応募シンポジウム 1 日時:11 月 20 日(金)15 時 00 分~16 時 40 分 DV被害母子への地域連携支援 代表者:有園博子(兵庫教育大学大学院) 発表者:松原裕子(兵庫県伊丹市配偶者暴力相談支援センター) 、濱岡里緒(兵庫県女性家 庭センター) 、西山みどり(社会福祉法人伊丹母子ホーム)、中村有生(兵庫県立清水が丘 学園) 、有園博子(兵庫教育大学大学院) キーワード:自立生活、暴力の再演、家族再生 概要: DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)制定後 14 年経 過し、現在DV相談窓口は全国に配偶者暴力相談支援センター(DVセンター)約 240 ヶ 所、男女共同参画センター330 ヶ所以上が設置され、各市区町村での福祉課窓口を含めると 非常に多くの機関で相談支援を行っている。支援者は、関連する多様な支援制度やシステ ムを理解した上で、福祉・警察・司法・教育・医療など様々な支援リソースを組み合わせ て対応することが必要である。しかしDVでは、子ども虐待での要保護児童対策地域協議 会のような地域連携システムが十分に整備されていないのが現状である。 そこでこのシンポジウムでは、DV被害者支援を行っている各機関の方々に登壇いただ き、それぞれの立場でDV被害女性と子どもへの支援の実例や連携支援について報告いた だき、現状での支援の到達点と今後の課題を明確にしたい。 登壇いただく方々は、市のDVセンター、県の一時保護所(シェルター) 、シェルター退 所後に関わる母子生活支援施設や情緒障害児短期治療施設および心理相談機関のメンバー である。なお、倫理的配慮として個人が特定されないよう内容を構成している。 1 応募シンポジウム 2 日時:11 月 20 日(金)15 時 00 分~16 時 40 分 児童福祉領域における人材育成 代表者:中垣真通(子どもの虹情報研修センター) 発表者:川松亮(子どもの虹情報研修センター)、加藤曜子(流通科学大学)、増沢高(子 どもの虹情報研修センター) キーワード:子ども虐待、人材育成、研修体系 概要: 2000 年の虐待防止法制定以降、虐待ケースへの対応は積極的に取り組む方向で進んでい る。しかし、対応するケースの増加やケースの抱えた課題の深刻さなどから援助の現場は 困難を極めている。虐待防止法には児童虐待に携わる援助者の専門性の向上がうたわれて いるように、虐待ケースへの対応、援助には専門性の担保が不可欠であることはいうまで もない。しかし制定後 15 年を迎えた現在においても児童虐待対応における人材の専門性が 充分に確保されたとはいいがたい現状にある。その背景に人材育成の重要性に対する認識 の不足、児童福祉分野で人材育成のビジョンや体系が未整備であること、人事と育成体系 がかみ合っていないこと、研修を十分に受ける余裕がないこと、SV など相談や指導を受け る体制が十分でないことなどが挙げられよう。 増沢らはこれまでも JaSPCAN において人材育成の分科会を 3 回実施してきた。特定の 都道府県や市町村などから人材育成の取り組みを報告していただくことを繰り返してきた。 今年度の分科会では、これまでの報告を踏まえ、児童相談所、市区町村、児童福祉施設な ど児童福祉分野の人材育成に関する現状と課題について考察し、人材育成が進まない背景 とそれをどう乗り越えていったらよいのか検討を深める。 2 応募シンポジウム 3 日時:11 月 20 日(金)15 時 00 分~16 時 40 分 児童相談所における性的虐待対応とソーシャルワーク -子どもを守るためにこれからの 10 年に何をすべきか- 代表者:鈴木浩之(神奈川県鎌倉三浦地域児童相談所) 発表者:菱川愛(東海大学)、山本恒雄(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 愛育研究所)、 仲島光比古(長野県松本児童相談所)、渡邉直(千葉県銚子児童相談所)、畑岡眞紀(横浜 市中央児童相談所) 、橋本純(埼玉県熊谷児童相談所)府川健太郎(横須賀市児童相談所) 、 大久保千恵(さいたま市児童相談所)、稲葉史絵(神奈川県中央児童相談所) キーワード:被害確認面接、性的虐待対応ガイドライン、ソーシャルワーク 概要: 宮城大会での報告から 10 年目となる。告白した子どもが、守られていると思える実践を どれだけ積み重ねただろうか。 性的虐待は顕在化しにくい虐待である。虐待対応件数が顕著な増加を示しているのに対 して、性的虐待は微増である。都市圏の児童相談所(以下、児相)では性的虐待の割合は 1~ 2%程度である。発見される性的虐待の増加が虐待対応システムの成熟度のひとつを示すな らば、いまだ、我国のシステムは多くの課題があるといわざるを得ない。10 年前にはじめ られた被害確認面接の導入は、今や、7 割以上の児相が何らかの形で導入していると言う。 更に、2011 年に「性的虐待対応ガイドライン」が示され、虐待対応のボトムアップに確実 に貢献している。しかし、その行間を埋めるのは実務家の実践の積み重ねである。ガイド ラインに従えば、そこに方針があると言うことではない。 本シンポジウムでは 10 年目の節目を迎え、これからの未来を見据えた性的虐待対応のあ り方、被害確認面接(司法面接)の導入のあり方、各児童相談所のガイドラインの作成経過、 そして、これを活用した実践報告、その成果と課題を報告する。 なお、発表にあたっては発表者の所属の倫理綱領等を遵守する。 3 応募シンポジウム 4 日時:11 月 20 日(金)15 時 00 分~16 時 40 分 子どもシェルターの設立及び運営における課題 代表者:影山秀人(特定非営利活動法人子どもセンターてんぽ) 発表者:森本志磨子(子どもセンターぬっく)、中川雅博(特定非営利活動法人子どもセン ターぽると) 、未定(社会福祉法人カリヨン子どもセンター) キーワード:子どもシェルター、児童自立生活援助事業、10代後半の子どもの自立 概要: 子どもシェルターの設立にあたっては、関係機関、特に行政機関の理解と協力が必要不可 欠であるが、子どもシェルターがどのような活動をしているか、実際に入所した子がどの ようなところに退所していくのか、それぞれの地域にどの程度の具体的なニーズがあるか、 等を理解してもらうことには困難が伴う。 また、子どもシェルターの運営にあたっては,児童自立生活援助事業における位置付けや 一時保護委託との区別,他の都道府県の子どもが入所した場合の割愛の問題や、自立準備 ホーム、補導委託との関係など,制度上の課題がいくつか存在する。 本シンポジウムでは、これら点について,①これからシェルターを設立しようとしている 団体、②児童自立生活援助事業の適用後に運営を開始したシェルター、③児童自立生活援 助事業の適用前から運営していたシェルター,の3者から,それぞれが直面する課題を報 告してもらった上で,パネルディスカッションを行い,可能であれば,厚生労働省の担当 者から会場発言をいただくなどして,子どもシェルターの設立及び運営における課題につ いて,共通の理解を深めたい。 4 応募シンポジウム 5 日時:11 月 20 日(金)15 時 00 分~16 時 40 分 周産期母子医療センターにおける職権保護を考える -「虐待の恐れ」とどう向き合うか- 代表者:菊地祐子(東京都立小児総合医療センター 子ども家族支援部門 心理福祉科) 発表者:公家里依(東京都立小児総合医療センター 子ども家族支援部門 心理福祉科)、 濱中知恵子(東京都立多摩総合医療センター医療相談係 統括課)、間宮規子(東京都立小 児総合医療センター 子ども家族支援部門 心理福祉科)、木村恵子(東京都八王子児童相 談所 児童福祉係) 、馬渕泰至(みなと青山法律事務所) キーワード:周産期、職権保護、虐待の恐れ 概要: 東京都立多摩総合医療センターと小児総合医療センターは東京都西部の中核的な総合周産 期母子医療センターに位置付けられている。その中で、若年妊婦、飛び込み出産、未治療 の精神疾患、経済苦、ゴミ屋敷の住人、DV、虐待の既往など、我々医療者が退院後の子ど のも安全について心配を抱くケースにしばしば遭遇する。しかし、周産期領域においては 「虐待の懸念」はあっても「虐待の事実」は存在しないため、ケースワークに苦労するこ とも稀ではない。 産科・新生児科の領域で虐待が心配されるケースに出会ったとき、我々は如何にその親 子と向き合うべきか、子どもの安全を担保するために一体何ができるのか、何が足りない のか、現在の日本の施策を鑑みながら、医療、児童福祉、法律家それぞれの立場から考え てみたい。 5 応募シンポジウム 6 日時:11 月 20 日(金)15 時 00 分~16 時 40 分 保健機関における子ども虐待を支援する保健師のための支援体制 代表者:山田和子(和歌山県立医科大学保健看護学部) 発表者:丸山睦(堺市西保健センター)、新居久代(尼崎市保健所健康増進課)、池田裕子 (京都府長岡京市健康福祉部) キーワード:保健師、支援体制、職場 概要: 子ども虐待は、事例毎に子ども、親、家庭の状況が異なり、専門的な、高度な判断、支 援が必要である。また、支援を求める事例だけでなく、支援を求めない事例へも支援をす る必要があり、支援方法は事例に応じて、工夫していく必要がある。 一方、保健機関において保健師は,子ども虐待の予防、早期発見、支援と幅広い役割を 担っている。さらに、母子手帳交付時の面接、乳児全戸訪問、健診未受診児への訪問、特 定妊婦への支援など近年取り組みは広がってきている。しかし、死亡事例検証委員会の報 告にみられるように、保健師が関与することが多い 0 歳児の死亡が多く(厚生労働省、2014) 、 また、重症事例への支援も多くなってきている。 保健師が支援を工夫するには、新しい知識を得たり、日常的にスーパーバイズを受けた り、事例検討を行うなど保健師を支援する職場内の体制が必要である。しかし、これまで は保健師個人に支援を任されることが多く、職場組織として保健師を支援する体制は不十 分である。そこで、各自治体の保健機関における取り組みを紹介していただき、職場とし て保健師を支援するための体制について、参加者の皆さんと考えていきたい。 なお、本分科会は保健機関における保健師の取り組みについて発表・議論を行うもので、 個々の事例については発表しない。 