ジェトロ北京ニューズレター - アジア経済研究所

ジェトロ北京ニューズレター
JETRO
Beijing
Newsletter
2015 年 6 月 29 日号(Vol.137)
ご挨拶
6 月 17 日、中国日本商会の「中国経済と日本企業 2015 年白書」
(以下白書)が完成、発刊されました(ジ
ェトロは執筆・編集協力)
。今年の白書は、各産業に共通する「投資」
、独禁法の適用等でも話題になっている
「競争法」の章を新設し、内容の充実を図っています。また昨年に引き続き「公平性の確保」を主な訴求点と
しています。白書は中国日本商会のホームページからどなたでもダウンロードできるようになっておりますの
で、是非ご高覧下さい。
またジェトロ北京では 7 月上旪から 8 月上旪にかけまして、事務所の改装工事を実施する予定です。当該期
間に当事務所を訪問される企業様には、ご不便をお掛けすることになるかもしれませんが、よろしくご理解の
ほどお願いいたします。事務所改装を機会に、図書室は今後、閉鎖をさせていただくこととなりました。この
点につきましても、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
白書 URL: http://www.cjcci.biz/public_html/whitepaper/white_paper_2015.html
独立行政法人 日本貿易振機構(ジェトロ)北京代表処
岡田 英治
今号の目次 CONTENT
【1】ご挨拶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(Page1)
【2】ジェトロ北京からのお知らせ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(Page2)
<1>【中国】都市化が商機をもたらす
<2>関西企業の海外事業展開に関する傾向
【3】華北経済スコープ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(Page3)
【4】華北イベント情報・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(Page8)
【5】進出企業支援情報・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(Page11)
<1>法務労務・会計税務情報
<2>知っておきたい中国語
【6】ニューズレターの登録・解除などのご案内・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(Page36)
Page 1 of 36
第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
<1>【中国】都市化が商機をもたらす
「都市化」の進展に向け政府は政策面で尽力。具体的には、戸籍移転の緩和や都市部バラック地区の改築。地
方の中小都市の産業の振興と人口の受け入れ能力を高め、農民を地元で市民化するのが目的だ。今後、基礎イ
ンフラや公共サービスの分野に商機の可能性があるが、ビジネス対象とする都市の選定が重要となろう。
(本レポートは、
「ジェトロセンサー」2015 年 7 月号エリアリポートにも掲載)→「ジェトロセンサー2015 年
7 月号」の詳細はこちら(全 2 ページ)
詳細は、以下よりダウンロード下さい。
http://www.jetro.go.jp/world/reports/2015/01/c8189116b9e3e8ae.html
<2> 関西企業の海外事業展開に関する傾向
ジェトロ大阪本部は、以下の 3 点をまとめた「関西企業の海外事業展開に関する傾向」を発表する。
(1)2014 年度(14 年 4 月~15 年 3 月)に関西圏でジェトロが受けた貿易投資相談傾向
(2)ジェトロが 2014 年 12 月~2015 年 1 月に実施した「日本企業の海外展開に関するアンケート調査」の中
から、関西企業の回答
(3)関西企業のアジアへの進出動向
ポイントは下記の通り。
1. 関西企業の海外ビジネスへの関心は年々、高まっている
2. 関西企業の 77.0%が輸出ビジネスを拡大
3. 34.5%の関西企業が為替変動により業績が悪化
4. 海外進出の拡大意欲がやや低下
5. 中国が事業拡大・機能縮小ともに上位にランキング
6. 関西企業のアジア進出案件が半減
(全 21 ページ)
詳細は、以下よりダウンロード下さい。
http://www.jetro.go.jp/world/reports/2015/02/bb7cbdad615c099f.html
Page 2 of 36
第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
華北経済スコープ
<1>
中国のマクロ経済指標
(中国)
マクロ項目
統計項目
単位
2013年
2014年
1月
2015年第1四半期
2月
3月
1~3月
- 140,667
7.0
5.6
6.4
- 77,511
13.5
- 22,723 70,715
10.2
10.6
1.4
1.4
1.2
2,778
2,861
9,042
10.8
-13.8
-6.3
1,692
1,446
5,139
48.3
-15.0
4.7
1,086
1,415
3,902
-20.5
-12.7
-17.6
606
31
1,237
1,565
2,030
5,861
49.7
0.4
22.4
86
124
2,146
0.9
2.2
11.3
GDP総額
億元
568,845 636,463
実質GDP成長率
%
7.7
7.4
工業
工業生産増加額伸び率
%
9.7
8.3
固定資産投資総額
億元
436,528 502,005
国内投資
固定資産投資総額伸び率
%
19.6
15.7
社会小売品販売総額
億元
234,380 262,394
消費
社会小売品販売総額伸び率
%
13.1
12.0
物価
消費者物価上昇率
%
2.6
2.0
0.8
貿易総額
億ドル
41,603
43,030
3,405
貿易総額伸び率
%
7.6
3.4
-10.9
うち輸出総額
億ドル
22,100
23,427
2,003
貿易
輸出総額伸び率
%
7.9
6.1
-3.3
うち輸入総額
億ドル
19,503
19,603
1,402
輸入総額伸び率
%
7.3
0.4
-19.9
貿易収支
億ドル
2,598
3,825
600
対内直接投資件数(契約ベース)
件
22,773
23,778
2,266
件数伸び率
%
-8.6
4.4
31.8
対内直接投資
対内直接投資額(実行ベース)
億ドル
1,176
1,196
139
実行ベース金額伸び率
%
5.3
1.7
29.4
(注)伸び率は前年同期(月)比
(出所):中国国家統計局ウェブサイト、商務部ウェブサイト、中国投資指南ウェブサイト、海関統計、中国経済景気月報より作成
GDP
2012年が7.8から7.7へ(8月に下方修正)
Page 3 of 36
第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
2015年第2四半期
5月
1~5月
5.9
6.1
6.2
- 171,245
11.4
22,387
24,195 117,297
10.0
10.1
10.4
1.5
1.2
1.3
3,185
3,220
15,445
-11.1
-9.3
-8.0
1,763
1,908
8,809
-6.4
-2.5
0.7
1,422
1,313
6,636
-16.2
-17.6
-17.3
341
595
2173
1,929
2.9
96
10.5
-
4月
<2>
北京市のマクロ経済指標
(北京市)
マクロ項目
統計項目
単位
2013年
2014年
1月
GRP総額
億元
19,501
21,331
実質GRP成長率
%
7.7
7.3
工業
工業生産増加額伸び率
%
8.0
6.2
固定資産投資総額
億元
6,798
6,873
国内投資
固定資産投資総額伸び率
%
8.9
1.1
社会小売品販売総額
億元
8,375
9,098
消費
社会小売品販売総額伸び率
%
8.7
8.6
物価
消費者物価上昇率
%
3.3
1.6
0.4
貿易総額
億ドル
4,291
4,157
298
貿易総額伸び率
%
5.1
-3.3
-25.1
うち輸出総額
億ドル
632
623
49
貿易
輸出総額伸び率
%
6.1
-1.2
-13.5
うち輸入総額
億ドル
3,659
3,533
249
輸入総額伸び率
%
5.0
-3.7
-27.1
貿易収支
億ドル
-3,026
-2,910
-200
対内直接投資 対内直接投資件数(契約ベース)
件
件数伸び率
%
対内直接投資額(実行ベース)
億ドル
85
90
46
実行ベース金額伸び率
%
6.0
6.1
420.0
注:伸び率は前年同期(月)比
(出所):北京市統計局ウェブサイト、北京市商務局ウェブサイト、海関統計、中国経済景気月報より作成
GRP
Page 4 of 36
2015年第1四半期
2月
3月
1~3月
4,774
6.8
4.5
4.3
1,008
8.4
782
2,383
4.1
6.6
1.7
1.6
1.2
220
263
781
-28.4
43
36
129
-11.0
177
227
653
-31.0
-133
-191
-524
54
110.0
第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
2015年第2四半期
4月
1~4月
-0.1
3.2
1,473
1.4
777
3,161
4.5
6.0
2.0
1.4
272
1,053
-27.6
41
170
-12.6
231
883
-30.0
-190
-713
84
140.0
<3>
天津市のマクロ経済指標
(天津市)
マクロ項目
統計項目
単位
2013年
2014年
1月
2015年第1四半期
2月
3月
9.0
1.3
1.4
86
91
40
39
46
52
-6
-13
50
55
17
30
-
GRP総額
億元
14,370
15,722
実質GRP成長率
%
12.5
10.0
工業
工業生産増加額伸び率
%
13.0
10.1
固定資産投資総額
億元
9,103
10,490
国内投資
固定資産投資総額伸び率
%
15.0
15.2
社会小売品販売総額
億元
4,470
4,739
消費
社会小売品販売総額伸び率
%
14.0
6.0
物価
消費者物価上昇率
%
3.1
1.9
0.7
貿易総額
億ドル
1,285
1,339
108
貿易総額伸び率
%
11.2
4.2
-4.8
うち輸出総額
億ドル
490
526
52
貿易
輸出総額伸び率
%
1.5
7.3
15.7
うち輸入総額
億ドル
795
813
56
輸入総額伸び率
%
18.1
2.3
-18.2
貿易収支
億ドル
-305
-287
-4
対内直接投資件数(契約ベース)
件
564
674
67
件数伸び率
%
-10.8
19.5
19.6
対内直接投資
対内直接投資額(実行ベース)
億ドル
168
189
16
実行ベース金額伸び率
%
12.1
12.1
12.1
注:伸び率は前年同期(月)比
(出所):天津市統計局ウェブサイト、天津市商務委員会ウェブサイト、海関統計、中国経済景気月報より作成
GRP
Page 5 of 36
第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
1~3月
3,709
9.3
9.4
2,013
13.6
1,221
10.5
1.2
285
-7.8
131
14.4
154
-20.9
-23
172
19.4
64
10.5
2015年第2四半期
4月
1~4月
9.1
9.4
3,361
13.3
1,631
10.5
2.0
1.4
103
