126,280
1,325,998
1,467,211
1,552,109
1,567,731
1,554,902
1,558,916
1,464,610
1,449,398
1,381,987
1,263,911
1,067,670
地方債
93,182
86,592
81,306
80,077
74,992
61,772
52,892
56,588
57,356
58,061
55,504
55,251
社債
74,861
78,415
74,318
70,231
78,017
104,233
122,812
129,078
128,464
118,530
113,842
109,829
外国債
(その他)
31,139
31,410
27,328
2,675
4,580
14,604
47,678
99,980
124,306
157,378
227,313
328,936
金銭の信
託
33,881
33,213
19,272
6,031
4,126
12,247
10,154
18,068
37,154
30,389
29,190
34,916
貸出金
現金預け
金等
37,084
41,270
43,760
45,616
37,715
40,316
40,225
42,388
41,345
39,680
30,763
27,839
その他の
資産等
63,981
70,931
83,048
65,035
126,608
68,425
73,221
100,972
98,246
98,246
194,636
333,010
資産合計
1,188,242
809,669
520,037
403,383
227,723
108,309
40,877
22,742
21,921
114,126
109,961
124,331
2,648,650
2,477,498
2,316,282
2,225,158
2,121,492
1,964,808
1,946,784
1,934,434
1,958,199
1,998,407
2,025,129
2,081,793
資産残高は貸借対照表計上額。
現金預け金等には、現金預け金、コールローン、買現先勘定を含む(2007年9月以前)。
現金預け金等には、現金預け金、コールローン、債券貸借取引支払保証金、買入金銭債権を含む(2008年3月以降)。
その他の資産等には、その他資産、動産不動産、貸倒引当金を含む(2007年9月以前)。
その他の資産等には、商品有価証券、外国為替、その他資産、有形固定資産、無形固定資産、貸倒引当金を含む(2008年3月以降)。
<有価証券の評価(その他有価証券+満期保有目的の債券)>
国 債
地方債
社 債
年月
時価
評価差額
時価
評価差額
時価
評価差額
925,475 9,660,722
342,423 7,574,044
87,520
2005年3月 113,585,943
66,063 7,831,629 ▲ 64,778
2006年3月 131,503,878 ▲ 1,410,810 8,726,076
54,985 7,437,548 ▲ 19,497
2007年3月 146,655,629 ▲ 84,260 8,186,157
237,829 8,053,571
45,517 7,030,001 ▲ 13,285
2007年9月 155,429,521
122,606 7,870,737 102,148
2008年3月 159,137,556 2,563,276 7,618,116
86,143 9,954,296
92,716
2009年3月 157,786,928 2,461,969 6,254,166
139,844 12,401,284 220,459
2010年3月 158,687,904 3,148,915 5,393,530
133,390 13,057,846 222,309
2011年3月 149,202,387 3,133,798 5,745,585
172,725 13,039,637 272,822
2012年3月 147,730,177 3,557,112 5,801,992
198,094 12,061,567 361,801
2013年3月 141,195,583 4,277,646 5,858,955
147,871 11,544,286 291,860
2014年3月 128,676,055 3,459,933 5,578,339
131,712 10,890,526 272,531
2015年3月 108,835,343 3,450,331 5,537,856
(単位:百万円)
その他
時価
評価差額
3,113,948
3,140,979
2,732,812
267,503
478,921
1,525,912
5,976,489
11,183,826
13,118,641
16,478,360
23,471,206
33,773,548
<外国債券の運用状況>
年月
2004年3月
2005年3月
2006年3月
2007年3月
2007年9月
2008年3月
2009年3月
2010年3月
2011年3月
2012年3月
2013年3月
2014年3月
2015年3月
日本円
404,383
194,135
133,112
99,987
64,758
229,995
1,198,704
2,542,081
3,310,730
3,747,096
4,015,930
4,063,157
