電気泳動堆積法 による高分子発光素子 の高効率化技術 の開発 多 田和 也 兵庫県立大学大学院工学研究科電気系 工学専攻 〒6 7 1 - 2 2 8 0 兵庫県姫路市書写 2 1 6 7 ernitting devices Dcvolopment ofhigh― efflciency technology:or polymcr light― prepared by electrophoretic deposition K筋 こ uya TADA Division of Electrical Enginccring,Univc碍1lr OfHyogo 2167 Shosha,Himtti,HyOgo 67卜 2280,Japan E― maili tada@eng.い hyOgo.acjp 電性高分子薄膜 を電気泳動堆積法 で作製す る際 得 られた膜が級密かつ平滑であ り、そのまま金属 電極 を蒸着す る ことによってダイオ ー ドや トラ の製膜過程 について基 礎的な知見を得 るため,い ンジスタな どの素子が得 られるため、これ らの応 くつ かの実験的検討を行なった。1.Ogれと比較的 濃厚 な懸濁液 を用いた場合、電気泳動堆積時に流 用デ バ イ スを 指向 した研究 が数 多 くな されてい る。 1,2) れ る過渡電流波形 は平J!1部とそれ に続 く明峡 な ス ピンコー ト法は発光素子や光起電力素子、あ 屈曲点で構成 されてお り、光キャリアの動的過程 る いは トラ ンジス タ として使用 す るのに適 した 数十 ∼数百 nmの 厚みを有する薄膜を簡便 に得 る あ らま し 高 分子太 陽電池 な どに使用 できる導 oiFlight法 における の研究 に用 い られ る Time― もの と類似 したものであった。この屈曲点か ら電 気泳動移動度 を求めた ところ、μ=7x10‐5cm2/(v. s)とい う値を得た。 また、懸濁液 に仕込んだター ゲ ッ ト材料 が堆 積用 の電極上 に捕集 され る最終 的な割合 である材料効率を、堆積前後の懸濁液の 光吸収 スペ ク トルを測定する ことで求めた。その ことができるため 、研究室 における素子の試作 に 広 く利用 されてお り、導電性高分子 のデバ イス応 用 の発展 に大 きな貢献 を果 た してい る ことは論 を待たない。 一方 で、 この手法 は数 gll以上 と比 較的濃厚な溶液を必要 とし、さらに基板上に載せ た溶液の 90%以 上 と考 え られ る大部分 を回転時 結果、導電性高分子 の貧溶媒 を多 く含む懸濁液 の に吹 き飛 ば して 無駄 にす る とい う欠点 を有 して 場合 に、95%以 上 とい う材料効率 の値を得た。 お り、実用デバ イスの生産には向かない。 また、 1 . は じめに m以 下 単純な ドロ ップキャス ト法では厚みが l μ 一 の均 な膜を得 る ことが非常 に困難 である。 導電性高分子は溶媒 へ の可溶性を持 ち、また比 較的低温 で溶融する半導体材料 である ことか ら、 「 印刷 エ レク トロエ クス」材料 として最 も注 目を 一 集め ているものの つで ある。特に、溶液か らの ス ピンコー ト法 や ドロ ップキ ャス ト法 によって 現在、 スクリー ン印刷法やイ ンクジェッ トプ リ ン ト法な どの、商用印刷において確立 されている 技法 を有機 エ レク トロエ クスの分野 に持 ち込 む 研究 も盛んになされているが、前述の手法 に比 べ て装置が比較的大掛 りな ものである場合が多 く、 及び性状 の導電性高分子溶液 を用いるため、これ らに対する材料 ・機器両面か らの緻密な条件合わ Dttute solutlon of せが必 要 とな り、現在では大学 の一 研究室が機動 的 に取 り組む課題 とい うよ りも、太陽電池な どの 具体 的 なデ バ イスの商業化を見越 した大 規模 な 研究開発プ ロジェク トの対象 となってい る。 〕 このよ うな状況に鑑み、筆者は比較的簡便な装 置 で実現 可能 であ りなが らこれ まで有機 エ レク トロエ クスの分野 ではあ ま り取 り上 げ られて こ なか った電 気泳動堆積法を用 いて、導電性高分子 及びその複合体 の製膜 に取 り組んできた。