レーザーによる金属と樹脂の溶着

平成23~24年度
(競争的資金※)
研究成果事例
レーザーによる金属と樹脂の溶着
[背景・目的]
家電・情報機器、自動車用電子部品分野において、金属製筐体や金属その他の部材上
に樹脂成形部品を接合・一体化した製品が多いですが、これらの製品は構造が複雑で、
従来の熱板や超音波溶着法などでは、局所的な溶着や複雑形状に沿って溶着することが
困難でした。共同研究企業でも熱エネルギーにより化学的に接合できる新しい表面処理
技術を開発しましたが、従来の溶着方法では適用範囲が限られていました。
そこで、本研究では熱エネルギーの供給源にレーザーを使用します。レーザーは、非
接触加熱が可能なので複雑な形状製品の溶着に適用でき、局所的加熱も可能なので最小
限の加熱で溶着でき省エネルギーです。さらに、加工時間の短縮も見込めます。
本研究の最終目標は、実用部品の溶着を可能にすることです。実用部品の溶着を実証
することで、金属部品と樹脂部品の接合製品に対して本手法の適用範囲の拡大できます。
[これまでに得られた成果]
・ステンレス、鉄、マグネシウムなどの金属と樹脂の溶着において実用レベルの溶着強
度を得ました。
・溶着に要する時間を、従来方法(熱板溶着)に比べて 1/2 程度に短縮できました。
・実用部品の溶着実験を進めるとともに、市場ニーズに対応して、適用可能な部材を、
金属からセラミックスやガラスなどに広げて実験を進めていきます。
レーザー
熱影響による
品質劣化
熱板
従来方法例:熱板による溶着
装置全体に熱影響
熱影響が
少ない
本手法例:レーザーによる溶着
必要部分だけ加熱できます
[期待される効果・技術移転の計画]
市場において金属と樹脂の溶着のニーズは既にあり、レーザーによる溶着により、今
までできなかった複雑な形状の容器や、熱に弱い精密機器製品など、適用できる範囲が
広がり、新たな領域の溶着が可能になります。
共同研究機関 (株)新技術研究所
※(財)しずおか産業創造機構(現:(公財)静岡県産業振
興財団) 静岡新産業集積クラスター研究開発助成事業
お問い合わせ先 工業技術研究所 浜松工業技術支援センター
光科
電話 053-428-4157