C A S E S T U D Y 株式会社イワサキ 不安を乗り越えてSolidWorksを全面導入。コミュニケ ーションの効率化で試作回数はほぼ半減、新製品の提案決定率もアップ。 株式会社イワサキ(以下、 イワサキ)は、大阪市に本社および工場を置く家具メーカーだ。大手家具メー カーからの依頼を受けて、オフィスインテリア家具の製造を行なうとともに、自社開発のオリジナル 商品も開発、販売している。同社では、顧客である家具メーカーからの紹介を受けてSolidWorks の利用を開始、現在では1人1台環境を実現して、対顧客、対社内のコミュニケーションの効率化を 図るとともに、試作期間の短縮、さらにはオリジナル商品の開発力強化を実現している。 取引先からの紹介で、3次元CADであるSolidWorksのメリットを実感 イワサキがSolidWorksを導入した のは、2003年のことだ。それ以前、同社では設計に2次元 CADを使っていた。顧客から2次元の3面図とともに製品作成の依頼を受ける場合は、2次元のま までも比較的スムーズに作業が進んだが、こちらからオリジナル商品の提案をする場合には、顧客 多目的パーティション「TKP-N300」。 にイメージを伝えるためにどうしても3次元での説明が必要で、時間をかけて手書きスケッチを作 成することもあった。この場合、設計図は別途2次元CADで改めて作成する、という作業が必要とな る。当時の業務を振り返って、企画開発グループ企画チームの堀部 有希氏は、次のように語る。 「オリジナル製品の開発時は特に、自社で設計を行なう段階から3次元CADを利用することができ れば効率はとても上がるだろうと思っていました。また、社内でのコミュニケーションにも3次元デー 株式会社イワサキは、オフィスインテリア家具 タが有効であることは明らかです。お客様や社内の製造担当者に設計部品の形を伝えるために添 の企画・設計から、製造・販売までを手がけるメー 付していた手書きスケッチでは、今一つリアリティに欠けます。こうした部分には、やはりストレスを カー。板金加工、パイプ加工から塗装、組立て、 感じていました」 箱詰め、そして出荷までの全てを自社工場内 そんな中、ある顧客からSolidWorksで作成した3次元のモデルを見せてもらい、いろいろな情報 で行なっている。大手家具メーカーからの依 を得る機会をもつことができた。 頼を受け、さまざまなオフィスインテリア製品 を製造するほか、自社開発商品の開発・製造も 手がけている。大阪府大阪市住之江区緑木14-25に本社・工場を置く。設立1926年2月。 資本金5000万円、従業員数65名。売上高 15億円。 「使いやすいだけでなく、3次元データさえ作成してしまえば、そのデータをそのままお客様や社内 へ のプレゼンにも利用でき、製造工程でも活用することが可能になります。これはとても便利だと 思いました」 (堀部氏) この顧客からの紹介によって、SolidWorksひいては3次元CADの便利さに気付くことができたと いう。 SolidWorksの全面活用を経営トップが決断、3次元CAD化への移行が本格化 そこで、イワサキでは2003年春にまずSolidWorksを1本導入した。まずは堀部氏が専任となり、 SolidWorksを使ってみることになったのである。しかし、 これまで2次元CADに慣れ親しんできた 中で、 「3次元CADにすぐに乗り換えることができるかどうか非常に不安だった」 (堀部氏)という。 それというのも、2次元CADと3次元CADでは設計の考え方が異なるからだ。 「当時SolidWorksを使っていたのが私1人だったので、自分のやり方が正しいのかどうかがまず分 かりませんでした。また、部品1つ1つを作ることはできたのですが、それをどう組合わせればいい のか、どこから形作りをすればいいのかが分からなかった。結局、納期がタイトなときには、せっかく SolidWorksで部品をモデリングしていても、量産図面は従来の2次元CADで描き直す、という状 態になっていました」 (堀部氏) こうした状態が約半年間、計2回の開発サイクルで続いたという。しかし将来を見据えた時に、3次 元CAD利用の効果は必ず出てくる。いつまでも2次元CADで止まっていてはいけない、と経営トッ プが判断を下した。 「私のそういう状態を見て、経営トップは先行きを案じたのでしょう。そこで、SolidWorksのコンサ ルティングサービスを受ける機会を与えてくれました。半年間、月1∼2回のペースでコンサルティ ングを受け、いろいろな機能や操作方法を教わりました。そしてこの講習を受けるにあたり、もう2 次元CADは一切使わないと決めたのです。時間はかかるけれど、何とかこの山を乗り越えようとい う決心がつきました」 (堀部氏) 2004年4月に新入社員が入社したが、新人と堀部氏とでコンサルティングサービスを受けた。 「何も知らない人間が3次元CADを学ぶ方がマスターもしやすいだろうと思いました。私たちには 2次元CADの考え方が染み付いているので、3次元CADを使う際には葛藤が出てきます。