388
-10.3
46
177
9.6
57
211
-22.1
-12
-35
55
227
22.0
16
79
11.5
<4>
河北省のマクロ経済指標
(河北省)
マクロ項目
統計項目
単位
2013年
GRP総額
億元
28,301
GRP
実質GRP成長率
%
8.2
工業
工業生産増加額伸び率
%
10.0
固定資産投資総額
億元
22,630
国内投資
固定資産投資総額伸び率
%
18.5
社会小売品販売総額
億元
10,401
消費
社会小売品販売総額伸び率
%
13.6
物価
消費者物価上昇率
%
3.0
貿易総額
億ドル
549
貿易総額伸び率
%
8.5
うち輸出総額
億ドル
310
貿易
輸出総額伸び率
%
4.6
うち輸入総額
億ドル
239
輸入総額伸び率
%
14.1
貿易収支
億ドル
70
対内直接投資件数(契約ベース)
件
195
件数伸び率
%
対内直接投資
対内直接投資額(実行ベース)
億ドル
64
実行ベース金額伸び率
%
11.1
注:伸び率は前年同期(月)比
(出所):河北省統計局ウェブサイト、海関統計、中国経済景気月報より作成
2014年
29,421
6.5
5.1
26,147
15.5
11,690
12.4
1.7
599
9.1
357
15.4
242
0.9
115
198
64
-1.2
Page 6 of 36
1月
0.2
49
-12.7
34
9.5
16
-39.5
18
13
3
-
2015年第1四半期
2月
3月
4.2
0.8
0.5
40
39
25
22
15
17
10
4
-
第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
1~3月
4.6
3,484
14.2
2,908
9.0
0.5
128
-6.8
81
10.7
47
-26.5
33
34
9
10.6
2015年第2四半期
4月
1~4月
4.7
4.6
5,878
14.4
0.8
0.6
42
170
-10.2
26
107
5.5
16
63
-28.3
10
44
59
12
17.8
<5>
西安市のマクロ経済指標
(西安市)
マクロ項目
統計項目
単位
2013年
GRP総額
億元
4,884
GRP
実質GRP成長率
%
11.1
工業
工業生産増加額伸び率
%
15.4
固定資産投資総額
億元
5,055
国内投資
固定資産投資総額伸び率
%
21.3
社会小売品販売総額
億元
2,548
消費
社会小売品販売総額伸び率
%
14.0
物価
消費者物価上昇率
%
2.7
貿易総額
億ドル
180
貿易総額伸び率
%
38.2
うち輸出総額
億ドル
85
貿易
輸出総額伸び率
%
16.1
うち輸入総額
億ドル
95
輸入総額伸び率
%
66.3
貿易収支
億ドル
-10
対内直接投資件数(契約ベース)
件
152
件数伸び率
%
74.7
対内直接投資
対内直接投資額(実行ベース)
億ドル
31
実行ベース金額伸び率
%
26.3
(注)伸び率は前年同期(月)比
(出所):西安市統計局ウェブサイト、海関統計、中国経済景気月報より作成
2014年
5,475
9.9
11.1
5,904
15.0
2,873
12.8
1.4
250
38.9
120
41.1
130
37.0
-11
103
-32.2
37
18.3
Page 7 of 36
1月
-0.8
22
-31.6
11
25.8
11
-53.5
0
-
2015年第1四半期
2月
3月
1~3月
1,061
7.2
8.2
577
-14.1
806
10.1
0.2
0.2
-0.1
20
22
64
-5.6
10
9
30
24.4
10
13
34
-22.4
-0
-3
-3
-
第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
2015年第2四半期
4月
1~4月
7.3
950
-13.2
0.5
0.0
21
85
-2.9
10
40
19.8
11
45
-17.0
-2
-5
-
華北イベント情報
華北イベント情報(2015 年 7 月)
1. 2015 年第三回中国中小企業投融資交易会
期間:2015 年 7 月 1-3 日
場所:国家会議センター
URL:http://www.sme-ifex.com/site/smeifex/index.html
2. 2015 中国国際コーヒー展示会
期間:2015 年 7 月 2-4 日
場所:中国国際展覧センター
URL:http://www.cafeshow.com.cn/huagang/hgcoffcecn/index.htm
3. 2015 第十回中国北京国際茶業&茶文化博覧会
期間:2015 年 7 月 3-5 日
場所:国家会議センター
URL:http://www.cipechina.com/
4. 第四回北京国際輸入食品博覧会
期間:2015 年 7 月 3-5 日
場所:北京展覧館
URL:http://www.cipfe.com/2015/cn/
第四回北京国際トップライフスタイルブランド博覧会
http://www.luxurychina.com.cn/2015/cn/
5. 2015 第十一回アジア国際工業自動化展示会
期間:2015 年 7 月 4-6 日
場所:中国国際展覧センター
URL:http://www.auto-wo.com/
2015 アジアインテリジェント製造設備産業展示会
http://www.aiacte.com/
6. 第十一回北京国際電動車&新エネ自動車及び充電ステーション施設展示会
期間:2015 年 7 月 4-6 日
場所:中国国際展覧センター
URL:http://www.ievechina.com/index.html
Page 8 of 36
第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
7. 北京国際移動生活応用(APP)展示会
期間:2015 年 7 月 7-9 日
場所:国家会議センター
URL:http://www.chinaappshow.com/
8. 2015 中国国際食品及び飲料博覧会
期間:2015 年 7 月 10-12 日
場所:中国国際展覧センター
URL:http://www.spylexpo.com/
9. 2015 中国天津(国際)楽活(LOHAS)良品健康産業博覧会
期間:2015 年 7 月 10-13 日
場所:天津国展センター
URL:http://www.tjlehuo.com/index.html
10.第五回新彊国際鉱業及び設備博覧会
期間:2015 年 7 月 13-15 日
場所:新彊国際会展センター
URL:http://www.imechina.cn/
11.2015 中国国際全民フィットネススポーツ用品博覧会
期間:2015 年 7 月 17-19 日
場所:中国国際展覧センター
URL:http://www.cifsge.com/
12.2015 中国(北京)国際インテリジェント教育設備展示会
期間:2015 年 7 月 17-19 日
場所:中国国際展覧センター
URL:http://www.cieebj.com/
中国国際玩具及び幼児教育展示会
http://www.ceceexpo.com/
13.2015 北京国際食品及び農産物安全検測技術展示会
期間:2015 年 7 月 18-20 日
場所:国家会議センター
URL:http://www.fieshow.com/
Page 9 of 36
第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
14.第六回北京国際環境産業展示会&技術交流会
期間:2015 年 7 月 19-21 日
場所:国家会議センター
URL:http://m.onezh.com/web/index_44146.html
15.第十一回中国(北京)国際建築省エネ及び新規建材博覧会
期間:2015 年 7 月 19-21 日
場所:国家会議センター
URL:http://bj.cibes.com.cn/index/
16.第十一回中国蒙商工シンポジウム&2015 第二回国際設備製造業博覧会
期間:2015 年 7 月 22-25 日
場所:包頭国際会展センター
URL:http://www.btieme.com/
17.第五回中国(天津)国際バイオ医薬機器展示会
期間:2015 年 7 月 23-25 日
場所:天津浜海国際会展センター
URL:http://www.chinacimee.com/
18.2015 中国国際薯業博覧会
期間:2015 年 7 月 28-29 日
場所:八達嶺国際会展センター
URL:http://www.chinapotatoexpo.com/index.php/zh/
19.2015 第五回中国・蘭州国際旅遊博覧会
期間:2015 年 7 月 28-31 日
場所:甘粛国際会展センター
URL:http://www.lzlbh.com/index.asp
20.2015 中国北京国際婦人児童産業博覧会
期間:2015 年 7 月 30-8 月 2 日
場所:国家会議センター
URL:http://www.cwexpo.cn/
Page 10 of 36
第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
進出企業支援情報
アドバイザーの一言アドバイス
申し訳ありませんが、今号はお休みさせていただきます。
<1> 法務労務・会計税務情報
当コーナーでは、最近の中国における法務労務・会計税務の動きについて把握頂くため、
要点を絞ってご説明致します。
(1)「知的財産権を濫用して競争を排除、制限する行為の禁止に関する規定」
(关于禁止滥用知识产权排除、限制竞争行为的规定)
2015 年 4 月 7 日公布、2015 年 8 月 1 日施行
http://www.saic.gov.cn/zwgk/zyfb/zjl/fld/201504/t20150413_155103.html
同規定の主な内容、今後の注意点について、KLO 投資コンサルティング(上海)有限公司に解
説頂いた。
解説
1.主な内容
知的財産権は、法によりその排他的支配、利用が認められる権能を有し、ときには他者の事
業活動を排除、制限する形で働きます。このような知的財産権の権能に鑑み、独占禁止法1(以
下「独禁法」といいます)は、知的財産権を行使する行為には、同法を適用しない旨を規定し
ていますが、一方で、知的財産権の濫用を防ぐため、事業者が知的財産権を濫用し、競争を排
除、制限する行為には同法を適用する旨を規定しています(同法第55条)。本規定は、そのタイ
トルからも明らかなとおり、当該独禁法の条文に関する内容、特に禁止される行為を具体的に
列挙しています。その主な内容は以下のとおりです。
(1)定義等
まず、本規定における「知的財産権を濫用して競争を排除、制限する行為」とは、事業者が
独禁法の規定に違反して知的財産権を行使し、独占協定、市場支配的地位の濫用等の独占行為
1
主席令第 68 号、2007 年 8 月 30 日公布、2008 年 8 月 1 日施行
Page 11 of 36 第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
(価格独占行為は除く2)を実施することを指すと規定されています(本規定第3条第1項)。
次に、独禁法令の執行作業においては、事業者が競争を行う市場の範囲を明確にするため、
「関連市場」
(通常は「関連の商品市場」及び「関連の地域市場」
)の画定が必要になります(「関
連市場の画定に関する指針」3第2条第1項)。この点について、本規定は、本規定に関わる「関
連市場」の画定にあたっては、知的財産権、刷新等の要素の影響を考慮するとともに、
「関連の
商品市場」については技術市場とすること、特定の知的財産権を含む製品市場とすることがで
きる旨、及び、
