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2015/6/30
昨日のコメント/質疑応答
• SNSであえて知人とのつながりを断ち切り、言
いたいことを爆発させる人も多いのだと感じま
した。
北海道科学大学
情報社会論
第9週
講義スライド
インターネット利用と精神的健康
参考書:高比良美詠子(2009)「第2章 インターネット利用と精神的健康」三浦麻子・森尾博昭・川浦康至編著『インターネット心
理学のフロンティア』誠信書房
日本の
ネット
利用率
出典:http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2013/06/18/15465
日本のネット
利用率
出典:http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2013/06/18/15465
2015/6/30
漠然とした疑問/懸念
「インターネットの利用は、私
たちの対人関係や精神的健康
(人生の満足度や幸福感)に対
してよくない影響を及ぼすかも
知らない」
「インターネットという新しい
メディアの登場により、和足た
ちの生活から何か大切なものが
失われたのではないか」
漠然とした疑問/懸念
子どもが早い時期からスマートフォンに接触
することについて(N=558)
賛成
やや賛成
18%
やや反対
反対
3%
30%
49%
出典:MMD研究所「2015年乳幼児のスマートフォン利用に関する実態調査」
学術的な研究
• 早期の有名な研究「インターネッ
ト・パラドックス」
• 1998年に発表され、話題になる
• Krautらによる研究
• 「対人コミュニケーションを促進
する技術であるはずのインター
ネットが、かえって私たちの対人
関係や精神的健康を損なうという
矛盾(パラドックス)」
2015/6/30
インターネット・パラドックス
インターネット・パラドックス
• 従来の対人コミュニケーションに関する研究
• ネットが精神的健康を向上させる主張
ネットが精神的健康を向上させる主張
人生満足度と幸福感
ネットが精神的健康を向上させる主張
インターネット上の
対人コミュニケーション
の豊富さ
インターネット・パラドックス
ネットが精神的健康を悪化させる主張
• 推測1:対人関係の維持・形成に使っていた
時間がインターネット娯楽、情報収集などに
費やす時間に置き換えられてしまう。
• 推測2:オンライン対人関係は対面の対人関
係よりも親密性などが低く、希薄な対人関係
である。
•
たくさんのオンライン関係ができてしまうともっと充実し
た対面関係が置き換えられてしますのだ!
「どちらの主張が正しいか、調
べてみよう」
人生満足と幸福感
2015/6/30
インターネット・パラドックス
インターネット・パラドックス
• アメリカのペンシルバニア州の93世帯
• 縦断調査を実施
研究方法
•
•
研究方法
インターネット利用経験なし
インターネット接続可能なパソコンが無償で配布される
(インターネット接続時間)
インターネット利用
時点①
• 縦断調査を実施
対人関係/精神的健康
インターネット利用
時点①
対人関係の変数
1.同世帯の家族とのコミュニケーション量
2.現地の社会的ネットワークの大きさ
3.遠方の社会的ネットワークの大きさ
4.ソーシャル・サポート
時点②
対人関係/精神的健康
対人関係/精神的健康
出典:「インターネット心理学のフロンティアー」p. 23
インターネット・パラドックス
結果と考察
(インターネット接続時間)
時点①
対人関係/精神的健康
対人関係の変数
1.同世帯の家族とのコミュニケーション量 縮小
2.現地の社会的ネットワークの大きさ 縮小
3.遠方の社会的ネットワークの大きさ 多少に縮小
4.ソーシャル・サポート 変化なし
精神的健康の変数
1.孤独感
2.うつ状態
3.ストレス
インターネット・パラドックス
結果と考察
インターネット利用
時点②
対人関係/精神的健康
a
• どうして?
•
時点②
対人関係/精神的健康
精神的健康の変数
1.孤独感 高まった
2.うつ状態 高まった
3.ストレス 多少に増加
可能性1:テレビ視聴と同様に、人と時間を過ごす時
間がインターネット利用時間に置き換えられた
•
•
この可能性が却下された理由:Emailをより多く利用した人
ほど孤独感などが高まりやすかった
可能性2:オンライン対人関係が対面の対人関係を置
き換える上に、オンライン関係が対面関係よりも親密
性などが低いため、オンライン関係に費やす時間が多
いほど精神的健康が悪化しやすい。
きっと
2番だ!
2015/6/30
インターネット・パラドックス
インターネット・パラドックス
• 1年後のフォローアップ研究
• 1年後のフォローアップ研究
フォローアップ研究
• 1995年〜1997年の間に調査した94世帯を引き続き調査した
ところ、1998年の時点ではインターネット接続総時間と精神
的健康との関係がみれなかった。
•
•
フォローアップ研究
• なぜ?
