水クラスター形成及びクラスレートハイドレート(包接水和化合物)結晶化の

水クラスター形成及びクラスレートハイドレート(包接水和化合物)結晶化の
水、クリプトン共吸着による観測
INTRODUCTION
K. Yamalawa et al. in publication
水と水素の共吸着
背景
水は、他分子(希ガス、水素等)で共吸着する際に、
マトリックス(母材)中でクラスター形成する。
一方、水クラスターからマトリックス構成分子が
受ける摂動を知ることは、水クラスター
形成のメカニズムが解明につながる。
本研究の目的
RESULTS (Cluster)
2D固体水素中
波数(cm-1)
(H2O)3
3531,3503
Cyc-(H2O)4
3368
Cyc-(H2O)5
3335
Cage-(H2O)6
3228
295ms
140
70
10
基板温度13Kで水素二次元固体上に
水と水素を共吸着させた時の赤外吸収スペクトル
非晶質:希ガス(クリプトン)ー水クラスターの相関
クリプトンと水の共吸着時に、水クラスターがクリプ
トン原子近傍に及ぼす影響をクリプトン核共鳴散乱
法を用いて観測する。
結晶化:包接水和(クラスレートハイドレート)
共吸着時における、水の結晶化条件を探り、
包接過程も含めたダイナミクスを解明する。
Assignment
水曝露時間
IRピークとクラスターの割当
S. Maheshwary, et. al., J. Phys. Chem. A, 105 pp.10525-10537 (2001)
水クラスター(H2O)n
包接水和
化合物
氷Ih結晶
赤外吸収スペクトル測定結果
共吸着時に、水分子
で構成される最小の
cage(H2O)6が
観測された
クリプトン、水共吸着膜準備
水蒸気導入時のクリプトン圧力
圧力(Kr)
基板
赤外吸収
630 Pa
CaF2
核共鳴散乱
800 Pa
Be
測定
放射光核共鳴散乱、赤外吸収分光
1. 赤外吸収分光(水分子からのアプローチ)
2. 83Kr核共鳴散乱(クリプトンからのアプローチ)
2-1 無反跳分率測定 ∝ 核共鳴散乱確率
Krのアモルファス氷中での
固定度合の強さを表す
2-2 量子ビート測定
周波数解析により電場勾配が見積もられる
83Kr核準位の分裂
ー電場勾配の存在ー
83Kr原子核
磁気双極子遷移
と核準位
観測可能な
主な量子ビート
量子ビート f ∝ Kr原子核近傍電場勾配
無反跳分率測定結果
402
81.8
0.150
文献一致
膜厚[μm]
温度[K]
無反跳分率
遷移組合
量子ビート解析結果
時間スペクトル
Kr固体
試料
<無反跳分率fLMの見積>
核共鳴多重散乱効果から割り出す
(4)-(5)
(5)-(7)
(5)-(6)
(6)-(7)
(1)-(2)
(1)-(3)
計算値
Kr,H2O
吸着層
462
82.5
0.336
実験値
189 MHz 189 MHz
122 MHz
217 MHz 220 MHz
95 MHz
99 MHz
100 MHz 99 MHz
150 MHz 143 MHZ
電場勾配は8x1022V/m2と見積もられた
周波数解析結果
RESULTS(Clathrate Hydrate)
クリプトン、水の共吸着
マスフロー調節計を用いて、
混合比を制御し吸着させた。
透過配置X線回折
共吸着層の結晶性確認
X線回折測定配置
結晶成長する混合比領域の存在を確認。
X線回折測定結果
基板温度、混合比に依存して、結晶相分離
(一例)
することが分かった。
各結晶成分比率の概算結果
結晶
回折面 比率(%)
クリプトン
(111)
52
氷
(002)
28
ハイドレート
(005)
20
アモルファス氷
―
クリプトン(微結晶)
ー
混晶の基板温度
混合比依存性
CONCLUSIONS
結論 - Kr,H2O共吸着層において、Krが雰囲気中にあるときCage(H2O)6が形成されることが分かった。
- Kr,H2O共吸着後の非晶質状態での無反跳分率は、82 KにおいてKr固体の2.2倍となった。
- 電場勾配は8x1022V/m2と見積もられ、アモルファス氷表面での計算値の10倍程度となった。
- KrによりH2Oはクラスター化し、それに伴いKrは水に固定される傾向があると考えられる。
- KrとH2Oの共吸着時に、クリプトンハイドレートクラスレート結晶化される条件があることがわかった。
Institute of Industrial Science / The University of Tokyo / Fukutani Laboratory
Taizo Kawauchi/ Koichiro Yamakawa / Katsuyuki Fukutani