法と教育学会 第 6 回学術大会 第 2 分科会-⑥ スポーツのルールを利用した小学校法教育の授業づくり 濵野伸司(中舞鶴小学校) 橋本康弘(福井大学) 宮島繁成(大阪弁護士会) 1 問題意識 1学期に、1年生から6年生までの児童に、 「規範意識」や「法的なものの考え方」を調べる アンケートを実施した。小学校で、廊下は走ってはいけないという規則があるが、 「その規則を やぶることについてどう思うか」という問いに対して、どの学年も9割以上の児童が悪いこと と答え、さらにどんな理由があってもその規則を破ってはいけないと答えた児童がほとんどで あった。しかし、児童の普段の生活を見ていると、ルールを無視して児童は廊下を走り、けが をする児童も多い。廊下を走ってはいけないと分かっていながら、ルールを破ってしまう児童 に対しては、 「なぜ廊下を走ってはいけないのか」というルールの必要性を考えさせる指導が必 要なのではないだろうか。なぜルールが必要なのかということを考えることのできる児童を育 てることができれば、獲得したルール観を実際の行動に移すことのできる児童を育てることが できると考える。今回は、4年生にとって身近な話題であるスポーツを例に、ルールの必要性 を考えさせる授業づくりを目指した。 2 開発した授業の概要 (1) 対象 第4学年 (2) 単元(題材)名 「スポーツを通してルールについて考えよう」 (3) 法教育の視点 ・ 与えられたルールをただ守るのではなく、ルールやきまりが必要な理由や、妥当性につ いて公平・公正の視点から考えることができる。 (4) 授業の目標 … スポーツのルールを通して公平・公正について考える。 体重・性別・年齢・障害などいろいろな点で異なる者に対して異なる扱いをするのが公平 なのか、同じ人間なのだから同じ扱いをするのが公平なのか考えさせる。 3 実践 スポーツという児童にとって身近な話題を使って、 「公平・公正」について考えさせた。どの 児童も自分なりの考えを持って話し合いに参加することができ、様々な考えの友だちと話合う 中で自分の考えをまとめていくという経験をさせることができた。今回は、 「ルールを守らない といけない」と教え込むのではなく、ルールの目的を自分たちで考えていく中で、ルールや規 則は、自分たちがよりよく生活するために「自分を守るもの」、「みんなの生活を快適にする土 台になっているもの」であるということを考えさせることができた。
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