2006.8 TECHNICAL REPORT ― 11 ウルオインターMの耐凍結融解性について 1.はじめに ウルオインターM の寒冷地での適用の可否について調査した。なお、評価方法は実験室での耐凍結融解性試験 による。なお、TR-10の既往の研究においてノーマルインター、透水性インター及びウルオインターP(旧称:保水 性インター)についての耐凍結融解性について調査を行っており、今回はその結果を引用して比較を行った。 2.試験方法 耐凍結融解性試験は、ASTM C 1262「水浸漬法での凍結融解試験」を参考とした。 試験体をプラスチック容器に入れ、下1cmを水で浸す。このプラスチック容器を以下の条件で凍結融解し、 剥離量を測定する(一面吸水凍結融解法)。 冷凍庫内 -20±3℃:4~5時間 <試験体> 冷凍庫外 25±5℃:19~20時間 ウルオインターM(200×100×60mm) : 3本 3.試験結果 ASTM C 1262「水浸漬法での凍結融解試験」による結果 ウルオインターMは、試験開始16サイクル終了時点で3本中2本の側面にわずかな亀裂が入り始め、30サイ クル終了時では3本中3本の表層部より下に向けて大きな亀裂が入った。35サイクル終了時には亀裂が深くな り、ほぼ破断寸前にまでなった(写真1参照)。 表-1 100サイクル終了時剥離量 試験体 NO. 1 2 3 ウルオインターM ノーマルインター 0.05% (35サイクル破壊) 0.05% (35サイクル破壊) 0.04% (35サイクル破壊) 0.12% 平均 0.05% (35 サイクル) 0.09% 0.14% 透水性インター 0.26% 0.17% 平均 0.12% 0.12% ウルオインターP (旧称:保水性インター) (75サイクル破壊) 平均 0.12% 0.09% 3.50% (75サイクル破壊) 0.17% 平均 1.31% (75サイクル) (75サイクル亀裂) 注) ノーマルインター、透水性インター及びウルオインターPについてはTR-10より引用 写真1 ウルオインターM 写真2 ノーマルインター 写真3 透水性インター 写真4 保水性インター (35サイクル) (100サイクル) (100サイクル) (75サイクル) 剥離量(%) 1.50% ウルオインターP 透水 ノーマル ウルオインターM 1.00% ウルオインターM ウルオインターP 35サイクルで破壊 75サイクルで破壊 0.50% 0.00% 0 25 50 75 100 サイクル 図1 凍結融解剥離量推移 4.考察 ウルオインターMの耐凍結融解性は比較的低い結果となった。要因は以下と考えられる。 ■ 保水量、吸い上げ高さがともに大きいので、水が凍結する際の体積膨張(約9%)と融解の繰り返しが大き く影響する。(図2、図3参照) ■ 強度は規格値を満足するものノーマルインターに比べ小さいため、凍結膨張に対する抵抗性も低下する。 (図4参照) ※ 今回の保水性試験、吸水性試験は「JIPEA保水性インターロッキングブロック品質規格」に準じて行った。 0.3 100 80 0.21 0.2 0.14 0.15 0.1 0.1 0.1 0.05 80 吸い上げ高さ % 54.4 60 40 24.8 19.9 20 M P ー ー ン タ ウ ル オ イ イ オ ウ ル 性 イ ン タ ン タ ー タ マ ー ノ ル ウ 図2 保水量 水 ル イ ン オ オ ル ウ イ ン タ タ イ ン ン 水 性 イ 透 ー M ー P ー タ ー タ ン イ ル ノー マ ー 0 0 透 保水量 g/cm3 0.25 図3 吸い上げ高さ 曲げ強度 N/mm2 8.0 6.0 6.0 4.5 4.0 3.8 2.0 水 性 イ ン ウ タ ル ー オ イ ン タ ウ ー ル P オ イ ン タ ー M 透 ノ ー マ ル イ ン タ ー 0.0 図4 曲げ強度 4.2 まとめ 試験結果を踏まえ、ウルオインターMの寒冷地での使用 は避けたい。なお、我が国におけるインターロッキングブロ ックの凍結融解抵抗性試験は規定されておらず、また実路 での実績など、今後、継続し調査を行っていく必要がある。 また、今回の結果は保水能力の高さに起因するものであり、 寒冷地以外の夏場の路面温度低減においては効果を発揮 する裏付けとも言える。 以上
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