6 応募シンポジウム 7 日時:11 月 20 日(金)15 時 00 分~16 時 40 分 DV 被害を受けた女性と子どもに向けた心理教育プログラム『びーらぶ』の展開 -地域での包括的支援に向けて- 代表者:佐藤浩子(NPO法人女性ネット Saya-Saya) 発表者:宍倉和美(びーらぶチバ) キーワード:世代間連鎖、DV・虐待への理解と回復、支援者養成 概要: 昨年度ジャスピカン・イスピカンで紹介した『びーらぶプログラム』だが、その後、民間 団体だけでなく、行政の中でもプログラム実施が増えてきている。今まで全国で80プロ グラムの実施をしてきた中での、各地で提供する支援者であるインストラクターの養成に より、地域支援の幅を増やし、虐待と DV のスケールを持ち対応していくことを可能にし て来ている。DV にさらされた子どもの回復に、母親への自立支援に繋がる母子に同時に行 われる心理教育プログラム『びーらぶ』が、他の地域支援とともに効果を上げてきている と言える。行政によっては、継続して予算を前年度より増やして、積極的に『びーらぶプ ログラム』を取り入れてきている現状がある。暴力被害から離れた後の、母子の関係性を 向上させ、母の養育力をアップしながら、子どもの傷つきを癒し、他者との信頼関係の構 築や、誤学習した価値観を手放し、新たな尊重し合える関係性を具体的な学び直しをして いくことで、暴力被害者・加害者・傍観者を作らない地域社会を予防の観点としても期待 をされている。 現在、体系的に地域の力で、暴力被害母子へのエンパワメントをしていく『びーらぶ』プ ログラムの展開を紹介する。 7 応募シンポジウム 8 日時:11 月 20 日(金)17 時 00 分~18 時 40 分 性的虐待事案に係る児童とその保護者への支援の在り方について 代表者:八木修司(関西福祉大学 社会福祉学部 社会福祉学科) 発表者:山本恒雄(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 愛育研究所)、佐藤朋幸(東大阪子 ども家庭センター) 、佐々木敦志(大阪府障がい者自立相談支援センター)、中村有生(兵 庫県立清水が丘学園) 司会・指定討論者:岡本正子(大阪教育大学)、八木修司(関西福祉大学) キーワード:児童相談所、非加害保護者支援、情緒障害児短期治療施設 概要: 本シンポジウムでは平成26年度厚生労働学研究費補助金政策科学総合研究事業の「性的 虐待事案に係る童とその保護者への支援の在り方に関する研究」の報告を行う。 本研究は3班で構成され、分担研究①では「児童相談所における性暴力被害児への支援 の在り方」として性的虐待・家庭内性暴力被害にあった子どもの児童相談所における対応 の実態調査を行い、一時保護過程における子どもへの対応・支援につき、児童相談所とし て統一的な基本的対応手順、手法をより具体的に整理する必要があることが明らかとなっ た。分担研究②では「性的虐待・家庭内性暴力被害事案の非加害保護者を中心とした家族 支援の在り方に関する研究」として子どもへの支援に不可欠な非加害保護者を中心とした 家族への初期対応時点から中・長期的視点を踏まえた支援の在り方について、児童相談所 への質問紙調査を行った。分担研究③では「情緒障害児短期治療施設における性暴力被害 児への支援の在り方に関する研究」として児童福祉施設における子どもと保護者への治療 的支援の在り方の開発を目的として、情緒障害児短期治療施設における性的虐待を受けた 子どもの入所状況や治療の実情の調査を行った。当日は、それぞれの班からの報告を行う。 8 応募シンポジウム 9 日時:11 月 20 日(金)17 時 00 分~18 時 40 分 子育て経験者による切れ目のない支援 -産前サポート・システム等の開発を中心に- 代表者:西郷泰之(大正大学) 発表者:三輪眞知子(梅花女子大学)、高城智佳(京都文教大学) 、清水彩(神戸大学) 、小 俣みどり(子育てネットワークピッコロ・HSJ理事) 、森田圭子(わこう子育てネットワ ーク、HSJ理事) 、黒田奈々(NPO法人ドロップインセンター) キーワード:母子保健、産前・産後サポート、ホームスタート 概要: 家庭訪問型子育て支援ホームスタートの活動は、利用者の満足度も高く、その成果につ いてもエビデンスがあり安全・安心で効果的な支援として、全国約 80 の市町村で実施され、 7つの県が県行政として活動の促進に力を入れてきている。しかし、ホームスタートは乳 幼児が一人でもいる家庭への子育て経験者による支援であることから、妊婦への支援は一 般的には実施していない。 しかし、利用者側のニーズが高いことや、国の事業である妊娠出産包括支援事業の中の 産前・産後サポートは「助産師等の専門家による相談支援や、子育て経験者やシニア世代 等の話し相手等の支援により、家庭や地域での孤立感の解消を図る」と子育て経験者によ るホームスタートのような支援を想定している。 そこで、ホームスタートの子育て経験者によるシステムを基盤に、産前や周産期におけ る子育て経験者による切れ目のない支援システムを開発するための調査研究及び試行事業 の中間報告をシンポジウム形式で行い、成果とともに検討課題の整理等を行う場としたい。 9 応募シンポジウム 10 日時:11 月 20 日(金)17 時 00 分~18 時 40 分 MY TREE ペアレンツ・プログラムの効果を解析する -ナラティブと事例、統計学的分析、第三者評価- 代表者:中川和子(MY TREE ペアレンツ・プログラムセンター) 発表者:森田ゆり(エンパワメント・センター)、八重樫牧子(福山市立大学)、中川和子 (MY TREE ペアレンツ・プログラムセンター) キーワード:親の回復支援プログラム、効果測定、エンパワメント 概要: MY TREE は、心理教育とグループ・エンパワメントの方法を用いて、保護者の虐待的言 動を終止、減少させることを目的としている。本シンポジウムでは、MY TREE の効果に ついて、3つの視点(ナラティブな視点、統計学的視点、第三者の視点)で分析、検討し た結果を報告する。 最初に、修了生のナラティブと事例から、MY TREE プログラムの目的<セルフケアと問 題解決による虐待的言動の終始>がどのように達成されているかを、プログラム開発者が 論じる。 次に、MY TREE の参加者にプログラムを受講する前と、受講後に、子どもへの関わりや 自分についての認識などを自己評価したアンケートの分析結果を報告する。アンケートは 参加者が自己と向き合い、課題を認識するツールのひとつとして実施してきた。2010 年か ら 2014 年までのアンケート結果から、欠損値のない 173 名について統計的な分析を行った。 研究デザインと方法論については、福山市立大学の八重樫牧子氏の協力を得た。シンポジ ウムでは、分析結果を八重樫牧子氏から発表して頂く。 最後に第三者評価として、参加者の担当者(ケースワーカー を評価するアンケートを実施した集計結果を報告する。 10 相談員等)に参加者の変化 応募シンポジウム 11 日時:11 月 20 日(金)17 時 00 分~18 時 40 分 体罰,虐待の予防,防止のための諸施策と効果的かつ子どもの権利を尊重するペアレンテ ィングプログラムについて 代表者:森保道(NPO法人子どもすこやかサポートネット 日本弁護士連合会子どもの 権利委員会) 発表者:田沢茂之(NPO法人子どもすこやかサポートネット 大正大学講師) 、高祖常子 (NPO法人子どもすこやかサポートネット 認定特定非営利活動法人児童虐待防止全国 ネットワーク) 、森保道(NPO法人子どもすこやかサポートネット 日本弁護士連合会子 どもの権利委員会) キーワード:体罰、虐待の予防、子どもの権利 概要: 子どもに対する体罰,虐待を予防,防止する諸施策として,家庭を含めたあらゆる状況に おける体罰の法的明示的禁止と体罰の弊害や体罰に代わる非暴力的な子育て方法等の啓発, 普及が効果的であり,日本は,国連子どもの権利委員会等から繰り返し,体罰禁止の法制 化と,非暴力的な子育て方法等の啓発を実現するように勧告を受けています。 世界的に体罰の法的明示的禁止を実現した国は加速度的に増加し2015年4月現在46 か国となり,さらに増加する動きがありますが,体罰禁止法制化を実現した国々の効果検 証の報告を行います。 また,子どもの権利を尊重し,子どものすこやかな成長発達を促す効果的なペアレンティ ングプログラムについて考えます。 11 応募シンポジウム 12 日時:11 月 20 日(金)17 時 00 分~18 時 40 分 子どもと家族を中心に据える家族応援会議の実際 代表者:井上薫(同朋大学) 発表者:荻澤歩(長野県中央児童相談所)、井上直美(衆善会乳児院) キーワード:家族応援会議、児童相談所、児童福祉施設 概要: 家族応援会議とは、子どものために家族を応援する会議であり、初期アセスメント、子ど もの保護先、面会交流、安全計画づくり、モニタリングなど各段階の意思決定を家族とそ の応援団・関係者が共働的に行う手法である。 子どもや家族、親族、知人等が参加し、参加者の力を発揮してもらう流れをつくることで、 「自分たちに合った、自分たちが使える、自分たちが責任を持つ、自分たちの目標・計画」 となって、子どもの安全や家族の主体的行動の可能性が高まる。 会議のファシリテーターの役割は、会議に明確な目的を持たせ、必要な人が招待され、全 員に会議の心構えができるようにし、共働的な話し合いになるように会議を進行すること である。子どもの参加には、子どもの関与を最大にし、安全感への配慮が必要である。 本シンポでは、児童相談所や入所型児童福祉施設において、安全パートナリング (Parker,2015) や三つの家(Weld ら,2015)を取り入れ、家族応援会議に先駆的に挑戦した 実践者から報告を求め、難しい問題を話し合うためのツールやファシリテーション上の工 夫、会議参加者それぞれにとっての家族応援会議の効果・意義について明らかにする。 