平成26年度帰国報告書② - 国立大学法人 北海道教育大学

カルガリー大学教育事情短期研修報告書
北海道教育大学 旭川校
英語教育専攻 広瀬 卓也
平成 27 年 2 月 21 日から 3 月 25 日までの約一か月間カナダのカルガリー大学へ留学させ
ていただきました。私にとってはこれが初の海外生活だったため何もわからず、行きの飛
行機から同行した仲間や関係者の皆さんにご迷惑をおかけしてしまいました。飛行機で約
10 時間かけてカルガリーへ向かいました。途中でトラブルがあり、私だけみんなと同じ飛
行機に乗ることができなかったため
カルガリーに着いたのは日が暮れて
からでした。最初にカルガリーに到
着したときの印象は、到着したのが
夜だったので道が暗く人通りも少な
かったため少し怖いなと思っていま
した。しかし実際にカルガリーで生
活をしてみると治安が悪いわけでは
なく、むしろいい人ばかりでたくさんの人に助けてもらいました。この留学を通して見ず
知らずの人に話しかけて教えてもらう力と度胸を手に入れることができたと感じています。
カルガリーでは日本との違いをいたるところで見つけることができます。ホームステイ先
の周りを少し散歩しただけでいろいろな発見をすることができますので、ぜひ散歩してみ
てほしいです。私が一番大きく違うと感じたことは気候です。そしてこの気候に悩まされ
ました。カルガリーで暮らしているとなぜかすぐに疲れます。なぜならカルガリーは日本
と比べて標高が 1000mほど高いからです。それに加えて大学までの道は起伏が激しかった
ので大学から帰ってくるころにはもう疲れてすぐに眠くなってしまい、夜六時には寝てし
まっていることも多々ありました。また、とても乾燥している土地です。
洗濯物もすぐに乾きます。その乾燥のせいかとても喉が渇きます。私は毎日水筒に水を満
杯まで入れて持っていきましたが、帰ってくるころにはなくなっていました。一緒に行っ
た仲間には午前中でもう水筒が空になってしまい、注ぎ足している人もいました。また私
のようなコンタクトレンズを付けている人は目がとても乾くので気を付けてほしいです。
こう書いていると過ごしにくい土地の
ように感じるかもしれませんが、この点
以外で私が困ったことはありません。気
温も北海道と変わらないくらい、むしろ
北海道よりも暖かいですし、交通機関も
充実しています。市内を走る電車に乗れ
ばダウンタウンまですぐに行けるので
買い物も楽しめます。そして何より先ほ
ども述べましたが親切な人がたくさん
いましたので、とても安心して過ごせる
場所だと思います。
次にカルガリー大学についてお話します。
カルガリー大学はとても広く、たくさんの
学 部 が あ り ま す 。 私 た ち 留 学 生 は EFP
(English Foundation Program)クラスに通
わせていただきました。このクラスは母国
語が英語でない人向けの英語クラスで、生
徒はメキシコ、中国、韓国、アラブ、クウ
ェートなど様々な人がいました。授業はす
べて英語で行われ、ボキャブラリーを中心
にリーディングやリスニングの指導を受けました。授業の後半にはほかの生徒と意見を交
換し合ったり、宿題を確認し合ったりする時間があり、英会話も学ぶことができました。
この授業ではたくさんの人と会話することができ、かつお互いの文化について話したりす
ることもあるのでとても貴重な経験ができました。母国語の影響が英語に強く表れるので、
人によって癖が様々で初めは何を言っているのかわからない時もありましたが、留学の後
半になるとだいたいの人の話は理解できるようになりました。この講義は毎日ありました
が午前中で終わるもので、午後からは別の講義を受けました。英語の教育に関する講義や
発音に関するものなど様々なものがありました。すべて英語で行われるので自分の英語力
はかなりついたと思います。
最後にカルガリーの学校の様子を話したいと思います。私が最も強く感じたことは、学
校が生徒のニーズに合っていることとそれを教師や学校が理解しているということです。
先ほども言った通り、カナダは移民がとても多い国ですので様々な子供がいます。母国語
が違う子どももたくさんいます。その子どものニーズに合わせて授業や学校を選ぶことが
できるようなシステムをとっているので学校によって感じる雰囲気が違います。カナダの
教育は様々なところで「自由」なところがあり、日本との大きな違いを感じました。また
生徒の中には様々な問題を抱えている生徒もいます。発達障害を持っている生徒や知的障
害を持っている生徒など様々です。この点は日本と変わらないことですが、カナダは彼ら
への対応が素晴らしいと感じました。世の中には色々な人がいます。そしてそれぞれ安心
感を得るポイントが違います。狭いところの方が落ち着く人や、広いところが好きな人。
固い布団の方が落ち着くという人、少し体に重みを感じたほうが落ち着く人など様々です。
例えば私は緊張しているときや考え事をするとき口元に何かが触れていると落ち着きます。
座っているとき、膝の上に荷物を置いた方が落ち着く人いませんか?私たちが訪問させて
いただいたある学校では緊張したり、パニックになってしまった生徒のための部屋があり
ました。そこにはやわらかい椅子や固い椅子、光の出る装置、様々な種類の重み、小さい
テントなどがあり、生徒を落ち着かせられるような工夫がたくさんありました。生徒がパ
ニックになると教師は生徒をその部屋に連れて行き、落ち着かせます。そして落ち着いて
からもう一度教室に戻します。私は日本の学校でこのような部屋や工夫は見たことがなか
ったのでとても驚き、感動を覚えました。日本もカナダのこの点を見習って生徒理解を進
めるべきだと感じました。
カナダでの毎日はとても刺激的な日々を過ごすことができました。今後行く皆さんには
様々な人と接し、カナダの多文化社会を日々感じてもらいたいと思います。また私は海外
での生活を通して日本の凄さや素晴らしさが再認識することができました。私は特に日本
語の表現の豊かさを感じました。自分の英語能力不足が原因かもしれませんが、日本語の
何かを表現する能力は素晴らしいと感じました。カナダにはカナダのいいところがあり、
日本には日本のいいところがあります。それを理解することは国際理解につながると思い
ます。今回の留学で学んだことは自分が教員になったときに、とてもいい教材になると思
っています。この貴重な経験を無駄にせず、今後も英語の勉強を続けていきたいと思いま
す。