「関連の技術市場」とは、知的財産権の行使に関わる技術と相互に代替可能な同
種の技術との間の相互競争により構成される市場を指す旨を規定しています(本規定第3条第2
項)
。
(2)市場支配的地位を有する事業者の禁止行為
本規定は、市場支配的地位4を有する事業者は知的財産権を行使する過程において市場支配的
地位を濫用して競争を排除、制限してはならないとの一般論に言及した(本規定第6条第1項)
上で、正当な理由なく、以下の各行為を行うことを禁止しています。
① その知的財産権が生産・経営活動に必要な施設を構成する場合において、合理的な条件に
よる当該知的財産権の使用をその他の事業者に許諾することを拒んで競争を排除、制限す
ること(本規定第7条)
② 知的財産権を行使する過程において以下の取引制限行為を実施して競争を排除、制限する
こと(本規定第8条)
•
自己とのみ取引を行うことができるよう取引相手を制限すること
•
自己の指定した事業者とのみ取引を行うことができるよう取引相手を制限すること
③ 知的財産権を行使する過程において以下の条件に同時に合致する抱き合わせ販売行為を実
施して競争を排除、制限すること(本規定第9条)
•
取引慣例、消費習慣等に反し又は商品の機能を無視し、異なる商品を強制的にバンドリン
グ販売し又は組み合わせ販売すること
•
抱き合わせ販売行為を実施することにより、当該事業者が抱き合わせ販売品の市場におけ
るその支配的地位を、抱き合わせ販売される付随商品の市場にまで拡張させ、抱き合わせ
販売品又は抱き合わせ販売される付随商品の市場におけるその他の事業者の競争を排除、
制限すること
④ 知的財産権を行使する過程において以下の不合理な制限条件を付する行為を実施して競争
を排除、制限すること(本規定第10条)
2
知的財産権に行使に関連する価格独占行為については、「価格独占禁止規定」(国家発展改革
委員会令第 7 号、2010 年 12 月 29 日公布、2011 年 2 月 1 日施行)が適用されます(同規定第
26 条)
。
3 2009 年 5 月 24 日公布、同日施行
4 市場支配的地位は、独禁法第 18 条及び第 19 条の規定に基づき認定及び推定する旨、及び、
事業者が知的財産権を有することは、その市場支配的地位を認定する要素の一つを構成するこ
とができるが、事業者が知的財産権を有することのみをもって、当該事業者が関連市場におい
て市場支配的地位を有すると認定することはできない旨が規定されています(本規定第 6 条第
2 項)
。
Page 12 of 36 第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
•
取引相手に対し、その改良技術を独占的にグラントバック5するよう要求すること
•
取引相手に対し、当該事業者の知的財産権の有効性について質疑することを禁止すること
•
取引相手に対し、許諾契約の期間満了後、知的財産権を侵害しない状況において競合的な
商品又は技術を利用することを制限すること
•
保護期間がすでに満了し又は無効であると認定された知的財産権について引き続き権利を
行使すること
•
取引相手に対し、第三者と取引を行うことを禁止すること
•
取引相手に対し、その他の不合理な制限条件を付すること
⑤ 知的財産権を行使する過程において条件が同一の取引相手に対し差別待遇を行って競争を
排除、制限すること(本規定第11条)
⑥ 基準の制定及び実施の過程において競争を排除、制限する以下の行為を実施すること(本
規定第13条第2項)
•
基準の制定に参与する過程において、故意に基準制定組織に対しその特許情報を開示せず、
又はその権利を明確に放棄したにもかかわらず、特定の基準が当該特許に及ぶことになっ
た後、当該基準の実施者に対しその特許権を主張すること
•
その特許が基準に必要な特許になった後、公平、合理及び無差別の原則に反し、許諾を拒
む、商品を抱き合わせ販売する又は取引時にその他の不合理な取引条件を付する等、競争
を排除、制限する行為を実施すること
(3)全ての事業者の禁止行為
本規定は、全ての事業者について以下の各行為を禁止しています。
① 事業者間において知的財産権を行使する方式を利用して独禁法第13条6、第14条7において
禁止されている独占協定を締結すること(但し、独禁法第15条8に合致することを証明する
ことができる場合を除く)
(本規定第4条)
② 知的財産権を行使する過程においてパテントプール9を利用して競争を排除、制限する行為
に従事すること(本規定第12条第1項)
③ 知的財産権を行使する過程において基準(国家技術規範の強行要求を含む。以下同じ)の
5
グラントバックとは、一般的に、ライセンシーが開発した改良技術の実施許諾を義務付ける
ことをいいます。
6 競争関係を有する事業者間での独占協定(いわゆる水平的協定)の禁止について規定してお
り、禁止される独占協定として、商品の価格を固定し、又は変更すること等が挙げられていま
す。
7 取引相手との間での独占協定(いわゆる垂直的協定)の禁止について規定しており、禁止さ
れる独占協定として、第三者に対する商品再販売価格を固定すること等が挙げられています。
8 協定が同条に列挙される事由に該当することを証明できる場合、独禁法第 13 条及び第 14 条
は適用しないと規定されています。列挙事由としては、技術改良、新製品の研究開発のためで
ある場合等があります。
9 パテントプールとは、2 人以上の特許権者が各自の保有する特許を第三者に対し何らかの形
式により共同で許諾する協定を指し、その形式は、当該目的のために設立する専門の合弁会社
でもよく、特定のパテントプール構成員又は特定の独立した第三者に委託して管理することも
できるとされています(本規定第 12 条第 4 項)
。
Page 13 of 36 第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
制定及び実施を利用して競争を排除、制限する行為に従事すること(本規定第13条第1項)
(4)その他
その他、本規定は、知的財産権の行使が独占協定と認定されない場合に関する条項(本規定
第5条)
、パテントプールの構成員及び市場支配的地位を有するパテントプール管理組織による
禁止行為(本規定第12条第2項、第3項)、知的財産権を行使する行為が競争に与える影響等につ
いての認定・分析手順及び考慮要素に関する条項(本規定第15条、第16条)、罰則に関する条項
(本規定第17条)等を規定しています。
2.今後の注意点
本年2月9日、米半導体大手のクアルコムが、市場支配的地位の濫用を理由とした独禁法違反
で60.88億元という巨額の支払い命令を受けました。その行政処罰決定書10では、クアルコムが
CDMA、WCDMA 及び LTE 無線通信規格に必要な特許ライセンス市場等において市場支配的地位を
有し、かつその地位を濫用して不公平に高額な特許ライセンスフィーを受領していたことなど
を認定しており、中国の独禁法執行実務において、既に、知的財産権の行使に対する独禁法の
適用に着目していたことが伺えます。
本規定は、今後、知的財産権の行使に対する独禁法適用のガイドラインとなります。このた
め、日系企業においては、本規定を参照の上で、自社が本規定で定める各禁止行為を行ってい
ないか(例えば、技術ライセンス契約の規定においてライセンシーに対して、その改良技術を
独占的にグラントバックするよう要求するような制限条項がないか)、また独禁法違反とならな
い知的財産権管理・行使体制が整っているかの確認を行うことが望ましいといえます。
(2)「自由貿易試験区外商投資届出管理弁法(試行)」
(自由贸易试验区外商投资备案管理办法(试行))
2015 年 4 月 8 日公布、2015 年 5 月 8 日施行
http://www.mofcom.gov.cn/article/b/f/201504/20150400946303.shtml
同弁法の主な内容、今後の注意点について、KLO 投資コンサルティング(上海)有限公司に解
説頂いた。
解説
1. 主な内容
昨年末、中国に新たに3つ(広東、天津、福建)の自由貿易試験区(以下「試験区」といいま
す)が設立されること及び上海試験区が拡大されることが明らかとなりました11。また、各試
10
11
原文:http://www.sdpc.gov.cn/gzdt/201503/t20150302_666209.html
「中国(広東)自由貿易試験区、中国(天津)自由貿易試験区、中国(福建)自由貿易試験
Page 14 of 36 第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
験区の方案12及び各試験区で統一的に適用されるネガティブリスト13が、本弁法と同日に公布
されるなど、試験区を通した改革開放が着々と推進されています。
その中で、本弁法は、改革開放の取り組みの一環として試験区で導入されている、
「外商投資
に対する審査批准管理から届出管理への移行」14に関する具体的な内容を定めています。その
主な内容は以下の通りです。
(1)適用範囲
外国投資家の試験区における、ネガティブリスト以外の領域への投資、外商投資企業の設立・
変更(以下「投資実施」と総称します)、及び契約・定款の届出について、本弁法が適用されま
す(本弁法第2条第1項)
。
なお、届出管理の外商投資企業に審査・批准を必要とする変更条項が発生した場合、外商投
資管理の関連規定に従い審査・批准手続を行わなければなりません(本弁法第6条)
(2)届出事項
本弁法は、届出が想定される事項として、①外国投資家の試験区における投資、企業の設立
が本弁法の規定する届出範囲に属する場合(本弁法第4条)、②本弁法の規定する届出範囲に属
する外商投資企業に列挙された変更事由15が発生した場合(本弁法第5条)が挙げられています。
(3)届出の流れ
届出の流れは以下の通りです(本弁法第4条、第5条、第9条~第11条)。
①
外国投資家による企業名称事前認可通知書の取得16
②
外国投資家又は外商投資企業が、投資実施前又は投資実施日から30日以内に、試験区一括
受理プラットフォームにログインし、オンラインで「試験区外商投資企業設立届出申告表」
区及び中国(上海)自由貿易試験区の拡大区域における、関連法律が規定する行政審査、批准
の一時的な調整を国務院に授権することについての決定」(2014 年 12 月 28 日公布、2015 年 3
月 1 日施行)参照。
12 「中国(広東)自由貿易試験区総体方案の印刷・配布に関する通達」
(国発[2015]18 号、
2015 年 4 月 8 日公布、同日施行)
、
「中国(天津)自由貿易試験区総体方案の印刷・配布に関す
る通達」
(国発[2015]19 号、2015 年 4 月 8 日公布、同日施行)
、「中国(福建)自由貿易試験
区総体方案の印刷・配布に関する通達」
(国発[2015]20 号、2015 年 4 月 8 日公布、同日施行)、
「中国(上海)自由貿易試験区の改革開放をさらに深化させる方案の印刷・配布に関する通達」
(国発[2015]21 号、2015 年 4 月 8 日公布、同日施行)
13 「自由貿易試験区の外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)の印刷・配布に関する
通知」
(国弁発[2015]23 号、2015 年 4 月 8 日公布、同年 5 月 8 日施行)
14 「中国(上海)自由貿易試験区条例」
(上海市人民代表大会常務委員会公告第 14 号、2014
年 7 月 25 日公布、同年 8 月 1 日施行)第 13 条、脚注 11 決定参照。
15 具体的には、①投資総額の変更、②登録資本金の変更、③持分、合作権益の変更又は譲渡、
④持分の質権設定、⑤合併、分割、⑥経営範囲の変更、⑦経営期限の変更、⑧繰上げ終了、⑨
出資方式、出資期限の変更、⑩中外合作企業における外国合作者の投資先行回収、⑪企業名称