12 応募シンポジウム 13 日時:11 月 20 日(金)17 時 00 分~18 時 40 分 社会的養護の施設における性暴力ネットワークへの取り組みⅥ -性的問題に対する包括的ケアに向けた取組み- 代表者:石川智(杏林大学) 発表者:星野崇啓(さいたま子どものこころクリニック) 、吉野りえ(埼玉性的虐待研究会) 、 吉田玲奈(埼玉性的虐待研究会) キーワード:児童養護施設、性的問題、包括的ケア 概要: 埼玉県内の児童福祉施設職員有志による、施設で起きる性的問題へのよりよい対応の為 の研究会(埼玉性的虐待研究会:埼性研)では、性的問題行動のある子どもを対象としたグル ーププログラムの開発・実施、施設で起きる性的問題の実態調査、性的問題に関する職員 研修の企画・運営といった多方面にわたる活動を行ってきている。 当会はそもそも、施設で性暴力が起きた際、被害児童のケアに比べ加害児童をケアできる ような体制が整っていなかった状況に問題を感じ、各施設から加害児童を集めグループ治 療等のケアを実施できるような枠組みを作れないか模索するところから始まった。しかし 活動上の様々な困難や制約に相対し、一方でケア実践や調査、研修等から施設における性 的問題の実際を知っていく中で、施設での性的問題への対応は当事者の個別的ケアに留ま らず、施設全体を視野に入れた包括的なものとする必要性を認識するに至った。 本シンポジウムでは、施設における性的問題についての調査報告(石川) 、当会の沿革と包 括的ケアの実際(吉野) 、実施施設側からのコメント(吉田)について発表し、施設におけ る性的問題へのケアのあり方についてフロアと意見交換したい。 13 応募シンポジウム 14 日時:11 月 20 日(金)17 時 00 分~18 時 40 分 生活保護世帯のひとり親家庭を対象とした親支援プログラム(NP)の実践 代表者:柴田俊一(常葉大学) 発表者:櫻幸恵(岩手県立大学) 、 キーワード:生活保護世帯、ひとり親、Nobody's Perfect 概要: 児童虐待予防や子育て支援を目的として、親支援プログラムがいくつか実践をされてい るが、多くの場合参加者の自由な申し込みによる応募方式をとっているため、比較的、参 加意欲の高い親が応募してくるという現状がある。ところが、本来支援が必要であったり、 学習をしてもらいたいと関係者が望む親は、自ら申し込みをして参加してくることは、少 ないという現状がある。 カナダから導入された親支援プログラム Nobody's Perfect(NP)は、多くの自治体や、子 育て支援団体により実践が行われてきたが、応募状況は、やはり参加意欲の高い親が申し 込みをしてくる状況にはかわりはない。カナダでは、本来必要な親はなかなか出てこれな いことを前提として、タクシーチケットや、食糧などを提示し参加を促し、親のための学 習が必要な階層の親にプログラムを届けてきている。 今回、もっとも孤立しやすい状況にある生活保護家庭で、ひとり親家庭へ交通費等を支 給するかたちで NP への参加を促した実践につき報告を行い、今後の親支援プログラムの在 り方につき検討を加えたい。 14 応募シンポジウム 15 日時:11 月 21 日(土)9 時 00 分~10 時 40 分 児童相談所一時保護所の支援の充実 代表者:茂木健司(埼玉県中央児童相談所) 発表者:和田一郎(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 愛育研究所)、大崎元(建築工房 匠 屋) 、阪東美智子(国立保健医療科学院) 、石坂陽子(新潟県長岡児童相談所) 、吉田潤(新 潟市児童相談所) 、鈴木勲(公立大学法人会津大学 会津大学短期大学部社会福祉学科) キーワード:児童相談所一時保護所、社会的養護、運営指針 概要: H25、26 年度の2か年にわたる子ども総研の調査研究で全国の一時保護所(以下、一保と 省略)の地域差が明らかになった。背景には、政令指定都市の増加、老朽化した一保の改 築、急増する一時保護要請に応えるための増改築などが考えられる。従来、一保所に関す る問題は、保護要請の多い大都市部の大規模施設を念頭に置いた議論が多かった。地域差 が標準的な施設(建物等物理面)や標準的なケアの構築を困難にしている要因の一つとも 考えられる。しかし、支援の充実を考えた場合、全国標準の作成は不可欠である。一方、 児童養護施設は社会的養護の課題と将来像では、①小規模化と施設機能の地域分散化によ る家庭的養護の推進。②本体施設は、精神的不安定等が落ち着くまでの専門的ケアや、地 域支援を行うセンター施設として、高機能化が示されており、実際に自治体ごとに整備計 画が進められている。しかし、大都市部の一所は、①とは正反対の大規模化と②と同様の 高機能化が進められている。 今年度は地域の小規模な一所への焦点化と今まであまり顧みられなかった建築家の視点か らも、一所の支援の充実を図るための諸条件を検討したい。 倫理的配慮:当分科会では個人情報を含むものは扱わない。発表1、発表2の調査研究は 日本子ども家庭総合研究所の倫理委員会の承認を得ている。また、各発表者からは「日本 社会福祉学会の研究倫理指針」を遵守する旨の誓約書を徴した。 15 応募シンポジウム 16 日時:11 月 21 日(土)9 時 00 分~10 時 40 分 日本におけるライフストーリーワーク普及に向けた土台作り -政令指定都市の実践と地域性の違いに注目して- 代表者:平田修三(早稲田大学人間科学総合センター) 発表者:前川未来(名古屋市西部児童相談所)、井上幸子(名古屋市中央児童相談所)、細 貝祐輔(浜松市児童相談所) 、山本智佳央(三重県児童相談センター(四日市市派遣)) 、平 田修三(早稲田大学人間科学総合センター) キーワード:ライフストーリーワーク、児童相談所、政令指令都市 概要: 子ども虐待防止学会では第 14 回大会(2008 年)以降、ライフストーリーワーク(以下、 LSW)をテーマにした企画が継続開催中である。こうした企画が日本の LSW の発展に貢 献した側面は大きいと考えられる。実際、そこでの企画・報告者らを中心に 2011 年からメ ーリングリストが組織され、2013 年からは「LSW 実践・研究交流会」が毎年開催される など、LSW 実践者・研究者同士の交流の輪は着実に広がりつつある。 その一方で、LSW の全国的な普及・実態に目を向けると、LSW の実施に対するニーズ は高いものの、なかなか進展していかない実情がある(曽田、2013)。また、先述したメー リングリスト・交流会では、自治体ごとの地域性・組織体制の違いによって課題が異なる ことも議論されるようになった。 そこで今回の報告では、新潟市での開催であるということも踏まえ、政令指定都市児童 相談所における LSW の実践・人材育成の実態について紹介しつつ、自治体の違いに応じた LSW の特徴・課題を検討したうえで、実施体制確保のためのアイデアをフロアと共に意見 交換したい。 16 応募シンポジウム 17 日時:11 月 21 日(土)9 時 00 分~10 時 40 分 サインズ・オブ・セーフティ・アプローチ -子どもにとって意味のある結果を出せる人、組織を創っていく- 代表者:菱川愛(東海大学) 発表者:岡野典子(茨城県筑西児童相談所)、渡邉直(千葉県銚子児童相談所)、田中久子 (埼玉県所沢児童相談所) 、森田聖美(さいたま市児童相談所)、鈴木浩之(神奈川県鎌倉 三浦地域児童相談所) 、 キーワード:児童虐待、人材育成、サインズ・オブ・セーフティ・アプローチ 概要: 2009 年、西オーストラリア州本課が改革を行った。児童虐待問題において採用されたの は、サインズ・オブ・セーフティ・アプローチ(SoS)であった。現在、イギリス、カナダ、 アメリカ、オランダ、デンマークにおいても到達目標、研修計画、予算を策定した組織的 な導入 5 ヶ年計画が実行されている。 では、日本においてはこれまでどうだったろうか?SoS の実践は、困難ケースにあって も子どもたち、家族の願いが実現する可能性の扉を開けてきた。アセスメントに続き、危 害が起きてきた一連の流れに直接的に歯止めをかけるルール、段取りをいろいろなインフ ォーマルな人の力を借りて子どもの生活に取り込む。それらが維持され、確実なものにな った時終結するという SoS の一貫した援助の展開に忠実に取組んできた。日本語と言う防 壁によるガラバゴス諸島的進化を妨げるべく継続的な研修、国内・海外の児童相談所現場 との実践交流を続けてきた。 現在、議論は児童虐待対応現場の人材育成に移行している。シンポジウムでは「どうし て SoS なのか」に対する疑問への答えとして、優れた実践の報告及び現場における研修計 画、事業化の取組みについて報告を行なう。 17 応募シンポジウム 18 日時:11 月 21 日(土)9 時 00 分~10 時 40 分 性的問題行動を行った男児への支援 -児童相談所と児童自立支援施設の立場から- 代表者:相澤林太郎(子どもの虹情報研修センター) 発表者:小柳紘介(国立武蔵野学院) 、田口謙作(千葉県東上総児童相談所) 、三枝将史(埼 玉県越谷児童相談所) キーワード:性的問題行動、在宅支援、アフターケア 概要: 児童相談所や児童福祉施設における子どもの性的加害行動への支援については、再発予 防や家族支援等、対応のヒントが海外から導入され、それぞれの現場で工夫がされている ものと思われるが、アセスメントや支援、再発予防も含め、性加害を行った子どもへの支 援の全体像については、まだまだ検討する必要のあることは多い。 本シンポジウムでは、児童福祉施設内でではなく、地域で性的加害行動を行った男児へ の児童相談所、児童自立支援施設による支援に焦点をあてたい。性的問題行動を抱える子 どもへの支援については、性的問題行動に特化した支援だけでは不十分であり、子どもの 全体的な状態像のアセスメントと支援、家族や地域等、その子どもをとりまく環境のアセ スメントとアプローチが必要になってくる。そういった視野のもと、今回は各機関での取 り組み、課題点、工夫点等を報告し、参加者の意見を交えることで、どのような支援の全 体像が考えられるかについて検討を進めていきたいと考えている。 18 応募シンポジウム 19 日時:11 月 21 日(土)9 時 00 分~10 時 40 分 虐待予防は母子保健から -ハイリスク・アプローチの親支援グループを保健師が活用しよう- 代表者:山下洋子(とよたまこころの診療所) 発表者:鷲山拓男(とよたまこころの診療所)、高橋千草(東京都世田谷区砧総合支所健康 づくり課保健相談係) 、小泉奈央子(東京都世田谷区玉川総合支所健康づくり課保健相談係)、 石丸明子(東京都国分寺市福祉保健部健康推進課) キーワード:虐待予防、母子保健、ハイリスク親支援グループ 概要: 2012 年高知りょうま大会では、母子保健における虐待ハイリスク事例を対象とした二次予 防のための「ハイリスク親支援グループ」と近年さまざまに報告されている認知行動療法 的・スキルトレーニング的なグループとの違いを明確にしたうえで、ハイリスク親支援グ ループを母子保健が行う重要性を、虐待予防の公衆衛生、集団療法の観点の双方から確認 し有効性の評価のあり方について議論した。