ファイナンスリース取引が変わる

発行:平成19年3月9日
リース取引の税制改正
1 リース取引の会計処理
従来のリース取引に関する会計処理は、オペレーティングリースとファイナンスリースにより区分され、
更にファイナンスリースは最終的にリース資産の所有権が借り手に移転するか否かの違いにより、所
有権移転ファイナンスリースと所有権移転外ファイナンスリースに区分されていました。
このうち、オペレーティングリースについては賃貸借取引であるので、支払うリース料を「賃借料」等
の科目で費用として計上(賃貸借処理)し、ファイナンスリースについては実質的にリース資産を割賦
購入したことに変わりはないことから、貸借対照表にリース資産とリース債務を計上する(売買処理)こ
ととされていました。
しかし、ファイナンスリースであっても所有権が移転しないものについては例外的に賃貸借処理が認
められていました。この方法によれば、リース取引のメリットとも言える「固定資産管理の簡素化」「貸借
対照表のスリム化」を享受することができるため、わが国のファイナンスリース取引の大部分は所有権
移転外ファイナンスリースとなっており、賃貸借処理は事実上の原則的処理とも言える状況にありまし
た。
このような、所有権移転外ファイナンスリースに例外的処理を認めているのは、我が国特有のもので
あり、「経済的実態を反映していない」「国際基準との統一性がない」等の観点から、一定の要件を満
たすリース契約については、その会計基準が変更されることとなりました。
そして、会計基準の変更を受け、平成19年度税制改正においても、平成20年4月1日以後に契約
する所有権移転外ファイナンスリース取引については“売買処理”とされることとなりました。
■所有権移転外ファイナスリース取引とは?
次の要件を満たすリース契約が所有権移転外ファイナンス・リース取引とされます。
(1)リース期間中に中途解約できない
(2)借手がリース資産による経済的利益の全てを享受する
(3)借手が修繕・保守・管理等のコストを負担する
(4)リース期間終了後にリース資産の所有権が借手に移転しない
■売買処理とは?
リース資産を売買により取得したものとみなし、リース資産の取得価額相当額を資産計上し、資産計上
したリース資産をリース期間定額法により償却。利息部分については利息法又は定額法により処理す
る方法です。
2 所有権移転外ファイナンスリース取引に係る税務
法人税、所得税については上述した“売買処理”によることとなりますが、消費税の取扱いはどのよ
うになるのかが注目されるところです。
いままでは、「リース料」として毎期の「課税仕入」とされてきたものが、「売買」とされるためリース資
産引渡し時にリース料の総額が「課税仕入」としなければならないこととなります。
また、「利息相当」部分については、「非課税」とされるのかについてですが契約書で利息部分が明示
されている場合は「非課税」売上とされる(消基通6−3−1⑰)ことからすると、区分されていない場合
には総額を「課税仕入」として問題ないと思われます。