4,261,945
構成比
米ドル
11.55% 1,169,820
6.23% 1,077,661
4.24% 1,175,684
3.66%
733,625
24.21%
80,028
50.22%
88,331
93.32%
68.45%
873,800
44.89% 2,792,459
39.69% 3,698,231
34.48% 4,928,156
27.96% 7,126,971
22.65% 11,015,215
15,764
129,307
298,289
16,451
▲ 8,345
▲ 27,588
89,879
20,583
305,794
1,413,743
2,293,299
3,490,364
合 計
時価
評価差額
133,934,657
1,371,182
151,202,562 ▲ 1,280,218
165,012,146
249,517
170,780,596
286,512
175,105,330
2,779,685
175,521,302
2,613,240
182,459,207
3,599,097
179,189,651
3,510,079
179,700,453
4,308,453
175,594,471
6,268,991
169,269,892
6,192,964
159,264,267
7,344,939
(単位:百万円)
通貨別残高
構成比
ユーロ
33.41%
34.61%
37.43%
26.85%
29.92%
19.29%
23.53%
37.86%
39.18%
42.31%
49.04%
58.54%
1,655,648
1,608,225
1,614,307
1,623,419
102,466
121,828
85,798
298,152
1,271,739
1,940,704
2,640,844
3,282,317
3,162,723
構成比
47.29%
51.65%
51.40%
59.40%
38.30%
26.60%
6.68%
8.03%
17.24%
20.56%
22.68%
22.59%
16.81%
- 33 -
その他
271,311
233,928
217,876
275,782
20,251
17,858
構成比
7.75%
7.51%
6.94%
10.09%
7.57%
3.90%
53,922
61,514
60,172
377,822
0.57%
0.53%
0.41%
2.01%
合 計
3,501,162
3,113,949
3,140,979
2,732,813
267,503
458,012
1,284,502
3,714,033
7,374,930
9,439,955
11,646,446
14,532,618
18,817,706
<金銭の信託>
年月
(単位:百万円)
BS計上額
2005年3月
2006年3月
2007年3月
2007年9月
2008年3月
2009年3月
2010年3月
2011年3月
2012年3月
2013年3月
2014年3月
2015年3月
差 額
3,388,064
3,321,309
1,927,293
603,123
412,570
1,224,742
1,015,355
1,806,768
3,715,446
3,038,863
2,919,003
3,491,637
資産別残高
国内株式 国内債券 外国株式
資産残高
143,468
1,240,260
55,988
29,190
▲ 102,618
▲ 194,135
71,311
137,194
238,628
497,674
655,682
1,170,895
3,388,063
3,321,308
1,927,292
603,123
395,341
1,148,823
942,948
1,572,617
3,588,240
2,876,099
2,897,283
3,466,042
2,397,894
2,666,091
1,387,167
410,400
334,035
995,990
773,668
1,113,724
1,670,834
1,579,002
1,609,435
2,146,168
990,169
655,217
540,125
192,723
61,306
114
152,719
169,280
174,694
1,710,319
1,297,096
1,287,846
1,288,771
284,198
207,086
0
0
31,103
通貨別残高
米ドル
ユーロ
日本円
2,422,552
2,720,236
901,388
219,138
334,035
1,148,710
942,948
1,288,419
3,381,153
2,876,098
2,897,282
3,434,939
その他
554,641
341,277
263,243
101,120
31,936
113
166,898
105,842
91,811
36,680
12,133
243,972
153,953
130,725
53,462
17,236
201,602
190,431
28,095
0
0
0
12,346
54,500
16,654
18,756
(注)2008年3月以降の資産残高には、金銭の信託に入っている現預金は含まれない。
<証券化商品の保有状況>
(単位:億円)
RMBS
CLO
その他
CDO
RMBS(国外)
取得原価 評価損益 取得原価 評価損益 取得原価 評価損益 取得原価 評価損益 取得原価 評価損益