の変更、⑫登録住所の変更が挙げられています。
16 上記(2)のうち、①外国投資家の試験区における投資、企業の設立が本弁法の規定する届
出範囲に属する場合のみ必要となり、②本弁法の規定する届出範囲に属する外商投資企業に列
挙された変更事由が発生した場合は不要です。
Page 15 of 36 第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
又は「試験区外商投資企業変更事項届出申告表」へ記入、提出
③
試験区管理機構(以下「届出機構」といいます)において、申告事項が届出範囲に属して
いるか否かに対して判別を行う
④
届出範囲に属する場合、届出機構は、3営業日以内に届出完了とし、外国投資家又は外商投
資企業に通知する
届出範囲に属しない場合、外国投資家又は外商投資企業に、関連規定に従い審査・批准手
続を行うよう通知する
⑤
届出機構は、直ちに商務部の外商投資届出情報システム17(以下「届出システム」といい
ます)で届出結果を発布し、合わせて試験区一括受理プラットフォームに届出結果情報を
共有する
⑥
届出完了通知を受け取った後、外国投資家又は外商投資企業は、届出機構で「外商投資企
業届出証明」を受領できる。受領時には、以下の文書を提出する
•
企業名称事前認可通知書(写し)
•
外国投資家又は外商投資企業(若しくはそれらの授権代表)が署名した各申告表
•
外国投資家、実際の支配者の主体資格証明又は身分証明(写し)
(4)その他
その他、本弁法では、試験区の外商投資企業による届出システム上での「外商投資企業投資
経営状況年度報告表」の記入義務(本弁法第12条)
、届出機構による定期的な抜取検査、通報に
基づく検査の実施等の方式をもって行う監督検査(本弁法第13条)、外国投資家又は外商投資企
業による違法行為の存在が調査を経て確認された場合の期限付き是正命令、情状が深刻なとき
の届出の取消し、関連部門による処罰要請(本弁法第15条)等が規定されています。
2.今後の注意点
試験区については、上海1箇所から広東、天津、福建の3箇所を加え4箇所まで拡大し、その存
在が改めて注目されており、日系企業の間でも試験区への進出を検討している旨を聞き及ぶこ
とがあります。本弁法は、試験区に進出する際の届出手続(ネガティブリストに含まれる事業
への投資については審査・批准が必要となります)の具体的な内容を定めており、試験区への
進出を検討している企業にとって重要な法令であるといえます。
また、2015年1月19日に公表された「中華人民共和国外国投資法(意見募集稿)」では、一般
的な外国投資についてもネガティブリストに基づく管理を実施する旨(同草案第20条、第26条)
及びネガティブリストに該当するか否かに関わらず、投資を実施する際には投資事項に関する
報告が必要となる旨(同草案第85条~第88条)が規定されています。外国投資法が公布に至っ
た場合、本弁法と同様又は類似の届出(報告)制度が導入される可能性がありますので、試験
区への進出を予定していない企業においても、本弁法は参照に値すると考えます。
17
届出機構は、届出システムを通じて、試験区における外商投資事項の届出業務を展開すると
されています(本弁法第 3 条第 2 項)
。
Page 16 of 36 第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
(3)「人民法院における立件登記にかかる若干の問題に関する規定」
(关于人民法院登记立案若干问题的规定)
2015 年 4 月 15 日公布、2015 年 5 月 1 日施行
http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-14175.html
同規定の主な内容、今後の注意点について、KLO 投資コンサルティング(上海)有限公司に解
説頂いた。
解説
1、主な内容
これまで中国で訴訟が提起された場合、当該訴訟提起が訴訟要件を満たすかについて人民法
院が実質的な審査を行った上で受理の可否を決定する立件審査制が採用されていました。しか
し、審査の際の統一的な基準が存在するわけではなく、審査に人民法院の広範な裁量が入る余
地を許すものとなっていました。このため、審査内容が不透明なまま人民法院によって訴状の
受理さえなされないとの問題(
「立件難」の問題)が生じており、立件審査制の下では当事者の
訴権が十分に保障されないとの批判がなされていました。
今般、このような問題が生じていた立件審査制から、立件登記を行わない事由に該当しない
限り、一律に訴状の受理を行う立件登記制への変更が図られており18、本規定は、当該立件登
記制の具体的な内容を定めています。その主な内容は以下のとおりです。
(1)立件登記等の手順
人民法院による訴状受理から審理までの手順は以下のとおりです。
① 人民法院は、提訴19、自訴20について、訴状を一律に受理し、受領日を明記した書面の証
明書を発行する(本規定第2条第1項)
② 人民法院は、法律の規定に合致している提訴、自訴について、その場で立件登記を行う(本
規定第2条第2項)
③ 立件登記後、人民法院の立件廷は案件を遅滞なく審判廷に移送して審理させる(本規定第
12条)
(2)立件登記を行わない事由
以下の提訴、自訴は、立件登記が行われません(本規定第10条)
。
①
違法に訴えを提起し、又は法律の規定に合致していない場合
②
国の主権及び領土の完全性が脅かされる場合
③
国の安全を脅かす場合
18
「
『人民法院による立件登記制改革を推進することについての意見』の印刷・配布について
の通知」
(法発[2015]6 号、2015 年 4 月 15 日公布、同年 5 月 1 日施行)
19 当事者が民事、行政訴訟を提起することを指します。
20 当事者が刑事自訴を提起することを指します。
Page 17 of 36 第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
④
国の統一及び民族の団結を損なう場合
⑤
国の宗教政策を破壊する場合
⑥
訴える事項が人民法院の主管ではない場合
もっとも、立件登記を行わない場合にも、当事者への配慮を伺わせる条項が定められており、
具体的には、法律の規定に合致していない提訴、自訴について人民法院が釈明を行う旨(本規
定第2条第3項)
、当事者の提出した訴状及び資料が要求に合致していない場合、人民法院が指定
された期限内に補正するよう一回限りの書面の告知を行う旨(本規定第7条)、提訴、自訴につ
いて受理しない、又は立件しない場合、人民法院が理由を明記した書面の裁定又は決定を発行
する旨(本規定第9条)が定められています。
(3)立件登記の可否の判断が難しい場合
当事者による提訴、自訴について、法律の規定に合致しているか否かをその場で判定するこ
とができない場合、人民法院は次の処理を行います(本規定第8条)
①
民事、行政訴訟の提起については、訴状を受領した日から7日以内に立件するか否かを決定
する
②
刑事自訴については、自訴状を受領した日の翌日から15日以内に立件するか否かを決定す
る
③
第三者による取り下げの訴えについては、訴状を受領した日から30日以内に立件するか否
かを決定する
④
執行異議の申し立てについては、訴状を受領した日から15日以内に立件するか否かを決定
する
⑤
提訴、自訴が法律の規定に合致しているか否かを法定の期間内に判定できない場合、人民
法院は先に立件する
(4)苦情の申し立て
立件業務において存在する違法、規律違反の状況21について、当事者は受訴人民法院又は上
級の人民法院に苦情を申し出ることができ、人民法院は、苦情の申し出を受理した日から15日
以内に、事実を調査して明らかにするとともに、当事者に対して状況をフィードバックするも
のとされています。また、違法、規律違反行為を発見した場合には、法、規律により、関係者
の責任を追及し、犯罪を構成するときは、法により、刑事責任を追及するとされています(本
規定第13条)
。
(5)訴状及び提出資料
民事訴状、行政訴状及び刑事自訴状の明記事項(本規定第4条、第5条)、提訴、自訴を行う場
合の提出資料(本規定第6条)が定められています。
21
例示的に、①訴状不受理、②訴状受理後に書面の証明書を発行しない、③当事者に対する一
回限りの訴状内容の補正告知を行わない、④案件があっても立件しない、⑤立件の先延ばし、
⑥立件の妨害、⑦立件もせず、裁定又は決定も行わない等が列挙されています。
Page 18 of 36 第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
なお、人民法院は訴状のサンプルを提供し、当事者が訴状を作成する上での手本及び手引を
提供する旨、当事者が、訴状を作成することに確かに困難がある場合には、口頭で申し出るこ
とによって人民法院による調書記入が可能であり、それをもって法律に従って立案登記の要否
を判断する旨が定められています(本規定第3条)。
2.今後の注意点
本規定の施行により、これまで問題となってきた「立件難」の解消が期待でき、このことは
日系企業においても歓迎すべきものであるといえます。もっとも、他方で、立件の段階で審査
を行わないことに伴い、虚偽訴訟、悪意訴訟等による訴権濫用行為や、案件数の増加に伴い案
件処理スピードの低下などの影響が生じる可能性があることについても、留意する必要があり
ます。
また、本規定では、立件登記に関する条項以外に、訴状・自訴状への明記事項及び提出資料
についても明確に定めていますので、訴訟提起前にはこれらの条項をも参照することが望まれ
ます。
(4)「広告法」
(广告法)
2015 年 4 月 24 日公布、同年 9 月 1 日施行
http://www.gov.cn/xinwen/2015-04/25/content_2852914.htm
同法の主な内容、今後の注意点について、KLO 投資コンサルティング(上海)有限公司に解説
頂いた。
解説
1、 主な内容
改正前の広告法は1995年2月1日に施行されて以来、20年間改正されることなく、広告活動を
規制してきました。しかし、20年の経過とともに、中国の広告業は急速に発展し、またインタ
ーネットが広範に普及したことにより、広告伝達の媒体及び形式にも大きな変化が生じており、
これまでの広告法ではこの変化に対応することが難しくなっていました。このため、今般、3
度のパブリックコメントの募集22を経て、改正後の本法が公布されました。
今回の改正により、
条文数が47条文から75条文に増加し、またほぼ全ての条文に修正が施されています。その主な
改正内容は以下のとおりです。
(1)個別商品の広告内容規制
従前より、個別商品の広告内容を規制する条文が規定されていましたが、本法では、規制す
22
1 回目は 2014 年 2 月 21 日から同年 3 月 24 日まで、2 回目は 2014 年 8 月 31 日から同年 9 月
30 日まで、3 回目は 2014 年 12 月 30 日から 2015 年 1 月 19 日までで行われました。
Page 19 of 36
第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
る個別商品の数を増やす23とともに、従前より規制されていた個別商品についても規制が強化
されています。
日系企業にも影響すると思われる個別商品の規制内容は以下のとおりです。
•
医薬品、医療機器、保健食品
医薬品、
医療機器については、
従前より広告内容に関する条文24等が規定されていましたが、
本法では、以下の内容を新たに規定しています。
まず、医薬品広告の内容は、国務院の医薬品監督管理部門が承認する説明書と齟齬があって
はならず、かつ、禁忌、副作用をはっきりと明示しなければならず、処方薬の広告には「本広
告は医学・薬学の専門家の閲読用のみに提供される」とはっきりと明示しなければならず、非
処方薬の広告には「医薬品の説明書どおりに又は薬剤師の指導のもと購入し及び使用ください」