特 に本 研究課題で は、高分子発 光素子 な どに適する薄膜 の作製 とい うことを念頭 においた条件化で,製 膜 導電 性高分子 の 製膜時 におい て観測 され る過渡 電流波形 と、材料効率 とい う二つの側面か ら製膜 過程を検討 した。 2,有 機 エ レク トロエ クスにおける電気泳動堆 積法 2.1 電 気泳動堆積法 の概要 電気泳動堆積法 による製膜については、初期の 学術報告 として 1940年 の Hamakerの ものが著 ある。つ 名 であ り、比較的長 い歴史を持 つ 分llTで 本手法 の原理は非常に単純 である。すなわち、図 1に 示 す よ うに 目的材料 の微粒子 を分散 媒 中 に 一 分散 させ た懸濁液中に 対 の電極を挿入 し、それ らの間に適 当な電圧を印加す る。安定な懸濁液中 の微粒子 は表面電荷を持 っているため、その表面 電荷 の 極性 と反対方 向 の電極 の 方 向 へ 加速 され (電気泳動)、電極 に到達 した微粒子は電極上 に 堆積する。 この よ うな単純な原理 であるにもかか わ らず、現在 まで製膜過程の詳細 については不明 な点が多 く、活チとな検討がなされ続けて いる。5,0 導電 性高分子 を電気泳動堆積法 で製膜す る際 に は、当然の ことなが ら、導電性高分子の微粒子の 懸濁液を用 い る。 ところで、筆者が しば しば受ける質問に,導 電 性高分 子 の 分野 で 古 くか ら用 い られて きた電解 重合法 と何が違 うのか 、 とい うものがある。そ こ で,こ れ ら二者 の違いについて簡単 に述 べ てお く。 Pooi sottent IAcetonilttle) suspension oF nler cOnjugated poけ 一 中 ] ] ] ] ] 巾 中 ん ] 的 ︺ 一 中 また従来 の 印刷用 イ ンクとは大 き く異な る材質 図 1 導 電性高分子 の電気泳動堆積法 の概要 電解重合法 と電 気泳動堆積法 の違 いは、端的 に は 目的材料 の生 成 において電 気化学反応 を利用 するか否かであると言える。すなわち前者では電 気化学反応 によって 目的材料 であ る導電性 高分 子 の前駆体 (モノマー)を 高分子 に変換す る。 こ の電気化学反応を引 き起 こす ため に電極 間 に与 えた電 位差を電極 の近傍 (分子 1個 のサイズ程 度)に 集中させる必要があるが、 このために支持 塩 を高濃度 に電解液 中 に導 入 してイオ ン伝導性 を持たせる。一方、電気泳動堆積法 では懸濁液 内 に存在 してい る 目的材料 を電極上 に移動 させ る だけであ り、電位差 の集中 は必要な く、 したがっ て基 本的 に分散媒 自体は絶縁体である。 しか しなが ら、現実の懸濁液では不純物 な どの 混入 によ り分散媒 が若干の導電性を持 つ な ど理 想的な系 となってお らず、これが電気泳動堆積法 におけ る製膜過程 の 詳細 な検討を困難 に してい る一 因ではないか と考 え られる。また、自動車車 電 体 の防錆塗装な どの分野で実用化 されている 「 着塗装法」は、基本的には水の電気分解によ り生 ず る局所 的 な水素イオ ン濃度 の 変化 による塗料 の凝集を利用するものであ り、電気泳動堆積法 と は製膜 メカニ ズムが本質的に異なるが 7,D、 当初電 泳動電着法」な どの名称 気泳動堆積法 と類似の 「 で紹介 されて い たため に現在 で も混乱が残 って いるよ うである。9) 2.2 電 気泳動堆積法 による導電性高分子製膜 当初、導電性高分子 のナノ構造化薄膜 を作製す るとい う日的で、電気泳動イた 積法 に注 ││した。導 電性高分子 の懸濁液 の 調製 につい ては色素増感 を持つ膜が得 られ る ことが最近 わか った。 1)こ の理 由 としては、乾燥の過程 で良溶媒が濃縮 され、 微粒子間 の界面 が溶解す るためであ る と考 えて いる。 3,製 膜時の過渡電流波形 lTO coated 91ass P'ateS OTO inSide) 電界 によって電荷 を持 つ 微粒子 を移動 させ る とい う基本原理か ら、製膜時に流れる電流波形は 微粒子 の運動を反映 した もの となるはずである。 