高浜原発審査書案/原発再稼働への市民からの意見書 http://www.iwanami.co.jp/kagaku/20140810.html 北岡逸人20150117-1 再臨界リスクについて の燃料デブリの数十分の一の量であり、臨界防止手 段を講じる必要があることが分かりました。そのほ 審査書の該当箇所:なし(不明) かにも、燃料とコンクリートが混合して水中に分散 した体系,圧力容器の鉄が混ざった体系等、多種多 意見概要: 様な条件の燃料デブリについて臨界性を検討し、そ 事故時の再臨界リスクについての検討・検証が不十 の結果を臨界実験で検証することが必要です。」と 分。最悪の場合を想定した再臨界リスクの程度の検 ある。この結果は、高浜原発の審査でもデブリがコ 討・確認(実験)がなされていない。再臨界リスク ンクリートを溶かす事故を想定しているため参照 を回避する事前・事後の対策・対応策についての、 すべきものである(規制庁の担当者による「コンク 具体的で必要十分な検証・確認もなされてない。よ リートが溶けるのは19cm程度であり、その程度 って、高浜原発の設置変更申請を許可してはならな なら再臨界リスクに影響ない」といった趣旨の説明 い。 を確認したが、デブリの冷却に失敗しもっと大量に コンクリートが溶ける場合も検討すべきであろう)。 理由: そして、高浜原発の再臨界リスクに関する審査内 福島原発事故における再臨界リスクについて(現 容を規制庁の担当者に確認したところ、圧力容器か 在は原子力規制委員会に統合されている)原子力安 ら溶け落ちたデブリの再臨界リスクに関する検討 全基盤機構(JNES)による評価結果が、JNESの「安 資料や議論はなく、第75回審査会合の「資料1- 全研究年報(平成23年度) 2(41P)」で炉内残存デブリの臨界性が検討され http://www.nsr.go.jp/archive/jnes/content/0001 たにとどまる(臨界に至る可能性は低いとの検討結 25907.pdf (533P∼)」に、「炉心損傷時の再臨 果)。 界ポテンシャルを評価するためには、損傷炉心のデ だが、2012年春の日本原子力学会資料「溶融燃料 ブリ(溶融燃料)組成が重要である。1.デブリベッ の形態及び特性(日本原子力研究開発機構) ドが冷却水を含んだ粒子状に形成されること(含水 http://www.aesj.or.jp/ fuel/Pdf/2012_spring_kik 粒子状デブリ形成)、2.デブリ内部で制御棒のB4C akusession/2012_kikaku_nagase.pdf 」によると、 (炭化ホウ素)とUO2(二酸化ウラン)とが分離し 「シビアアクシデント解析を行う上で、溶融し炉心 たベッドの形成過程が考えられること(UO2/B4C分 材料と混合した燃料の特性は重要である。福島第一 離過程)、の2条件が満足される場合に臨界ポテン においては、炉形や事故条件等の違いから、(スリ シャルが大きくなることが明らかになっている。」 ーマイル島2号機事故と)異なる特性を有するデブ と記載されている。そして、具体的に事故時の状態 リの生成も予想される。」とある。つまり、スリー を区別して各状態での臨界ポテンシャルの大きさ マイル島事故では圧力容器内にデブリがとどまり、 を計算して、多くの状態で臨界ポテンシャルが大き 福島原発では(高浜原発の審査でも想定する様に) い(再臨界リスクが高い)ことが示されている。こ デブリが圧力容器から出て下にあるコンクリート の評価結果は、高浜原発の審査においても参照すべ を溶かした。そのため、デブリの特性(構成)が異 きものである。 なると予想される。 実際、東京理科大学等の共同研究で次の事実が判 また、 日本原子力研究開発機構の2013年の研究成 果「コンクリートを含む燃料デブリの臨界特性の検 明した。 討 「福島第一原子力発電所事故により放出された放 http://jolisfukyu.tokai-sc.jaea.go.jp/fukyu/mirai/ 射性物質がどのような性状を持つのかを解明する 2013/1_15.html 」によると、「燃料-コンクリー ために、事故直後につくば市の気象研究所で採取さ ト混合物は広い範囲で臨界となり得ることが分か れた放射性大気粉塵(通称「セシウム(Cs)ボール」) ります。また、臨界量を評価した結果、数100kg に対して、SPring-8において複合的なX線分析研究 ∼数tで臨界となることが分かりました。これは炉内 を行いました。その結果Csボールはセシウム以外に 1 高浜原発審査書案/原発再稼働への市民からの意見書 http://www.iwanami.co.jp/kagaku/20140810.html 北岡逸人20150117-1 ウランやその核分裂生成物を含み、高酸化数のガラ ス状態であることが分かりました。この結果は、メ ルトダウンした核燃料が容器の底を抜けて落下し たとする事故当時の炉内状況を化学的に裏付ける ものです。 http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/p ress_release/2014/140808_3/ 」 デブリの研究は未だ途上だ。 2
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