とはっきりと明示しなければならないとしています(本法第16条第2項)
。
次に、個人に個人用として薦める医療機器の広告には、
「製品の説明書を精読した上で又は医
療関係者の指導のもと購入し及び使用ください」とはっきりと明示しなければならず、医療機
器製品の登録証明書類に禁忌の内容、注意事項がある場合、広告に、
「禁忌の内容又は注意事項
の詳細は説明書を参照すること」とはっきりと明示しなければならないとしています(本法第
16条第3項)
。
また、改正前は、保健食品の広告に関する条文がありませんでしたが、本法は、保健食品の
広告には下記の内容が含まれてはならない(本法第18条)ことなどを新たに規定しています25。
①
効果、安全性の断言又は保証の表示
②
疾病の予防、治療の効能に言及すること
③
広告の商品が健康の保障に必要であることの標榜又は暗示
④
医薬品、その他の保健食品との比較
⑤
広告のイメージキャラクターを利用しての推薦、証明
23
本法では、従前より存在する医薬品、医療機器、農薬、たばこ、食品、酒類、化粧品の他に、
医療、保健食品、母乳に代わる乳児用乳製品、飲料及びその他の食品、動物用医薬品、飼料及
び飼料添加物、教育、養成、投資リターンが見込まれる商品又はサービス、不動産広告、住宅
供給情報、農作物の種子、樹木の種子、草本の種子、種畜・種鶏、水産物の種苗及び栽培・養
殖について規定されています。
24 医薬品、医療機器の広告に含んではいけない内容として、①効能を表示する非科学的な断言
又は保証を含むもの、②治癒率又は有効率を説明するもの、③その他の医薬品、医療機器の効
能及び安全性と比較するもの、④医薬科学研究単位、学術機構、医療機関又は専門家、医師、
患者の名義及びイメージを利用して証明をするものなどを挙げていました。なお、本法におい
ても、同じ条文を引き継いでいますが、各項目の表現に修正があり、具体的には、①表示する
効能、安全性の断言又は保証、②治癒率又は有効率の説明、③その他の医薬品、医療機器の効
能及び安全性又はその他の医療機関との比較、④広告のイメージキャラクターを利用しての推
薦、証明とされています。
25 もっとも、従前より、保健食品の広告を規制する法令として「保健食品広告審査暫定規定」
(国食薬監市[2005]211 号、2005 年 5 月 24 日公布、同年 7 月 1 日施行)が存在しています。
同規定では、保健食品の広告に含まれてはならない状況及び内容についても、17 項目に亘って
規定しており(同規定第 8 条)
、本法の広告内容に関する新条文は、そのうち特に重要と思われ
る項目を抽出、調整したものであると考えられます。
Page 20 of 36 第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
⑥
法律、行政法規の規定で禁止されているその他の内容
さらに、ラジオ放送局、テレビ局、新聞・雑誌・オーディオビジュアルの出版社、インター
ネットコンテンツプロバイダは、健康・養生知識の紹介等に形を変えて医療、医薬品、医療機
器、保健食品の広告を掲出してはならないとされています(本法第19条)
。
•
乳児用乳製品等
マスメディア又は公共の場所において、完全に又は部分的に母乳の代わりとなることを標榜す
る乳児用乳製品、飲料及びその他の食品の広告を掲出することが禁止されています(本法第20
条)26。
•
酒類
酒類の広告には下記の内容が含まれてはなりません(本法第23条)27。
①
飲酒の誘導、扇動又は節制のない飲酒の宣伝
②
飲酒の動作
③
車、船、飛行機の運転操縦等の行動
④
飲酒に緊張及び焦燥の解消、体力増強等の効果があることの明示又は暗示
•
不動産広告、住宅供給情報
不動産広告、住宅供給情報は真実のものでなければならず、面積については延床面積又は専有
部分の床面積を明記しなければならず、かつ、下記の内容が含まれてはなりません(本法第26
条)28。
①
価格上昇又は投資リターンについての約諾
②
プロジェクトがある具体的な参照対象物に達するまでの所要時間によりプロジェクトの位
置を示すもの
③
価格管理に関する国の規定に違反するもの
④
計画又は建設中の交通施設、商業施設、文化教育施設及びその他の都市行政条件について
26
もっとも、従前より、
「母乳代用品販売管理弁法」
(1995 年 6 月 13 日公布、同年 10 月 1 日施
行)において、母乳代用品の広告の掲出は禁止されており(同弁法第 9 条)、本法はその内容を
法律で明記にしたに過ぎないと考えられます。なお、同弁法では、母乳代用品に含まれるもの
に、乳児を対象とした配合食品、母乳に代わるその他の乳及び乳製品、食品及び飲料等を挙げ
ています(同弁法第 3 条)
)
27 もっとも、従前より、酒類の広告を規制する法令として「酒類広告管理弁法」
(国家工商行
政管理局令第 39 号、1995 年 11 月 17 日公布、1996 年 1 月 1 日施行)が存在しています。同弁
法では、酒類の広告に含まれてはならない内容についても、8 項目に亘って規定しており(同
規定第 7 条)
、本法の広告内容に関する新条文は、そのうち特に重要と思われる項目を抽出、調
整したものであると考えられます。
28
もっとも、従前より、不動産の広告を規制する法令として「不動産広告掲出暫定規定」(国
家工商行政管理局令第 71 号、1996 年 12 月 30 日公布、1997 年 2 月 1 日施行、最終改正 1998
年 12 月 3 日公布)が存在しています。本法の新条文も、主として、同規定のうち特に重要と思
われる条文(同規定第 10 条第 1 項、第 11 条、第 12 条、第 16 条)を抽出、調整したものであ
ると考えられます。
Page 21 of 36 第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
の誤導的宣伝
(2)虚偽広告の明記
改正前においても、虚偽の広告を行ってはならない旨が規定されていました(改正前広告法
第4条、第38条等)が、いかなる場合に虚偽の広告に該当するかについては明記していませんで
した。
本法は、広告は、虚偽の又は人を誤解させる内容で消費者を騙し、誤導した場合、虚偽の広
告となる旨を規定した上で、広告に下記のいずれかの事由がある場合、虚偽の広告とする旨を
規定しています(本法第28条)
。
①
商品又はサービスが存在しない場合
②
商品の性能、機能、産地、用途、品質、規格、成分、価格、生産者、有効期限、販売状況、
栄誉の獲得等の情報、又はサービスの内容、提供者、形式、品質、価格、販売状況、栄誉
の獲得等の情報、及び、商品又はサービスに関する約諾等の情報が実情と一致しておらず、
購入行為に実質的影響を及ぼしている場合
③
虚構の、偽造の又は検証不可能な科学研究成果、統計資料、調査結果、要録、引用句等の
情報を用いて証明資料を作成した場合
④
商品を使用し又はサービスを受けることによる効果を捏造した場合
⑤
虚偽の又は人を誤解させる内容で消費者を騙し、誤導するその他の場合
(3)広告行為への規制
広告行為についても規制が強化されています。
•
広告事業者、広告掲出者による広告に関する制度の確立義務(本法第34条)
広告事業者、広告掲出者は、国の関連規定に従って、広告業務の請負登記、審査、保存資料
の管理にかかる制度を確立し、整備しなければなりません。
•
広告のイメージキャラクターに対する規制(本法第38条)
広告のイメージキャラクターによる、広告での商品・サービスについての推薦、証明は、事
実に基づいた、本法及び関連する法律・行政法規の規定に合致するものでなければならず、か
つ、使用したことのない商品又は受けたことのないサービスの推薦、証明をしてはなりません。
また、広告に起用するイメージキャラクターに年齢制限が設けられ、具体的には、満10歳に
達しない未成年を起用してはならないとされました。
さらに、虚偽の広告において推薦、証明をして行政罰を受けた後3年が経過していない自然人、
法人又はその他の組織についても、広告のイメージキャラクターに起用してはならないことと
されました。
•
電子情報による広告の送信等に対する規制(本法第43条)
いかなる組織又は個人も、当事者の同意又は要請なく、当該当事者の住宅、乗り物等に広告
を送付してはならず、また、電子情報により当該当事者に広告を送信してはならないこととさ
Page 22 of 36
第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
れ、電子情報により広告を送信する場合、送信者の真実の身分及び連絡先を明示し、かつ、受
取継続の拒否方法を受取人に提供しなければならないとされました。
•
インターネットを利用した広告活動に対する規制(本法第44条、第45条)
インターネットを利用して広告活動を行う場合にも本法が適用されることが明記されたこと
に加え、インターネットを利用して広告を掲出し、送信する場合、ユーザーによるネットワー
クの通常使用に影響を及ぼしてはならないこと、インターネットの画面上でポップアップ等に
より広告を送信する場合、クリックすれば閉じることができるよう、閉じるための標識をはっ
きりと表示しなければならないことが定められました。
また、
インターネットコンテンツプロバイダ29は、自らが明らかに知っている又は知るべき、
その場所又は情報の伝送・掲出のためのプラットフォームを利用した違法広告の送信、掲出を、
差し止めなければならないとされました。
(4)罰則
本法では、改正前と同様、各条項に違反した場合の罰則が規定されていますが、総じて罰則
が強化されており、例えば、虚偽の広告を掲出した場合、工商行政管理部門は広告掲出の停止
を命じ、相応の範囲内において影響を除去するよう広告主に命じ、広告費の3倍以上5倍以下の
過料を科し、広告費を計算することができないとき又は明らかに低すぎるときは20万元以上100
万元以下の過料を科すこと、違法行為が2年間で3回以上ある場合又はその他の重大な情状があ
る場合、広告費の5倍以上10倍以下の過料を科し、広告費を計算することができないとき又は明
らかに低すぎるときは100万元以上200万元以下の過料を科すほか、営業許可証を取り消し、か
つ、広告審査機関において広告審査の許可文書を取り消し、1年間その広告審査申請を不受理と
することができることを規定しています(本法第55条第1項)30。
また、広告のイメージキャラクターも、場合によって、過料に処せられたり、消費者の損害
について連帯責任を負わされたりすること(本法第56条第2項、第3項、第62条)などが規定さ
れました。
2、今後の注意点
本年3月、生活用品販売会社が、虚偽の広告宣伝を行ったとして高額な(日本円換算で1億円
を超える)過料を科されました。虚偽の広告宣伝として指摘されたのは、製品を使用すれば一
日で製品の効果が表れるとする趣旨の映像が、パソコンの画像修正ソフトによる過度な処理に
より制作されたためであるとされています。
上記過料事案に代表されるように、中国では、虚偽広告の取り締まりに注力している姿勢が
29
インターネットコンテンツプロバイダのほか、公共の場所の管理者又は電気通信業務の事業
者も挙げられています。
30 なお、改正前は、虚偽の宣伝行為について、広告費と同額以上 5 倍以下の過料を科す旨を規
定していましたが、広告費を計算することができないとき又は明らかに低すぎるときについて
の過料の法定額や、違法行為が 2 年間で 3 回以上ある場合又はその他の重大な情状がある場合
の過料の引き上げに関しては規定していませんでした。
Page 23 of 36 第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
伺え、本法も厳格に適用されることが予想されるところです。例えば、日本では、ビール等の
アルコール飲料を飲むという広告は当たり前に行われていますが、このように日本法31の下で
