A cover, the opening, explanatory notes, a table of contents

同志社歴史資料館調査研究報告第6集
同志社小学校建設に伴う発掘調査報告書
2006
同志社大学歴史資料館
序
学校法人同志社は、創立者新島襄の願いであった、幼稚園から大学までの一貫した教育をめざし、
2006年に同志社小学校を設立しました。小学校は岩倉校地に建設する予定でしたが、校舎建設に先立っ
て予定地を文化財調査したところ、古墳時代初頭の竪穴住居跡が見つかりました。岩倉校地北側にあっ
た岩倉忠在地遺跡の集落範囲が、予定地にまで広がっていることがわかったのです。
歴史資料館では、従前より校内遺跡の調査に関わってまいりましたが、小学校予定地が遺跡内を避け
ることが難しい状況を受けて、本格的な発掘調査を行いました。結果として、複数の竪穴住居や柱穴群
がみつかり、岩倉盆地で初めて古代以前の集落跡の内容を明らかにする調査となったのです。また、墓
と思われる遺構も多数見つかりました。3世紀の人々の日々の生活や、近親者の他界に直面した様子を
知る上で貴重な成果が得られました。
同志社大学としては、このような貴重な遺構の保存にも可能な限りの努力を行い、校舎の基礎工法の
一部を変更しました。また、焼失住居の床面を剥ぎ取って復元し、小学校校舎床下に遺構の覗き込み展
示施設を作りました。そこで学ぶ小学生の教材として利用することはもとより、多くの方に見学いただ
けることを願っています。
また、調査中行った現地説明会には地元住民を中心に、非常に多くの見学者のご参加を頂き、近隣住
民の地域の文化・歴史への関心の高さを目の当たりとすることになりました。大学が、地域に対して教
育だけでなく文化・学術上の貢献ができることを感じました。
社会貢献の基礎として、学術的な調査研究成果を公表することは、教育・研究機関の重要な責務だと
考えております。そのため、遺構検出データのとりまとめや遺物整理作業を行った成果として本書を刊
行いたしました。同志社大学歴史資料館では、このような貴重な文化遺産を調査し、教育や地域社会に
還元する努力を続けていく所存です。今後とも当館の活動にご理解・ご協力を賜りますようお願い申し
上げます。
2006年9月
同志社大学歴史資料館
館長 工藤和男
義
万
実
の中川要之助