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2015年3月発行
感染管理室
院内で「角化型疥癬(いわゆるノルウェー疥癬)
」が発生したことは、皆さんご周知の通りです。ではこの
「角化型疥癬」と「普通の疥癬」は違うものなのか?そんな疑問も含めてお話しします。
●どちらも「ヒゼンダニ」が人の皮膚(垢になって落ちる角質層)に寄生しておこる。違いは、その寄生
数するダニの数と症状、そして感染力! 同じヒゼンダニが寄生しても、免疫力が低下していると角化型に
なりやすい。角化型の方から感染を受けても健康であれば角化型は発症しません。なお、高齢者ではステ
ロイド剤外用により、普通の疥癬が角化型疥癬になってしまう人が多いので注意が必要。
普通の疥癬
角化型疥癬
寄生数
1000 以下
100 万~200 万
寄生される宿主の免疫力
正常
低下
感染力
弱い
強い
症状
丘疹
角質増殖
かゆみ
強い
不定
場所
頭部を除く全身
全身
感染経路
・皮膚と皮膚との直接接触(ちょっ ・直接接触(短い時間でも容易に感染)
と触れるくらいは問題ない)
・物を介した間接接触
・リネン等を介した間接接触
・飛んだ落垢が白衣や髪に付着し、
次の人に感染
見えにくくてすみません
が、角化型疥癬の落垢を顕
微鏡でみるとダニが密集
しています。
●内服(または、ローション塗布)を 2 回(以上)行う理由
ヒゼンダニの雌成虫から産まれた卵は、孵化して成虫になるまでに
10-14 日かかる。そしてまた交尾をして卵を産む。
ヒゼンダニの生活環
(産卵から成虫まで 10-14 日)
よって、診断された人の体には成虫、成虫になるまでの幼虫、
若虫、さらに卵が混在しているということ。治療薬は成虫に対して
効果を示すが卵に対しては効果を示さない。
そこで卵が孵化して成虫になった 10-14 日目にもう一度治療を
行うということ。
☆卵はすべて孵化して成虫になるわけではなく、ふつうは途中で
死ぬことが多いため、成虫に達する数は少ないのでご安心を!
参考文献:
「疥癬はこわくない」大滝倫子他,医学書院
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