•
•
インターネット接続総時間とストレスとの正の関係はあったが、孤独との関係が
なかった
1990年代中ごろにはインターネット利用者が少なかった
•
むしろインターネット接続総時間が⻑いほど、友人と過ごす時間が多かった
別のサンプルも同じ傾向が見られた
•
インターネット環境の変化に着眼
•
•
調査に参加している世帯にのみインターネットへのアクセスがあった
•
既存の対人関係とネット上で交流しようと思ってもできなかったわけ
•
インターネットを使って既存の、対面の親密関係を維持することが可能になった
1990年代後半にはインターネット利用者が急増した
とはいえ、個人がもつ対人関係の大半がオンライン上のもので占めるので
あれば問題はあるかも
インターネット利用と精神的健康
どのようなときに影響がでるか
• インターネット・パラドックス以後の研究
• ツール別の利用法分類
どのようなときに影響がでるか
• 影響の出方に違いをもたらす条件を探る研究
• 「個人がどのようにインターネットを利用しているか」
•
Ⓐ利用法による違い
• 「どのような個人がインターネットを利用しているか」
•
Ⓑ個人差による違い
Ⓐ利用法による違い
• ウェブサイト閲覧
• 電子メールの送受信
• チャット
など
• 目的別の利用法分類
• 情報収集目的
• 娯楽目的
• コミュニケーション目的
精神的健康を悪化する傾向
コミュニケーション系
精神的健康を悪化しない
非コミュニケーション系
2015/6/30
どのようなときに影響がでるか
どのようなときに影響がでるか
• コミュニケーション関連の利用
• コミュニケーション関連の利用
Ⓐ利用法による違い
インターネット・
コミュニケーション
a1
b1
オンラインの対人関係
対面の対人関係
Ⓐ利用法による違い
• 対面の対人関係の維持に利用した場合
a2
•
精神的健康
b2
c
精神的健康を改善するという研究
•
精神的健康を悪化するという研究
•
FacebookやTwitterで友人や家族の投稿を閲覧するだけなら精神
的健康が悪化するという研究がある
• 利用形態に左右するかもしれない
•
閲覧のみではなく、コメントしたり、直接メッセージを送ったり
することが重要
出典:「インターネット心理学のフロンティアー」p. 32
どのようなときに影響がでるか
どのようなときに影響がでるか
• 属性要因
• 社会的リソースをめぐる2つの仮説
Ⓑ個人差による違い
• 年齢
• 性別
• 人種
• 心理・社会的要因
• 能力
• 性格
• 既存の対人関係
Ⓑ個人差による違い
• 社会的リソース(social resource)
• 対面の対人関係の現在の豊かさ
• 対面の対人関係を豊かにする個人の資質(たとえば外向性
など)
2015/6/30
どのようなときに影響がでるか
どのようなときに影響がでるか
• 社会的リソースをめぐる2つの仮説
• 社会的リソースをめぐる2つの仮説
Ⓑ個人差による違い
• 仮説1
• 社会的リソースの高い人はインターネットを利用して、外
向性などを発揮し、前向きにより良い対人関係が作りやす
い
•
「リッチな人はリッチへ」(the rich get richer)
Ⓑ個人差による違い
• 仮説2:社会的補償(social compensation)
• 人目を気にするなど、社会的リソースに恵まれていない人
は、人目のないインターネットではより上手に関係形成が
できるという主張
• 社会的リソースに恵まれていない人は、インターネットを
使った関係形成に必要は積極性がない
どのようなときに影響がでるか
どのようなときに影響がでるか
• 社会的リソースの両説を検討した研究
• 社会的リソースの両説を検討した研究
Ⓑ個人差による違い
• 社会的リソースの指標
• 対人ネットワークの大きさ
• 他者から受けられると思うソーシャルサポートの多さ
• 孤独感の低さ
• 外向性の高さ
• 社交性の高さ
など
Ⓑ個人差による違い
• 参加者を二群にわける
• 社会的リソースが高い群
• 社会的リソースが低い群
• 縦断調査を行う
•
•
時点1の精神的健康
時点2の精神的健康
インターネット利用量が
多ければ、恩恵を受けた
2015/6/30
画像提供
どのようなときに影響がでるか
Ⓑ個人差による違い
a1
インターネット・
コミュニケーション
b1
社会的補償仮説
オンラインの対人関係
対面の対人関係
Slide No.
スライド
番号
5
6
a2
8
精神的健康
b2
リッチな人がよりリッチに仮説
出典:「インターネット心理学のフロンティアー」p. 32
8
提供情報
Thinkstock
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