は問題ない広告も、中国法(本法第23条)の下では違法となる可能性がありますので、中国で
新たに広告を制作する場合はもちろん、日本法で既に公開済みの広告を中国で公開する場合に
ついても、本法に照らした十分な確認を行うことが望まれます。
(5)「食品安全法」
(食品安全法)
2015 年 4 月 24 日公布、同年 10 月 1 日施行
http://www.gov.cn/xinwen/2015-04/25/content_2852919.htm
同法の主な内容、今後の注意点について、KLO 投資コンサルティング(上海)有限公司に解説
頂いた。
解説
1、 主な内容
乳児用粉ミルク、品質保証期限切れ肉、高濃度農薬野菜・果物等、中国では食品の安全を揺
るがす報道が尐なくありません。その中で、中国政府は、本年3月に「安全ではない食品」のリ
コール方法等の詳細を規定した「食品リコール管理弁法」32を公布していますが、いよいよ食
品安全に関する基本法といえる本法の改正及び公布を行いました。今回の改正は、公布までに3
度のパブリックコメントの募集33が行われ、また条文数が104条文から154条文に増加するなど、
大掛かりなものとなりました。改正内容のうち、日系企業にとって特に影響があると考えられ
る「第4章
食品生産・取扱34」
、
「第6章 食品輸出入」
、
「第9章 法的責任」の各章の改正内容
を中心にご紹介します。
(1)「第4章
•
食品生産・取扱」に関する改正
許可取得部門の変更(本法第35条)
従前、
「食品生産」
、
「食品流通」
、
「飲食サービス」について、それぞれ異なる部門35による管
代表的なものとして不当景品類及び不当表示防止法(昭和 37 年法律第 134 号、いわゆる景
品表示法)が挙げられます。
32 国家食品医薬品監督管理総局令第 12 号、2015 年 3 月 11 日公布、同年 9 月 1 日施行
33 1 回目は 2013 年 10 月 29 日から同年 11 月 29 日まで、2 回目は 2014 年 7 月 1 日から同年 7
月 31 日まで、3 回目は 2014 年 12 月 30 日から 2015 年 1 月 19 日までで行われました。
31
34
なお、ここでいう「食品生産」とは、食品の生産及び加工を、
「食品取扱」とは、食品の販
売及び飲食サービスを指します(本法第 2 条第 1 項第 1 号)。
35 それぞれ、国務院品質監督部門、工商行政管理部門、国家食品医薬品監督管理部門が管理を
実施することとされていました。
Page 24 of 36 第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
理がなされていたため、それらに従事するためには各管理部門における許可36を取得する必要
がありました。しかし、本法では、管理部門を国務院食品医薬品監督管理部門に統一した(本
法第5条第2項)ため、許可も同部門から取得すべきこととなりました。
•
食品の生産・取扱者が確立すべきシステム・制度の追加(本法第42条、第47条)
食品の生産・取扱者について、従前より確立が求められている制度37のほか、①トレーサビリ
ティ38システム、②自主検査制度の確立が義務付けられています。このうち、①については、
食品安全のトレーサビリティシステムを確立し、食品についてのトレーサビリティを保証しな
ければならないことが、②については、自主検査制度を確立し、食品安全の状況について定期
的に検査評価を行わなければならないこと、生産・取扱条件に変化が生じ、食品安全上の要求
に合致しなくなった場合、食品の生産・取扱者は直ちに改善措置を講じなければならず、食品
安全に関わる事故が発生する潜在的リスクがある場合、直ちに食品の生産・取扱を停止し、か
つ所在地の県級の人民政府の食品医薬品監督管理部門に報告しなければならないことが規定さ
れています。
•
食品の生産者に求められるコントロールの追加(本法第46条)
食品の生産者は、生産する食品が食品安全基準に合致することを保証するため、①原材料購
入、原材料検収、原材料投入等の原材料、②生産工程、設備、貯蔵、包装等の重要な生産段階、
③原材料検査、半製品検査、完成品の出荷検査等の検査、④輸送及び納品をコントロールする
上での要求を制定、実施する必要があることが新たに規定されています。
•
飲食サービス提供者に求められるコントロール等の追加(本法第55条、56条)
飲食サービス提供者について、①原料をコントロールする上での要求を制定、実施し、食品
安全基準に合致しない食品原料を購入してはならないこと、②加工の過程において加工予定の
食品及び原料を検査し、腐敗・変質等の本法第34条第6号に該当する状況が発生しているものに
ついて加工又は使用してはならないこと、③食品加工、貯蔵、陳列等の施設・設備のメンテナ
ンス並びに保温設備及び冷蔵・冷凍施設の洗浄、点検を定期的に行うこと、④要求に基づき食
器、飲用食器の洗浄消毒を行うことなどが新たに規定されています。
•
インターネット食品取引の第三者プラットフォーム提供者の義務の追加(本法第62条)
従前より集中取引市場の主催者等については、同市場に入場する食品取扱者に対する検査義
務等が規定されていましたが、本法は、昨今のインターネット上での食品取引の実態を踏まえ、
インターネット食品取引の第三者プラットフォーム提供者の義務についても新設しています。
36
それぞれ、食品生産許可、食品流通許可、飲食サービス許可を取得する必要があるとされて
いました。
37 従前より確立が求められている制度としては、食品の安全管理制度(本法第 44 条)
、従業員
の健康管理制度(本法第 45 条)があります。
38 トレーサビリティとは、食品の移動ルートを把握できるよう、生産、加工、流通等の各段階
で商品の入荷と出荷に関する記録等を作成・保存しておくことです。
Page 25 of 36 第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
具体的には、インターネット食品取引の第三者プラットフォーム提供者について、①インター
ネットにアクセスする食品販売者に対して実名による登録を実施し、食品安全管理責任を明確
にすること、②許可証を取得させ、その許可証を審査しなければならないこと、③食品販売者
が本法に違反する行為を発見した場合、直ちにやめさせ、速やかに所在地の県級の人民政府食
品医薬品監督管理部門に報告しなければならないこと、④重大な違法行為を発見した場合には
速やかにインターネット取引のプラットフォームサービスを停止しなければならないことが新
たに規定されました。
•
特殊食品に関する厳格な管理の追加(本法第74条~第83条)
本法は、保健食品、特殊医学用途配合食品及び乳幼児用配合食品等を特殊食品とカテゴライ
ズした上で、1節を用いて、特殊食品に対して厳格な監督管理を実行する旨及び各食品に対する
具体的な規制内容を規定しています39。例えば、①保健食品について、同食品が保健効能を標
榜する場合、科学的根拠を具備しなければならず、人体に急性、亜急性又は慢性の危害を及ぼ
してはならないこと、保健食品原材料の目録及び保健食品につき標榜することが認められる保
健効能の目録は、国務院の食品医薬品監督管理部門によって国務院の衛生行政部門、国家漢方
薬管理部門と共に制定、調整しかつ公表され、保健食品原材料の目録に列記する原材料は、保
健食品の生産にのみ使用することができ、その他の食品の生産に使用してはならないことなど
が、②特殊医学用途配合食品について、同食品は、国務院の食品医薬品監督管理部門によって
登録されなければならないことなどが、③乳幼児用配合食品について、同食品の生産企業は、
原材料の入荷から完成品の出荷の全工程において品質コントロールを実施し、出荷する乳幼児
用配合食品についてロットごとに検査を実施し、食品の安全を保証しなければならず、また、
食品原材料、食品添加物、製品の配合成分と配合量及びラベル等の事項について省、自治区、
直轄市の人民政府の食品医薬品監督管理部門に届け出なければならないこと、個別包装方法で
乳幼児用配合粉ミルクを生産してはならず、同一企業は、同一配合方法で異なるブランドの乳
幼児用配合粉ミルクを生産してはならないことなどが規定されています。
(2)「第6章
食品輸出入」に関する改正
食品輸出入に関しても、数箇所の改正がなされています。具体的には、①国外の輸出業者、
生産企業が中国に向けて食品、食品添加物、食品関連製品を輸出する場合、本法、中国のその
他の関連法律、行政法規の規定及び食品安全国家基準の要求に合致することを保証しなければ
ならず、かつラベル、説明書の内容について責任を負わなければならないこと40(本法第94条
第1項)
、②輸入業者は国外の輸出業者、生産企業の審査制度(審査の重点項目は①の内容)を
確立しなければならず、審査に不合格の場合には輸入をしてはならないこと(本法第94条第2
項)
、③輸入業者は、輸入食品が中国の食品安全国家基準に合致しない又は人体の健康に害を及
ぼす可能性があることを証明する証拠があることを発見した場合、即時に輸入を停止し、本法
39
なお、改正前は、
「特定の保健機能を謳う食品」について厳格な監督管理を行う旨が 1 条文
で規定されているのみでした。
40 なお、改正前は、輸入する食品、食品添加物及び食品関連製品は、わが国の食品安全国家基
準に合致しなければならないことが規定されているのみでした。
Page 26 of 36 第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
第63条の規定に基づくリコールを行わなければならないこと(本法第94条第3項)、④従前より、
中国に向けて食品を輸出する国外食品生産企業は国家出入国検査検疫部門において登録を受け
なければならないことが規定されているところ、これに加えて、登録済みの国外食品生産企業
が虚偽の資料を提供し、又は自らの原因で輸入食品に重大な食品安全事故をもたらした場合、
国家出入国検査検疫部門は登録を取り消し、かつ広告しなければならないことなどが規定され
ています(本法第96条)
。
(3)「第9章
法的責任」に関する改正
法的責任は、
全面的に加重されており、既存条文の内容において罰則等が引き上げられた41ほ
か、新たに多くの条文が追加され、条文数が15条文から28条文に増えています。
そのうち、民事賠償については、損害を受けた消費者に対する保護を強化するため、消費者
が食品安全基準に合致しない食品によって損害を被った場合、取扱者及び生産者のいずれに対
しても損害の賠償を請求することができ、消費者から賠償請求を受けた生産・取扱者は、率先
して支払いを行う制度を実行し、先に賠償しなければならず、責任を転嫁してはならない旨が
規定されました。なお、生産者に責任がある場合、取扱者は賠償後に生産者に対して求償する
権利を有し、取扱者に責任がある場合、生産者は賠償後に取扱者に対して求償する権利を有す
るとされています(本規定第148条第1項)
。また、従前より、いわゆる懲罰的賠償として、食品
安全基準に合致しない食品を生産し又は食品安全基準しないことを明らかに知っている食品を
取扱った場合、消費者が損害の賠償請求のほか、商品価格の十倍の賠償金の支払いを請求でき
ることが規定されていましたが、これに加えて、商品価格の十倍又は損失の三倍のいずれかの
支払いを請求できること、賠償金を増額した分の金額が1000元に満たない場合は1000元を賠償
金とすることが規定されました。もっとも、本法では、懲罰的賠償の免責事項についても規定
しており、食品のラベル、説明書において、食品安全には影響せず、かつ消費者を誤認させる
ことのない瑕疵が存在する場合には、懲罰的賠償責任を負わない旨が規定されています(本法
第148条第2項)
。
2、 今後の注意点
本年3月の第12期全人代の会議上で行われた李克強総理の政府活動報告において、
「食品の安