また保健師が支援活動のツールの一つとして グループを活用出来るように具体的なしくみを報告した。今回はその続編として、グルー プの有効性について国内外の文献から示すとともに、3 か所の保健機関の保健師による実践 報告を行う。東京都世田谷区砧および玉川はグループが事例の変化成長にとどまらず保健 師にとって OJT の場になっていることを実感した。安定した運営のための工夫、そしてグ ループの積み重ねがどのように保健師の変化や成長につながっていくかを報告したい。東 京都国分寺市は 2007 年に立ち上げたグループが 3 年で休止せざるを得なくなったが 2013 年に再度立ち上げるに至った。休止後から再開までの保健師の思いと取り組みを報告した い。 19 応募シンポジウム 20 日時:11 月 21 日(土)9 時 00 分~10 時 40 分 支援と介入-児童相談所のこれからを考える PART2 代表者:久保樹里(大阪市こども相談センター) 発表者:市村好弘(大阪市こども相談センター)、千賀則史(愛知学園)、菅野道英(滋賀 県彦根子ども家庭相談センター) 、川松亮(子どもの虹情報研修センター) キーワード:児童相談所、子ども虐待、支援と介入 概要: 児童相談所(以下、児相と記す)はさまざまな子どもの相談に応じる機関とされている が、多くの児相において虐待対応、それも初期対応にかなりのエネルギーが使われている のが現状である。児相ダイヤル3桁化により、その傾向はますます高まることが予想され る。 児相の歴史を振り返ると、保護者と子どもの個別のニーズと社会的な課題に対応するた め、組織を変え、やり方を工夫し柔軟に対応してきたが、子ども虐待対応は、児相のあり 方を大きく変えることになった。 第19回大会では、 「介入と支援 ー児童相談所のこれからを考える」という テーマで、 虐待の定義とシステム、法整備を曖昧にしたままの状況のなかで、児相が虐待対応におい て介入的手法と、一転して支援的手法の両方を担う児相の現状を考える分科会を企画した。 第20回大会では、児相を支える職員の人材育成問題にポイントをおいたシンポジウムを 企画した。これをふまえて、今回は、児相が子どもの福祉と権利擁護にかかわる行政機関 としての役割を果たすために、機関自体を見直す必要性を含めて、今後の方向性について 論議していきたい。 20 応募シンポジウム 21 日時:11 月 21 日(土)9 時 00 分~10 時 40 分 子ども虐待における親支援に認知行動療法を援用する -マクロからミクロまで- 代表者:坂戸美和子(新潟県中央福祉相談センター) 発表者:坂戸美和子(新潟県中央福祉相談センター)、白川美也子(こころとからだ・光の 花クリニック) キーワード:親支援、面接、認知行動療法 概要: 子ども虐待対応における親支援についての実践研究の歴史は浅いといえるでしょう。子ど も虐待の定義が、あくまで親の養育行動に基づいてなされているのに、肝心な親の行動を 改善していくための方法論が確立されていないのが現状なのではないでしょうか?これは 不思議なことです。その理由として、虐待防止法が成立するまで、虐待をする親は、親本 人に相談意思がなければ、福祉機関は関わる術を持たなかったため、その支援は、被虐待 後に様々に症状を呈してくる子どもに対して行われるのが主であったことが影響している と思われます。しかし、虐待防止法成立後、親の相談意思とは無関係に、児相を初め相談 機関は親に関わっていくことになりました。本シンポジウムでは、子どもに対し認知行動 療法(全般、AF-CBT、TF-CBT など)やその他の治療技法を援用しつつ、親に対しては、 法に基づく福祉介入をマクロ、臨床場面での介入をミクロとして、その本質が面接という ことにおいては共通することを示した上で、昨今エビデンスが高い治療法として日本にも 導入されている TF-CBT や AF-CBT の治療構造や治療技法とも照合して、ロールプレイで 理解を深めて行く参加型のワークショップをおこないます。 21 応募シンポジウム 22 日時:11 月 21 日(土)9 時 00 分~10 時 40 分 保育所における子ども虐待予防 代表者:二宮恒夫(徳島大学医学部保健学科) 発表者:笠井由美、中尾久美子(徳島市子ども施設課) 、中津郁子(鳴門教育大学大学院) 、 二宮恒夫(徳島大学医学部保健学科)、岡久玲子(徳島大学大学院) キーワード:箱庭あそび、虐待予防ソフト、レジリエンス 概要: 保育所は、子どもと親に毎日接する場であり、子ども虐待の予防、子ども・親への心理支 援の重要な役割を担っている。保育所には、子育て困難な養育者の心理的負担の軽減を図 る目的で入所する子どもや、愛着障害を疑わせる気になる子どもがいる。保育士からみた 気になる子ども・家族背景の実態調査の結果、支援の対象者は多く、子どもの成長に伴う 切れ目ない連携支援の充実が大切である。子どもの心理支援のため導入した、箱庭療法セ ットを利用した“箱庭あそび”は子どもに好評であり、臨床心理士の保育所訪問により心 理支援の充実が図られた。保育士の幼児の心理面への理解や、観察力、幼児への対応力が より深まっていくことが期待される。子ども・親の心理支援の経過記録は、要保護児童対 策地域協議会の個別ケース検討会開催の判断や、保育士の支援力量の向上に役立てられる よう、経過が自己評価点数の変動で把握できるように、虐待予防ソフト(保育所用)を開 発した。レジリエンスの視点からの子育て支援を模索するため、幼児を育児中の母親のも つレジリエンスに関する調査を行い、レジリエンスは母親の成育歴や、子どもについての 困りごと、子育て環境に関係していた。 22 応募シンポジウム 23 日時:11 月 21 日(土)9 時 00 分~10 時 40 分 不自然なキズと証拠の残し方 -身体外表と口腔の損傷・病態について- 代表者:都築民幸(日本歯科大学生命歯学部歯科法医学講座) 発表者:都築民幸(日本歯科大学生命歯学部歯科法医学講座)、美作宗太郎(秋田大学大学 院医学系研究科社会環境医学系法医科学講座)、岩原香織(日本歯科大学生命歯学部歯科法 医学講座) キーワード:損傷の外表検査、損傷の記録、早期発見 概要: 子ども虐待を早期に発見・防止するためには,不自然な損傷・病態に早期に気付くこと が重要である。しかし,これらを評価するには,専門的な知識が必要となることも多く, 損傷・病態の程度によっては判断が困難な場合も多く,だれでもが容易に判断できるわけ ではない。 現在,各地で,児童相談所協力医師制度が実施され,子ども虐待が疑われる損傷・病態 のある事例について,協力医師から医学上の相談や医学的知見を得ることにより,迅速か つ適切な相談援助業務の実施を図ることが行われている。明らかに子ども虐待が疑われる ような重篤な損傷・病態では,医療機関において臨床医により医療記録が残されれば,こ れらをもとに虐待の評価を行うことが可能であるが,損傷や病態が軽微で,医療機関を受 診していない場合は,初期の記録がない事例も多く,後日,虐待の評価を行ったり,損傷 や病態についての意見書を作成することが困難な場合も少なくない。 本シンポジウムでは,児童相談所職員など子どもに関わる職種の方々に,虐待が疑われ る身体や口腔の損傷・病態を理解していただき,マネキンを用いて資料採取を経験してい ただく予定である。 23 応募シンポジウム 24 日時:11 月 21 日(土)11 時 00 分~12 時 40 分 性感染症と性的虐待 代表者:藤林武史(福岡市こども総合相談センター) 発表者:久保健二(福岡市こども総合相談センター)、高瀬泉(山口大学大学院医学系研究 科 法医・生体侵襲解析医学分野、性暴力救援センター・大阪 SACHICO)、加藤治子(阪 南中央病院産婦人科、性暴力救援センター・大阪 SACHICO)、岩佐嘉彦(いぶき法律事務 所) 助言者:山本恒雄(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 愛育研究所) キーワード:性感染症、性的虐待、法医学鑑定 概要: 医療機関から児童相談所に寄せられる虐待通告の一つに、思春期以前の子どもの性感染 症がある。性感染症の発症をきっかけとして、子どもが医療者や児童相談所職員に対して 性的虐待の事実を語ることもあるが、子ども本人からの開示が得られない場合もある。そ の場合であっても、性感染症の事実をもって他者からの性被害を疑い、特に家族内発症者 がいる場合などは、 児童相談所として一時保護や児童福祉法 28 条の申し立てを行ってきた。 申し立ての過程でわかってきたことは、入浴やタオルの共用などの非性的接触で性感染症 が発生すると主張する医師が少なくないこと、医学論文や細菌学の教科書にもその記述が みられることである。 本分科会では、思春期以前の子どもの性感染症の通告事例を元に、通告時の追加の診察 や検査はどこまで必要なのか、法的にはどのように対応すべきなのか、臨床医と法医学そ れぞれ医療の専門家からの提言をいただいた上で、弁護士とソーシャルワーカーの立場か らの助言を踏まえて、今まで議論されることのほとんどなかった性感染症と性的虐待の関 連について検討する。 なお、本シンポジウムにおける事例提示は個人が特定されない形でおこなう。 24 応募シンポジウム 25 日時:11 月 21 日(土)11 時 00 分~12 時 40 分 支援につなげるための子ども虐待対応システムのあり方:安全・ニーズ・リスク、家族の 参加、支援型対応 代表者:畠山由佳子(神戸女子短期大学) 発表者:有村大士(日本社会事業大学)、伊藤徳馬(茅ヶ崎市子ども育成相談課)、加藤曜 子(流通科学大学) 、笹井康治(沼津市こども家庭課)、田代充生(鎌倉三浦地域児童相談 所) 、土橋俊彦(神奈川県中里学園) 、八木安理子(枚方市家庭児童相談所) 、吉田恵子(堺 市子ども家庭課) 、渡邉直(千葉県銚子児童相談所) 、坂清隆(横浜市北部児童相談所) 、 キーワード:子ども虐待対応システム、Differential Response、支援型対応 概要: 早期発見・早期対応を目的とした子ども虐待通報システムは通報ダイヤルの 3 桁化を控 えさらに整いつつある。