伊賀 由佳 - 東北大学男女共同参画推進センター TUMUG

男女共同参画・女性研究者支援事業 研究スキルアップ経費
研究スキルアップ経費利用内容について
流体科学研究所・伊賀由佳
目的(参加学会名も含むこと)
ASME 2014 4th Joint US-European Fluids Engineering Division Supper Meeting (ア
メ リ カ 機 械 学 会 流 体 工 学 部 門 夏 季 講 演 会 ) and 12th International Conference on
Nanochannels, Nicrochannels, and Minichannels
旅程
平成26年8月3日~26年8月9日( 7日間), アメリカ・シカゴ
講演等内容について
ア メ リ カ 機 械 学 会 の 流 体 工 学 部 門 夏 季 講 演 会 に 参 加 し , そ の 中 の ”Cavitation and
Multiphase Flow Forum (キャビテーションと混相流に関するフォーラム)” で,申請者の指導す
る学生が口頭発表を行った.研究発表題目は,Thermodynamic Effect on Cavitation in
High Temperature Water(高温水に発生するキャビテーションの熱力学的効果)である.本研究
では,キャビテーションの熱力学的効果の解明を目指し,東北大学流体科学研究所に2013年に新
たに建設した高温高圧水キャビテーションタンネル実験設備について,その基本性能と,キャビティ
内部温度の高精度計測手法と計測結果について報告した.常温水を除く多くの流体では,主流温
度が高いほどキャビティ体積が抑制され,ポンプの必要有効吸込みヘッドが改善されることが知ら
れており,この効果はキャビテーションの熱力学的効果と呼ばれている.熱力学的効果の有効利用
はポンプの吸込み性能の向上に直結するため,液体ロケットエンジンの開発に端を発し,これまで
多くの研究がなされてきた.しかしながら,高温水を用いた単独翼の実験で逆傾向を示す実験結果
も報告されており,未解明な点が多く残されている.この熱力学的効果を十分に制御し,ポンプの設
計において有効利用するためには,基本的な流れ場におけるさらなる詳細実験を通じ,基礎特性を
解明することが必要であると考えている.
発表では,サーミスタを用いた高精度温度計測により,熱力学的効果が顕在化しないような比較
的低温のキャビティ内部でも温度降下を計測することができるようになったことを報告した.また,こ
れまで,熱力学的効果が顕在化した際のキャビティ内部には温度分布があるとされていたが,今回
計測を行った定常キャビティ内部では温度分布がなかったことより,温度分布はキャビテーションの
非定常挙動に起因するものであることを報告した.
得られたスキルアップ効果や成果
について
本会議は,申請者が自分の研究室を立ち上
げ,初めて指導した学生の初の国際会議であ
るという意味で,大変貴重な経験となった.また
,申請者が学生時代から参加してきた主軸を置
く会議であり,最新の研究成果を世界の研究コ
ミュニティに向けて発信することができ,大変有
意義だった.
流体科学研究所 先進流体機械システム研究分野(伊賀研究室)
初めての国際会議で緊張する学生
http://www.ifs.tohoku.ac.jp/cfs/