光造形機の効果的な活用 - 教育情報共有システム

沖縄県立教育センター
<総合生産システム>
研修報告集録
第 31 集(2-2)
221−230
2002 年 3 月
光造形機の効果的な活用
− 科目「課題研究」,「製図」における教材作成 −
県立沖縄工業高等学校教諭 石 嶺 真 睦
「実習」,「課題研究」に活用され、活性化につなが
Ⅰ テーマ設定の理由
っているが,さらに複雑な形状の加工や,より正確
近年の技術革新はとどまるところを知らず,情
な部品製作には苦慮することがある。
特に,相撲ロボットなどの限られた重量や規定
報機器や先端技術も著しく発展しており,産業界に
寸法におさめる作業が必要な場合には,複数の加工
おいても大きな変化が起こっている。
生産現場では,顧客ニーズの多様化,商品ライ
段階を経て製作するわずらわしさもある。
また,「製図」等の授業時に図面を作図させても,
フサイクル短縮,製品競争力向上などの諸要求から
製造メーカーの開発部門では,商品開発プロセスの
短縮が最重要課題となっている。
CAD(Computer Aided Design) / CAM(Computer
実際に立体を認識させるのが困難な場合もある。
このような「製図」,ロボット製作での課題を解
決するため,CAD/CAM による設計・製作図面実習と
Aided Manufacturing) ,CAE(Computer Aided
関連させて光造形機にてその作品を得ることができ
Engineering)等に代表されるこれらコンピュータ
れば,立体認識の一助となり得ることが期待でき,
システムの導入で,精度,品質,開発時間の大幅な
改善が達成されつつあるが,試作モデルは依然とし
かつ正確で,単一加工行程の部品が製作可能である。
以上の点から,本研修を機に CAD/CAM による設
て手作業や機械加工に頼らざるを得ないのが現状で
計・製作図面作成,ならびに光造形機を活用した作
ある。
品製作を行い,学校現場での「実習」や「課題研
このような現状の中で,1981 年に小玉氏により
液状感光性樹脂を用いた3次元光造形法が発表され,
究」,「製図」の教材作成,ロボット製作へと反映す
るため本テーマを設定した。
その後アメリカで大きな発展をみた。
Ⅱ 研究内容
3次元光造形法とは,3次元 CAD データを 0.05
mm∼0.5 mm のピッチで水平にスライスして得られ
る断面形状データに基づき,紫外線レーザ光で感光
1 光造形機の概要
性樹脂面に描画し樹脂を硬化させ,硬化樹脂を逐次
積層させることで立体形状を得る手法である。
(1) 光造形機とは
3 次元 CAD ,もしくは 3 次元スキャナーからの物
この光造形法により,従来のような熟練者によ
体の 3 次元データをもとに,紫外線レーザ光を感
る手作業や高価な金型を用意することなく,複雑な
光性樹脂に照射して樹脂を硬化させ,必要とする物
形状の高精度な3次元モデルの作成が可能となり,
体の複製や試作品を作成することが可能な装 置であ
製品開発が大幅に短縮されることとなった。
り,ラピッドプロトタイピング(RP ) シ ス テ ム と
現在,同手法は自動車、家電,OA 機器に代表さ
呼ばれる高速で試作品を作成する方式の一種である。
れる工業分野の設計・試作等の用途で幅広く普及し
ている。 また,医療分野でも外部から直接見るこ
(2) 光造形機の特徴
とのできない生体の骨格や臓器・血管等の実態モデ
ルとして研究や実際の症例に利用され,注目を集め
この造形法は,切削工具を用いた従来の機械加工
の製作法と比較すると,以下の様な利点がある。
ている。
① 通常の切削加工が困難な自由曲面や,複雑な
ところで,本校の電子機械科においてもコンピ
ュータシステムにて制御された CNC(Computerized
構造(アンダーカット部など)を有する立体形状を
簡単に製作することができる。
Numerical Control) 旋 盤 , マ シ ニ ン グ セ ン タ
(Machining Center) , 産 業 用 ロ ボ ッ ト , レ ー ザ 加