そ こで、電気泳動堆積法 における製膜過程 を検討 す るにあたって、は じめに電流波形 に注 目した。 図 2(a)本 研究で用 いた薄層型 セルの模式図 (b)PDOF'MEHい アの分子構造 型太陽電池における C60ナノ微粒子の製膜な どの 報告 101Dを 参考 に、 目的材料 の トル エ ン溶液を 過剰量 のアセ トエ トリルに投入する、いわ ゆる再 沈法を利用する こととした。製膜手順及 び条 件 の 例を以下 に示す。濃度が lg/1と なるように導電 トル エ ン 性高分子 poly(3-octadecylthiophene)を に溶解 したもの l mlと 、導電性高分子 の貧溶媒 であるアセ トニ トリル 9 mlを 混合する ことで、 分散媒をアセ トエ トリル :トル エ ン =9:1(容積比) の混合物 とし、高分子濃度 が 0.l gllで ある懸濁液 10 mlを 得 る。 これを液体 の光学測定 な どに用い るガラスセルな どの容器 に充填 し、電極間隔が 5 mmと なるよ うに一対 の ITOガ ラス基板電極を 挿入する。電圧 100∼300Vを 電極間に数十秒印 す る。 加することによ り、負電極側 に高分子がlfl積 1カ以上 の ことか ら、 この高分子 の場合 は微粒子 負 に帯電する導電性高分子 も存在する。もちろん 宜調整する必要がある。 目的材料 の 微粒子 を電極 上 に集 めて製膜 す る 堆積 される電極の有効面積は lXl.5 cm2程 度で あ る。 本 研 究 で 用 い た 導 電 性 高 分 子 で あ る 2,7‐ dioctyl‐ d ivinylenelluorenylene)‐ poly[(9,9‐ ethylhexyloxy)-1,4-phenyle alt― {2-methoxy‐5'(2‐ ne}](PDOF― MEHPつ の分子構造 も同図に示 した。 前述 のよ うに 、懸濁液 の調製 は再沈法 による。 10■ 2,1)具体的 には、導電性高分子を トル エ ンに溶 解 した ものを導電性 高分子 に対 す る貧溶媒 であ るアセ トエ トリル と混合 した。アセ トニ トリル と トルエ ンの容積比を 1:1と し、高分子濃度を 1.0 g/1∼0.05g/1まで変化させた。 また電極間隔は 5 mmと し、この間に 100∼ 300Vの 電圧を印加す ることで堆積を行 ない、電流波形を記録 した。な 0 の ことなが ら、電極間隔、印加電圧、高分子濃度、 分散 媒 の 組 成 な どの パ ラメー タは 目的 によ り適 のセルが適 している。 このため、図 2に 示すよう な 2枚 の ITOガ ラス電極をシ リコンラバ ー で挟 み込んだ薄層型セルを作製 して使用 した。1つ膜が 石a一 岳﹂ ﹂ 5 ︵ 宝こ との 推0 が正に帯電することが分かるが、後述するよ うに 電流波形 を測定す るためには微粒子 の移動経路 がなるべ く単純で、また電界分布が一様 となる形 とい う本手法 の原理か ら予想 されるよ うに、得 ら / ヤ m軒 、王縄↓ 1_、 ェ を 主=雌:」 れる膜は基本的にナノ多孔質 となる。しか しなが Time(S) ら、導電性高分子の良溶媒である トル エ ンを懸濁 液 中 に 多 く含 ませ る ことで級密か つ 平滑 な表 面 図 3 電気泳動堆積中に観測 される過渡電流 お、PDOF―MEHPVの 場合 は正電極側 に堆積する 一十一- 3 0 0 V 一一―- 2 0 0 V ‐―、- 1 0 0 V ため、微粒子 は負に帯電 してい ることが分か る。 電流波形の例を図 3に 示す。高分子濃度 の増加に 伴 って電 流が増加 してお り、観測 された電流が懸 ︼︶ ヽ 一 ︵ 一 以 上 の 条件 で得 られ た電気泳動堆積 時 の過 渡 PDOF一 MEH PV 濁液 中 の 微粒子 の運動 を反映 してい る と考 え ら 1 0 071 AN:T=515 れ る。また、特 に高分子濃度 1,Ogれの場合 の電 流 1・ )lTO(一 )iTO 波形 には 明瞭 な屈 曲点 を伴 う平坦部 が観測 され る。この屈曲点の生 じる時間 と電圧の逆数 とをプ ロ ッ トする と比例関係が得 られ、これは微粒子の ドリフ ト移動過程 を反映 した ものである ことが 10静 10° t/τ 101 図 4 用 曲点 の時間 「及び電流 拓の で規格化 した過渡電流 示唆される。