マルトリートメントやネグレクト、心理的虐待などを含めた多様 なケースを虐待ケースとして対応することになっているが、実際には安全確認の後の対応 については、対応システムは整備されているとは言えない。早期発見を啓発しているが、 結局は対応が追い付かず、支援どころか安全確保さえ危うい状態が続いているのではない か。 本シンポジウム発表メンバーは平成 25-27 年度学術研究助成基金助成研究「日本におけ る児童虐待対応ケースに対する区分対応システムの開発的研究」の研究チームメンバーで ある。本研究チームは子どもの安全を最優先としながらも、ケースの内容に合わせて「強 制的に介入し、安全確保する対応」と「家族のニーズに対する支援を提供する対応」に振 り分けるシステムの開発について研究を重ねてきた。本シンポジウムでは今までの研究会 での議論を踏まえ、 「安全・ニーズ・リスク」、 「家族の参加」、 「支援型対応」の 3 つの論点 について、現状での課題や展望について発表し、参加者とともに活発な議論を持ちたいと 考えている。 25 応募シンポジウム 26 日時:11 月 21 日(土)11 時 00 分~12 時 40 分 ネグレクトケースへの在宅支援を問い直す 代表者:山本智佳央(四日市市こども保健福祉課家庭児童相談室) 発表者:山野良一(千葉明徳短期大学) 、木野内由美子(船橋市役所児童家庭課家庭児童相 談室)、山本智佳央(四日市市役所こども保健福祉課家庭児童相談室)、野口啓示(社会福 祉法人神戸少年の町地域小規模児童養護施設野口ホーム) キーワード:ネグレクト、在宅支援、多重的逆境 概要: 近年、児童相談所の児童虐待対応はリスク・アセスメントに主眼を置き、その結果、(生 命の危険等のリスクが低い)ネグレクトケースは市町村が在宅支援を任される、という全 国的な傾向がある。市町村は親に自発的な改善を求め、困難な場合は各種支援サービスの 利用を勧めるが、親が拒めばサービス提供は困難になり、事態の改善そのものが難しくな るという現状がある。現行の在宅支援策はネグレクトの改善や連鎖防止にどこまで有効な のか、市・児童養護施設からの状況報告と併せて問題提起したい。 山野は、ネグレクトを抱える家族の特徴について貧困問題を主軸としつつ「多重的逆境」 の視点から報告する。木野内と山本は、市(家庭児童相談室)でのネグレクト家庭への支 援の現状と課題について報告する。野口は、児童養護施設に入所してくるネグレクトケー スの特徴と支援の現状を報告する。 26 応募シンポジウム 27 日時:11 月 21 日(土)11 時 00 分~12 時 40 分 虐待・貧困の連鎖を断ち切る子どもの自己肯定感・エンパワメントの地域コミュニティー の実践 代表者:荘保共子(特定非営利活動法人 こどもの里) 発表者:弘田洋二(大阪市立大学大学院創造都市研究科)、八重樫牧子(福山市立大学教育 学部児童教育学科) キーワード:自己肯定感・エンパワメント、虐待・貧困の連鎖を断ち切る、地域コミュニ ティー 概要: 虐待およびその防止、外傷性の体験からの回復についてはコミュニティー実践が不可欠で ある。その一つに「こどもの里」で 1986 年より毎冬取り組まれている「子ども夜回り」が ある。 「子ども夜まわり」は、子どもたち自身が自尊感情を回復するエンパワメントの実践 である。貧困課題が集積された地域性の中で生み出された民間レベルでの、 「子どもの最善 の利益」を軸に子どもの育ちを支援し子どもの権利を守る取り組みである。全国が釜ヶ崎 化している中、今後,児童館などの「子どもの居場所」において、このような体験学習を 取り入れて、子どもたちのエンパワメントを図っていくことが課題となる。自己肯定感お よび自尊感情、理想形成などが果たす情緒的な発達基盤の心理学的な意義を検討する。 提供者中心の公益サービスの視点からの支援策でなく、 「子どもが主人公」とする利用者中 心の視点を持つ地域を基盤とした民間の力と協働して、 「子どもの最善の利益」を問いなが ら、子どものライフステージに則した開放性と即座性のある切れ目のない包摂的支援の出 来る「こどもの里」の取り組みをモデルとした「子どもの居場所」を全中学校区に 1 か所 設置することを提案する。 27 応募シンポジウム 28 日時:11 月 21 日(土)11 時 00 分~12 時 40 分 ライフストーリーワーク実施における支援者の価値観について考える 代表者:才村眞理(帝塚山大学) 発表者:才村眞理(帝塚山大学) 、山野康弘(情緒障害児短期治療施設 希望の杜)、南ま どか(大阪府商工労働部就業促進課)、新籾晃子(大阪府東大阪子ども家庭センター) 司会者:浅野恭子(大阪府中央子ども家庭センター) キーワード:ライフストーリーワーク、社会的養護児童、支援者の価値観 概要: ライフストーリーワークとは、社会的養護のもとで暮らす子どもの「わたしって誰?」 「な ぜ親子分離されたの?」 「これからどうなるの?」の疑問に応えるため、信頼できる大人と 共に、自身の過去を整理し、たくさんの人が支えてくれてきたこと、自身の良いところを 認識するなど、アイデンティティを取り戻す作業です。この実践には、さまざまな懸念が 存在しますが、それを乗り越える価値観が支援者チームには必要です。このシンポジウム ではライフストーリーワーク実施上の、さまざまな視点における価値について考え、実践 の可能性についてディスカッションしたいと思います。4 人のシンポジストは、子どもの知 る権利、施設の実施体制、児童相談所の姿勢、生みの親をどうとらえるかの価値、につい ての視点より発表します。その後、会場の皆様とのディスカッションを期待しています。 なお、この発表は、当事者である子どもや親のプライバシーを配慮し、具体的な事例を 出す場合は、架空事例を出す予定です。 28 応募シンポジウム 29 日時:11 月 21 日(土)11 時 00 分~12 時 40 分 救急医療と児童相談所との連携 -勉強会を通して- 代表者:長谷川多美子(大分県中央児童相談所) 発表者:後藤慎司、和氣陽子(大分県中央児童相談所) 、石井圭亮(大分大学医学部付属病 院高度救命救急センター) キーワード:児童相談所、医療、ネットワーク 概要: 昨年度、大分県で初めての「救急医療と児童相談所の勉強会」を大分大学医学部附属病 院の小児科のご協力のもと開催できました。1 回目の勉強会は、大分市内の 2 次、3次の救 急医療がある病院ということで限定しました。 2 回目の勉強会では、大分県下すべての 2 次、 3 次救急病院を招き、 『顔の見える関係づくり』を目的に定期の勉強会への定着を図ろうと しています。 児童相談所は救急医療現場の実際を知りません。一方で、救急医療の現場も児童相談所 について知らないことが多いのではないでしょうか?通告についてもお互い相手を知らな いため、 「通告すればどうなるのか?」「子どもにとってそれが良い方針なのだろうか?」 というような不安が実際に通告をする際の大きなハードルとなっていました。勉強会の中 では、 「通告後の子どものその後が心配なので連絡がほしい」等、当然とも言える率直な意 見が聞かれました。 本分科会では、これまでの勉強会の中で見えてきた課題、さらに連携を発展していくに はどのような取り組みが必要なのか?具体的な事例を通しながら、フロアーを交えて、皆 さんで考えていければと思います。 29 応募シンポジウム 30 日時:11 月 21 日(土)11 時 00 分~12 時 40 分 若年妊娠による児童虐待・虐待死亡事故防止 -新潟の新たな連携の試み- 代表者:石附幸子(特定非営利活動法人 子ども・人権ネット CAP・にいがた) 発表者:佐山光子(公益法人新潟県助産師会)、徳永昭輝(新潟県産婦人科医会)、佐藤勇 (新潟県小児科医会)、石橋一(新潟県新発田児童相談所)、朝倉安都子(特定非営利活動 法人 女のスペース・にいがた) 、工藤ひとし(元公立中学校) 、太田美津子、大塚美保(特 定非営利活動法人 子ども・人権ネット CAP・にいがた) キーワード:若年妊娠、ネットワーク、予防 概要: 新潟県内では、2007 年女子高校生が学校のトイレで出産し新生児が死亡した事件、2010 年 19 歳の父親からの虐待死亡事件、 2014 年 17 歳の女子による虐待死亡事件と続いた。 2010 年の死亡事例等の検証結果では、若年層の妊娠や望まない妊娠の回避、予防教育の必要性 が提言された。CAP・にいがたでは人権を柱とした予防教育を通し、性的虐待、性暴力、 デートレイプに対して正しい知識と、被害者にも加害者にもならないスキルを提供してき た。この問題に対して教育分野、医療分野、児童福祉分野、市民団体それぞれが対応して きてはいたが、つながりを持って取り組むことが少なかった。そこで、CAP・にいがたで は教師、助産師、産婦人科医、小児科医、児童福祉関係者、市民団体を構成員としたプロ ジェクトを組み、過去 2 年間「若年妊娠による虐待・虐待死亡事故予防」に取り組んだ。 具体的には、若者に向けた啓発冊子、親や教師に向けた読本を作成し、県内の中高、特別 支援学校、児童養護施設に配布し、必要とする生徒やおとなに直接情報や知識が届くよう に取り組んできた。その冊子を紹介しながら、取り組みの様子を報告し、今後の活動を提 案する。 30 応募シンポジウム 31 日時:11 月 21 日(土)11 時 00 分~12 時 40 分 各地域での多機関連携チーム(MDT)への取り組み 代表者:田上幸治(神奈川県立こども医療センター 総合診療科) 発表者:田崎みどり(横浜市西部児童相談所 医師)、丸山佳子(神奈川県立こども医療セ ンター 医療福祉相談室) 、石垣光雄(高松地方検察庁 刑事部長)、木下あゆみ(四国こ どもとおとなの医療センター 小児科) 、山田不二子(特定非営利活動法人チャイルドファ ーストジャパン) キーワード:多機関連携チーム、虐待対応、ネットワーク 概要: 多機関連携チーム(MDT)とは、子ども虐待に対して、効果的な対応を保証するために 共同、協力して一緒に働く専門家集団である。