工機(炭酸ガスレーザ)等がすでに導入されており,
② 完全自動化されたプロセスであり,装置を操
作するための特別な知識,熟練が不要である。
③ 短時間でかつ経済的に所望のモデル製作が可
−221−
能である。
人工骨用マスターモデル,義歯用の頸骨モデルとし
④ 工具摩耗,騒音,振動,切削屑の発生がない。
て利用されている。その他にも,補装具,教育訓練
(3) 光造形技術の応用
用モデルなどが上げられる。
① 意匠設計によるデザイン評価
⑥ 土木・建築分野
工業分野ではデザインモデル,ワーキングモデ
ル,木型,樹脂型,靴型,真空中型マスター,少量
立 体 地 図 や 建 物 の モ デ ル を 作 成 し, 景 観 の 確 認 ,
ビル風などのシュミレーションを可能とする
部品等に利用されている。これらの造形モデルを作
成することによって,開発者は設計した製品のデザ
2 光造形システム
インが期待したものであるかどうかを実際に手にと
って検討可能であり,さらに設計にフィードバック
(1) 光造形システムの原理
光造形とは,液状の感光性樹脂を物体の3次元デ
することが可能である。従来の貼り合わせや,機械
ータに基づき,光エネルギー(紫外線レーザ光)に
加工と異なり,複雑な形状でも簡単に造形可能なた
よって層状に,硬化させ所望の形状の立体物を精度
め,確実に形状を確認することができ,設計修正も
良く製作する技術である。その原理は次の工程を経
容易となる。従って,より的確な製品設計が可能と
る。
なる。
① コンピュータ上の3次元 CAD と呼ばれる立体
② 機能評価
デザインシステムにより,造形したい品物の立体形
設計の確認を行うための部品の組付けや,穴位
状を設計する。(図1)もしくは,物体の3次元デ
置合わせのチェックへの利用,機構や風洞実験など
ータを,3次元スキャナーから取り込むことも可能
の機能的な検討を行うことにより,設計ミスを防ぐ
である。
などの,より適切な設計が可能である。
② CAD デ ー タ を 、 造 形 用 の デ ー タ 作 成 の た め
③ 実部品製造の試み
STL フォーマットに変換する。
(図2)
RP システムはもともと3次元 CAD のプリンタ的
③ モデルの造形装置内での配置や積層方向(モ
発想から生まれた。そのために,形状確認モデルが
デルの置き方:立法,倒立,横転など)を決定し,
主な目的であった。最近,R P システムの樹脂があ
る目的を持って開発されるようになってきた。この
コンピュータ上で,当該物体データを所定の等間隔
にスライスしてその断面のデータを作る。その後,
意向をさらに押し進め,RP システムでなければでき
サポートを配置し,レーザ操作速度,出力,コーテ
ないような複雑なモデルを造形し,実用的な部品と
ィング回数,オフセット量,収縮率などの各種パラ
して用いる試みも始まっている。RP システムによ
メータを設定する。
(図3)
り CAD データから直接得られるモデルを実際の製
④ 断面データに基づいて液状の光硬化性樹脂の
品にしようとするものである。
表面をレーザ光で走査(スキャン)する。被照射部
④ 鋳造用真空注型のマスターモデルでの利用
分の樹脂が薄く固まって断面データに対応する樹脂
鋳造のためのオス型として利用されている。
硬化層が形成される。この工程を繰り返して樹脂硬
⑤ 医療分野
化層を次々と積層する事により,所望の物体形状が
CT スキャンから得られた人体の輪切りのデータ
形成される。
(図4,5,6)
をもとに,患部の手術シュミレーションモデルや,
CAD のプロセス
光造形のプロセス
Sn
d
図 1 CAD 又はスキャナーで
図 2 CAD で STL
入力された形状データ
S1
S2
S1
図 3 N 層にスライス
フォーマットへ変換
されたデータ
S2
レーザ
Sn
d
テーブル
図 4 第1層の硬化
S2
S1
図 5 第2層の硬化
−222−
S1
図 6 最終層の硬化
(2) 産業教育センターの造形装置の概要
③ 造形機用のデータ編集
① 3次元スキャナー装置