即ち屈曲点 に相 当する走行時間 乞 電 さらに図 4に 示す ように、異なる印加電圧 にお 極間隔 互 F日 加電圧 アを用 いると、導電性高分子 微粒子 の電 気泳動移動度μはμ=♂ /(アうと表 さ ける電 流波形 を屈曲点の時間及 び電 流 で規格化 する と、ほぼ単 一 の 曲線 に重なる とい うスケー リ れ る。図 3に 示 した結 果 を代入する ことに よ り、 .s)と求め られた。1つこの値 は無 μ=7×105cm2/付 ング挙動が確認 された。 この挙動 はアモル ファス 機 セ ラ ミクス微粒子 におい て報 告 されてい るも の と同様のオー ダー である。 16) また、電極間隔を変 えなが ら同様の測定を行な った ところ、2∼ 5 mmの 電極間隔 においてほぼ 同一 のμを与 える電 流波形が得 られ、 この ことは 過渡電流波形 におけ る屈 曲点が高分子微粒子 の 走行時間 に対応 す る とい うモデル の 妥 当性 を示 す もの と考 え られる。 1の 半導体や有機半導体 な どにおけ る過渡光電流 で も兄 出 さ れ て い る も の で あ る が 、 Scherと Montrollに よって単純な移流拡散モデル では再 現 で きな い こ とが 指 摘 され て い る。 1)■ me‐ oPFttght法で観測 される過渡光電流は、よ く知 ら れ てい るよ うに絶縁体 中 に生 じた光キ ャ リアに よって電極上 に生 じる影像電荷 に起 因す る もの である。lD一 方、電気泳動堆積時に観測 される電 流 は、コロイ ド微粒子が電極 に到 達 した際 に電荷 図 3に 示 した過渡電流波形 は、アモル ファス半 的) 導体や有機半導体 な どにおける光キ ャ リア 18、 が中和 される ことに起 因す るもの と考 え られ る。 や炭化水素中の光励起イオ ン 20の 移動度を求め ず共通 した挙動が観測 され る ことは 興味深 いが 、 Flight法で観測 され る際に用 い られ る Time,o士 残念 なが ら現状 では後者 についての 明快 なモデ る過渡光電流波形 とよ く似ている。 この分野 では、 ルを提示できていない。 この よ うに発生機構 が大 き く異 なるに も関わ ら 屈曲点が不明瞭 な場合 に、過渡電流波形を両対数 グラフ にプロ ッ トす る こ とで屈 曲点を強調 させ 4.材 料効率 の評価 前述 の よ うにス ピンコー ト法 による導電 性高 て特定する とい う解析法が使用 される。これに倣 い 、一連 の電 流波形 において高分子濃度 が 1,Og/1 分子 の製膜は簡便であるものの 、材料効率、すな よ り低 い 場 合 に得 られた電流波形 を両対数 プロ わち材料 の 仕込 み量 に対 す る膜 として基板上 に ッ トした ところ、0.5及び 0.2g/1の波形 において、 残る量 の比が非常 に低 い とい う問題がある。 これ 屈曲点を見出す ことができた。そ の結果、高分子 に対 し、電気泳動堆積法では当初か ら十分に製膜 濃度 が低い ほ ど電 気泳動移動度 が高 くな る こと が分かった。2Dこ の原因 としては、懸濁液中の高 時間を とった場合 に懸濁液 が殆 ど透 明 にな る こ 分子濃度 の 増加 と共 に衝突や乱流 の 影響 が よ り が分かった。 しか しなが ら、本研究で対象 として 顕著 になるため、微粒子 の運動が阻害 される とい いる ナ ノ構造化膜 は発 光素子や太陽電池 な どへ うことが考 えられる。 の応 用を 目的 としてお り、膜厚が高 々数百 nmで とが観察 されたため、材料効率が高い とい うこと あ る上 に 多孔 質膜 であるため 、電 極上 に堆積 した 高分 子量 を直接 見積 もる こ とが難 しく、その定量 ざ 的 な評 価 は困難 であ る と考 えてい た。 しか しなが ら、前章 に記 した研究 を行 な ううち O に 、基板上 に堆積 した高 分子量 を測 るのではな く 半 阻 堆 積 後 に 懸 濁 液 中 に 残 存 した高 分子 を測 れ ば よ O い 、 とい う こ とに気 づい た。