年月
2009年3月
2010年3月
2011年3月
2012年3月
2013年3月
2014年3月
2015年3月
7,045
9,091
10,843
11,664
11,664
10,967
11,581
▲ 50
154
183
369
369
481
539
713
910
947
946
945
944
943
5
19
35
48
57
44
37
636
2,738
473
197
44
120
232
▲1
22
0
0
0
0
0
136
119
100
80
60
45
0
1
2
2
1
2
251
2,118
2,610
3,308
合 計
取得原価 評価損益
14
196
537
363
8,396
12,866
12,383
13,159
13,793
14,702
16,110
▲ 46
197
221
435
799
1,065
943
(注)1:RMBSは住宅ローン証券化商品、CLOは法人向けローン証券化商品、その他はクレジット債券等を裏付資産とする証券化商品、CDOは債務担保証券をそれぞれ意味する。
(注)2:2012年9月以降のRMBSは、国外のRMBSを含む。ただし、米国GSE関連ではない。
<金利リスク(アウトライヤー比率 & Value at Risk)>
アウトライ
ヤー比率
年月
2009年3月
2010年3月
2011年3月
2012年3月
2013年3月
2014年3月
2015年3月
(単位:億円)
VaR
経済価値低下 広義の自己資
本(Tier1+Tier2)
額
22.18%
24.15%
13.77%
10.88%
8.67%
11.36%
9.31%
18,083
20,227
11,860
9,646
7,932
10,691
7,705
年度末値
81,254
83,752
86,129
88,636
91,440
94,046
82,740
15,601
17,124
16,066
19,104
15,021
26,925
18,667
最大値
最小値
24,013
18,174
18,496
19,321
18,936
32,466
27,234
平均値
15,601
15,191
13,856
13,980
13,544
17,204
16,228
VaR 期 間
15,601
16,753
16,052
16,295
15,643
23,861
18,769
2008年4月~2009年3月
2009年4月~2010年3月
2010年4月~2011年3月
2011年4月~2012年3月
2012年4月~2013年3月
2013年4月~2014年3月
2014年4月~2015年3月
(注1)アウトライヤー比率計測の際の金利ショック幅は、保有期間1年、5年の観測期間で計測される金利変動の1%タイル値と99%タイル値による。
(注2)VaR計測に用いる内部モデルについては、ヒストリカル法を採用しており、片側99%の信頼水準、保有期間240営業日(1年相当)、観測期間1200日(5年相当)により算出している。
<信用リスク>
エクスポー
ジャー額
年月
2008年3月
2009年3月
2010年3月
2011年3月
2012年3月
2013年3月
2014年3月
2015年3月
3,300,570
2,800,577
2,650,085
2,493,953
2,441,346
2,428,620
2,434,126
2,449,551
貸出金・預け 機構への担
金等
保の提供
415,593
286,353
260,069
291,003
335,409
439,847
553,924
724,485
1,156,534
774,884
606,187
447,609
346,505
290,435
251,173
216,133
有価証券
1,725,628
1,734,689
1,779,455
1,749,830
1,753,939
1,692,802
1,624,297
1,503,495
デリバティブ
その他
7
162
721
1,769
1,911
2,159
885
975
(単位:億円)
リスクウエイト区分ごとのエクスポージャー額
信用リスク・ア
セット額
2,807
4,490
3,654
3,742
3,582
3,376
3,847
4,463
58,034
142,586
149,475
82,079
96,541
105,846
130,107
163,111
0%
3,051,401
2,632,661
2,486,339
2,280,515
2,200,499
2,161,043
2,127,412
2,065,931
10%
20%
50%
109,301
55,200
50,051
53,175
52,605
48,870
44,652
42,456
113,542
74,543
66,543
90,112
102,522
121,353
137,306
171,673
4,035
8,307
15,226
23,654
29,888
42,011
53,148
67,832
100%以
上
22,291
29,866
31,926
46,498
55,832
55,343
71,607
90,615
(注1)機構とは(独)郵便貯金・簡易生命保険管理機構を意味する。
(注2)デリバティブは、金利スワップ及び為替予約等にて構成される。
<単体自己資本比率(国内基準)>