造形の為に,物体の造形データ(拡大・縮小)
ヘリウムネオンレーザ光を照射し,その反射光
の他に,造形機における配置データが必要となる。
の遅延を測定,演算して物体表面データを得る。
ス キ ャ ン 可 能 な 物 体 の 寸 法 は , 通 常 各 辺 300mm
の立方体である。
(1000 ㎜の立方体まで設定可能)
図 9 造形配置データ編集画面
④ 光造形機 (SOLIFORM-250B 帝人製機)
プラットホームと呼ばれる造形板上に,角辺
写真 1 3次元スキャナー装置
250mm の立方体までが造形可能である。
図8 3次元スキャナーからの画像データ編集
写真 2 光造形機外観
図 7 3次元スキャナーのデータ編集画面
⑤ ポストキュア装置(2次硬化促進)
② 3次元 CAD ソフト(Solid Edge)
造形後の2次硬化促進の為,再度紫外線を照射
突 き だ し , 切 り 抜 き , 回 転 等 の 操 作 の 組 合 せ で , する。
立体を設計・製図することが可能である。
写真 3 ポストキュア装置での2次硬化作業
図 8 3次元 CAD による立体図面設計
−223−
⑥ 実際の造形例(3次元スキャンデータ使用)
の基礎・導入部の練習問題・課題を教材として利用
するため,造形を行った。
(写真 6)
立体認識の調査結果(1/3)
(立体図より3角法の図面を選択する問題)
写真 4
1/2 縮尺の造形(左)と被スキャン物体(右)
正答率/難易度(生徒回答)
正答率/難易度 (%)
⑦ 実際の造形例(3次元 CAD データ使用)
150
100
正答率
難易度
50
0
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨
設問番号
図 10 立体認識の調査結果
立体認識の調査結果(2/3)
写真 5 遠心吸引ファンとホイールの試作
(3角法の図面より立体図を選択する問題)
3 光造形機の効果的な活用
(1) 教材製作
科目「製図」の教材製作のため,沖縄工業高校電
子機械科 3 年生へ,製図課題の立体認識に対する
以下の調査・研究を行った。
① 立体図より3角法図面を選択する問題(図 10)
② 3角法図面より立体図を選択する問題(図 11)
③ 立体図より3角法図面を描く問題(図 12)
結果について,総じて言えることは,3軸
(X,Y,Z)の方向とある角度で交差する面の切り取
上が実物模型,または CAD の有用性を認めている
ことがわかった。尚,製図の教科が入ってくる同校
2 年生についても同様の調査を実施したが,ほぼ同
じ状況であった。
(図 13)
これらの結果をふまえ, 作 品 モ デ ル が 授 業 の 一
正答率/難易度 (%)
りのある図形、およびかくれ線で表される図形の輪
郭認識が苦手である。また,回答した生徒の8割以
正答率/難易度(生徒回答)
150
100
正答率
難易度
50
0
①
②
③
④
⑤
⑥
設問番号
助と成り得ることを確認できたことから,「製図」
図 11 立体認識の調査結果
−224−
立体認識の調査結果(3/3)
(立体図より3角法の図面を描く問題)
正答率/難易度 (%)
正答率/難易度(生徒回答)
写真 6 科目「製図」の課題造形
150
(2) 光造形機の活用
100
正答率
① 科目「課題研究」にての作品モデル製作
50
難易度
沖縄工業高校の生徒の課題研究にて,物体形状
データをスキャナーから読込み,造形データへの編
0
①
②
③
④
⑤
⑥
集,さらに造形へと一連の作業を行った。
設問番号
作業を終えての生徒の感想から,「コピー感覚で
のデータ作成が可能だが,造形データへの編集作業
図 12 立体認識の調査結果
は手間がかかり大変である」との声があった。しか
し,物体の表面データを細かい3角形(ポリゴン)
立体認識の調査結果まとめ
沖縄工業高校電子機械科3年
で近似していく作業は興味を持ったようである。ま
た,「産業界での最先端の技術に触れることができ
て良かった」との感想が得られた。
実物模型/CADがあればわかりやすいか?