その内容は、医学的評価から子ども、親、 保護者、療育者やその他の個人の精神科的、心理学的診断と評価、サービスの提供や援助 まで多岐にわたる。調査により子どもや家族への精神的な外傷を減らせる、組織間のコミ ュニケーション、協力、共同の改善により正確な診断やより適切な介入ができるなど、利 点も多いが日本では進まないのが現状である。今回、各地域で MDT もしくは、MDT へと 繋がる取組を紹介するとともに、日本における MDT の今後の方向性や課題を検討する。発 表者は医療機関、児童相談所、子どもの権利擁護センター、検察と虐待に関わる多くの機 関からの発表である。 31 応募シンポジウム 32 日時:11 月 21 日(土)14 時 00 分~15 時 40 分 児童自立支援施設と児童相談所とが協働で行う性問題行動防止治療教育プログラムについ て 代表者:岡本光司(大阪市立阿武山学園) 発表者:田宮雄介、髙津周平、濱村浩一(大阪市こども相談センター)、佃修(大阪市立阿 武山学園) 助言者:藤岡淳子(大阪大学) キーワード:性問題行動治療教育プログラム、児童自立支援施設、協働 概要: 近年、性問題行動を主訴として児童自立支援施設に入所する者が増えている現状があり、 児童が再び同じ行為をしないための再発防止が喫緊の課題となっている。児童自立支援施 設では、従来行ってきた夫婦小舎制の「育ち直し・育て直しの教育」に加えて、性問題行 動に焦点を当てた専門的なアプローチとして、性問題行動治療教育プログラムが、全国の 児童自立支援施設で取り組まれるようになってきている。一方で、児童に治療教育プログ ラムをただ単に行っただけでは、大きな変化が期待できず、それを支える組織的な枠組み と、関係機関の緊密な連携の中で家族支援を行っていくことが同時に求められる。 今回のシンポジウムにおいては、児童自立支援施設で暮らす加害児童に対して、児童相談 所や保護者等関係者と協働して、性問題行動に取り組んでいく体制(「このゆびとまれプロ ジェクト」 )を紹介すると共に、関わった事例について、児童自立支援施設及び児童相談所 の担当者それぞれの立場から報告する。そして最後に、大阪大学の藤岡淳子教授より、実 践事例を通じて、児童自立支援施設、児童相談所及び大学(研究機関)の協働、性問題行 動の再発防止に向けた取り組みの意義や、スーパーバイズ(SV)の押さえ所(ポイント) について総括する予定である。 32 応募シンポジウム 33 日時:11 月 21 日(土)14 時 00 分~15 時 40 分 「189」から受理やその後の対応を考える 代表者:河浦龍生(福岡市こども総合相談センター) 発表者:畠山由佳子(神戸女子短期大学)、山本恒雄(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 愛 育研究所) 、山口祐二(ワーカーズコープ九州沖縄事業本部) キーワード:通告の拡散、安全確認、DR 概要: 児童虐待の対応件数が増え続けるなかで、大都市の児童相談所は、 「泣き声」通告や「面 前DV」通告が著しく増大し、その対応に悩まされている。全通告の半分程度を占める都 市もあり、 「通告バブル」と感じさせるような事態である。さらに「189」導入実施がそ れに拍車をかけるのではないかと不安視する意見も強い。 悩まされているのは、現在の児童相談所の体制では量的に対応が困難というだけではな い。福岡市の経験では「泣き声」通告では特に子どもの安全に問題はなく、安全確認訪問 での保護者の反応である。 「虐待者と思われている」ことへの驚愕と怒り悲しみであり、地 域への不信感を露わにする場面に多く出くわす。通告内容に関わらず、すべてを受理し、 国のガイドラインに基づく48時間以内の安全確認対応が返って、育児不安を増長し地域 との繋がりを弱め、孤立化を促進しているではないかと思ってしまう。「189」の導入実 施に当たって様々な議論があるが、さらに深めるために、この分科会では米国の経験に学 びながら、通告受理のあり方やその後の対応の在り方を考えてみたい。 33 応募シンポジウム 34 日時:11 月 21 日(土)14 時 00 分~15 時 40 分 乳幼児揺さぶられ症候群の分野別(福祉・教育・保健)の一般予防の取組みと今後の可能性 代表者:松岡典子(特定非営利活動法人 MC サポートセンターみっくみえ・SSPJ) 発表者:伊藤弘子(子育て応援隊 ほっとタイム)、久保恭子(神奈川工科大学 看護学科) 、 樋浦えり子(桑名市役所 保健福祉部地域保健課 母子保健係長 兼子ども総合相談センタ ー) キーワード:乳幼児揺さぶられ症候群、一般予防、あかちゃんの泣き 概要: 当団体では、 2010 年にオーストラリアの The Children Hospital at Westmead(以下 CHW) が開発し世界各国で利用されている SBS 予防啓発 DVD の日本語版を作成し、日本でも SBS の予防教育を実施してきた。また 2012 年より、CHW が実施している予防教育ファシリテ ーター養成プログラムの日本版を作成し、既に全国で 120 名以上のファシリテーターを養 成してきた。養成されたファシリテーターは、ポピュレーションアプローチとして、それ ぞれの地域の子育て支援センターや教育分野等で SBS 予防教育を展開していることから、 SBS 予防に関わる人員体制を整えつつあるといえる。 また、SBS の現状として「乳幼児の泣き声対応がわからないことで、SBS が起きやすい」 一方で、 「泣き声通告があると虐待を疑われて保護者は傷つく」という虐待に対する社会的 な文脈も存在している。 本分科会では、地域で SBS 予防を発展させるために、①SBS 予防教育を実施している市 区町村、保健センター、大学での取り組みを報告し、②今後『あかちゃんの泣きへの対処 法』をどのように効果的に社会に伝えていくか、そして③予防講座などを受講しない層に どのように必要な情報を伝えていくか、という 3 点を議論する。 34 応募シンポジウム 35 日時:11 月 21 日(土)14 時 00 分~15 時 40 分 妊娠期から始まる母子のメンタルヘルスの支援のための多職種地域連携構築のために 代表者:立花良之(国立成育医療研究センター こころの診療部 乳幼児メンタルヘルス こころの診療部 乳幼児メンタルヘルス 診療科) 発表者:立花良之(国立成育医療研究センター 診療科) 、一瀬篤(厚生労働省雇用均等児童家庭局母子保健課)、樽井寛美(長野県須坂市 健康福祉部) 、小泉典章(長野県精神保健福祉センター) キーワード:妊娠期、メンタルヘルス、多職種地域連携 概要: 平成 24 年度に児童相談所が対応した虐待による死亡事例では、0 歳が 43.1%、2 歳未満が 67.2%と乳幼児の占める割合が非常に高く、ハイリスク症例に対し早期からの支援が望まれ る。出産後の養育について出産前に支援を行うことが特に必要と認められる妊婦を「特定 妊婦」として支援する取り組みが各地で行われている。一方で、近年うつ病の早期発見・ 治療推進のため、地域のかかりつけ医をうつ病発見のゲートキーパーとして、かかりつけ 医と精神科医との連携を強化するシステムである G-P ネット(G:General Physician=か かりつけ医、P:Psychiatrist=精神科医)が各地で展開されている。このような精神保健に おける早期介入の仕組みは、母子保健領域で特定妊婦への対応にも適用しうると考えられ る。本シンポジウムでは、母子保健領域でこの G-P ネットの仕組みを生かし、妊産褥婦や 児に関わる職種がメンタルヘルス不調の母親の早期発見のゲートキーパーになり、地域で 連携して母子をサポートしていく医療・保健・福祉の連携モデルをテーマとする。精神科 医・行政政策担当官・地域精神保健・母子保健の立場から演者が話題提供し、参加者とと もにディスカッションを行いたい。 35 応募シンポジウム 36 日時:11 月 21 日(土)14 時 00 分~15 時 40 分 地域を現場とする子ども生活支援の現在とこれから 代表者:田中哲(東京都立小児総合医療センター) 発表者:天野敬子(特定非営利活動法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク) 、問矢 美沙子(江東区南砂子ども家庭支援センター‘みずべ’)、森時尾(NPO 法人 学ボラ・サ ポート・プロジェクト) キーワード:生活支援、地域、民間団体 概要: 家庭の経済状況やコミュニティとの関係は、家庭での養育状況と深く関わり、このため 経済的困窮や孤立は虐待やネグレクトが発生するリスクに直結している。 経済的にも社会的にも養育困難な状況にある家庭での子どもたちの生活を支援するため には、子どもたちの生活の場である地域での活動を展開することが最も望ましいことはい うまでもない。 制度的な基盤のないこうした地域での支援を継続的に行うためには、 福祉行政の背景を持 つ必要があるが、同時にこうした養育困難家庭は、公的支援に対する根強い抵抗感のため に支援困難に陥っている可能性も大きい。 こうしたジレンマを打破するために、公的な支援を受けた民間団体が全国各地で活動を 展開している。 今回のシンポジウムに、活動の例として集まった東京の 3 団体は、決して歴史が長いわ けでもなく、組織化が進んでいるわけでもないが、それぞれ独自の発想と形態を持ってい る。これらの団体から何かを学ぶというよりは、同様の活動を現在展開していたり、企画 したりしている人々がこの場で邂逅し、これからの地域を活動の現場とした支援活動を創 出していく出発点を共有できるようになることを目指したいと考えている。 36 応募シンポジウム 37 日時:11 月 21 日(土)14 時 00 分~15 時 40 分 社会的養護におけるアタッチメント支援の意義と展望: 「安心感の輪」子育てプログラム(COS-P)の実践 代表者:北川恵(甲南大学文学部) 発表者:久保樹里(大阪市こども相談センター) 、河合克子、宮口智恵(特定非営利活動法 人 チャイルド・リソース・センター) 、森田展彰(筑波大学医学医療系) キーワード:社会的養護、関係性支援、アタッチメント 概要: アタッチメントに焦点づけた子どもと養育者の関係性支援の重要性が世界乳幼児精神保 健領域で認められている。 