す なわち、堆積前後 範 差 PDOF一 MEHPV で懸 濁 液 の 光 吸収 ス ペ ク トル が どの よ うに変 化 200V 0191 す るかを調 べ れ ば よい 。 この 目的 の ため、PDOF― MEHPVの 濃度 を 0.1 一 g/1で 定 とし、 アセ トニ トリル :ト ル エ ン比 を 9:1∼5:5と 変化 させ た懸濁液 を調製 し、電極 闇隔 5mmの 薄層型 セル を用 いて製膜 を行 な った。 そ Acetonl声 l e Content(vol° /o) 図 6:分 散媒 中 の アセ トニ トリル の 含有率 と材 料効率 との関係 の 際 、製膜 時1瑚を変 えなが ら、容器 内 に残存す る の 比率 が高い場合 には 、90%を 超 える高い材料効 懸濁液 を採取 し、その光吸 収 ス ペ ク トル を測定 し た。 2分 率が得 られ るが、アセ トニ トリル と トル エ ンが 同 図 5に アセ トニ トリル :トル エ ン=8:2の 量含 まれ る場 合 には 、材料効率 は 68%に 低下す る。 場合 また、堆 積時 の 印加電 圧 を上 げた場 合、堆積 は速 の 残 留懸濁液 の光 吸収 スペ ク トル を示 す。堆積 が くなるが最終的 な材料効 率 は変 わ らない。以上 の 進 むにつれて PDOF‐ MEHPVの HOMO― LUMO 遷移 に相 当す る 450 nm付 近 の光 吸収 が減少 して お り、10秒 以 内で懸濁液 はほぼ透 明 とな る ことが 観測 され た。原液 と 10秒 間堆積後 の残留懸濁液 との吸 光度 の ピー ク値 はそれ ぞれ 0,68及び 0.027 結果 よ り、材料効率 は懸濁液 中 の 分散媒 に溶解 す る高分子 の量 に よ り決定 され る と推測 され る。2〕 また ,こ の 研究 の 過程 で ,10 cm角 サ イズの ITO ガ ラ ス基 板 上 の ほ ぼ全 面 に わ た って 均 一 な製 膜 を行 える ことを確認 した。 2" で あ り、この 時 の 材料効率 は約 96%で ある と計算 5。 まとめ され る。 分散 媒 中 の アセ トニ トリル の 含有 率 に 対 して 導電性高分子 を電 気泳動堆積 法 で製膜す る際 材 料 効 率 を プ ロ ッ トした もの を 図 6に 示 す 。 の基礎的 な知見を得 る ことを 目的 として行 な っ 貧 溶媒 で あ るアセ トニ トリル た二種類 の研究 について報告 した。1.Og/1と比較 PDOF― MEHPVの 的濃厚 な懸濁液を用 いた場合 に電気泳動堆積時 に流れ る過渡電流波形は、明瞭な平坦部 と屈曲点 か らなっていた。この電流波形を懸濁液中の導電 0 0 00CGO﹂0の0< 性高分子微粒子 の ドリフ ト移動 を反映 した もの と考 えることで、電気泳動移動度 を求めた ところ、 既報 のセ ラ ミックス微粒子 にお けるもの と同程 度 の値 が得 られた。 また、材料効率については、残留懸濁液 の光吸 400 450 500 550 600 Wavelength(nm) 650 700 図 5 : 種々の堆 積時間経過後 の懸濁液 の光吸収 スペ ク トル 収 スペ ク トルを使 うことで、作製 された膜の表面 モル フ ォ ロジー によ らず定量的 に求 め られ る こ とが分か った。膜がナノ多子と質 となるような条件 である懸濁液 中 のアセ トニ トリル含有量が多 い 場合 には、90%を 超 える材料効率を得 ることがで きた。 一 方 、平坦膜 が得 られ るよ うなア セ トエ ト リル含有量 が少 ない条件 では、68%程 度 に低下す る こ とが分か った。 (2000)4014. 13(2001)1614. Kamat:Adtt Mateェ 現 在 、 これ まで主 な研究対象 と して きた発光素 子 に加 えて ,本 手法 を用 いて 作製 した導電性高分 子 とフ ラ ー レンの複 合 膜 を光起 電 力素 子 へ の応 用 す る こ とも試 みてい る。24,2'この よ うな ター ゲ V 11)S.Barazzouk,S.Hotchandani andユ da and M.Onoda:Adtt Funct.Mater. 