全」は、国民が不満を抱いているものの1つに挙げられています42。このため、「史上最も厳し
い」と言われている改正後の本法は、その実施においても、厳しい運用がなされることが予想
されます。
食品の生産・取扱に携わる日系企業においては、本法施行までに、自社の食品生産・取扱体
制が本法に適合するかを確認し、本法の施行に備える必要があります。
41
例えば、無許可での食品生産等を行った場合の過料金額について、製品価格が 1 万元未満の
ときは 5 万元以上 10 万元以下に、製品価格が 1 万元以上のときは製品価格の 10 倍以上 20 倍以
下に引き上げられました(従前はそれぞれ、2000 元以上 5 万元以下、5 倍上 10 倍以下)。
42 その他としては、医療、養老、住宅、交通、教育、所得の分配、社会治安が挙げられていま
す。
Page 27 of 36 第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
(6)
「営業許可証受領後にライセンス取得手続を行う改革を厳格に実行し工商登記の事前
審査許可事項を厳格に実施することについての通知」
(关于严格落实先照后证改革严格执行工商登记前置审批事项的通知)
2015 年 5 月 11 日公布、同日施行
http://www.saic.gov.cn/zwgk/zyfb/zjwj/qyzcj/201505/t20150521_156612.html
同通知の主な内容、今後の注意点について、KLO 投資コンサルティング(上海)有限公司に解
説頂いた。
解説
1、 主な内容
従前、中国で会社を設立する場合、まず先に経営範囲に基づく営業を行うために必要な行政
ライセンスを取得し、その後、工商局での手続を行い、営業許可証を受領していました(「先に
行政ライセンス、後に営業許可証」
、会社法43第6条、会社登記管理条例44第22条参照)
。もっ
とも、このような会社設立手順を踏む場合、営業許可証を受領するまでは、行政ライセンスが
不要な営業行為も行うことができなくなります。このため、工商登録制度の利便化の一環とし
て、登録資本払込登記制から引受登記制への移行とともに、導入が検討されたのが、
「先に営業
許可証、後に行政ライセンス」であり45、本通知は当該政策を実務レベルで実施するために公
布されたものといえます。その主な内容は以下のとおりです。
(1)原則
工商登記にあたり、今後は申請者に関連審査許可部門の許可文書、証明書の提出を要求しな
いことが確認されています。
もっとも、経営範囲の登記申請にあたり、営業許可証の「経営範囲」欄の下部に「(法により
許可を得なければならない項目は、関係部門の許可を得なければ経営活動を行うことはできな
い)
」と注記すること、企業は、工商登記後に関連する許可文書、証明書を取得した場合、取得
日から20営業日以内に企業信用情報公開システムで自ら公開しなければならないこと、関連す
る許可文書、証明書上の経営項目の文言と営業許可証上の記載が一致せず、企業が経営範囲の
調整を申請する場合、工商部門及び市場監督部門(以下「工商部門」といます)は変更登記を
行うことが記載されています(本通知一)。
(2)事前審査許可が必要な場合のリスト化
43
主席令第 42 号、1993 年 12 月 29 日公布、1994 年 7 月 1 日施行、最終改正 2013 年 12 月 28
日
44
国務院令第 648 号、1994 年 6 月 24 日公布、同年 7 月 1 日施行、最終改正 2014 年 2 月 19 日
これらについては、三中全会後に公布された「全面的な改革深化に向けての若干の重大問題
に関する決定」
(2013 年 11 月 15 日公布)の「現代市場体系の完全化の加速」の中の「公平、
開放的、透明な市場規則の構築」
(本決定三(9))においても言及されています。
Page 28 of 36 第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
45
原則は(1)のとおりですが、本通知は、今後も行政ライセンス取得後に営業許可証を受領し
なければならない許可事項があるとし、それらの事項を列挙した「工商登記事前審査許可事項
リスト」を附属書類1として添付しています。当該リストに列挙された許可事項については、今
後も法に基づき申告し関連審査許可部門の審査許可を得た上で、許可文書、証明書により工商
部門で登記申請を行わなければなりません(本通知二)。なお、
「工商登記事前審査許可事項リ
スト」には、
「外商投資企業の設立及び変更審査許可」、
「外資銀行営業性機構及びその支店の設
立審査許可」
、
「外国銀行代表所設立審査許可」、
「外国証券類機構による在中国代表機構の設立
審査許可」
、
「外国保険機構在中国代表機構の設立審査許可」及び「国外航空会社在中国常設機
構の設立審査許可」等が挙げられています。
また、本通知では、企業の設立後、変更登記、抹消登記を行う前に、法により事前審査許可
が必要となる場合があるとし、これらの事項を列挙した「企業の変更登記、抹消登記事前審査
許可事項指導リスト」をも附属書類2として添付しています。当該リストに列挙された事項につ
いては、法律、行政法規、国務院の決定の規定に従って、関連する審査許可部門の許可を得た
上で、許可文書、証明書により工商部門で変更登記、抹消登記を行わなければなりません(本
通知四)
。なお、
「企業の変更登記、抹消登記事前審査許可事項指導リスト」には、
「外資銀行に
よる登録資本又は運営資金の変更、機構名称、営業場所又は執務場所の変更、業務範囲の調整、
出資者の変更又は出資者の持分比率の調整、定款の修正及び閉鎖の審査許可」、「外国銀行代表
所の変更及び閉鎖の審査許可」
、
「外国証券類機構在中国代表機構の名称変更の審査許可」及び
「外国保険機構在中国代表機構における重大事項変更の審査許可」等が挙げられています。
2、 今後の注意点
「先に営業許可証、後に行政ライセンス」が実務において定着すれば、企業は経営範囲に行
政ライセンスが必要な項目が含まれていたとしても、先に一般的に認められる経営範囲での営
業行為が可能となることに加え、行政ライセンスがなければ行えない活動以外の活動、例えば、
人の雇用、各契約の締結、及び金銭の貸借等を行うことが可能となり、行政ライセンス取得ま
での間に本来の業務の準備段階の業務を行うことも可能となると考えられます。
本通知公布後の実務の動向が注目されます。
(7)企業再編に係る土地増値税および契税の優遇政策の適用範囲の更なる拡大( 財税
【2015】5 号、財税【2015】37 号)
(关于企业重组土地增值税和契税优惠政策适用范围的进一步扩大)
http://szs.mof.gov.cn/zhengwuxinxi/zhengcefabu/201503/t20150323_1205411.html
2015 年 5 月 2 日発布
2015 年 1 月 1 日より施行
http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/c1550942/content.html
2015 年 3 月 31 日発布
2015 年 1 月 1 日より施行
Page 29 of 36
第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
同通達の主な内容、企業への影響について、徳勤華永会計師事務所に解説頂いた。
解説
1、 主な内容
財政部と国家税務総局は 2015 年 2 月 2 日に「企業再編に係る土地増値税政策に関する通知」
(財税「2015」5 号、以下「5 号文」
)を公布した。通知では、国有土地使用権の譲渡に際して
課税される土地増値税について、企業の組織変更・再編時の特例が規定されている。現物出資
や合併に際して行われる譲渡に関する免税取扱いを継続するとともに、会社分割や組織形態の
変更(会社でない企業が有限責任公司・株式有限公司に変更する場合等)において生じる国有
土地使用権の移転についても新たに免税対象に含めること等が規定されている。その後、財政
部と国家税務総局は 2015 年 3 月 31 日に「企業事業組織再編の更なる支持に係る契税政策に関
する通知」
(財税「2015」37 号、以下「37 号文」)を公布した。
これらは、企業再編を支持する従来からの土地増値税および契税の減免税政策の適用期限を
延長するとともに、一部の新たな優遇措置(例えば、企業分割に係る土地増値税の免税規定)
を導入するものである。これら 2 つの通知の適用期間は 2015 年 1 月 1 日から 2017 年 12 月 31
日までとされている。
通常、不動産取引の譲渡者は、その不動産の価値増加額に対して、30%~60%の累進税率に
基づく土地増値税を納付する必要がある。一方、譲受者は通常、取引価格に基づき契税を納付
しなければならず、その適用税率の範囲は一般的に 3%~5%である。
下表は 5 号文および 37 号文における主な減免税政策の概要をまとめたものである。一部の取
引については、土地増値税と契税の減免税を同時に適用することができない。また、5 号文に
おける土地増値税に関する優遇措置は不動産開発企業には適用されない。
Page 30 of 36
第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
取引タイプ
5 号文
37 号文
(譲渡者の土地増値税)
(譲受者の契税)
企業全体再編(体制変更)
(注:中
国語では“改建(制)”)
(即ち、非公司制企業から有限責任
公司あるいは株式有限公司への再
編(体制変更)
、有限責任公司から
免税(元の企業の投資者は再編後も存続または同じでな
株式有限公司もしくは株式有限公
ければならない)(注1)
司から有限責任公司への再編で、再
編後の会社が元の企業の権利、義務
を引き継ぐ場合)
企業合併
企業分割
不動産による出資
免税
優遇政策なし(注2)
グループ内企業間での資産移転
(注:中国語では“划转”)
(即ち、親会社と全額出資子会社の
間、同一会社に属する全額出資子会
優遇政策なし(注2)
免税
社の間、自然人とそれが設立した個
人独資企業または一人有限公司の
間における土地、建物所有権の移
転)
債権者が破産企業の不動産所
有権を引き継ぐ場合、免税
債権者以外の者が破産企業の
土地、不動産所有権を引き継
企業破産における資産処分
優遇政策なし(注2)
ぎ、かつ元の企業の全従業員
と 3 年以上の労働契約を締結
する場合、免税(従業員の 30%
超と労働契約を締結する場合
は半減徴収)
注1:企業全体再編(体制変更)において契税の免税適用を受けるためには、元の企業の投資
者が再編後の会社の 75%超の持分を保有しなければならない。また、企業合併と企業分割の場
合には、元の企業の投資者は合併、分割後の持分比率を変更できる。
Page 31 of 36
第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
注2: 関連通知には減免税優遇に関する規定がないため、別途規定される場合を除き、原則と
して土地増値税と契税の基本規定を適用する。
2、 企業への影響
今回の企業再編の土地増値税政策は、主に現存する企業再編のおける土地増値税優遇政策を
規範化するものである。具体的に言えば、

企業の不動産による出資、企業合併などに関する土地増値税の優遇政策の適用期限を延期
した。

企業全体再編(体制変更)と企業分割という二つの企業再編のパターンを優遇対象範囲に
入れた。

租税徴収管理の便利のため、企業再編後、再度不動産を譲渡するとき、土地増値税の計算、
控除項目などを明確に規定した。
これまで、不動産開発企業に対する土地増値税優遇政策の適用に関して、規定では明らかに
されていなかったが、
「5 号文」の公布により、企業再編に関する土地増値税優遇政策が不動産
開発企業に適用されないことが明確になった。
(8)
