食品由来の寄生虫症について

(社)福岡市食品衛生協会FAX情報サービス
平成21年2月
第115号
食品由来の寄生虫症について
モクズガニ・サワガニにご注意!
平成 19 年11月に福岡市内で呼吸困難・胸痛等の症状を呈し入
院した女性が,ウエステルマン肺吸虫症と診断されました。原因は
自宅で調理した『モクズガニの醤油漬け』でした。
肺吸虫症って?
淡水産のカニ(モクズガニ、サワガニ等)やイノシ
シ肉を生で食べることにより,寄生していた肺吸虫
の幼虫(メタセルカリア)が体内に侵入し,最終的
に肺へ移行し 2 ヶ月∼数ヶ月で咳・血痰・胸痛・
気胸・胸膜炎等の症状がでます。
まれに脳に移行し、頭痛・痙攣・麻痺などの症状が
でることがあります。
ウエステルマン
肺吸虫(成虫)
約 1cm
メタセルカリア
(幼虫)
250-500μm
※μm は 1/1000mm
予防方法は?
・ モクズガニ・サワガニ・イノシシ肉は生で食べず、十分に加熱して
から食べる。
・ モクズガニ・サワガニ・イノシシ肉を 調理した後は、二次汚染を
防ぐために調理器具を十分に洗浄する。(熱湯消毒も有効)
他にもこんな寄生虫が!
原因食品
寄生虫名
症状
サバ・イカ・アジ
アニサキス
幼虫移行症(急性胃腸炎)
ホタルイカ・タラ
旋尾線虫
幼虫移行症(皮膚)・腸閉塞
サケ・マス
日本海裂頭条虫
下痢・腹痛・倦怠感・体重減少
生野菜・漬物
回虫類
幼虫移行症(肺、肝臓、脳、目)
発熱・てんかん・失明
※幼虫移行症とは、寄生虫の幼虫が体内で定住場所を求めて動き回ること