平成 26 年度 アサヒスーパードライ寄付記念助成金 ラムサール条約登録湿地保全事業活動レポート 団 体 名 北海道ラムサールネットワーク 事 業 名 湿地の文化と技術(北海道版)の作成 湿地の文化と技術~北海道版~の作成 道内13ヶ所のラムサール湿地関係者の集まりである「北海道ラムサールネットワーク(HRN)」では,前代表の辻井 達一先生の発意より4年前から「北海道湿地の文化プロジェクト」に取り組んでいます.ラムサール条約において湿 地の重要な価値として認識されている「湿地の文化」(=湿地と人のつながり)について,北海道内の事例の集積、 分析、共有を通じて,湿地の保全と持続的利用,あるいは,湿地における各種活動の普及につなげようというもので す.本事業では、プロジェクトの最終段階として、北海道における湿地の文化と技術をテーマとした書籍を出版し、シ ンポジウムを開催しました. 1)「湿地への招待」の出版 2014 年 9 月 6 日、北海道新聞社より「湿地への招待 ウェットランド北海道」を 出版しました。多くの方々に協力をいただき、道内のラムサール湿地からの報告 だけでなく、アイヌ文化と湿地、サケの文化、様々な湿地の生きものと人の関係 など、非常にバラエティーに富んだ内容に仕上がりました。湿地と映画、ウイスキ ーとピート、湿地関連のご当地キャラなどのコラムも豊富で、楽しんでいただける ものと思います。出版後の売れ行きも好評と聞いています。今後は、さらに多くの 方々にご一読いただき、湿地の新たな魅力を感じていただければと思っていま す。 2)シンポジウムの開催 書籍の出版にあわせ、日本湿地学会、北海道環境財団との共催でシンポジウム『辻井達一とラムサール湿地~ 北海道発!「湿地を!明日へ!」』を開催しました。当日は予想を上回る 190 名もの方々に足を運んでいただき、 用意した「湿地への招待」70 冊は完売。大盛況となりました。 基調講演には、北海道湿地の文化プロジェクトにご指導を いただいている笹川孝一先生(法政大学)より「湿地の文化 と技術~私と辻井先生がともに目指したもの」と題したお話を いただきました。続いて阿寒湖、雨竜沼湿原、野付湾・野付 半島の事例報告があり、オオトリには HRN メンバーによる「湿 地大喜利」とパネルトークを行いました。日頃から湿地の解 説活動で鍛えている話術はいわば「湿地の無形文化 財」!?会場を大いに盛り上げることができました。 平成 26 年度 アサヒスーパードライ寄付記念助成金 ラムサール条約登録湿地保全事業活動レポート 3)今後に向けて 湿地はダイナミックな魅力あふれる自然環境であるだけではなく、私達の生活にとって欠かせない、とても身近な 環境です。農業や漁業、レクリエーションなど湿地には様々な価値がありますが、そうした価値が多くのみなさんに認 識され、共有されることが、湿地の保全と持続的な利用の重要な第一歩となります。「湿地の文化」は、湿地の多様 な価値と魅力をたくさんの人に気づいてもらう効果的な切り口だと感じています。 今後、北海道ラムサールネットワークとしては、更なる事例の集積を行い、社会科学的な分析や事例集の作成を 進めることができればと考えています。また、北海道の優良な事例に関しては国内外にも広く発信していきたいと思 います。そのためにも、2014 年 11 月にはアジア湿地シンポジウム(カンボジア)、2015 年 7 月にはラムサール条約 締約国会議(ウルグアイ)などで成果の報告をしたいと考えています。
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