12)K.監 12(2002)420, 13)K.Tada and M.OnOda:J,Phys,D42(2008) 032001. ッ ト材料 を複数 含む懸 濁液 にお け る製膜過程 は、 14)K.Tada and M.OnOda:J.PhJrs.D42(2009) 一 132001. 単 材料 の 場合 に比 べ て よ り複雑 であるが 、応用 上重要 な課題 であ る とい える。本研究 で得 られ た 15)H.Kasai,Ho S.Nalwa,H.Oikawa,S. 知 見を基 に して 、 この よ うな系 につ いて も詳 しく 調 べ てい きた い と考 えてい る。 Okada,H,Matsuda,N.Minami,A.Kakuta, K.Ono,A,Mukoh and H.Nakanishi:Jpn.J. Appl.Phys,31(1992)Ll132. 謝 16)Y Fukada,N.Nagarttan,W Attkk】 辞 H.― 本研究は (財)高 柳記念電子科学技術振興財団 の助成を受 けて実施 しま した。ここに記 して謝意 を表 します。 Y Bao, S.掩 m,and n S.Nich01sOn:J.MateL Sci.39(20041787. 17)K,Tada and M.Onoda:Physics Proceha, 14(2011)58. 文 商 伏 1 ) 吉 野 勝 美 : 導 電 性 高 分 子 の は な し, 日 刊 工 業 新 聞 社 (2001) クス , コ ロ ナ社 ( 1 9 9 6 ) Fyenbo,K.Larsen,」 n Schmidt,G.Bakale,A.Khrapak and K.Yoshino:」 D.Nielsen,J 4)H, C,Hamaker: 船 .Soc.Elect,馳 Iato Eng,10 (2010)19. 21)K.Tada andヽ .Kristenseni Sol,Ene上 MIateL S01,Cel.93(2009)422. 江.Onoda:Jpn.J.Appl.Phys, 49(2010)061602. ans.Farad.Soc.36 22)K.Tada and MI,OnOda:J.Phys.D42(2009) (1940)279, 172001. 5) L.Besra and Ml.Liu:Prog,WIateL SCi,52 (2007)1. 23)K. Tada and WI,Onoda: IEICE Trans. Electron.E-94C(2011)193. 6) 0.O,Van der Biest,L,J.Vandeperre:Annu. Rev Mate■ l Montroll:Phys.Rett B 12(1975)2455. 20)Ⅵ rgensen,K.NOrrman,0` Hagemann,J.Aistrup,■ .Non― Cryst.Sohds l(1969) 197. 19)H,Scher and E.恥 2 ) 吉 野 勝 美 , 小 野 田 光 宣 : 高 分 子 エ レ ク トロ ニ 3)nC.KFebS,M.J② LE.Speari」 18)ヽ 24)K.Tada and MI,Onoda:Jpn.J.Appl.Phys, Sci.29(1990327. 49(2010)101602. 7)古 野 伸 夫,大 敷権 昭 :色 材 44(1971)360. 8) N.Furuno,H.Kawaiand N.Oyabu:J.Coll. 25)K.Tada and M.Onodai Sol.EneL MateL Sol,Cel.95(2011)688. Int.Sci.55(1976)297. 9)(財 )電気 技 術 者 試 験 セ ン タ ー :平 成 17年 第 三 種 電 気 主 任 技 術 者 試 験 「機 械 」 間 12(こ の 設 間 は両 者 を 混 同 して い る と考 え られ る。 ) 10)ユ V Kamat,S.Barazzouk,K,G.Thomas, and S.Hotchandani:J.Phys,Chem.B104
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