自己資本額
(D)
年月
2009年3月
2010年3月
2011年3月
2012年3月
2013年3月
2014年3月
2015年3月
8,152,496
8,375,279
8,612,916
8,863,659
9,144,082
9,404,643
8,274,010
資本金
資本剰余金
3,500,000
3,500,000
3,500,000
3,500,000
3,500,000
3,500,000
3,500,000
4,296,285
4,296,285
4,296,285
4,296,285
4,296,285
4,296,285
4,296,285
(単位:百万円)
基本的項目(A)
利益剰余金 社外流出額 自己株式取得
413,140
652,598
894,828
1,150,595
1,440,830
1,702,007
1,968,617
リスクアセッ
補完的項目
ト等(E)
一般貸倒
▲ 57,300
▲ 74,100
▲ 79,083
▲ 83,713
▲ 93,033
▲ 93,987
▲ 184,717 ▲ 1,299,999
370 8,852,495
494 9,141,313
885 11,510,909
491 12,958,826
454 13,846,024
336 16,553,324
315 21,533,490
資産(オン・バラ オフ・バランス取 OPRを8%で
ンス)項目
引等項目
除して得た額
5,406,131
74,249
5,806,212
20,986
8,010,265
197,624
9,394,189
295,615
10,212,098
436,338
13,482,628
18,490,222
3,372,115
3,314,114
3,303,018
3,269,021
3,197,587
3,070,695
3,043,268
自己資本 Tier1比率
比率(D/E) (A/E)
92.09%
91.62%
74.82%
68.39%
66.04%
56.81%
38.42%
92.08%
91.61%
74.81%
68.39%
66.03%
-
(注1)OPRはオペレーショナル・リスク相当額を意味する。
(注2)2009年3月および2010年3月のリスクアセット等、資産(オン・バランス項目)、オフバランス項目、自己資本比率、およびTier1比率の数字は、2011年5月に訂正されている。
<損益計算書>
年月
2004年4月
2005年4月
2006年4月
2007年4月
2007年10月
2008年4月
2009年4月
2010年4月
2011年4月
2012年4月
2013年4月
2014年4月
-
2005年3月
2006年3月
2007年3月
2007年9月
2008年3月
2009年3月
2010年3月
2011年3月
2012年3月
2013年3月
2014年3月
2015年3月
(単位:百万円)
経常収益
4,098,978
4,531,512
3,058,909
1,771,539
1,328,904
2,488,552
2,207,942
2,205,344
2,234,596
2,125,888
2,076,397
2,078,179
うち資金 うちその
運用収益 他収益
3,822,959
276,019
3,134,103 1,397,409
2,816,772
242,137
1,311,040
460,499
1,265,087
63,817
2,309,926
178,626
2,066,088
141,854
2,044,121
161,223
2,006,939
227,657
1,874,142
251,746
1,827,610
248,787
1,893,273
184,906
経常費用
2,875,423
2,199,780
2,081,530
954,458
1,072,732
2,103,308
1,713,690
1,678,794
1,658,380
1,532,352
1,511,302
1,508,689
うち資金
調達費用
1,830,110
1,151,770
907,364
420,045
394,863
657,022
447,718
360,685
334,205
349,831
361,747
356,780
- 34 -
うちその 経常利益 当期純利益
うち営業
経費
他費用
1,003,983
41,330 1,223,555 1,209,556
979,842
68,168 2,331,732 1,930,437
994,170
179,996
977,378
940,693
517,542
372,677
16,871
817,080
617,787
60,082
256,171
152,180
1,266,205
180,081
385,243
229,363
1,221,076
44,896
494,252
296,758
1,209,939
108,170
526,550
316,329
1,173,914
150,261
576,215
334,850
1,110,767
71,754
593,535
373,948
1,095,016
54,539
565,095
354,664
1,113,654
38,255
569,489
369,434
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