東日本大震災、復興支援ボランテイア

支援ニュース7
こども環境学会誌第7巻・第2号(通巻第 19 号) B [43]
被災地の子どもたちに富山薬売りの紙風船をお届け
富樫豊
粟原知子
私たちは東日本大震災の被災調査を目的にするかたわら、専門を超えて「私たちにできるこ
とは」として子どもの精神的ケアーに関して北陸らしい富山らしいことができないかを考えた。
もともと富山は薬の町。富山から日本各地に家庭医薬配置業( 売薬)の方々が全国に飛び回っ
ていて、いまでも紙風船を子ども用にプレゼントして配布している( 写真上)。私たちもこれ
にならって、富山の薬売りの紙風船を1200個持って三陸の各
地に出向き、小学校や避難所などで配り、一緒に遊ぶことにした。
4月 27 日から 29 日の日程で、28 日に岩手県・陸前高田の小
学校と第一中学校に向かった。陸前高田の小学校ではもう授業が
再開されており、休み時間には児童は庭に出て大きな声で遊びま
わっていた。ここでは、さすがに授業に割り込んで、とはいかな
かったので、校長先生に4~6年生全員分の紙風船をたくした。
次に訪れたのは陸前高田第一中学校である。陸前高田市で一番大きな避難所であり、数百名
の方々が避難されていた( 写真中)。もちろん体育館や教室には避難者やボランテイアの方々
でいっぱいであった。そこで、私たちは紙風船を子ども大人問わず全員に、しかも一人ひとり
に手渡した。ただ実際に紙風船をお手玉のようについて楽しむ写真をとりたかったのであるが、
写真はNGということでご紹介できないのが残念である。
風船の手渡しの際に被災者の多くの方々とお話
をした。年配の方には、( 売薬の紙風船が)なつか
しいと言っていただいた。子どもにとっては、この
種の紙風船には珍しさもあって人気があった。一束
欲しいという子どももいた( 写真下)。夜になれば、
皆さんは時間をもてあましぎみとあって、手軽に無
意識にも風船をポンポンとつけることが、心の暇を
埋めてくれるようでもあった。紙風船の一番いいところは、四角
で手の平に乗るので何の技術もいらず、ポンポンとつけるところ
である。もちろん、皆さん、うれしそうに遊んでおられたという
よりも、ごく自然に楽しんでおられた。
こうした雰囲気の中で、私たちは当初考えていた遊びの講習を
やめ、静かに退出した。自然にご家族で楽しんでいるのが一番い
いと思ったからだ。ささいなことが喜びに成ったことに私たちこ
そ、元気付けられた思いがした次第であった。