いいえ
5%
(図 14, 写真 7)
わからない
9%
はい
86%
図 13 立体認識の調査結果
図 14 科目「課題研究」にてのデータ編集
−225−
③ CG(Computer Graphics)デザインからの造形
産業技術教育センターでの商業科の生徒実習に
おける,CG による生徒作品(商業デザイン)の
データを,編集・処理して造形を行った。
これまでは,パソコン画面上での CG 作成のみ
にとどまり,実物化には至っておらず,今回,光
造形により実物を得ることができた。当センター
では初めての試みである。(図 16, 写真 9)
当初は,ビジネスシステム研究室からの依頼を
受けて,試作的に造形する目的であったのだが,
特に支障なく造形が完了した。これを受けて,商
業分野から工業分野への関連付けが可能な実習を
確立できる可能性があり,当センター施設のさら
写真 7 科目「課題研究」にての 1/2 縮尺モデル製作
なる有効利用にも繋がるものであると助言を頂い
ている。
② 自走ロボットホイール製作
よって,今後の有効な活用の為,商業高校の生
産業技術教育センターの長研講座「メカトロ技
術」にて,自走ロボットのホイールを設計・造形を
徒実習においての CG データの編集・処理から造形
行った。設計から造形までの期間が余りなく,急ご
までの一連の流れをまとめ,手順書を作成した。
しらえではあったが,今後利用可能な手段であるこ
(図 17∼図 20 に概要と手順書の抜粋を示す)
とがわかった。(図 15,写真 8)
図 16 CG による生徒作品(商業デザイン)
図 15 自走ロボットホイール設計
写真 9 CG からの造形(商業デザイン)
写真 8 自走ロボットホイール造形
−226−
データの
読み込み
造 形 条 件
大きさの設定
図 19 造形条件設定(大きさなど)
図 17 商業 CG データの読み込み
商業 CG データの読み込み
データのエラーチェック
図 18
図 17
造形機での処理へ(造形)
造形条件設定(大きさなど)
図 19
図 20 商業 CG データ造形概要
④ 相撲ロボット車体,ホイールの製作
テーマ設定の理由でも述べたように,相撲ロボ
ットなどの構成部品は,複数の加工段階を経て製
デ ー タ の
エ ラ ー
チェック
作する必要もある。よって,光造形機を用いての
部 品 設 計 , な ら び に 造 形 を 行 え ば複雑な形状の部
品でも CAD 図面から,容易に造形が可能となる。
このため,構成部品数の多い車体部分を,一体
形で造形することと,製作が困難なホイールの設
計・造形を行った。(図 21∼22,写真 10∼11)
結論から言えば,光造形機での部品製作の可能性
は十二分にあるものの,その光硬化性の樹脂部材の
強度,造形時に必要となるサポート部分(下の層か
ら造形を行う為,宙に浮く部分は土台からの支え,
すなわちサポートが必要となる)の生成の向きを考
え,造形データ作成の必要性があることがわかった。
このことから,引き続きこれらの部品製作の可能
性について調査・研究し,生徒実習や課題研究に活
図 18 データのエラーチェック
用していきたい。
−227−
太い実線部分は,サポートが
多く生成された部位である
図 21 相撲ロボット車体の一体造形(
CAD 図面)
写真 11 相撲ロボット車体の一体造形
(3) 手引き書の見直し(3次元スキャナー)
産業技術教育センターの光造形システムは,平成
10 年に導入され現在に至るが,その間に3次元ス
キャナー画像編集ソフト(Polyworks )が更新され
ていることが判明した。このため,今回の研修を機
に,これらの手引き書の見直しを行った。
(図 23∼図 27 に概要と手順書の抜粋を示す)
なお,更新された Polyworks ver.5.1 は,これ
までの ver.4.0 に比べて以下の点で優れているこ
とがわかっている。
① 被スキャン物体の垂直軸周りの画像と,水平
図 22 相撲ロボットのホイール(
CAD 図面)
軸周りの画像との合成時に於いて,作業がスムース
であり,エラーが少ない。また,これまでは多点指
太い実線部分は,サポートが
示の合成方法のみであったが,1点指示でも画像デ
多く生成された部位である
ータの合成が可能である。
② 画像データの編集の各段階にて,処理時間が
若干ではあるが,短縮された。
③ 画像データの編集画面にて,必要により表示