「安心感の輪」子育てプログラム(COS-P) (Cooper et al., 2009; 北川他訳, 2013)は、子どもの欲求への理解を高める心理教育と、養育者自身の関わり方の パターンを振り返る内省的対話からなり、全 8 回で関係性を扱えるものとして注目されて いる。日本でも子育て支援現場などで実践が広がっているが、とりわけ、関係性に深刻な 傷つきを抱えた子どもと修復的に関わる社会的養護提供者に有益な支援と考えられる。シ ンポジウムでは、そうした先駆的な取り組みを 2 例話題提供していただく。また、日本の 児童福祉の現場でアタッチメントの視点に基づく実践を取り入れていくことの意義と課題 について指定討論をしていただき、その後、フロア全体で検討したい。 37 応募シンポジウム 38 日時:11 月 21 日(土)14 時 00 分~15 時 40 分 家庭養護のさらなる推進と支援に向けて九州からの発信 -「行政・施設・市民」3つのモデルの実践レポート- 代表者:松崎佳子(九州大学) 発表者:後藤慎司(大分県中央児童相談所)、山川浩徳(児童養護施設シオン園)、坂本雅 子(特定非営利活動法人 SOS 子どもの村 JAPAN) キーワード:家庭養護、地域、里親支援 概要: 平成 26 年度の里親委託率は 15.6%となり、子ども子育てビジョンの目標値にほぼ達した が、地方自治体間では、44.7%~6.2%と非常に大きい較差となっている。また、家庭養護 の推進は、里親委託率の問題ではなく、国連の代替養育ガイドラインにあるように、子ど もの最善の利益を中核にした社会的養護のあり方の適切性、質の保証が問われているもの であることを考える必要がある。 福岡市は行政と市民団体との連携で、大分県は行政が主導的に取り組む中で、ここ 10 年 間でそれぞれ里親委託率を約 30%に大きく増加させた自治体である。 本シンポジウムでは、両自治体のこれまでの先進的な取り組みのなかで見えてきた課題 や里親支援のあり方、今後家庭養護の推進を展開していくにはどのような取り組みが必要 かについて、児童相談所とNPOの立場から話題提供していただく。また、施設に設置さ れた里親支援専門相談員は、今後大きな役割を担っていくと思われるが、現在は試行錯誤 の段階と言える。そのなかで専門性を生かし、地域展開をすすめる実践活動をしている里 親支援専門相談員から話題提供していただき、参加者と共にさらなる家庭養護の推進につ いて検討していきたい。なお、シンポの進行に関しては、個人情報への倫理的配慮のもと に行う。 38 応募シンポジウム 39 日時:11 月 21 日(土)14 時 00 分~15 時 40 分 ネグレクト事例を支援する保健師の困難さとケアの方向性の検討 代表者:小林恵子(新潟大学大学院保健学研究科) 発表者:小林恵子(新潟大学大学院保健学研究科) 、北岡英子(神奈川県立保健福祉大学看 護学科) キーワード:ネグレクト、保健師、ケア 概要: Olds(2008)はハイリスクの家庭に看護師が訪問することで,子どもの虐待のリスクを減 少させることができたことを報告している。日本においても、大阪府における保健師の支 援によって虐待の死亡率を減少させることや、保健師が虐待の重症化・再発予防のために、 家庭訪問を繰り返し、親への共感を示したり、具体的な育児指導を行っていることが報告 されている(小林;2009)が、日本における看護職の虐待事例の効果的な支援内容やアウ トカムはほとんど報告されていない。 虐待のなかでも、ネグレクト事例は母子保健活動をとおして発見・支援する機会が多く、 その家族の様相から特有の支援が必要ではないかと考える。研究者らが調査によって蓄積 してきたネグレクト事例の様相や保健師のケアの困難さについて報告し実践現場に還元す るとともに、参加されている保健師等、実践者との意見交換をとおして、より有効な支援 方法を見出していきたいと考える. 文献: Olds DL. (2008). Preventing child maltreatment and crime with prenatal and infancy support of parents:the nurse-family partnership , J Scand Stud Criminol Crime Prev,9(S1), 2-24. 小林美智子(2009) .子ども虐待発生予防における母子保健のめざすもの.子どもの虐待 とネグレクト,11(3),322-334. 39 応募シンポジウム 40 日時:11 月 21 日(土)14 時 00 分~15 時 40 分 情短/児童養護施設の子ども達とヨガ:子ども達のヨガ実演、ヨガとマインドフルネス実践 報告、効果調査 代表者:森田ゆり(エンパワメント・センター) 発表者:10 人の情短/児童養護施設の子どもたち、和田一郎(社会福祉法人恩賜財団母子愛 育会 愛育研究所) 、森田ゆり(エンパワメント・センター) キーワード:ヨガ瞑想、マインドフルネス、心と身体のエンパワメント 概要: 子ども参画セッションです。 子どもの社会参画の権利は、 「子どもの権利条約」の4つの大きな柱の一つです。 本学会に於ける子どもたちのプレゼンスから学びます。 1 情短/児童養護施設の子ども達によるヨガ・パーフォーマンスを見ていただき、 2 その後、子ども達のリードでヨガのミニ体験をしていただきます。 3 四つの情短/児童養護施設でのヨガクラス一年間の実践報告 森田ゆり(エンパ ワメント・センター) 目的:子どもの心と身体のエンパワメント 方法:ヒーリング・ヨガの ALOHA KIDS YOGA とマインドフルネス 反応: 4 ヨガクラスの効果調査の報告 和田一郎(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 愛育研 究所) 5「全国の情短/養護/自立支援施設にヨガを!」プロジェクトの今とこれから 6 質疑応答 40 森田ゆり 応募シンポジウム 41 日時:11 月 21 日(土)16 時 00 分~17 時 40 分 「個別ケース検討会議の進め方」児相と市の共同発表エピソード4 -司会者の覚醒- 代表者:矢後芳明(神奈川県厚木児童相談所) 発表者:吉川まり子、髙木尋子(伊勢原市子ども部子ども家庭相談室)、矢後芳明(神奈川 県厚木児童相談所) キーワード:個別ケース検討会議、要保護児童対策地域協議会、サインズオブセーフティ アプローチ 概要: 現在、児童虐待の通告を受理すると、必要に応じて子どもや保護者に関わる機関が集ま り、個別ケース検討会議が開催されます。この家庭をチームで支援するための作戦会議を 最近では市町村の要保護児童対策地域協議会事務局が主催し、司会を務めることが多くな りました。 どこの要対協も、会議においてスムーズな進行を心がけていますが、一般的な手順は同 じです。 ① 守秘義務の確認 ② 情報の共有 ③ 課題の整理 ④ 役割分担 ⑤ 今後の支援の確認 ところが、手順は同じでも、この会議に対する参加者の評価は分かれますし、要体協の連 携、活性化、なにより支援効果にまで影響します。その要因について考えます。 私たちは、これまで実践してきた会議の内容を再評価し、効果的な進行はどのように成 立するかを考察しました。 このシンポジウムでは、そこから見えてきた会議の進め方のポイントや進行の技術につい て、会議を再現しつつ報告・提言し、会場との討論でより効果的な個別ケース検討会議の 在り方を考えます。 41 応募シンポジウム 42 日時:11 月 21 日(土)16 時 00 分~17 時 40 分 「性虐待・性暴力被害当事者支援‐親・子どもをどう支えるのか」-実践の現場から- 代表者:荻野茂子(特定非営利活動法人 女のスペース・ながおか) 発表者:細金和子(婦人保護施設 慈愛寮) 、井上摩耶子(日本フェミニストカウンセリン グ学会 ウィメンズカウンセリング京都) キーワード:性虐待、性暴力、母子支援 概要: NPO 法人女のスペース・ながおかは本年設立 15 周年を迎えた。当法人は女性と子どもの ための相談支援活動を標榜し、暴力被害当事者の相談から避難、自立・自律支援を続けて きた。避難を余儀なくされる女性たちは子どもを同伴していることも多く、子どもたちへ の支援も欠かせない。DV に曝された子どもにとって家庭は虐待環境であり過酷な状況を生 きて来ているが、更に性虐待被害を受けていることもある。しかし母親は、子どもの被害 に目を向け支える余裕がない。大きくなった子どもが生き難さを抱えカウンセリングに訪 れるとき、子ども時代の性虐待・性暴力被害やネグレクトが語られる。被害を逃れるため には早くに家を出るしかなく巷に出てしまう子どもたちもいる。そして社会の中でまた性 暴力被害を負う。子ども時代に充分な愛着関係を経験しないままに親になってしまう女性 たち。ケアされない心の傷は母親としての養育機能を育まない。DV と虐待は社会の問題で ある。支援の現場から慈愛寮の細金さんには「性虐待被害等の母親とその児どもへの支援」 について、フェミニストカウンセリング学会の井上さんには「若年性暴力被害者へのカウンセリング、ア ドヴォケイト支援」についてお話頂く。 42 応募シンポジウム 43 日時:11 月 21 日(土)16 時 00 分~17 時 40 分 性暴力救援センター・大阪 SACHICO に訪れる「性非行」の子どもたちへの総合的支援の 試み 代表者:高瀬泉(山口大学大学院医学系研究科法医・生体侵襲解析医学分野、性暴力救援 センター大阪) 発表者:加藤治子、楠本裕紀(阪南中央病院産婦人科、性暴力救援センター・大阪) 、原田 薫(ウィメンズセンター大阪、性暴力救援センター・大阪) キーワード:性暴力、性的虐待、性非行 概要: 性暴力救援センター・大阪 SACHICO は、大阪府松原市の阪南中央病院内にあり、性暴力 被害にあった女性への医師と支援員による産婦人科的救急医療と心のケアを中心として、 弁護士・カウンセラー・児童相談所・警察などと連携した総合的支援をめざしてきた。 児童相談所からは、主に性的虐待の被害児が紹介されてきており、その数は年間 40 人を超 えている。これらの子どもたちとは別に、「性非行」の子どもたちが紹介されてくることも 少なくない。この子どもたちは、性的な逸脱行動を自ら行った「非行」の子として扱われ て連れて来られる。