逆に新 人の人たちから、3次元CADを使う時の自由な発想を学びながら、3次元での設計のよさを実感し ていきました」 (堀部氏) “言葉”ではなく“3次元モデル ”で見せることで、コミュニケーションが効率化 試作がほぼ半減、その分の工数でオリジナル商品の開発により注力することが可能に 3次元データがそのまま試作機に入力でき、外注化していた試作コストがゼロに データ連携により、加工現場で1∼2日かかっていた3面図展開の工数がゼロに 2005年5月作成 W W W . S O L I D W O R K S . C O . J P チャレンジ:設計には2次元CADを使ってい SolidWorksの活用で試作回数はほぼ半減、さらに外注コストもゼロに たが、顧客にイメージを伝えるためにどうして 現在イワサキの開発設計は、100% SolidWorksを使って行なっている。SolidWorksを使うメリッ も3次元での説明が必要で、時間をかけて手 トも顕著に出始めてきた。 書きスケッチを作成することもあった。しかし、 まず、試作段階で分りにくい形状を、現場にPC上で表現して伝えやすくなった。さらにSolidWorks スケッチではリアリティに欠け、もっとスムー の持つ質量計算やたわみ計算、干渉チェックといった各機能を活用することで、設計段階での品質 ズな意志伝達を実現したいという思いが強くなっ が向上しているという。 ていた。また、プレゼンのためのスケッチと設 計図面は連携していないため、設計図はアイ デアが固まってから2次元CADで改めて作成 する、という作業が必要となり、作業効率が悪 い状態が続いていた。そんな中、顧客が利用 していたSolidWorksを見て3次元データの 有用性を実感し、設計の3次元化に踏み切った。 ソリューション:SolidWorksの導入によって、 コミュニケーションの効率化が実現し、顧客や 社内に対して、開発設計者のアイデアを“言葉” ではなく“3次元モデル ”で見せることが可能 となった。これにより、試作回数のほぼ半減が 実現し、そ の分の工数で自社のオリジナル商 「さまざまな情報が画面上で確認できるのでとても便利です。例えばお客様へのプレゼンテーショ ンの際に、 こんな動きをしますということを実際に見ていただくことができる。これまでは紙の図面 と“言葉”でしか表現できなかったことが、試作の前段階で、正確に伝えることができるのです。これ によって、提案が受注につながる確率やオリジナル製品の製品数も多くなりました」 (堀部氏) また、試作自体の回数も減った。これまで1つのものを提案する際に、多くて4∼5回の試作をして いたが、それが今では2∼3回まで削減できた。ちなみに、試作が1回減ると、納期は2∼3週間短縮 できる。 「今までのマンパワーに3分の1ぐらい余裕が生まれたので、その分までオリジナル商品の開発に取 り組むことが可能となりました。現在オリジナル商品は全体の20%ぐらいですが、 これをもっと増や していきたいと思っています」 (堀部氏) さらに、これまで試作モデルの作成は外注していたが、何十万円というコストがかかっていた。それ が、今では3次元データをそのまま試作機に連携させることができるため、自社での作成が可能となっ た。それこそ材料費のみで済むようになったのだ。 また製造現場におけるメリットについて、堀部氏はさらに続ける。 「これまでは現場の担当者が3面図を加工用のデータに展開するまでに1∼2日を見ていましたが、 品の開発により注力できるようになった。さら それが全くなくなりました。SolidWorksのデータをそのまま利用して加工ができるからです。つま に、3次元データを社内の試作機に直接連携 り納期自体もその分、短くなるということです」 することで試作の外注コストがゼロになり、ま 同社では今後、開発設計以外の担当者もSolidWorksを活用できるようにしていきたいと考えてい た板金加工現場にもデータを直接渡せるため、 る。例えば、治具の設計は技術担当者がSolidWorksで行えるようにしたり、今は1枚1枚写真を撮っ 1∼2日かかっていた3面図へ の展開工数も て作成している製品の組立てる手順書も、将来は組立て担当者がSolidWorksのアニメーション機 なくなった。 能を使って作成できるようにしていければ、3次元データを社内で徹底的に有効活用できる。設計、 板金加工、パイプ加工から塗装、組立て、箱詰め、そして出荷までの全てを自社工場内で行うイワサ キが、SolidWorksの全社利用を実現したとき、その競争力は計り知れなくなるだろう。 P C な ど 、自 社 が 手 が け る 製 品 以 外 の 関 係 製 品 ま で SolidWorksで設計して3次元でレイアウトを確認して いる。 株式会社イワサキ 本社・工場所在地: 大阪府大阪市住之江区緑木1-4-25 設立:1926年2月 資本金:5000万円(2004年9月末現在) 従業員数:65名(2004年9月末現在) 売上高:15億円(2004年9月末現在) 事業内容:オフィスインテリア家具の企画・設計・ 製造・販売。 オリジナル商品の提案をする場合には、顧客にイメージを伝えるた めに3次元での説明が必要だった。 ソリッドワークス・ジャパン株式会社 〒108-0074 東京都港区高輪3-13-1 高輪コート5F TE L.03-5447-8080 FAX.03-5447-8088 E-mail:[email protected] URL:http://www.solidworks.co.jp SolidWorksは米国ソリッドワークス社の登録商標です。 また、 それ以外に記載されている会社名及び商品名も各社の商標又は登録商標です。 SWJ-CSD-70-0505
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