『非居住者企業の所得税みなし徴収管理弁法』等の文書の改正に関する公告( 国家税
務総局【2015】22 号)
(关于修改《非居民企业所得税核定征收管理办法》等文件的公告)
2015 年 4 月 17 日発布
2015 年 6 月 1 日より施行
http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/c1577578/content.html
同公告の主な内容、企業への影響について、徳勤華永会計師事務所に解説頂いた。
解説
1、 主な内容
「国務院:一部の行政審査項目の取消および調整等の事項に関する決定」46(国発[2015]11
号)および「国務院:一部の行政審査項目の取消および権限移譲に関する決定」47(国発[2014]5
号)により、4 項目のクロスボーダーの税務管理に関わる行政審査が取り消された。
46
参考 URL: http://www.ahsj.gov.cn/views/show/32390.htm
URL: http://www.gov.cn/zwgk/2014-02/15/content_2602146.htm
Page 32 of 36 第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
47参考
これらの行政審査の取消を受けて、国家税務総局は 2015 年 4 月 17 日に第 22 号公告——「『非
居住者企業の所得税みなし徴収管理弁法』等の文書の改正に関する公告」
(以下“22 号公告”)
を公布し、クロスボーダーの税務管理に関わる 3 つの通達類が改正された。22 号公告は 2015
年 6 月 1 日から施行される。
【
『非居住者企業の所得税みなし徴収管理弁法』に関する改正】

『非居住者企業の所得税みなし徴収管理弁法』48(国税発【2010】19 号)第 9 条を「所轄税
務機関は遅滞なく非居住者企業に『非居住者企業所得税徴収方式鑑定表』
(本公告に添付す
る『鑑定表』を参照、以下は『鑑定表』
)を送付しなければならず、非居住者企業は『鑑定
表』の受取後 10 営業日以内に、
『鑑定表』の記入を完成し、所轄税務機関に送付しなけれ
ばならず、所轄税務機関は『鑑定表』の受理後 20 営業日以内に、当該徴収方式の確認業務
を完成させるべきである」に改正した。
【
『国外登録中国資本支配居住者企業所得税管理弁法(試行)』に関する改正】

『国外登録中国資本支配居住者企業所得税管理弁法(試行)
』49(国家税務総局【2011】第
45 号)の第 5 条を「本弁法が言う所轄税務機関とは、国外登録中国資本支配居住者企業の
中国国内主要投資者の登記・登録地の所轄税務機関を指す。」に改正する。
【
『非居住者企業による持分譲渡における特殊性税務処理の適用に関連する問題についての公
告)
』に関する改正】

『非居住者企業による持分譲渡における特殊性税務処理の適用に関連する問題についての
公告)
』50(国家税務総局公告 2013 年第 72 号)の第 7 条を「非居住者企業による持分譲渡
における特殊性税務処理の適用届出後、調査・確認を経て条件に合致しない場合、一般性税
務処理の適用へと調整し、関連規定に基づき企業所得税を納付しなければならない。非居
住者企業による持分譲渡における特殊性税務処理の適用が届出を行っていない場合、税務
機関は本公告の第 2 条、第 3 条の規定に基づき届出手続を行うよう通知しなければならな
い。
」に改正した。
2、 企業への影響
22 号公告による改正前において、クロスボーダーの持分譲渡取引を行う非居住者企業は、も
し適時に特殊税務処理の適用に係る届出をしなければ、特殊税務処理(即ち、免税または課税
の繰延)を適用することはできないとされていた。たとえ取引が特殊税務処理の適用要件を全
48参考
URL: http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810765/n812161/n812579/c1086092/content.html
URL: http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810765/n812156/n812474/c1186299/content.html
50参考 URL: http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/c1149338/content.html
Page 33 of 36 第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
49参考
て満たしていたとしても、適時に届出をしなければ、非居住者企業は特殊税務処理を適用でき
ない可能性があった。
実務において、このような届出の要求があることにより、多くの納税者が適時に届出をしな
かっただけの理由で特殊税務処理の適用権利を失っていた。22 号の発効後に発生した取引につ
いてはこのようなことがなくなり、管轄税務機関は特殊税務処理の適用要件に基づいて、取引
にて当該処理を適用できるか否かを判断することになる。同時に、納税者に対して規定に従っ
て届出手続を行うよう告知することになる。
ただし 22 号公告では、公告の発効前に発生した特殊税務処理の適用要件は満たしているが、
適時に届出を行っていない非居住者企業のクロスボーダーの持分譲渡取引についても特殊税務
処理を適用できるか否かには触れていない。これについては、実務運用の状況を見ることにな
る。
22 号公告の公布は、行政審査の要求(特に明確な法律の根拠を欠く行政審査)を減らしてい
くという国務院の求めに一致するものである。今後、税務行政審査制度の改革もさらに進むこ
とが期待される。例えば、2015 年 5 月 4 日に国務院が公布した国発[2015]27 号51により、約
50 項目の行政審査が取り消されたが、その中には租税条約の恩典を享受するための事前審査も
含まれている。このような傾向がある中で、納税者は意識を変えて、新しい税務管理の環境に
適応する必要がある。
51参考
URL: http://www.gov.cn/zhengce/content/2015-05/14/content_9749.htm
Page 34 of 36 第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
<2>知っておきたい中国語<第八十九回> ~「高考」編~
皆さん、こんにちは。6 月に入ると、毎年繰り返されてきた「高考」の熱気と騒動が感じら
れますね。テレビや新聞などメディアに話題が上り、受験生やその親だけではなく、国民の多
くが興味を示す一大行事となっています。では今回は「高考」について中国語を紹介します。
「高考」は何でしょうか。
「高」は高等学校を意味し、
「考」は入学試験の意味で、
「普通高等
学校招生全国统一考试」を省略したものです。試験日(考试时间)は毎年 6 月の 7 日と 8 日で
すが、一部地域では 7 日から 9 日までの 3 日間です。この試験は 1952 年に始まって、途中 10
年間中止を経て 1977 年から回復、現在に至ります。回復以来、
「高考」がますます重視されて
きました。特に、今の一人っ子の家庭(独生子女家庭)に対して「高考」はその子供だけのこ
とではなく、家族全員の極めて大事なことになりました。試験日はもともと 7 月の 3 日間で、
暑くて緊張で倒れた受験生(考生)がいましたので、現在 6 月になっています。現行の試験科
目(考试科目)は国語(语文)
、数学、外国語(外语)のほかに、文科系(文科)なら文科総合
(文综)
、理科系(理科)なら理科総合(理综)があります。今後の方針としては文系と理系を
分けない方向に進むようです。今年は点字(盲文)の試験用紙(考卷)など身障者(残疾人)
も受験しやすい方法を導入し、受験票(准考证)を忘れた場合でも、登録した顔写真で照合で
きれば試験を受けることができます。
ニュースや新聞によく出てくる中国語を見てみましょう。
高考冲刺:大学入試の試験勉強がラストスパートの時期に突入すること。
复读:受験失敗の場合、卒業せずもう一年残って勉強すること。
报志愿:入学願書を提出すること。
录取分数线:最低合格点、合格ラインのこと。
录取通知书:合格通知書を指す。
学渣:日頃真面目に勉強せず、試験が近づくと慌てて復習し始め、短期間の努力で試験を通
ろうとする学生のこと。
学霸:まじめに学業に励み、成績が優秀な人。寸暇を惜しんで勉強、名だたる名門大学にこ
とごとく合格、というタイプ。
学神:ろくに勉強しているところ見たことないのに、テストではいつも百点とか、そんな人。
作弊:カンニングする。試験中にメモや他人の答案を見るなど不正行為をすることを指す。
替考:替え玉受験を指し、実際に試験を受ける替え玉は「枪手」と呼ばれる。
掉链子:本来の意味は走行中にチェーンが外れて動けなくなること、自転車でよくある故障
を指す。現在では意味が拡大し、肝心な時にミスを起こして最終結果に影響を与えることを表
す。重要な段階で混乱して失敗する意味。
例えば、
「她平时成绩挺好的,一到重要考试就掉链子。彼女は普段の成績がよかったのに、重
要な試験になると力が出せないのだ」
、
「今天的谈判非常重要,可不能掉链子啊。本日の商談は
極めて重要で失敗してはならないよ」
。
笨鸟先飞:おろかな鳥は先に飛ぶ。人に遅れないために、早くから仕事やものごとに取りか
かることをたとえ、能力の劣る者は、人一倍努力するものです。へりくだって言う際によく使
われます。
Page 35 of 36
第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)
ニューズレターの配信停止・新規登録などのご案内
(1)配信停止および配信先メールアドレス変更のご案内
本 ニ ュ ー ズ レ タ ー の 配 信 停 止 を 希 望 さ れ る 場 合 は 、 下 記 URL に ア ク セ ス し 、
「unsbscribe」ボタンをクリックしてください。本ニューズレターの配信先メールアド
レスの変更を希望される場合は、上記配信停止手続後に新規にご登録ください。
URL: http://www.jetro.go.jp/mail5/u/l?p=tTW_GIj5ntM53_3CF1ZAZAZ
(2)ジェトロの各種メールマガジンのご案内
ジェトロでは本ニューズレターの他にも多数のメールマガジンを発行しております。
これらのメールマガジンはどなたでも無料でご購読いただけます(一部有料のものもあ
ります)。
メールマガジンリストおよび購読登録手順については、以下のサイトをご覧下さい。
URL: http://www.jetro.go.jp/mail/list/
本ニューズレターに対するご意見、ご質問、ご感想などの各種お問い合わせ先
編集・発行:独立行政法人 日本貿易振興機構(ジェトロ)北京事務所 担当:島田、鄭、朱
郵便番号:100022 住所:中国北京市建国門外大街甲 26 号 長富宮弁公楼 7003 室
電話:
(86-010)6513-7077
FAX:
(86-010)6513-7079
E-mail: PCB@jetro.go.jp
Copyright(c) 2015, Japan External Trade Organization
All Rights Reserved
※このニューズレターに掲載された内容を無断で転載することを固くお断りいたします。
※ジェトロはご提供する法規制、税率、その他の資料・データ等の情報をできる限り正確にす
るように努力しておりますが、提供した情報等の正確性の確認・採否は皆様の責任と判断で
行っていただきます。
※本文を通じて皆様に提供した情報の利用に関連し、万一お客様が不利益を被る事態が生じた
としても、ジェトロは責任を負いません。
Page 36 of 36
第 137 号(2015 年 6 月 29 日発行)