しかし「性非行」に至った経過を聞き、いとも簡単に多数の男たちが 児につながり、 「性的搾取の対象」にしてしまわれる様子を聞くと、むしろ「社会の中の不 特定多数による性的被害児」といえるのではないだろうか? 「性非行」の子どもたちの被虐待歴、性感染症の実態から、むしろ「性的被害児」とい う視点でとらえ直した支援が必要だと考え、その一環として、今回母親への支援の試みを 報告する。 43 応募シンポジウム 44 日時:11 月 21 日(土)16 時 00 分~17 時 40 分 虐待対応と司法関与 -ここから将来の虐待対応の方向性を発信する- 代表者:久保健二(福岡市こども総合相談センター) 発表者:川崎二三彦、峯本耕治、川松亮(子どもの虹情報研修センター) 、赤井兼太、河浦 龍生(福岡市こども総合相談センター) キーワード:司法関与、児童相談所、虐待対応 概要: わが国の児童福祉,特に虐待対応においては,司法が積極的に関与する仕組みになってい ない。そればかりか,子ども権利条約は親子分離に司法審査を要求しているが,わが国で は一時保護につき司法審査を要件としておらず,又,わが憲法は住居の不可侵を保障して いるが,児童虐待等では児相が令状なく立入調査ができるなど権利侵害のおそれのある場 面では司法関与は皆無だった。この点,過去,司法関与の必要性が指摘されることはあっ たが,ほとんど実現することなく,臨検・捜索など児相への権限集中だけで虐待対応制度 が構築されてきた。 一方,一時保護や立入調査などの強制手段は,保護者とのあつれきを生じさせ,児相職員 を疲弊させるとともにかかる手段に出ることにちゅうちょさせ,虐待死亡など子どもの利 益を害する結果を招くこともある。 司法関与により,可及的に権利侵害のおそれが解消され,又強制手段が的確,迅速に行わ れ,ひいては子どもの利益擁護に資するのではないかと考える。 しかし,司法関与実現への障壁は少なくない。そこで,現場の職員等の生の声を聴き,そ の意見や海外の虐待対応状況などを踏まえて,司法関与の今後の方向性を検討したい。 なお,事例を取り扱う場合は,個人が特定されないよう特段の配慮をする。 44 応募シンポジウム 45 日時:11 月 21 日(土)16 時 00 分~17 時 40 分 教師による性的虐待 -教え子を支配する心理と学校の隠蔽体質- 代表者:亀井明子(NPO 法人スクール・セクシュアル・ハラスメント防止全国ネットワー ク) 発表者:池谷孝司(一般) キーワード:特別権力関係、支配、隠蔽体質 概要: わいせつ行為で処分される教師が急増している。1990年度に懲戒免職になった公立 小中高校のわいせつ教師はわずか3人。それが2012年度にはなんと40倍の119人 に達した。停職などを含む処分者全体では、13年度は200人を超えた。教師の質が急 に落ちるはずはない。処分が厳しくなって表面化しただけだ。それでも発覚するのは氷山 の一角で、闇から闇に葬られる被害は多い。 教師から教え子へのわいせつ行為とは、「特別権力関係」で子どもを「支配」する「性的 虐待」だ。決して性的に異常な「一部の不心得者」による犯罪ではない。被害の舞台にな りやすい部活動を例に取ると分かりやすいが、教師は教え子を思い通りに支配したがる。 そのために体罰を振るうこともある。わいせつ行為も同根だ。 さらに学校には、この権力犯罪を組織ぐるみで隠蔽する体質があり、その結果、被害が なかなか表面化せずに拡大する。 「あってはならないこと」は「なかったこと」にされ、加 害者が事実を否定すると、訴えた子どもが「うそつき」にされてしまうことも珍しくない。 教育関係者は「なぜ学校で」と言うが、学校だからこそ起きる構造なのだ。学校が抱える 闇の本質を考える。 45 応募シンポジウム 46 日時:11 月 21 日(土)16 時 00 分~17 時 40 分 データで考える市区町村児童家庭相談機関ならではの役割 -現場職員による表現しづらい現場の数値化の挑戦- 代表者:小泉誠(相模原市緑こども家庭相談課) 発表者:広谷健次(相模原市南こども家庭相談課) 、鈴木峻輔(相模原市中央こども家庭相 談課) 、石川なつみ(相模原市児童相談所)、八木安理子(枚方市家庭児童相談所) 、北村充 (豊橋市こども家庭課) キーワード:市区町村、児童家庭相談機関、現場職員 概要: 私たちは2年前の「第 19 回児童虐待防止学会・松本大会」において、家庭訪問の場面を撮 影した手作り DVD を基に、参加者と一緒に市区町村児童家庭相談機関のあり方等について 議論した。今回は第 2 弾として、 「現場」の生の状況を具体的な二つのテーマに絞って取り 上げ、結果をデータ等で報告し議論する。明確化できない業務だからこそ、具体的に示す ことで現場が抱えている課題、支援者の思い、今後の果たすべき役割等を考察する機会と する。 一つ目は「スーパーバイザー(SV)とケースワーカー(CW)の業務の実際」。SV 及び CW の具体的な業務内容を毎日記録して、CW が受けるスーパーバイズの内容とその割合、SV の進行管理業務の状況等をデータ化し分析することで、現場職員が今求められているあり 方などを考察する。 二つ目は「終結の実際」 。昨年度終結に至ったケースの一部をデータ化し、終結時の状況や その背景などを様々な角度から分析する。明確に示しきれない「支援のゴール」のあり方 を考察し、市区町村の支援の意義や目指すべき役割について議論する。 発表当日は、他の自治体職員も含めたパネルディスカッション及び参加者全体での討論に より考察を深めていく。 46 応募シンポジウム 47 日時:11 月 21 日(土)16 時 00 分~17 時 40 分 児童養護施設における児童の逸脱行動への対応 代表者:遠藤洋二(関西福祉科学大学) 発表者:橋本和明(花園大学) 、藤原正範(鈴鹿医療科学大学)、小林英義(東洋大学) キーワード:児童養護施設、施設内非行、虐待と非行の連鎖 概要: 「社会的養護の現状について(参考資料)」 (厚生労働省雇用均等・児童家庭局:2014)による と、児童養護施設に入所している児童の 53.4%に虐待の体験を有していることからも、児 童養護施設にとって被虐待児童のケアは最重要課題のひとつとなったとも言える。児童養 護施設関係者からは、 「当該児童の中には、反応性愛着障害や広汎性発達障害などの課題を かかえる児童も少なからず存在し、施設や学校において不適応行動を繰り返し、時として 施設全体を巻き込み、適切な施設運営自体を危うくさせる例もある」との意見も聞かれる。 被虐待経験を有する入所児童の増加がもたらす影響については慎重な分析が必要である が、現実として児童養護施設が児童の逸脱行動に苦慮していることは事実であろう。 本シンポジウムでは、児童養護施設の現状と課題を「児童の逸脱行動」を中核的なテー マとし、 「虐待と非行の連鎖」 、 「施設が崩壊,再生をしていく要因分析」、 「地域連携」、 「措 置変更」 、「児童養護施設と児童自立支援施設との連携」、「児童間性暴力」といった支援か ら掘り下げてみたい。 47 応募シンポジウム 48 日時:11 月 21 日(土)16 時 00 分~17 時 40 分 フォレンジック看護学 -性虐待児への支援の充実を求めて- 代表者:家吉望み(東京有明医療大学 看護学部看護学科) 発表者:加納尚美(茨城県立医療大学 保健医療学部看護学科) 、家吉望み(東京有明医療 大学 看護学部看護学科) 、藤田景子(金沢大学 医薬保健研究域 保健学系 看護科学領 域) 、大屋夕希子(性暴力救援センター東京(SARC 東京) ) キーワード:性虐待、看護ケア、性暴力被害者支援看護師 概要: フォレンジック看護とは、暴力と虐待の被害者と加害者への特別なケアを指し、暴力の根 絶、実態の把握と予防、多様な被害者支援、専門職者の教育等および実践活動支援が行わ れている。特に、性暴力被害者への支援活動として、被害者の面談からアセスメント、証 拠採取、適切なケアを行い多職種と連携する「性暴力被害者支援看護師(SANE)」の活動 は、北アメリカを中心に広がり、社会的評価を得ている。 今回は、性虐待への支援の充実を求めて支援の現状と課題を整理したい。そこで、海外の 性暴力被害者支援看護師の活動実態を報告し医療機関受診時の医療支援の在り方を議論し たい。医療機関の支援の実態報告から支援内容および課題を整理したい。医療機関受診時 の子どもの視点に焦点を当てた支援の在り方を議論し、支援の充実を図っていきたいと考 えている。また、DV と児童虐待にも目を向け、保健医療機関や地域における予防や早期介 入等のケアの実践報告から支援の連携についても深めたい。性暴力被害者支援に取り組む ワンストップ支援機関の活動報告からも性虐待への支援の在り方を議論したい。 48 応募シンポジウム 49 日時:11 月 21 日(土)16 時 00 分~17 時 40 分 生きづらさを抱える子どもの背景にある虐待と発達の課題 -障がいのある子どもへの CAP からの戦略- 代表者:木村里美(一般社団法人 J-CAPTA) 発表者:西野緑(大阪府教育委員会)、轟千栄子(とどろき医院)、木村里美(一般社団 法人 J-CAPTA) キーワード:子ども虐待、障がいのある子どもへの CAP プログラム、生きづらさを抱える 子ども 概要: CAP(Child Assault Prevention) は、虐待を含む子どもへのあらゆる暴力を予防する 教育プログラムです。子どもの被害を包括的に捉え、子どもの年齢や教育的ニーズにあわ せて提供する CAP は、特別支援教育の現場でも活用されています。 本分科会では、最初に、学校現場から「生きづらさを抱える子ども」の背景にある虐待 と発達の課題について、学校の取り組みと課題を報告し、問題提起を行います。次に、小 児科医から小児科外来で出会う発達障害およびグレーゾーンの子どもたちの「生きづらさ」 ど、その家族が抱える課題にどう向き合い支援したらよいかについて報告します。最後に、 障がいのある子どもへの CAP プログラム開発者から、教職員や保護者にとって、背景が虐 待であれ、障がいであれ、「生きづらさを抱えた子ども」への理解と対応のヒントになり、 かつ直接子どもをエンパワメントする「障がいのある子どもへの暴力防止教育」の取り組 みを報告し、参加者の皆さんと今後の展望を議論したいと思います。 49
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