される画像データ表面の配色を自由に変更できる為,
視覚的に作業がしやすくなる。
スキャンデータ取り込み
写真 10 相撲ロボット車体の一体造形(左)と
従来より使用しているアルミ製の部品(右)
ゴミデータの削除
図 24
画像データの合成
図 25
画像データの各設定
図 26
画像データの編集
図 27
造形機用データ作成
図 23 スキャンデータ編集概要
−228−
スキャンの際に,スキャンモデルを支える粘土等
画像データ表面の細かい編集
の部分も,スキャンデータ (ゴミデータ)として残っ
(修正)の為,ビュー(表示)の
ているので,ゴミデータの削除を行います。
設定等を行います。
図 24 ゴミデータの削除
図 26 画像データの各設定
被スキャン物体の垂直軸周りの画像と,
水平軸周りの画像との合成を行います。
画像データ表面の細かい編集
(穴埋め,重複した画像データ
2つの画像データの合成は多点指示,
の削除等)を行います。
および1点指示でも可能である。
(図は4点指示を示す)
図 27 画像データの編集(穴埋め等)
図 25 画像データの合成
−229−
Ⅲ まとめと今後の課題
(1) まとめ
(2) 今後の課題
光造形機の学校現場における効果的な活用をめざ
今後の課題としては,以下の事項があげられる。
し,研修に取り組んできた結果,以下の事項が実践
できたものと考える。
① 沖縄県内には,工業試験場と産業技術教育セ
ンターの研究機関のみ に光造形機が設置されている。
① 製図課題の立体認識について,生徒(沖縄工
一概に他府県での企業での利用状況とは比較で
業高校電子機械科 3 年生)を対象に調査・研究を
きないが,精密な光学機械で,かつ未だ技術革新を
実施し,その結果を得た。それにより,当初研修テ
ーマ設定時に 期待した通り,作品モデルが授業の一
遂げている最先端の機器であるため,装置の不具合
や諸調整に手間取った。この為,予定した造形を行
助と成り得ることを確認できた。これを受け,工業
えなかったこともあり,今後,また機会があれば,
科目「製図」における,基礎・導入部の練習問題・
残ったモデルの造形について試みたい。
課題を光造形機で造形し,教材を製作した。
② 光造形技術は、産業界をはじめ医療・教育分
② 当センターの施設を利用して,産業界での先
野など、幅広く技術革新をもたらすシステムであり、
端技術に触れることができ,これらの知識・技術・
当センターにても,工業分野のみの利用にとどまら
経験は,今後の教育実践に非常に役立つものとなっ
ず、商業・農業分野などとの関連づけができるよう
た。
な研究・実習が行えれば望ましいと考える。
③ 当センターにて,初めての試みである,商業
分野から工業分野へと関連付けができる造形(商業
(3) 研修を終えての感想
デザイン CG からの造形)が,試行的ではあるが確
この1年間,研修テーマである光造形システムに
立できた。これは,産業教育課の目標である『農,
ついての知識・技術の習得を行ってきたが,その他
工,商の各高校生徒実習学科間乗り入れ』の可能性
にも長研講座等により,マルチメディア,通信制御
を持ち私自身にとっても,非常に意義のある経験と
機器の研修などを受講することができ,パソコン関
なった。
④ 相撲ロボット製作における部品造形の可能性に
連機器の操作・編集方法の習得など,非常に有用な
研修であった。
ついて,調査・研究を行った結果,造形の為の細か
また,工業以外の専門学科(商業,農業,工
い設定(造形方向や,部材の板厚など)を行えば,
芸)の先生方とも交流を持つことができ,工業のみ
単一加工行程の部品が製作可能であると確信が持て
ならず各分野に関連性のある研究・実習などの可能
た。今後,機会があれば調査・研究を続け,部品製
性について情報や意見を交えることができた。
作等に活用していきたい。
これらの経験は,今後の教育実践に非常に役立
つものと考えている。
来年度から学校現場に戻ることにはなるが,機
会を見つけ,研修等に積極的に参加し,光造型機に
よる教材作成を継続していきたい。
<参考文献>
宮澤信子 斎藤美佳
2000
『Solid Edge ではじめる 3D CAD 入門』
文部省検定教科書
2000
『新版
機械製図』
文部省検定教科書
1998
『機械製図』
綜文館
実教出版
萩原恒夫
『ラピッドプロトタイピングの現状』
萩原恒夫
『樹脂から見た造形』
帝人製機資料
帝人製機資料
−230−
株式会社秀和システム